- Padmate PaMu Quietの概要
- Padmateについて
- 競合機種との比較表
- Padmate PaMu Quietの特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音漏れ
- 接続品質
- 付属アプリ
- インターフェース/操作方法
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 総評
- Padmate PaMu Quiet
- 【関連記事】
今回取り上げる機種はアクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホン、Padmate PaMu Quietです。
Padmate PaMu Quietの概要
こんな人におすすめ
- 人とは違ったおしゃれなイヤホンで所有欲を満たしたい
- 音楽を聴くのは通勤通学などの移動中がメイン
- ポップス中心のカジュアルなリスニングがメイン
- ANCやヒアスルーなど機能が多く、操作もカスタマイズできるイヤホンが好き
基本スペック
- 連続/最大再生時間:4h/12h
- 防水性能:IPX4
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 技適番号:211-200740
説明書のダウンロード
長所 |
短所 |
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audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
Padmateについて
Padmateは2010年に設立された中国のオーディオブランドです。歴史はまだ浅いですが、1994年に設立された厦門に本拠を持つ先進企業集団HARDA Groupのオーディオ部門であり、最先端の技術開発を行っています。Padmateは技術、人間、社会の友人(mate)を意味し、科学技術によって人類規模の課題を解決する一流企業になるべく、高品質な製品づくりのための先進的な開発部門と大規模な生産設備を持ち、パートナー企業へのOEMやODMにも貢献しながら、自社製品では構想段階から練り上げられた、ほかと一線を画す設計でユーザーの支持を集めてきたブランドです。
その完全ワイヤレスイヤホンであるPaMuシリーズはクラウドファンディングで一貫して成功し続けており、世界のユーザーに知られる存在となっています。
競合機種との比較表
Padmate PaMu Quiet | Earfun Air Pro | Tronsmart Apollo Bold | AVIOT TE-D01m | Buttons Air X | |
タイプ | カナル型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 |
連続再生時間 | 4h | 7-9h | 4-10h | 7-10h | 8h |
最大再生時間 | 12h | 32h | 30h | 50h | 40h |
対応コーデック | aptX/AAC/SBC | AAC/SBC | aptX/AAC/SBC | aptX adaptive/aptX/AAC/SBC | aptX/AAC/SBC |
防水性能 | IPX4 | IPX5 | IP45 | IPX4 | IPX4 |
ANC性能(10) | 8 | 9 | 8.5 | 5 | 6.5 |
ヒアスルー(10) | 8(やや集音的) | 8(自然) | 8(自然) | 7(自然) | 7(自然) |
音質傾向 | U字型 | 弱U字型 | V字型 | U字型 | 強U字型 |
Padmate PaMu Quietの特徴
- 一流メーカーとのチームワークで開発
- 究極のアクティブノイズキャンセリングを実現
世界初、Qualcommのフラッグシップ「QCC5124」とAMS「AS3460」のデュアルチップ採用
ハイブリッド方式のアクティブノイズキャンセリング - 外音取り込みモード
- 高音質を実現したこだわり
- cVc8.0機能でクリアな通話品質
- 懐中時計を思わせるユニークなデザイン
- 超軽量5g。人間工学を基にした精密設計
業界最強クラス-40dBのアクティブノイズキャンセリング性能
PaMu Quietには世界初となる、QualcommのQCC5124とamsのデュアルチップ構成が採用されています。フィードバック/フィードフォワード方式を組み合わせたハイブリッド方式のノイズキャンセリング機能を搭載したことで、業界最高レベルの-40dBのノイズカットが実現されているそうです。
外音取り込みモード
PaMu Quietには、イヤホンをつけたままでも周囲の音を鮮明に聴くことが可能な外音取り込み(ヒアスルー)モードを搭載しています。ジョギング・ランニングの際など、周囲の車や人に気をつけたいときに最適なモードです。タッチ操作でANCモードから外音取り込みモードにいつでも簡単に切り替えられます。
洗練とレトロが融合したデザイン
PaMu Quietの全体のデザインは懐中時計を思わせるヴィンテージアイテムを意識しつつ、細かなポイントではしっかりと現代的なアクセントパーツがあしらわれており、先進性と伝統が交錯するスタイリッシュなフォルムを持っています。
専用アプリでタッチコントロールをカスタマイズ
PaMu Quietにはユーザーがより快適に使用できるよう、専用アプリ「PaMu Quiet」が用意されています。これにより、イヤホンの設定やタッチ操作機能のカスタマイズ、ファームウェアのアップデートをサポートしています。音声コントロールなど自分好みに設定することで、より便利にカスタマイズすることができます。
ワイヤレス充電に対応
PaMu Quietの専用充電ケースはUSB Type-Cによる高速充電に対応しているだけでなく、ワイヤレス充電に対応しており、Qi対応ワイヤレス充電器(別途必要)を使った充電も可能です。専用充電ケースには30個のLEDランプが半円状に配置されており、充電時にはバッテリー残量に応じてLEDが点灯、満充電になると半円すべてが点灯するギミックにより、ユーザーにわかりやすく充電状況を伝えます。
パッケージ
パッケージは価格帯ではわりと豪華なほうです。パッケージ自体に高級感があるというほどではありませんが、付属品は箱分けされて収納されています。
ビルドクオリティは価格を考えるとかなり上質です。懐中時計のようなケースはプラスチック製なので、本当の意味でプレミアムとはいいがたいかもしれませんが、レザー調に整えられた外観に、ブルーLEDのサークルラインがあしらわれており、趣きがあります。
懐中時計のようにストラップを通すこともでき、ケースの開閉もスムーズで、私の見たところ、外観や使い勝手の点でよくできている印象を受けます。
ケースの外観に比べると、イヤホンの外観は地味で特徴がなく、この点は少し残念です。操作を行うときなどにLEDライトが点滅しますが、自分で確認できないのであまり意味がありません。このLEDは音楽再生中に交互に点滅します。点滅はほとんど一瞬で、間隔もかなり幅があるので、目立つというところはありませんが、人によっては嫌がるかもしれません。専用アプリでLEDの動作は制御できません。
このLEDを除けば、イヤホンの外観は3000円くらいの低価格イヤホンと変わるところがありません。イヤホン本体のデザインをもう少しおしゃれにしていれば、この機種はもっと注目されたかもしれません。
装着サンプル
装着感は良好です。耳当たりも滑らかで不快感はありません。
音漏れ
Padmate PaMu Quietの遮音性はなかなか優秀です。Padmate PaMu QuietをHATS(ダミーヘッド)に装着し、FiiO M15に接続して、図書館レベルの静かな環境で30cm程度離れて正面に座ってサウンドリークを聞き取ってみました。サウンドリークのテストではイヤホン側に独立した音量調節がある場合は音量を最大にした状態で、M15の音量調整だけで判断できるようにしています。
ボリューム半分では少し音漏れが目立ち、気にならないレベルですと1/3~1/4程度までボリュームを下げる必要がありました。図書館など静かな環境では1/4、公共の場ではボリューム半分くらいまでを目安に音量を調整すればよいと思われます。
さて、1/4程度の時のPadmate PaMu Quietの音圧を1khzテストトーン測定で確認したところ、私の測定系で-40dB以上(だいたい-38dBくらい)であることが確認されました。これは私の普段聞く音楽の音量よりも少し大きいくらいです。
私は普段小さめの音量で音楽を聴く傾向があるので、人によって変わるとは思いますが、Padmate PaMu Quietは多くの人にとって、音漏れを気にせず、公共の場で十分な音量で音楽を楽しめる環境を提供してくれると思われます。図書館のような静かな環境では、いつもより音量を下げる必要があるかもしれませんが、同時に周囲の環境音もより静かになると予想されるので、やはり問題なく使用できるでしょう。
接続品質
接続品質について、いくつかレビューを確認しましたが、否定的な意見はほとんどないようです。
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。ただし、遮蔽物を挟むと少しの間通信が途切れがちになります。それでも接続は維持され、しばらく経つと通信は安定し、音楽を問題なく聴くことができました。
ANC OFF時でもホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。ただし敏感な人は少し気になるかもしれません。
付属アプリ
Padmate PaMu Quietには「PaMu Quiet」という専用アプリがあります。これにより、ファームウェアのアップデートやANC/ヒアスルーの切り替え、コントロールの一部をカスタマイズすることができます。このアプリのユーザーインターフェース(UI)はわかりやすく、かなり直感的に使えるので、迷うことはありません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはタッチコントロール式です。一部のコントロールはアプリによりカスタマイズすることが可能です。
電源ON
充電ケースからイヤホンを取りだすと、自動で電源ONになります。
また多機能ボタンを長押しすることで手動で電源ONにすることもできます。
電源OFF
充電ケースにイヤホンを収納すると、自動で電源OFFになります。
ペアリング
充電ケースからイヤホンを取りだした際に接続先がない場合、自動でペアリングモードに移行します。
曲再生/停止
多機能ボタンを1回タップします。
曲送り
右耳側の多機能ボタンを2回タップします。
曲戻し
左耳側の多機能ボタンを2回タップします。
音量を上げる
アプリで割り当て可能。
音量を下げる
アプリで割り当て可能。
通話応答
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップします。
通話終了
通話中に左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップします。
着信拒否
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを2回タップします。
音声アシスタントの起動
左耳側の多機能ボタンを長押しします。
ANC ON/OFF
右耳側の多機能ボタンを長押しします。
ヒアスルー ON/OFF
右耳側の多機能ボタンを長押しします。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルー性能
ヒアスルーは少しサーッというホワイトノイズが大きくなりますが、概ね自然な雰囲気で、自分の声は少し太く聞こえる傾向はあります。位置はわずかに近く聞こえる感じがあります。風切り音は少し強調されるようです。
ANC性能
Padmate PaMu QuietにはBang & Olufsenも使用しているamsのANCチップ「AS3460」が搭載されています。ANC切り替え時にガイドアナウンスがないので、ANCモードなのかヒアスルーモードなのかわかりづらいのは欠点かもしれません。ANC性能は価格を考えると十分ですが、人によって公称スペックほどの効果は感じづらいかもしれません。詳細は有料記事でレビューしています。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
有料コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
有料コンテンツになります。
THD+N特性
有料コンテンツになります。
音質解説
基本的にはフラットを意識してチューニングされていますが、やや低域側に重心があるU字型のサウンドシグネチャーになります。高域は少しおとなしく聞こえる傾向があります。低域レスポンスを重視するユーザーに好まれそうですが、実際にその低域は支配的というほど強調されてはいません。
なお以下の解説は一般的な使用状況にかんがみて、ANC ON時を基準に行っています。
※各評価項目はあくまでリファレンスサウンド(当サイトの機器測定における自由音場フラット)から見ての周波数特性データと私の聴感に基づく評価です。たとえば迫力のある低域を重視する人は「存在感」「太さ」「重み」「臨場感」が高い低域を好むと思いますが、このような音は本来最も重視されるべき「原音忠実度」はおそらくあまり高くありません。
再生機器にとって「原音忠実性」こそが最も重視されるべきというのはオーディオ界隈の共通認識であると思われますので、本ブログの音響機器の評価も「原音忠実性」を最も重視しています。
「原音忠実度」は基本的に高ければ高い方が多くの人にとって良いと思われますが、ほかの評価値は中間値である「B」を離れるほど原音忠実性が薄れます。そのため「S」や「A」はその音要素を好む人には最も心地よい音かも知れませんが、他の人には不快かも知れません。そして不快な音要素が決まっている人は、むしろその音要素が低い評価のものを選ぶとより心地よく音楽を楽しめると思います。
このように、当ブログでは原音忠実(リファレンスサウンド)からの距離を提示することで効率的にあなたの好みに合ったオーディオ機器を発見できるように工夫しています。
評価が高ければ高いだけ良い評価値というのは「原音忠実度」「クリア感」「おすすめ度」で、とくに「原音忠実度」+「クリア感」がオーディオ製品としての単純な優秀性を表します。
「原音忠実再生」についての参考動画:創造の館「いい音とは何か」
※以下のリンク先はpdfです。
低域(原音忠実度:B/臨場感:B/深さ:B+/重み:B+/太さ:B+/存在感:B+)
低域は重さや太さに比重が置かれており、中域から音を辿っていくと、深いところまで階層的に音が聞こえるのがわかるでしょう。
PaMu Quietの低域は多くのレビュアーが比較的高く評価していますが、実際にその音は階層的で深いところまでよくレイヤリングされて聞こえます。全体の中での存在感は強く、高域はおとなしいので輪郭がタイトな感じはありませんが、厚みは抑制的なので、引き締まっています。深いところで少しブーミーなのでノイズ感は多少ありますが、それが生き生きとしたライブサウンド感、臨場感を感じさせます。ドラムキックとエレキベースはほぼ50:50の力関係だと思われます。描き分けはそれほど明瞭ではありません。
さて、低域はあくまで低域ジャンキーの私の好みからすると、重厚感が今一つ足りない印象を受け、キックの重みに対して十分な鳴動が伴っていない印象を受けますが、普通の人はむしろうるさくないので好印象に思う可能性があります。実際、いくつかのレビューを読むと、中にはほかのすべてを犠牲にして素晴らしいレベルの低域を実現しているという評価をしているレビューもあります。その意味で低域がPaMu Quietのチャームポイントであることはおそらく事実ですが、私にとってはEarFun Air Proの低域の方がより階層性に優れて聞こえ、ライブ感の点でも優っているように思えます。そして、EarFun Air Proも低域ジャンキーの私からすると、低域量で物足りないくらいなので、少なくとも熱狂的な低域好きを満足させるレベルのイヤホンではないでしょう。
ただし、低域へのフォーカス感という点ではPaMu QuietのほうがEarFun Air Proに比べて高域がおとなしく、音楽全体の重心が低いということもあり、より優れていると言えます。ただそのフォーカスされる低域が私の好みからすると案外軽っぽい音だという話ですね。
中域(原音忠実度:B+/厚み:B/明るさ:B/硬さ:B-/存在感:B+)
Padmate PaMu Quietの中域は比較的前面に出てくる位置にいて、フォーカス感があります。
中域は低域とのつながりが良く、高域に対しては少し分離的です。中域の全体構造は少し奥行きを意識して後傾的になっています。そのため、ボーカル表現はボディがしっかりしていますが、息の伸びは強くなく、ハキハキ快活というよりは嫋やかなボイシングになります。楽器音も光沢や輪郭が少し柔らかい印象があり、中域はわずかに柔らかく聞こえます。中域は明るく透明感がありますが、滑らかな質感で楽器音が聞こえます。ボーカルの上くらいで少し音が響く空間がある、リスニングライクな空間性を持っています。
高域(原音忠実度:C+/艶やかさ:C+/鋭さ:C+/脆さ:B+/荒さ:C/繊細さ:C+/存在感:C+)
高域はマイクロディテールの強調はありますが、大部分で中域より後退的であり、曲によってはボーカルから高さを測ると、天井が近い印象を受けるでしょう。
多くのレビュアーはPadmate PaMu Quietを低域重視と考えていますが、実際にはPadmate PaMu Quietは低域重視なのではなく、高域が主張しないイヤホンだとみるべきです。Padmate PaMu Quietの好みを分けるのは高域の不足感をどう思うかでしょう。高域は非常におとなしいので、音量を上げてもPadmate PaMu Quietのボーカルや楽器音には歯擦音や刺さりの兆候は見られません。しかし、同時に音量を上げても華やかさが出づらく、ディテール感や色気は人によって物足りないでしょう。
私の好みからすると、中高域の落ち着いた感じは自然とボーカルフォーカスを高め、聞き心地の点でも音量を上げてもギスギスしないので、甘みとハリを存分に感じることができ、かなり好きです。とはいえ、ボーカルののびやかさに欠けるので、アニソンやアイドルソングでサビで高く抜ける爽快感のようなものを求める人には、かなり不足感があるかもしれません。
グルーヴ/音場/クリア感(グルーヴの中心:中域/音場:B/クリア感:A-)
※一般にグルーヴの最も大きいところが最も活き活きと聞こえるので、音楽の中心になります。グルーヴの中心範囲の大きさは変動的です。グルーヴの中心は個人の音楽の好みを決定し、音響機器選択のヒントになります。音響機器のグルーヴの中心が個人の好みと離れている場合、むしろその不自然さが強調され、その音響機器を楽しくないと感じる可能性が高いです。音場の評価はBが自然な広さです。クリア感の評価は全高調波歪の測定値を参照して決めています。
このイヤホンのグルーヴの中心は一般に中域に存在すると思われます。
音場は深さと奥行きに優れ、幅も少し広いように思われますが、高さは平凡か場合によって低く思えるかもしれません。やや横長のパノラマサウンドに聞こえます。
音質総評(原音忠実度:B/おすすめ度:B/個人的な好み:A-)
このイヤホンは低域から中域へのフォーカス感が良く安定感がある音楽を奏でるのが魅力です。多くのレビュアーは低域をほめていますが、それは正しくないわけではないものの、私の印象では低域好き向けのイヤホンというわけではありません。ボーカルフォーカス感が良く、低域と中域のつながりもよく厚みのあるサウンドを奏でるため、ポップスや伝統的な歌謡曲との相性がよさそうです。R&Bなんか魅力的に聞こえるでしょう。
率直に言って好みの音質に近いですが、このバランスだともう少し低域の重厚感が強い方が好きです。実際のところ私の感覚では低域寄りというよりは中域重視のサウンドで、たしかに低域の存在感は強めですが、低域の主張が強いわけではなく、頭を震わせる鳴動感のような迫力には欠けますから、EDMでブームで体が震えるというほど低域に夢中になれる音ではありませんね。むしろボーカルホンとして使用しています。
音質的な特徴
美点
- 中域への適切なフォーカス
- 安定感のあるサウンド
- ボーカルフォーカスが良い
- ニュアンスの不自然な強調がなく、ナチュラルに聞こえるボーカル
- 比較的自然でつながりのよい低域~中域
- 階層的でレイヤリングの良い低域
- 自然な太さや厚みのあるサウンド
- 音量を上げても荒れることのない高域
- 奥行き感があるサウンド
欠点
- 高さに欠ける
- 地味に聞こえやすいボーカル
- おとなしすぎる高域
- 存在感のわりに重厚感の強くない低域
音楽鑑賞
楠木ともり「アカトキ」
この曲の楠木ともりさんの大人の女性を意識したパワフルなボーカル表現にはPaMu Quietのボディの豊かなサウンドがとてもよく合うように思います。ボーカルは細くなることがなく、フルボディで濃厚な味わいを出してくれます。金管も艶やかさを派手に出しすぎず、渋みのあるような音になっており、大人びた充実感を感じさせてくれます。ピアノも光沢感が強くなく、キンキンしたところがなく、どこかマイルドで深みを重視した聴かせ方で、ボリューム感のあるリッチさを意識した豪華さのあるサウンドになっています。
なんていうか、楠木ともりさんの声にJess Glynneのパワフルさが少し乗り移ってるような力強さが感じられ、やや男性的に思うかもしれませんが、かっこよく聴けます。
伊藤美来「Good Song」
中域が非常に充実しています。楽器音とボーカルがやや近い感じもあり、人によっては中域から低域にかけての情報量が多い印象を受けるでしょうが、安定感があり、とてもみずみずしい音で聞こえます。伊藤未来さんのコケティッシュな独特の甘みのあるサウンドがたっぷりとした膨らみを持って、深みのある濃厚な楽器音とともに聞こえるので、とても充実した豪華なJAZZサウンドに聞こえます。艶やかさは抑えられていますが、音の充実によって華やかさは補われており、派手ではないですが、品のあるゴージャスサウンドを楽しめます。
富田美憂「Present Moment」
中域がかなりしっかり聞こえるので、この曲をパワフルに聴きたい場合はおすすめできます。率直に言うと、聴く前は艶やかさが減ることが予想されたんで、わりと声が野太い感じに聞こえ、のびやかさも不足するかなと思いました。実際聞いてみると、ボーカルののびやかさ、突き抜け感は抑え気味になりましたが、もともとだいぶ息遣いが強調されている曲なので、むしろ自然な聞こえ方に思えるくらいで、快活さや爽快感に不足感はありません。むしろ中高域がうるさく出ないんで、パワフルで元気なボーカルに意識が集中でき、全体的に音に深みがあって根立ちのよい力強さがあるので、想像以上に満足感が高いです。
この曲をパワー重視で力強い感じで聴きたい場合、このイヤホンは魅力的に思えるでしょう。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ANCはONで、コーデックはaptX、使用イヤーピースは標準イヤーピースのSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Padmate PaMu Quietは独特のデザインと機能性の高さが魅力の完全ワイヤレスイヤホンです。それは全ての人に価格を超える価値を提供するわけではありませんが、ほかのイヤホンにない魅力を持ち、アプリなども使いやすく、快適な使い勝手を実現しています。Padmateの意欲的な製品づくりを十分感じ取ることができるこのイヤホンは、抜群の完成度というわけではありませんが、クオリティは全体的に高く、一味違った満足感を与えてくれるでしょう。
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