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【特集】SENNHEISER MOMENTUM True Wireless と NUARL NT01AX を聞き比べる!どっちが本当に「豊かなサウンド」を奏でるのか?[完全ワイヤレス深掘り]

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SENNHEISER MOMENTUM True WirelessNUARL NT01AX

 

 

 つい先日、「NUARL NT01AXはSENNHEISER MOMENTUM True Wireless(MTW)よりクラシック向きかもね」みたいなことを迂闊にも口走ってしまいました。個人的に、印象論で語るところはあるんで、また余計なこと言っちゃったなって感じなんですが、一度発言した以上フォローしておかなくちゃいけないよなってことで、今回聞き比べる特集記事を企画しました。ていうか、これ比べてみると面白いんじゃね?的な軽いノリです。まあどうせやるならクラシックだけでなく、いろいろ聴いてみようって趣旨で気楽に行こうと思います。しばしお付き合いください。

 本当はBGVP DMGの個別レビュー記事書き上げて、もはや愛着もないあの機種とおさらばしたいんですけど、DMGのレビューはそのひどい音質を詳しく説明するような感じになりそうで、どうしても尖る内容になるので、適当にお気に入り機種をヨイショするのが好きなお気軽派の私としては書くのは気が重いです。NICEHCK M6だって明確な問題点以外はだいぶ好意的にレビュー書いたつもりですけど、コメントで辛辣ですねって言われちゃいましたし。私は何度も言っていますが、特定機種を貶めようとかいう意図はありません。感想と知見を気軽に紹介するレビューブログを目指しており、辛口レビューとかいうのを目指しているわけではございません。このテーマに興が乗ったので優先しちゃいました。

 

MTWとNUARL NT01AXの紹介

SENNHEISER MOMENTUM True Wireless

SENNHEISER MOMENTUM True Wireless

  フルワイヤレスイヤホン史上最高の音質ともて囃されている、もはやお馴染みMTWです。発売日当日に在庫切れ(というか大手家電量販店やネット通販では予約段階で完売多数)という伝説を作った完全ワイヤレスイヤホンです。私もずっと使ってきて、こいつの音質の特徴はほとんどそらんじて言えるくらいになっており、「奥行きと広さのある広大な音場と地平線やや下くらいに集まる調和的で豊かな音響」っていうのが個性です。高域方向は空間を感じさせるためにわざとマージン取ってある感じで、発色がおとなしく感じられるという特徴もあって、そのため上方向へは音が伸びるというより、溶け込んでいく鳴り方をします。そのせいで中域の方がむしろ明るく豊かに感じられるくらいです。

 私の聴いているMTWの印象でサウンドイメージを映像化してみると、たとえばこんな感じ。

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 やや俯瞰した形で少し遠くから都市の風景を眺める、こういう奥行き感と見通しのよい音響で、ビルが立ち並ぶ様子が遠くまでおぼろげながら見渡せるように、音が地平線まで立ち上がっているのが空気感の中にわかるといった感じです。空がだいぶ見えているのもこうした俯瞰した見取りと同じで、高域付近にマージンが取られているので、音の立ち上がり感(画像的にはビルの高さ)が認識できるのです。ただどちらかといえば空の方に密度感がないので、発色は中域中心になるという感じです。

www.ear-phone-review.com

 

NUARL NT01AX

NUARL NT01AX

  価格はMTWの半額くらいですが、かなり高音質で迫力のある音を奏でるのがこのNUARL NT01AXです。こちらも2019年1月現在結構な人気機種で、比較的品薄気味のようですが、さすがにMTWの伝説には敵いません。この機種の音の特徴は低域の厚みと量感のある迫力感と立ち上がる音が天空に伸び上がるような抜群の立体感にあり、音場の広さの表現の仕方がMTWとは少し異なります。

 NT01AXから受ける私のサウンドイメージをやはり同じように映像化するとこんな感じ。

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 下から高いビルを見上げる感じで、地面の広がりと音の高さが強調されて、奥行き感はMTWのように見晴らす感じとは異なり、吸い込んでくるような出し方で聞こえます。かなり上まで音が伸びていて、床面も厚く近くまで迫ってきていて、音がダイナミックな印象を受けます。

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 まあこの説明がわかりやすいかどうかは私にはよくわかりませんが、参考になれば幸いです。とにかく両者は立体感の表現の仕方に少し違いがあり、同じように音場表現に優れている機種ですが、その音から受けるサウンドイメージは大分異なるということです。どちらかというとNT01AXのほうがダイナミックでわかりやすく立体感を感じさせる傾向はありますが、少し圧迫感を感じるところはあります。それに比べるとMTWの音は一見NT01ほど迫力は感じないが、俯瞰して音を眺めることができる距離感があります。

 そしてこの記事では、そうした違いが音楽として受ける印象にどの程度差を生むのかというのを私がいろいろ聞き比べながら論じてみたいと思います。

 

【音質比較】

【音質比較①】池田綾子「時の旅人」

 この曲は池田綾子さんの最新アルバム「風を紡ぐ」の1曲です。初期のころはEDM色が強いような曲が多かったり、多彩で若々しい曲も多かったんですけど、「星降る森」を出したあたりから、だんだん声楽表現を素直に生かすオペラ的な曲を増やしてきていて、作風が定まってきた観があります。どちらかというとゆったりした空間表現を生かす傾向が強くなって、多彩さが減ったという意味では初期からするとおとなしい曲が多いですが、声楽的な声色の持ち味をより生かした曲作りが多くなって、声色を楽しみたいファンには最近の傾向の方が良いのかな。私はもはや池田綾子さんの歌は生活の一部で、初期から最新まで満遍なくプレイリストに放り込んでますが。

 で、この曲は重低感のある低域が地平線を強調する広い空間に声楽的ボーカルがダイナミックに展開する曲調になっています。高域の味わいは、初期の曲だと「三日月」に匹敵する聴き応えがあります。

 


風を紡ぐ

 

[MTW]: 音場がやや目線下に広く感じ、少し遠くからボーカルが響いてきます。いつもどおり上方向にだいぶマージンを取っているので、出だしはボーカルがやや寂しげに聞こえます。ちょっと透明感を強調している声色はサビでゆったりと上にのびていき、空間に溶け込むように聞こえます。全体的に地平付近に濃厚さがあり、その余韻がゆったりと空間を伝わって穏やかに抜けていく豊かな音場表現です。圧迫感はないので聞き疲れはしにくいです。

[NT01AX]:地平線付近に厚みがあり、左右、奥から力強く音が立ち上がります。ボーカルは地平線付近から自然な厚みのある声色でまっすぐ聞こえてきますが、サビに向かうにつれ徐々に上に、樹木が生育するように伸びていき、見上げるようなダイナミックな高さを感じさせます。音の迫力、高低感のダイナミックさ、躍動感では明らかにMTWに勝りますが、音は少し圧迫感が出やすいところがあり、聞き疲れはしやすいかも知れません。

 

【音質比較②】ムラヴィンスキー指揮、ショスタコーヴィチ「交響曲第8番」第一楽章 Symphony No. 8 in C Minor, Op. 65: I. Adagio

  クラシックも取り上げないわけにはいかないでしょう。私の大好きなムラヴィンスキー指揮の音源です。ムラヴィンスキーはこのショスタコーヴィチと個人的にも親交があって大好きだったらしく、私の持っている音源ほとんどショスタコーヴィチの曲なんですけど、私はクラシックとか素人なんで、誰?って感じです。で、例の如くウィキペディアによると、何でも、交響曲における「マーラー以後最大の作曲家の一人」だという評価を受けているそうです。私はにわかムラヴィンスキー好きでクラシック好きではないので、こんな適当な紹介になってしまって申し訳ございません。

 


Symphony No. 8

 

[MTW]:音場表現的には客席中程からオーケストラをやや下に見渡しながら聴いている感じです。各パートの音が少し下から立ち上がってきて、上の広い空間に吸い込まれていく鳴らし方です。音味は弦楽なんか芯のある空気を震わす音で、透明感もあって発色は良いですが、キラキラではないです。木管や金管は意外と締まっていて、やはり音の芯が見える鳴らし方に聞こえます。俯瞰した感じです。

[NT01AX]:私がNT01AXがMTWよりクラシックを楽しく聴かせてくれるって思うのは、たとえばこの曲だと低域弦楽の厚みがしっかり出て地平線を意識させ、そこからしっかり弦楽や木管が立ち上がってくるっていうこの曲の構成のダイナミックさをよく感じさせてくれるからです。MTWのほうがオケ構成はわかりやすく感じられるかも知れないんですけど、弦楽の高低感は明らかにNT01AXのほうがダイナミックに感じられて力強いです。下からすくっと天に向かう音がしっかりと感じられます。そして奥行き感の面でも木管が場の空気を吸い込んでくるような音を出してくるのがなかなかに中毒的です。とにかくこの曲の奥行き感と高低感のダイナミクスをよりよく表現してくれるのは、私にとってはNT01AXのほうで、MTWは面白味に欠けます。

 

【音質比較③】鮎川麻弥「風のノー・リプライ」

  TVアニメ「重戦機エルガイム」の後期OP主題歌です。80年代サウンドで、今の緻密な楽曲に比べると、だいぶスカスカした印象を受けやすいです。元々空間広めに感じられる曲なので、これを聞き比べたらどうなるか興味を持ったので選びました。この曲はボーカルにダイナミクスが出ないと楽しめないところもあるので、そこらへんがどう出るかなって興味もありました。

 


鮎川麻弥 パーフェクト・ベスト

 

[MTW]:この曲を聴いて気づいたのですが、MTW結構爽やかな音の出し方をします。ドラムはパリパリポポンと張りがよく、金管も芯がある鳴らし方でやや粒感が目立ち、グロウ感を出すチャイムの音も結構爽やかで意外と清涼感のある見通しの良い音響になっています。音が全体に低域付近に集まるところがあり、ややもさっとした感じはありますが、意外と面白い鳴らし方です。

[NT01AX]:密度感は高く、ドラムの重量感と膨張感のバランスが良く、締まりの良い音で聴かせます。ドラムの存在感は明らかにMTWより上です。ボーカルののびやかさも明らかにMTWに勝るので、密度感のある低域を超えて高空へ向かうボーカルの突き抜け感はNT01AXのほうが力強く妙味があります。やや圧迫感があることは事実ですが、音圧的なメリハリと肯定的に捉えられるでしょう。

 

【総評】決してMTWは音質抜群というわけではない

 以前も述べましたが、MTWは決して既存のフルワイヤレスを全て過去にするような圧倒的高音質の機種ではありません。むしろその特徴的な俯瞰して音楽を感じられる音場表現にその独自性が求められるべきです。見通しよく音楽を聴けるという意味では解像度感に優れていることは確かですが、その音にはNT01AXのようなダイナミックさはあまりなく、そういう躍動的なメリハリ感はありません。どちらかといえば静的で、安定した調和的な雰囲気で音楽を聴けるのがMTWの美点です。

 で、結局どっちが「豊か」なのかという議論に戻りますが、はっきり言って両者の音の世界観は違いすぎて同じ土俵で「豊かさ」を語るのはナンセンスです。音のダイナミックさを豊かと思うならNT01AXを、見通しの良い俯瞰した解像度感を豊かと思うなら、MTWを選びましょう。

 私自身もまだまだMTWの魅力は勉強中で、わかりやすくまとめられたかはわかりませんが、参考になれば幸いです。

 

 

 

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