RHA初のANC搭載完全ワイヤレスイヤホン
RHAからブランド初のANC搭載完全ワイヤレスイヤホンがリリースされ、日本でも2020/12/25に発売されたことはすでにお伝えしました。
すでに発売日が過ぎたので、レビュー記事もちらほらと確認できるようになってきています。そこでこの記事ではRHA初の完全ワイヤレスイヤホン「RHA TrueControl ANC」について、いち早く掲載されたdigitaltrendsによる海外のレビュー記事を紹介します。
RHAについて
英国(スコットランド)のグラスゴーに拠点を構えるRHAはオーディオブランドとしての歴史は長くありませんが、世界的な人気を誇っています。この会社は2011年にThomas HeathとAndrew Reidによって設立されました。ほどなくしてRHAは比較的入手しやすい価格でありながら、高品質なオーディオ製品を作ることで有名になり、その存在感はSONYやSENNHEISER、BOSEなどのオーディオ界のビッグネームほどではないものの、オーディオファンの間では確実な認知を受けています。
RHAは世界初の平面駆動型インイヤーイヤホンである「RHA CL2 Planar」によっても知られており、業界でも高いレベルの開発力を持っているメーカーとしても認知されています。
RHA TrueControl ANCの技術仕様
- 周波数特性:10Hz-20kHz
- 感度:100dB (±3dB)
- ドライバーモデル:6mm径ダイナミックドライバー
- 通話マイク:2マイク 「Qualcomm cVc 」搭載
- 本体重量:8.3g(片側のみ)、94g(ケース含む)
- 動作時間:5時間(イヤホン本体)+15時間(充電ケース) ※ANC ON時
- 充電時間:ケースフル充電170分、イヤホン充電時間フル充電110分
- 充電ポートUSB Type-C ( QI規格ワイヤレス充電対応)
- 防水規格:IPX4
- Bluetooth ver.5.0対応
- コーデック:aptX、SBC、AAC対応プロファイルA2DP, AVRCP , HFP
- 対応ボイスアシスタント:Google Assistant, Siri, Bixby
- 付属品:充電ケース、シリコンイヤーチップ(S/L 各2ペア、M3ペア),Complyイヤーチップ(S/M/L 各1ペア), 充電用USB-Cケーブル、クイックスタートマニュアル
- 保証期間:3年間
- EAN:5060212272089
日本公式サイト:https://knicom.co.jp/product/truecontrol-anc/
海外レビュー紹介
引用部分は例のごとく適度に超訳です。
digitaltrends
「音はすごく素晴らしく、ユニークデザインで快適。だけど割高な価格とバッテリーの弱さは何とかならなかったの?」
長所
- 豊かでリッチなサウンド
- レスポンシブでカスタマイズ可能なコントロール
- 人間工学に基づいたデザイン
- 付属イヤーピースが豊富
短所
- とにかく値段が高い
- 平凡な通話品質
- バッテリーが貧弱
快適な操作性、装着感
digitaltrendsによれば、RHA TrueControl ANCはとくに操作性が非常に優れているようです。その名の通り、コントロール性能は抜群に近いらしく、タッチコントロールの反応がよく、スワイプの検出も可能でジェスチャーコントロールへの追随性の良さをほめています。
RHA TrueControl ANCのタッチコントロールはモーションセンサー方式ではなく、静電容量式を採用しているため、強くタップしなくても機敏に反応し、スワイプのようなより複雑なモーションも検知します。
独特の人間工学的デザインは耳に対して密着度が高いので、最初は装着感に違和感を感じる可能性を示唆していますが、慣れればかなり快適で、BOSE QuietComfort Budsのようにオプションパーツで装着感を調整するまでもなく、ぴったり装着されて脱落しないようです。さらにその高い装着性から得られる遮音性によって、実際上ANCを必要としないほどだとdigitaltrendsは述べています。
こうしたデザイン面での優秀さはRHAの面目躍如といったところでしょう。ただ、アルミケースは少し重いので持ち運びづらいとは言っています。digitaltrendsは当たり前といった感じであまり指摘していませんが、個人的にはワイヤレス充電に対応していることは利便性の面でやはり評価したいポイントです。
RHAサウンドの完成度は高いが、EQの自由度は低い
digitaltrendsによれば、RHA TrueControl ANCの音質は非常に満足のいくものだったようです。標準EQではウォームな低域とディテール感のある中域、クリアな高域を得られ、それだけでバランスの良い上質な音質のようですが、さらに4つのイコライザープリセットをアプリを使用して切り替えることにより、音の幅は広がります。ただし、アプリのイコライザーにはユーザーが独自プリセットをエディットする機能はないようです。
競合との比較では、Jabra Elite 85tやSONY WF-1000XM3のほうが中域が広く聞こえるようです。ただし、これらの機種とRHA TrueControl ANCのサウンドクオリティ面での差はほとんど感じないので、実際の違いは感じづらいだろうと述べています。これらの機種がユーザープリセット可能なEQ機能を備えていることを考えると、なおさら機能面で不足しているような印象を抱いてしまいます。
ANC性能、バッテリー性能、通話品質、ここらへんが物足りない
digitaltrendsの評価では、そのANC性能は驚くほどではなかったようです。低周波は非常に効果的にカットされているようですが、高周波に対するノイズカットは甘いと指摘しています。AirPods Pro並みの水準には到達していないとも述べています。同じ記者がJabra Elite 85tに対しては完全にAirPodsの代替になり、SONY WF-1000XM3を打ち負かしていると述べているのを思い出す必要もあるかもしれません。
そして、TrueConnect 2で解消されたはずのバッテリー持続時間の短さの問題が、TrueControl ANCで再び課題になっていることを指摘します。
公称値で連続再生5時間、充電ケース込みで20時間とされているので、私の感覚では、通勤通学に使用するなら問題なさそうな気がしますが、おそらくかなりヘヴィなイヤホンユーザーであるdigitaltrendsの記者にとっては、そのスペックは我慢がならないレベルだったようです。
そして通話品質は残念ながらあまりよくなかったようです。通話のマイク品質を求める場合、Jabra Elite 85tやBOSE QuietComfort Earbudsのような通話品質に定評のあるモデルを選ぶべきでしょう。個人的にはこの両者であればJabra Elite 85t推しです。
まとめ
digitaltredsの記事を読む限り、RHA TrueControl ANCはとくに操作性の点で使い勝手を重視するユーザーに好まれそうです。音質については実際に聴いてみないと何とも言えませんが、少なくとも競合に対して劇的にサウンドクオリティが良いというレベルではなさそうです。その高い装着性によってパッシブノイズキャンセリング性能は優秀そうですが、ANC性能はおそらくそれほど高くないような気がします。
一番の難点はその少し高い価格設定でしょう。少なくともコスパが良い機種ではありません。ライバルはJabra Elite 85tとSONY WF-1000XM3になりそうですが、とくに機能面と音質面でかなり高い完成度を誇るJabra Elite 85tと勝負するにはなかなか厳しい印象を受けます。