- 基本スペック
- Mpow M30の特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- インターフェース/操作方法
- 音質
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
今回取り上げる機種は最新の完全ワイヤレスイヤホン、Mpow M30です。
Mpowはamzonで販売されている中華系ワイヤレスイヤホンブランドとしては老舗に近く、SoundPEATS・AUKEY・TaoTronics・ANKERと並び、「低価格中華ワイヤレスイヤホンブランド四天王」とでも言うべきトップブランドのひとつです(「四天王」と言って5つ名前を挙げるのはお約束ですね)。最近はSoundPEATSやANKER、TaoTronicsらと同じく、一部製品の日本国内のリアル店舗での取り扱いも開始されており、身近に感じるようになるかもしれません。急成長中のブランドです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:5h/25h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号: 211-200711
Mpow M30の特徴
MCSyncに対応する完全ワイヤレス向け人気チップAB1536U搭載
Mpow M30は完全ワイヤレスイヤホン用としては人気の通信チップAiroha製AB1536Uを搭載しています。このチップは音声信号を左右のイヤホンに同時に伝送する「MCSync」に対応しており、人の多い混雑した場所でも途切れにくい安定した通信品質を持っています。さらに片耳イヤホンとしても使うことができます。
Airohaはあまり知名度が高くないかもしれませんが、SONYの完全ワイヤレスイヤホン用チップを提供していることでも有名な通信チップベンダーで、SONYの完全ワイヤレスイヤホンにもMCSync技術が応用されています。
優れた装着感を実現するラバーフィン
Mpow M30は独自のイヤーフィン構造を持っており、耳によりよく固定されます。そのため、激しいスポーツや通勤通学で使っても、イヤホンは落下しにくくなっています。イヤーピースとフィンがそれぞれ3サイズずつ付属しているので、耳のサイズに最適な装着感を追求することができます。イヤーフィンの材質には柔らかなラバー素材が採用されており、長時間装着していても耳が痛くなることはないとされています。
完全ワイヤレスイヤホンの普及に伴って、駅などの公共の場所でのイヤホン紛失のケースが増えていますが、Mpow M30であれば落下することはないでしょう。
完全に近い防水性能
Mpow M30の防水性能はIPX7で、これはIPX等級の防水性能としては最上級クラスに当たります。短時間であれば水没させても問題ない品質で、雨天にも強く、スポーツやアウトドアのお供として充分活躍してくれるでしょう。
パッケージ
パッケージは価格帯では標準クラスです。パッケージデザインはシンプルで、開梱体験は豪華という感じではありません。付属品にはイヤーピースの替え、イヤーフィンの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、説明書などが含まれます。
ビルドクオリティは価格を考えると良好です。ケースはコンパクトで、持ち運びに便利です。
装着サンプル
イヤーフィンをうまく合わせればかなりしっかりと固定できるようになっています。装着感は良好で遮音性も十分です。なおLEDは音楽再生中は光りませんが、操作時には光ります。通話時に光るかどうかは試してないのでわかりません。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では良好な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内ではわりと安定しています。距離耐性の点でも問題なく、5m離れてもシームレスでした。また、遮蔽物があると音が一瞬切れましたが、そのあとは接続が安定していました。
ホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはフェースプレート部分にあり、タッチ式です。
電源ON
ケースの蓋を開けると、自動で電源ONになります。
また本体のマルチファンクションボタンを2秒間押すことで電源ONにできます。
電源OFF
ケースに収納し、ケースの蓋を閉じます。
また本体のマルチファンクションボタンを5秒押すことで電源OFFにできます。
ペアリング
イヤホンを取り出すだけでペアリングモードになります。
また手動で電源をONにした場合も接続先が見つからない場合、ペアリングモードになります。
曲再生/停止
左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップします。
曲送り
右のマルチファンクションボタンを2回タップします。
曲戻し
左のマルチファンクションボタンを2回タップします。
音量を上げる
右のマルチファンクションボタンを押し続けます。
音量を下げる
左のマルチファンクションボタンを押し続けます。
通話応答
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを2回タップします。
通話終了
通話中に左右どちらかのマルチファンクションボタンを2回タップします。
着信拒否
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを1秒長押しします。
音声アシスタントの起動
左右どちらかのマルチファンクションボタンを3回タップします。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
マガジン専用コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
マガジン専用コンテンツになります。
THD+N特性
マガジン専用コンテンツになります。
音質解説
全体のバランスはフラットに近いですが、若干低域寄りになっています。
低域は重みに強調があり、バスドラムキックは少しドシッと下に胴鳴りを感じさせ、ベースも黒みと熱気のある幅広の存在感のある音を奏でます。中域とのつながりは自然で分離的ではありませんが、少し深いところに沈む音なので、中域が濁る感じはあまりありません。それでも人によっては聴く曲のジャンルによってわずかに中域がもやもやして感じられるかもしれません。重みのわりにノイズは少ないですが、ブームも強くないので、個人的には若干物足りない気がしますが、これは直前にレビューしたULTRASONE Pro 900iの強烈なブーム感に慣れすぎたせいであるような気もします。
Mpowは比較的低域にこだわりを持っているメーカーですが、Mpow M30の低域も全体の中では存在感がある低域なので、低域ジャンキーを一定程度満足させる水準はあります。それでいて、ノーマルの人が聞いてもうるさくないレベルなので、低域の入門用モデルとしても悪くないかもしれません。
中域はそれ単体としてはウォームな構造をしており、安定的で充実したサウンドを奏でます。自然な太さよりは少し太めに聞こえますが、厚みが少し抑えられているのでバランスが取れており、ボーカルはかなりしっかりとフォーカスされて聞こえます。そのボーカルはボディが安定した理性的な落ち着きのある声質を持っており、軸がしっかりしています。中域は透明度が高く、みずみずしい充実感があります。明度も十分にあるので、ボーカルは最前列ではありませんが、十分スポットライトが当たって聞こえます。
中域は低域より少し奥まり、さらにその背景にもう少し奥行きを感じさせ、また中高域が少し地味なので、明るさのわりに適度な静寂感があります。そのため音楽の全体はやや重厚で安定感が重視されて聞こえます。
高域のギラつきはニュートラルより少し抑えられて、シンバルはやや錆びたように落ち着いて聞こえ、清潔感があります。輝度に強調があるのでシャープネスは少し強調され、マイクロディテールは良好です。超高域の抜けはそれほど強調されないので、音場が開放されすぎて中域からフォーカスが外れることはありません。
音場はやや奥行きが広く、左右はこの価格帯では標準的なレベルでしょう。ボーカル基準で音場を測ると、高さは場合によっては少し低く感じる人もいるかもしれませんが、深さは十分です。
BOMAKER SiFi/BOMAKER SiFi 2との比較
マガジン専用コンテンツになります。
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音質的な特徴
美点
- フラットに近く、バランスが良い
- ボーカルフォーカスが良い
- 重みのある重厚なサウンド
- 適度な静寂感があり、聞き心地が安定している
欠点
- 派手さが足りず、明るさのわりにシックで、人によっては色気が不足して感じられる可能性がある
- 低域の重みのわりにブーム感が足りない
- 音の厚みがわずかに足りない
- 少し開放感に欠ける音場
音楽鑑賞
riya「小さなてのひら」
透明感のある中域はriyaの澄んだボーカルやピアノの音をかなりきれいに描き出します。音場に適度な奥行きと静寂感があり、重厚感も十分なため、中域は明るいにも関わらず、背景に確かな静謐感があり、明度が高くくっきり音楽が聞こえるにもかかわらず、音楽には一定の落ち着きと安定感があります。中域の響きは少し印象的に聞こえるようになっており、ボーカルは音場の全体の中では比較的高い位置にいて、天井は高く抜けすぎず、高域音もマイクロディテールはしっかり細かく聞かせながら輝度の点では派手に目立ちすぎないので、煌めきや余韻に意識を持っていかれすぎず、ボーカルラインへのフォーカスがしっかりしており、甘味を感じることができます。
厚みが少し抑えられていて、低域と自然なつながりを維持しつつもわずかに分離的な中域構造は中域の空間的な清潔感を高めており、この曲の清純な雰囲気にマッチしているだけでなく、ボーカルをますます印象的なものにします。子音と息はわずかに強調されていますが、適正音量では尖って痛く感じることはないでしょう。
永井真理子「真夏のイヴ」
バスドラムの重みに支えられたボーカルが非常に印象的に聞こえます。私の好みからすると、厚みがわずかに足りないので、ドラムがやや平たく聞こえていまいちボリューム感に欠け、リッチ感に劣りますが、ボーカル周りの清潔感は増してフォーカスは高まっているのでこれはこれで悪くありません。厚みがちょっと足りないのを除けば、個人的にはこの曲を聴くのにかなり理想的な雰囲気に思えます。
美波「ライラック」
美波「ライラック」は個人的にドンドコしたドラムが大好きな曲なんですが、このイヤホンはそのドラムのドンドコ部分を強調しつつ、ボーカルとエレキギターを印象的に聴かせてくれます。ドラムのドンドコとボーカルの聞こえるあたりは自然につながっているようで、わずかに厚みを抑えて分離的になっているので、私のようにボーカルとエレキギターの甘い雰囲気を十分に味わいながら、ドンドコもちゃんと聞きたいという人には実に都合がいいイヤホンです。ついでにシンバルも派手にシャリシャリしないで繊細で清潔かつ静かなシルキー系の雰囲気なので、中域の色づきを邪魔することがなく、なおさら好ましいです。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。標準イヤーピースのSサイズを使い、コーデックはAACです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Mpow M30は低価格でやや低域寄りのバランスの良い音質を持っています。そのサウンドは中域が印象的に聞こえ、重みもしっかりした安定感のあるサウンドを奏でます。Mpow M30は使い勝手の点でも価格帯では優秀なほうで、通信品質は安定しており、スペック的にも日常使用でとくに不足は感じないと思われます。
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