【2019年02月28日発売】 BANG & OLUFSEN フルワイヤレスイヤホン BEOPLAY-E8-2.0/INDIGOBLUE インディゴブルー [防滴&左右分離タイプ]
- 【1】通信品質はスマホアプリ使用でかなり改善される
- 【2】イコライザーはかなり直感的に使え、かなり多彩な表情変化をもたらす
- 【3】総評:E8 2.0はandroid OSじゃないDAPでは実力は完全に活かせないかもしれない。スマホ・タブレットでの使用推奨
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今回はBang & Olufsen E8 2.0のスマホ使用環境のレビューになります。私は普段、音質や通信品質のテストを基本的にDAPで行っています。しかし、この機種については個別レビューで述べたように、2段階接続をしている可能性があり、スマホへのベーシックな接続は自動で行われているらしい挙動をしているので、もしかするとスマホアプリを通して通信を細かくチューニングしているんじゃないかと思いました。
そこで今回は私が普段使用しているandroidタブレット、HUAWEI MediaPad M3 Lite 10 wpにこの機種を繋いでレビューします*1。アプリが使えないDAPではなく、アプリが使えるandroid製品で、アプリをしっかり生かした使い勝手をお届けします。
なお私はいくつか音楽プレイヤーアプリを使っているのですが、今回はONKYO HF Playerを使って音楽再生を行っています。
【1】通信品質はスマホアプリ使用でかなり改善される
実はタブレットでこのイヤホンの動画鑑賞のテストをしていたときに通信がかなり安定していた感じがしてたので、もしかしたらと思っていたのですが、HUAWEI MediaPad M3 Lite wpにアプリを通して接続して音楽を聴いたところ、DAPに繋いでいたときの通信の不安定さはかなり払拭されました。
DAPに接続した場合、大抵2m程度距離を取るとプチプチ切れるということを書いたのですが、MediaPad M3 Lite wpにつないだところ、5m以上離れても遅延や途絶はなく、10m程度で乱れる感じがありますが、DAP接続時より明らかに改善されています。
しかし、MediaPad M3 Lite wpの通信チップが優秀すぎるという可能性も(世間で少し騒がれていますが、実際HUAWEIの技術力はすごいので)なきにしもあらずなので、改めて格安スマホFujitsu arrows M03にアプリを入れて接続の具合を見ました*2。チップの差か、距離による途絶は少し乱れが激しい印象ですが、5m程度は比較的安定しています。
アプリを入れたスマホやタブレットにつなぐのと、androidでないのでアプリが入れられないDAPにつなぐのでは、体感できるほど通信品質に差が感じられたので、アプリの効果はかなり大きいと結論づけざるを得ません。
アプリなしでも充分な接続品質を誇るSENNHEISER MOMENTUM True WirelessやJabra Elite Active 65tと異なり、Bang & Olufsen E8 2.0はアプリありきで真の実力を発揮するようです。DAPメインの私としてはちょっとこの結果は悲しいですが。
【2】イコライザーはかなり直感的に使え、かなり多彩な表情変化をもたらす
アプリのイコライザーについて説明します。イコライザーには基本的に4方向の味付けが用意されています。それぞれを簡単に私が聞いた感じで説明すると、
- [EXCITED]:高域を中心にシャープネスが目立つ感じになる。音が細身に感じられるようになり、シンバルなどの粒感が強調されるが、ザラザラ感が増す。
- [BRIGHT]:高域を中心に透明感が目立つ感じになる。音のつややかさが増す。
- [WARM]:音が膨らんで、ブーミーになる。高域の色味も落ち着く。シャープネスが低くなり、音像にぼやけた感じが出る。
- [RELAXED]:音の輪郭感が優しくなり、ギラつきが減る。やや低域が持ち上がる。高域はのびがおとなしくなる。「WARM」よりはクールなので明るく感じる。
というようになります。
イコライザーでだいぶ印象が変わりますが、完璧ではなく、たとえばSENNHEISER MOMENTUM True WIreless(MTW)のような濃厚な空気感を期待して「WARM」方向にイコライジングしても、膨張感は増しますが、元々の輪郭感重視なパリパリしたところは残り、MTWに雰囲気は似てきても、中低域に同じような肉厚さや空気感が出るわけではありません。どちらかというと元の音を潰して平たく伸ばしたような感じです。
同様に「EXCITED」方向に動かすとRHA TrueConnectに近い感じになりますが、こちらもTrueConnectほど低域の黒みが出ないので、やはり元々重みや厚み、黒みに乏しいところのある低域が物足りなく、コントラスト感で差を感じます。イコライザーでは音質が本質的に強化されるわけではありません。
一応私の印象として、それぞれの音質方向に振った場合に似た機種を挙げてみると、
- [EXCITED]:RHA TrueConeect
- [BRIGHT]:Jabra Elite Active 65t
- [WARM]:SENNHEISER MOMENTUM True Wireless
- [RELAXED]:JBL FREE X
という感じのような気がしますけど、どうでしょうね。前述したように細かなニュアンスではかなり印象が違うところもあるので、あくまで全体のイメージって感じですけど。
このイコライザーは直感的に操作でき、自分の思う方向に音をもっていきやすいので、かなり楽しく遊べます。イコライジング後の変化には少し時差があって、ゆるやかに自然な形に変化しますから、音楽再生中にいじっても急に音味が変わって不快に思うことはありません。
逆に今回のように比較して音を確かめたいときには、変化がゆっくりなので、音味の差がわかりやすい特定箇所の音にピンポイントで合わせて、イコライザーを切り替えて音の変化をダイレクトに感じて比較することはやりづらく、ちょっともどかしいところがありますが。
イコライザーを含めアプリでの設定は本体に保存されます。
【3】総評:E8 2.0はandroid OSじゃないDAPでは実力は完全に活かせないかもしれない。スマホ・タブレットでの使用推奨
以上、通信品質やイコライザーの使い勝手などを見てきましたが、E8 2.0は同じように専用アプリがあるBOSE SoundSport FreeやJabra Elite Active 65t、SENNHEISER MOMENTUM True WIreless以上にアプリに依存するところが多そうです。これらE8 2.0のライバルたちはアプリがない状態でも通信品質にほとんど不満がありませんが、E8 2.0はアプリなしだと通信品質は明らかに劣ります。
そのため、androidじゃない独自OSのDAPとつなぐ場合は、アプリが使えないので通信品質が不安定になってしまうようです。例外はあるのかも知れませんが、私が手持ちのDAPで試した範囲ではアプリを入れたスマホ・タブレットより通信品質が良いと思えるDAPはありませんでした。
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