- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる中華イヤホンの機種はMangird Teaです。
Mangirdは、知る人ぞ知る中国のIEMメーカーです。決してメジャーなブランドではありませんが、完璧主義的な製品を作っており、批評的なオーディオレビュアーに高く評価されています。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- ドライバー構成:1DD+6BA
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:18Ω
- 感度:112dB
- ケーブルコネクタ:mmcx/0.78mm 2pin*1
パッケージ
パッケージは価格帯では標準か少し豪華です。キャリイングケースを含めてわりとしっかりと付属品は揃っています。ただパッケージが開梱体験で特別優れているということはありません。
本体のビルドクオリティは価格帯では標準以上で、金箔で飾られたフェイスプレートもおしゃれです。
装着サンプル
ユニバーサルIEMタイプで耳への収まりは良好で、遮音性も良好に思えます。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [標準イヤーピース S装着時]左右別
- [標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
拡散音場フラットのピークを低くしたような形をしています。全体はほとんどフラットというべきで、かなりゆるやかでウォームなU字型とも言えるかも知れません。
THD+N特性
上は周波数帯域ベースのTHD+N特性、下は1khzでの音量レベルTHD+N特性です。THD+N特性はおおむね1%以下で、満足できる品質です。ただし価格帯で優れている性能ではありません。
音質解説
低域は底で熱気が感じられ、ベース音などはわりと存在感がある形で聞こえますが、基本的には階層的で素直に深さが感じられる、見通しの良いサウンドになっています。中域からは少し分離的になっているので、開放型ヘッドホンのようにレンジが良い印象を受けます。またこうした深い形の低域構造は中域を濁らせることが少なく、音場も広く聞こえるので、批評的なオーディオファンは高く評価する傾向にあります。
中域は静寂感と空間の清潔感は充分で、ボーカルの周辺には少し広いマージンを感じます。ボーカルは自然なボディを持っており、安定的かつ理性的にナチュラルに聞こえますが、わずかに上向きに聞こえます。中域へのフォーカスは良好で、エレキギターやボーカルは印象的によく響きます。ピアノの質感も落ち着いていて、どちらかというと静かな雰囲気で聞こえます。ボーカルや楽器音は音量を上げてもシャウティになりにくく、静寂感と落ち着きを重視するリスナーには好まれるでしょう。明るさや色づき、音のハリは少し足りない感じがあるので、EDMや電子音を好むような人にはくっきり感が足りないと思われる可能性はあります。
高域は中域から離れているので、音場が狭くはありませんが、天井はそれほど開放的ではありません。高域の余韻が少なく、響きの点では中域のほうが印象的で甘味が強く聞こえます。天井の高さを重視するリスナーにはボーカル基準で音場を聴くと、少し天井が近いのが気になるかも知れませんが、逆に中域を重視するリスナーには音場に奥行きがあって中域の響きがより印象的に耳に残るので、好ましい調整に思えるでしょう。私の好みではもう少し余韻が多い方がボーカルがもっと印象的に聞こえるので好ましい気がします。
総合的にはかなり気に入ったイヤホンで、この価格帯ではかなりおすすめの逸品です。
FiiO FH3との比較
さて、Mangird Teaの最大のライバルがFiiO FH3であることは間違いありません。FiiO FH3はMangird Teaと同じような音域バランス設計がされており、より歪みが少なく、超高域の伸びも良好です。
残念ながら、FiiO FH3に対して、Mangird Teaが勝っている要素はほとんどありません。パッケージクオリティやビルドクオリティなどの物質的な側面では、総合的に評価すると完全にFiiO FH3が圧倒しています。付属品の量・質ともにFH3は価格に対して破格で、それに比べるとMangird Teaは貧相ではありませんが、とくに豪華ではありません。
音質面では中域がより広く感じられるのはMangird Teaですが、より音が鮮やかにくっきり聞こえ、高域の抜けが良くて余韻の広がりが感じられ、クラシックを聴いたときなどに壮大なサウンドに聞こえるのはFiiO FH3でしょう。ただし音のまとまりがよいのはMangird Teaのほうなので、音がソリッドで引き締まって説得力があるように感じる可能性があります。
公平に判断する場合、多くの人にとっておそらくFiiO FH3のほうがより少ない出費でより満足できる可能性が高いです。しかし、FiiO FH3の高域がシャカシャカして少しうるさいように感じる人、デザイン的にFH3が気に入らない、耳に合わない人にとってはMangird Teaのほうが好ましく思えるでしょう。
録音比較
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使い、ゲインは低設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Mangird Teaは批評的なオーディオマニアも納得の優れたレンジ感とバランス感覚のあるサウンドを持っています。パッケージやビルドのクオリティにも不足がありません。しかし、最大の難点はFiiO FH3という存在です。Teaとよく似たチューニングスタイルを持っていながら、より開放的で爽快なサウンドのFiiO FH3はパッケージ内容もTeaより豪華で、しかも安いという恐るべき競合相手です。Teaと比べると、高域が人によっては少しうるさいかもしれないという欠点はありますが、ほとんどの点においてTeaを凌駕し、圧倒しています。それでも中域の魅力はTeaのほうが勝っており、より静寂感と透明感を重視するリスナーはTeaを選ぶことでしょう。
【関連記事】
*1:現在のバージョンはmmcxが基本になっていますが、古いバージョンでは2pinになっていることがあります。amazonも2pinかもしれません。