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【特集】こんな夜更けに「ねごと」かよ!名曲「アシンメトリ」を聞き比べて、味わう!低価格完全ワイヤレスイヤホンの空間表現と低域ブーム感を比較する

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アシンメトリ

アシンメトリ

 毎回、私が愛する名曲を紹介するとともに、オーディオ製品を聞き比べようという不定期企画です。今回は4回目という位置づけです。

 毎回エラそうにいろいろ言ってますけど、結局のところプレイリスト作成用の個人的なメモっていう実用目的の記事でもあるんで、ああまた好き放題言ってるな程度でくつろいでお楽しみくださいませ。私もゆるく楽しみながら書いております。

 

 

【試聴する完全ワイヤレスイヤホン】

 今回もいままで同様、6機種を手持ちの低価格完全ワイヤレスイヤホンから取り上げます。ラインナップは相変わらずメジャーとは言えない製品ばかりです。Ankerあたりは最近ビックカメラなんかでも取り扱われているので、これだけ別格と言ったところでしょうか。ビックカメラにあるだけでは広まってない製品もたくさんあるので、どちらにせよマイナーの線は越えられていませんが。

  1. Anker Soundcore Liberty Air
  2. CANAVIS J29
  3. ifancier KD-66
  4. iKanzi X9
  5. Lesoom S1
  6. SoundPEATS Truengine

 

 今回も入れ替えました。新しく手に入れた機種の音質を確認するって意図もあるんで、比較的最近レビューしたものに偏ってますが、今回はこれでいきます。

 

【音質比較レビュー】

課題曲について

 今回の課題曲はねごと「アシンメトリ」です。ねごとについては、つい先日解散が発表されたばかりです。1ファンとしては複雑な心境ですが、彼女たちの名曲の息吹がこれで途絶えるわけではありません。今回はそれでねごとの曲をぜひ取り上げたいと思ったのですが、選曲に迷いました。個人的には「アシンメトリ」がダントツで好きで、これまでたびたび個別製品のレビュー内でも取り上げてきました。他にも「シンクロマニカ」「DESTINY」「sharp♯」「カロン」「サイダーの海」など挙げれば好きな曲は切りがないので(そもそもねごとが好きなのでしょうがないね)、「アシンメトリ」以外を取り上げてみるかとも思ったのですが、やはり「アシンメトリ」が私の中では別格です。なので、別の曲を取り上げるという考えは捨てました。

www.cinra.net

 

 「アシンメトリ」についてはいろいろおすすめしてきたので、これから書くことは繰り返しになる部分も多いと思います。私は文句なくねごとNo.1の曲なんですけど、ねごとファン一般からするとTOP5には入らないかも知れませんね。レコチョクでねごとの楽曲を人気順でソートすると、「DESTINY」「カロン」などの定番ナンバーのほかに、「空も飛べるはず」「ばらの花」なんかのカヴァー曲も入っていて、「アシンメトリ」はだいぶ下の方です。ぎりぎりTOP10にすら入ってないですね。

recochoku.jp

 

 「アシンメトリ」は、曲としてはねごとのエレクトロダンスミュージック系楽曲の極北といった感じで、ロック色はかなり削ぎ落とされてます。デビュー曲の「カロン」もエレクトロ色はあってフュージョンロックっぽい感じはありましたが、「アシンメトリ」にはロック成分はほぼ0%です。下に「カロン」のMVを並べますので、「アシンメトリ」と聴き比べてみてください。もはや別アーティストってくらい印象が違うはず。

 私はこの「アシンメトリ」に度肝を抜かれました。TVアニメ「銀魂」のED主題歌だった「DESTINY」ですでにエレクトロ色かなり強いの出してたんですけど、「アシンメトリ」のインパクトはすごくて、その緻密な世界観に一気に引き込まれました。

 出だしから「すげーの始めるよ!すげーの始めるよ!」ってキーボードとデジタルドラムが期待を膨らませてくれ、ボーカルが入ると、その歌詞がまたリスナーをおかしげに誘ってきます。そこからはだんだん楽器音が盛り上がってくるんですが、それでもどこか抑制的で「まだだよ!まだだよ!」ってカタルシスを引き延ばします。表情の変化も良くて、リズムで煽ってみたら次はキーボードで静寂感を出してみたりと趣向に富んでいます。クライマックスに向かうにつれて、デジタル音が奔流のように暴れ出し、曲全体が崩壊を迎えるかのようにカタルシスが近い事を知らせてくれます。ここまでとってもカッコイイ曲ですけど、難解じゃなく、エネルギーをちゃんとクライマックスのカタルシスまでに溜め込む形になっていて、素直に楽器音の流れに乗ればこの曲の最後の爆発に乗ってカタルシスの余韻に浸れる構造になっています。素直においしい曲です。

 

 今回のテストは味わいの違いを明確にする試みとして、試験的にJVC HA-FD01SPをレファレンスとして比較します。今回はチタンノズルを用いて、NW-ZX300に銀メッキ銅ケーブルKBF4758でバランス接続したものを比較対象とします。聴き比べる完全ワイヤレスイヤホン類はすべてa&norma SR15にワイヤレス接続します。 

 そういうわけで前置きはここくらいまでにして、早速聴いていきましょう。

 

Anker Soundcore Liberty Air

 

Anker Soundcore Liberty Air

 この機種はドライバーにグラフェンを使用しています。グラフェンは全体的に音の鮮明度・輪郭感が高く表現できる特性があるので、この曲のようなエレクトロダンスミュージック系の曲とは相性が良いです。レファレンスのJVC HA-FD01SPと比べても見た目の解像度は高く思えます。よく聞くと音場は狭く、音もシャリシャリと軽い傾向があります。ボーカルも細くて少しヒョロヒョロ。なにより低域の量感に欠けてるので重厚感に欠けます。レファレンスも決して重厚感が得意ではありませんが、それと比べても一段表現の面白みに欠けます。

 とはいえ、低価格でこの曲を楽しむには有力な選択肢であることは間違いなく、価格帯最高クラスの緻密な味わいを楽しむことが出来ます。

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CANAVIS J29

CANAVIS J29

 低域の躍動感が綺麗に出て、中高域の鮮明度も高く、表面上はかなりよく聞こえます。なによりドラムセットが入ってくるとハイハットの粒立ちがよく、引き立つ感じがあります。一方で中域が少し奥まっており、スカスカして感じられるところもあります。クライマックス付近になるとドラムセットが活き活きとしてくるので、相性の良いこの機種は充分な表現力で楽しませてくれます。後半に行くほどドンシャリ傾向の音質が合致します。

 前半は少し頼りなく思うところもありましたが、後半に入って曲の密度感が充分仕上がってくると、途端に活き活きしてきます。前半は少し物足りませんが、曲の表現としてはメリハリが付いて案外よく思えます。

 

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ifancier KD-66

ifancier KD-66

 この機種については相変わらず音質のバランス感覚の良さに感心しましたが、その前に少し手間取りました。この機種は使い勝手が悪いところがあると述べてきましたが、時々接続がすんなりいかないことがあります。今回も「またか」と思ってペアリングからやり直していたのですが、どこをどう操作し間違ったのか、接続し直すと音声ガイダンスが「中国語モード」に。そしてマニュアル読んでも言語の変更の方法書いてません。まあ実質的な害がないので問題ありませんが、どうしてこうなったかわからないので困ったもの(ちなみに曲を聴き終わっていろいろいじってたら、最後には元に戻りました。どうやって直ったかはわかりません)。

 まあ本筋には関係ないので、英語に直すのはさくっと諦めて「アシンメトリ」を聴きました。で、バランス感覚は相変わらず良好。この曲では明るい音が少ないせいか、若干色味が悪いところはあって、発色が少し暗い印象ですが、緻密感は充分に出ています。またボーカルはやや分離感が悪く、もしゃもしゃするようなところもあります。立体感にはやや乏しいものの、音場の広さは比較的良く感じられます。

 ハイハットが少し強めに感じるので、シャンシャンシャリシャリが強いのが好みを分けそうですが、個人的には黒っぽい背景に浮き上がる感じに聞こえるのは嫌いじゃありません。ただ全体的にちょっと物足りなさを覚えるのも事実です。

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iKanzi X9

iKanzi X9

 

 色味は少し暗いですが、パワフルでかなり鮮明感もあります。KD-66と比べると音量が大きく出る傾向にあり、ハイハットも潰れず安定した粒感があります。ドラムの重厚感も充分で締まりを感じ、全体の色味が暗いながらもコントラスト感があります。

 どちらかというと低域の量感頼みなところはありますが、重厚な安定感のある音でしっかり聞かせてくれます。低域のブーム感に関してはこの中では一番精彩ある音を奏でてくれました。

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Lesoom S1

Lesoom S1

 全体的に音が膨張する傾向があるイヤホンなので、解像度感では最も劣ります。ただこの曲に関してはスカスカ感が全くなく、音が混ざり合って調和的に充実感のある形で聞かせてくれるので、聴き心地は一番いいです。楽器音の溶け込み合う穏やかで濃厚な音場の中で、ボーカルだけは空気を纏いつつもかなり明瞭に聞こえるので埋没しませんし、声色がこの曲の雰囲気にもピッタリです。緻密に解像度よく出すタイプではないので、一音一音に集中するとなんだか判然としないところがありますが、全体的に俯瞰すると、実に風味よく仕上げてくれます。これはいい。

 最近の「ハイファイ志向」に完全に逆行するイヤホンで、音が膨張しやすいので万人受けはしませんが、低音量時でもしっかりと厚みを感じさせる充実した表現で浸らせてくれるイヤホンです。そこがこいつのいいところです。

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SoundPEATS Truengine

SoundPEATS Truengine

 

 パワフルさではiKanzi X9以上のところもありますが、こちらの低域はブーム感よりは解像度で勝負するところがあり、重さでは少し劣ります。しかしエレクトロダンスミュージック系の曲だとこういう低域の方が中高域の発色を阻害しないので、むしろ好ましいと思えます。実際、X9と比べて発色は良く、溌溂として聞こえます。

 低域から高域まで量感と音圧感をバランス良く発揮するので、全体的に密度高めでスカスカしたところがありません。満腹感という意味ではこの中では最高の満足を与えてくれます。

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【総評】

 さて、大好きな曲なうえにそれぞれが楽しませてくれるので1位を選ぶのは難しいですが、個人的に一番聴き心地が良いのはLesoom S1です。このバンドの甘いボーカルのほんわかした雰囲気を一番出してくれますし、オルタナティブな曲調のふわふわ感を出すのに最適な温度感も持ってます。なにより空気感が素晴らしくイイ。他のイヤホンはこれに比べると多かれ少なかれギスギスしてしまって浸れません。分解能がよいイヤホンで聴けば何でも良いってものでもないってことをしっかり教えてくれます。私は日常的にもねごとの曲はLesoom S1で聴くことが多いくらい、この音が好きです。

 次は曲全体のコントラスト感がしっかりしているCANAVIS J29を選び、続いて緻密さで最も勝るAnker Soundcore Liberty Airを推します。次に全体的に密度感があって満腹感を持って聴けるSoundPEATS Truengineで、やや発色で劣ったiKanzi X9をその次とし、最下位はifancier KD-66とします。いつもはバランス感覚の良さを見せるところのあるifancier KD-66ですが、そのバランスの良さが今回は悪い方に出てしまった感があります。決して中国語モードがうざったかったから最下位にしたわけではないですよ。ごめんね。

 このささやかなレビュー記事はこれでおしまいです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。この記事が皆様の参考になり、楽しい音楽ライフにつながれば幸いです。

 皆さんの音楽ライフを応援しつつ、今回もお別れしたいと思います。

アシンメトリ

アシンメトリ

 

 

追記

 この記事を書いた後日、たまたま「ETERNALBEAT」の本人による解説を見つけたので、読んでいたんですけど、その末尾でなんと熊倉献「春と盆暗」をボーカル蒼山幸子さんがおすすめしていた!以前コラムでamazonが「春と盆暗」を薦めてきたので読んでみたら、まあまあよかったみたいな話をしましたが、なぜamazonがこれをおすすめしてきたのか謎が解けましたわ。ねごとファンだからおすすめされたんですわー。

skream.jp

 

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