- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はアシダ音響 ASHIDAVOX ST-90-05です。
アシダ音響は1942年設立のプロ用のスピーカーやヘッドホンを製造する老舗メーカーです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:5Hz~40kHz
- インピーダンス:40Ω
- 感度:104dB
パッケージ
非常に簡素です。パッケージはプロメーカーっぽい素っ気なさですが、本体のビルドクオリティはしっかりしており、ケーブルの耐久性もよさそうです。
装着サンプル
装着感は少し窮屈ですが、耳に痛いほど側圧が強いなどといったことはなく、まあ及第点だと思います。イヤーカップ内に熱が篭もりやすく、イヤーパッドが少し蒸れます。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [1回目測定]左右別
- [1回目測定]左右平均
- [1回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [1回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- [2回目測定]左右別
- [2回目測定]左右平均
- [2回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [2回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- [3回目測定]左右別
- [3回目測定]左右平均
- [3回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [3回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- 1~3回目測定比較(自由音場補正済み)
- 1~3回目測定平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
ヘッドホンは装着感によって音が変わりやすいのですが、とくにこの機種の場合イヤーカップが小さいのが難しいところです。HATSのイヤーモデルは材質的に耳より硬いので、こういう小さめのヘッドホンの場合、本来の側圧がうまく再現できません。今回は1,2回目で比較的普通の装着で、3回目で角度を付けてだいぶきつめに装着させて測定しましたが、おそらく3回目の測定値が実際に近いです。レコーディングシグネチャーも3回目の装着方法で録音しています。
さて、そういうわけで3回目の測定値に基づいてサウンドシグネチャーを解説すると、このヘッドホンは低域と中域、とくに中域が強調される中域充実系のサウンドで、ボリューム感のあるフラットに近いウォームサウンドと言えます。一般的には少しかまぼこに聞こえやすいですが、高域はわりと分離しているので中域に音が集まりすぎる感じでもありません。
音質解説
ボーカルフォーカスがあり、暖かみと濃厚感、抱擁感があるリスニングライクなリッチサウンドです。SENNHEISERとかハイブランドメーカーの民生品の高級モデルにありそうな静寂感と豊かな広がりのあるサウンドで、ゆったりと音楽を楽しめます。
低域は重みが強く、ドシッとしたサウンドですが、隆起は強くないのでわりと自然にリラックスしています。いわゆる鳴動(ランブル)がしっかり出るので、ウーファーが利いている高級スピーカーのようなパワフルさを感じることが出来ます。パンチも比較的強く、力感が豊かです。低域弦楽は重厚に聞こえますが、厚みもあるのでとても濃く聞こえます。JAZZやクラシックの床面に豊かな響きがあり、広がりの良いサウンドを作り出します。
中域はかなり前進しており、ボーカルフォーカスは良好です。媚びた感じはなく、ナチュラルな声質で聞こえ、ボディが豊かで安定感と充実感があります。ボーカルの周囲は少し太めの楽器が取り囲むので、ボーカルは孤立していませんが、中域上部はかなり静寂なのでフォーカス感と響きの広がりがあります。
高域は少し高く離れていますが、後退的で静かです。意外と派手めにギラついていますが、輝度は抑えられているので、目立つ感じがなく、中域を引き立てます。中域の風通しはかなり良好ですが、高域から超高域はロールオフしているので、音場の天井は少し近い印象を受けるでしょう。
個人的にはJAZZやクラシックを濃厚で静かに聴くのに向く感じで、ウイスキーなんかを片手にバスローブ姿でソファーでゆっくり音楽に浸るのに良さそうなリッチサウンドです。いや、ヘッドホンの見た目が全然そんな雰囲気じゃないんですがw
EQで音質を調整
もしかするとこのヘッドホンの音場の狭さが気になるかもしれません。高域に不足を感じるので、イコライザーで軽く調整してみます。今回はFiiO Musicのイコライザーで高域を以下のように調整しました。濃厚感は少し減りますが、音場は広く感じられるようになるはずです。このヘッドホンの音、ちょっとダイナミズムに欠けるなぁと思う人は、好みに合わせてこのあたりをいじるといいかもしれません。
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
EQで音質を調整(開放型ヘッドホンっぽく)
iBasso DX220MAXを使って、開放型ヘッドホンっぽいイコライジングをしてみました。
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
ASHIDAVOX ST-90-05は中域の充実感を重視した高級感のあるリッチサウンドを持つヘッドホンです。業務用っぽいその外観からドモニターサウンドで作り込んできたのかと思いきや、装着した途端、豊かで音楽的なハイブランドっぽいサウンドが流れてきて、そのギャップに思わず笑ってしまいました。静かな空間に豊かな音をゆったりと響かせるそのサウンドは、秋の夜長に音楽を楽しむ相棒としてはとても魅力的に思えます。
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