AIYIMA TUBE-T3 6J2真空管レコードプレーヤー プリアンプ DC12V音声パワープリアンプ
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はAIYIMA TUBE-T3です。
AIYIMAはアンプ製品やスピーカーを中心に製造しているオーディオメーカーです。自社で設計、開発、生産、マーケティング、OEMまで行っており、amazonを含めたECサイトなどで製品を販売しています。廉価な価格でオーディオファンのニーズを満たすパフォーマンスの良い製品作りをしており、一部で人気があります。
TUBE-T3は小型の据え置き型真空管アンプで、AIYIMAの製品の中では人気が高いヒット商品の一つです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
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出力レベル:600mV @ 3mV 1KHz
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信号対雑音比:≥98dB
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動作電圧:DC12V
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ベアメタルサイズ:長さ118.5 *幅98 *高さ33MM(突起ノブおよび端子なし)
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周波数応答:RIAA準拠
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ベアメタル重量:0.3kg
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歪み:0.1%
パッケージ
パッケージは簡素です。日本語の説明書はありません。
インターフェース
基本的にシンプルなので操作に迷うことはないと思います。
出力はRCA、入力は3.5mm AUX INとMM型カートリッジのレコードプレーヤー専用のRCA端子が用意されています。
プリアンプなので、パッシブスピーカーやヘッドホンなどに出力する場合はパワーアンプやヘッドホンアンプを介在させる必要があります。
ウォームアップ
一般に真空管アンプは音色が正しく鳴るまでウォームアップが必要です。必要だと言われているウォームアップ時間は機種によって違うようですが、だいたい10分~3時間くらいまであるようです。
以下はFiiO FH3を直接TUBE-T3に接続し、電源ONの10分後と6時間後に測定したグラフです。ヘッドホンアンプを使ってないので低域がだだ下がりしています。
さて、測定値から考えると実際上、この機種は10分も待てば本来の音色が出ると思われるので、ウォームアップに長い時間は必要ないようです。真空管が充分に暖まってない場合、よく言われるのが低域の量感が足りないといったことですが、この機種は10分暖めれば低域は充分出ているように思われるからです。
録音比較
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(EDM系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
今回の測定には装着感が良好で個体の左右差も少なく、ピークも多くて変化の方向性がわかりやすいFiiO FH3を使い、ヘッドホンアンプとしてxDuoo XD-05 Plusを媒介させました。
上から順に、
- [FiiO FH3]左右別
- [FiiO FH3]左右平均
- [FiiO FH3]左右別(自由音場補正済み)
- [FiiO FH3]左右平均(自由音場補正済み)
- [xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右別
- [xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右平均
- [xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右別(自由音場補正済み)
- [xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右平均(自由音場補正済み)
- [AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右別
- [AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右平均
- [AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右別(自由音場補正済み)
- [AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3]左右平均(自由音場補正済み)
- 比較(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
真空管アンプは重低音が弱いという話はよく聴きますが、実際のところ、そのような傾向が出ています。xDuoo XD-05 Plusはパワフルなアンプで、介在させると低域が少し持ち上がるサウンドになるようですが、TUBE-T3を介在させると、その低域の重低域のロールオフが早くなり、床鳴り感、地熱の感覚が減るだろうということは言えます。
音質解説
真空管アンプを噛ませると音に燻るような色気が出るんだろうなぁというような想像をしていましたが、XD-05 Plusの個性が強いのか、最終的な音質にはそれほど変化を感じません。低域が少し優しくなったように感じられ、全体的に少しマイルドなサウンドになった気がしますが、どちらかというとやはりXD-05 Plusの個性の影響の方が大きいと思われますから、人によっては構成次第で思ったより真空管らしさを感じないということもあるかも知れません。
少し中域方向にフォーカスされ、厚みが増す温かな雰囲気で聞こえるようになるのは事実です。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- 原曲
- xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3
- AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- 原曲
- xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3
- AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- 原曲
- xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3
- AIYIMA TUBE-T3 + xDuoo XD-05 Plus + FiiO FH3
総評
AIYIMA TUBE-T3は手頃な値段で手に入る、かわいいデスクトップタイプの真空管プリアンプです。チューブサウンドに興味を持った人が、卓上で邪魔にならないサイズで楽しめ、作りはしっかりしており、コストパフォーマンスが感じられます。レコード再生用のフォノイコライザーも内蔵されており、MMタイプのカートリッジに対応しています。コンパクトで使いやすい入門機です。
AIYIMA TUBE-T3 6J2真空管レコードプレーヤー プリアンプ DC12V音声パワープリアンプ
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