- 【0】この機種のアクティブノイズキャンセリングはほとんど効果がありません。
- 【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感はかなり良好。通信品質もレベルが高い」
- 【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間長め」
- 【3】音質「OneAudioらしい低域ドンドコサウンド」
- 【4】官能性「ドラムやベースの支配力が物を言う」
- 【5】総評「低域好きならどうぞ」
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【0】この機種のアクティブノイズキャンセリングはほとんど効果がありません。
中華製のアクティブノイズキャンセリング(ANC)搭載ヘッドホンをこれまでもいくつかレビューしてきたけど、BOSE QuietComfort 35Ⅱに匹敵するノイズキャンセリングを実現している機種は中華製品にはない。この機種のANCは低域のノイズ音を遮断するように設計されているようで、たしかにPCのノイズなどは低減される印象だが、代わりに音が篭もるようになる。
ちなみに手持ちのノイキャンヘッドホンでは、iDeaUSAのV200という機種の方がANCは優れていると思われる。音質的には音味が微妙に違うので難しいが、低域はOneAudio A3のほうが量感があるが、中高域の解像度はiDeaUSA V200のほうが若干良いように思われる。ちなみにiDeaUSA V200はこの記事を書いている2019年6月現在amazonで超激安で売られている。2999円。おすすめ。ていうかこれはコスパ良すぎ。ただし装着感は少しきつめで、これからの季節は蒸れる。
【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感はかなり良好。通信品質もレベルが高い」
おすすめ度*1 |
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ASIN |
この機種の装着感はかなりよく、イヤーマフがやわらかく、ヘッドバンドの側圧も強くない。だからといって外れやすい感じもなく、汗で滑る感じもない。遮音性はそこそこ。音漏れは少し。
ANC機能付きだが、前述したようにiDeaUSA V200にも劣るくらいの性能。ただしiDeaUSA V200はANCをONにすると少しサーっというホワイトノイズが目立つが、こちらは若干ノイズ感が出るものの、それほどでもない。
aptX対応。通信品質は家の中で使う分には問題ない。距離的にはおそらく15m~20mくらいまで通信の乱れがない。これはかなり優秀。遅延はほとんど無い。
【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間長め」
付属品はAUXケーブル、充電用USBケーブル、キャリイングポーチ、航空機用アダプタ、説明書。
連続再生時間が最大18時間。ANCをONにすると15時間だという。このスペックは優秀。
【3】音質「OneAudioらしい低域ドンドコサウンド」
OneAudio(以前はOneOdioを名乗っていた)のヘッドホンは結構好きでいろいろ持ってるけど、基本的に低域が少し深掘りされた感じでドンドコするのが特徴。まあ低域好きで、低域適当にズンドコ出てれば評価が甘くなる私とは基本的に相性が良い。
高域は暗めで黒みのあるベース・ドラム・ギター中心の組み立てになるので、正統派ロック系の音楽に向く。火力感で駆け抜ける音楽を流すタイプ。
ただ高域が暗い感じのせいでヴァイオリンやピアノ、高域管楽はディテール感に劣る。これはiDeaUSA V200と聞き比べると明らかで、風味が大事なアコースティックなサウンドではV200のほうが見通し感も透明感も優れて感じられる。
[高音]:暗い。高域のディテールは正直価格を考えると甘いと言わざるを得ず、弦楽はやや奥まり、管楽に勢いを感じづらい場面が多い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、菅野よう子「Power Of the Light」でテスト)
[中音]:低域の影響か少しカサカサする印象を受けることもある。音味はそのため少しドライになり、エレキギターの味わいがスパイシー。低域が強い曲では中域に低域が覆い被さりやすい。
[低音]:100hz~40hzまでは厚みのあるはっきりした振動。30hzで沈む。OneAudioらしい、かなり濃い感じで、ドラムのボディに厚みが出て、キックに重量感があり、ベースの重低音も強め。ただし地熱感が強いせいか、ややノイジーな感じはあり、曲によってクリア感は不足していると感じるかも知れない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)
[解像度・立体感]:低域の支配力が強く、中域付近も影響を受けやすいため、やや音像をぼやけさせるところはある。高域も少し発色とディテールに鈍いところがあるので、音のクリア感は決して高い機種ではない。とはいえ価格なりの解像度は確保されているから、さすがに目に見えてボケる印象はない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)
[パーカッション・リズム]:ドラムはかなりボディが重たいバズンバズン、あるいはバツンバツン系。鼓面に革張り感もあり、ほどよく弾けるが、爆発力よりも重量感を強調する。シンバルはややおとなしく、薄めに感じやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)
[ボーカル傾向]:ボーカルは太めで少し暗い印象を受けるかも知れない。女声ボーカルはキラキラではなくほっこり系に聞こえやすい。男声ボーカルのほうに密度感がある。
【4】官能性「ドラムやベースの支配力が物を言う」
鈴木雅之「帰りたくなったよ」
「ラブ・ドラマティック feat. 伊原六花」に収録されている、いきものがかりの同名曲のカヴァー。このヘッドホンだと重厚感のある形でベースとドラムスが前面に出て黒みを出す感じになる。ウォームなムード感が存分に出ているが、音にボケた感じはなく、濃厚だが充分な透明感を維持している。アコースティックギターが濃い音でかなり温もりを強調する。
(K)NoW_NAME「Knew Day」
主役は明らかにドンドコドラム。とにかく重たい火力を出して、巨人が走っているのかと思うくらい、曲の床面を深くから波打たせる。ギターも黒みがあって渋く、ヒステリックに踊り狂う弦楽も色味が濃くて、伸びすぎず中域の厚みを意識した感じになる。全体的に重さとブーム感を強調したシネマティックなサウンドで楽しめる。そういう意味ではこの曲向き。
TVアニメ『灰と幻想のグリムガル』オープニング・テーマ 「Knew day」
Aimer「六等星の夜」
この曲も重くて超かっこいい。ドラムとベースの重量感が素晴らしく、ドンドンズンズンと床面を熱く強調して盛り上げる。ピアノも下に重く、コントラバスの深掘りも重たく地をえぐる。ボーカルだけが少し中空に浮かぶバランス。高域弦楽は目立たず渋く、発色を抑えて濃厚感を大事にしている。非常に劇伴色が感じられ、映画のラストシーンのような迫力が感じられる。
AXiS「COCYTUS」
最近ハマってるこの曲もズンドコ感が出ると全然違う。明るい感じがなく、少し精彩に乏しいボーカルもダークな曲調にぴったりマッチ。低域の重いドンが空間全体を鳴動させる中に、クリアなシンセ音がシックに踊り狂ってとにかくカッコイイ。
【5】総評「低域好きならどうぞ」
このヘッドホンに関しては低域の味わいが最も優れている。逆に低域好きじゃないとどんな曲を聴いても重たいという印象になるはず。ただし、こういう音響はシアターっぽい雰囲気を出すので、映画を見たり、ホラーゲームをするのには最適。コスパがいいかというと、ANCがほとんど効果が無いので難しい印象を受けるが、この低域はちょっとクセになる。
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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。