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【特集】名曲「17才」を聞き比べて、味わう!低価格完全ワイヤレスイヤホンの色彩感と密度感を比較する

17才

17才

 毎回、私が愛する名曲を紹介するとともに、オーディオ製品を聞き比べようという不定期企画です。今回は3回目という位置づけです。

 まあ、タイトルには「味わう」とか「比較する」とかエラそうなことを書いていますが、ほとんど私自身がプレイリスト作成の参考のメモにするためにやっているような楽しんで書いている記事ですので、ゆるりとくつろぎながらお楽しみくださいませ。

 

 

【試聴する完全ワイヤレスイヤホン】

 今回もいままで同様、手持ちの低価格完全ワイヤレスイヤホンから6機種を取り上げます。ラインナップはこれもいままで同様、家電量販店では見かけないamazon専売の中華製品ばかりで、どマイナー路線まっしぐらです。おいおい。俺はゼンハとか期待したんだけどという人は、まあご期待には添えませんが、低価格帯というのもなかなか面白いので味見気分で見て行ってください。いいサブイヤホンが見つかるかも知れませんぜ。

  1. CANAVIS J29
  2. ifancier KD-66
  3. iKanzi X9
  4. KOMODO U10
  5. SoundPEATS Truengine
  6. VAKER MB2

 

 今回も入れ替えました。今回の曲は低域と高域のバランス感覚でだいぶ聞こえが違う感じがあり、とくに高域が明るくキラキラ感が出てこないと物足りなくなる傾向があるようです。それを加味して入れ替えました。

 

【音質比較レビュー】

課題曲について

 今回の課題曲はハルカトミユキ「17才」。TVアニメ「色づく世界の明日から」のOP主題歌です。このシングルは表題曲以外のカップリングも聴き応えがあって、「朝焼けはエンドロールのように」は、どことなくセカイ系的世界観を感じさせる重厚味のあるフュージョンロック、「そんな海はどこにもない」は荒削りの民謡調に聞こえるアカペラの曲で、後半でデュエットが加わる以外独唱という意欲的なもの。

 そして「17才」。木漏れ日が暖かく、草木が香って何もかもが美しかった青春の日々を独白するかのような曲かと思ったら、そうではなくて次の場面はメッセージはまっすぐこちら側に向けられてハッとさせられます。そしてこの箇所はよく聴くと流れに違和感があり、浮き上がって不気味に聞こえる感じもあり、私はここで一度ゾクッとします。歌詞も少し怖く見えてきてしまうところもあります。少なくとも葛藤を抱えた不安感を感じさせるところがあり、キラキラ気持ちよくとはいかない曲です。なんでしょうね。

 しかし続くサビでは予定調和が取り戻され、密度が変わった速度と充実感のあるなかに、手を取りあってデュエットボーカルがリスナーと伴走するように走り出し、独白→対話と進んできた曲は、リスナーと歌い手の気持ちを穏やかに溶け合わせ、キラキラした虹の浮かぶ情景に導いてくれます。ボーカルの掛け合いと一体感につながる予定調和に向かう構造の中に、一点の緊張関係があって、決してキラキラ一直線の青春ソングというような単純な明るい流れに乗せているわけではない曲で、アウフヘーベンが見事に嵌まっています。構造は少し違いますが、鑑賞者と表現者との一体化を促すという意味では、マルクス・アウレリウス『自省録』に似た感じを受ける曲で、あるいはマルティン・ブーバーの『我と汝・対話』を読んでいるかのよう。いや、よりふさわしいのはシモーヌ・ヴェイユ『重力と恩寵』かもしれない。救いを得るために深みに潜る感覚は共通しています。心の中に他人の痛みを受け入れるというメッセージ性も似ています(ちなみにやたら正義感をふりかざす嫌いのある最近の日本社会で欠けているのがこの共感能力。沖縄の痛みは日本のこっち側では共有されない、そんな構造。一人一人がそれぞれに被害者意識を持っていて、加害者意識は極端に薄く、悪だと見りゃ途端に攻撃。その攻撃の二次的被害も考えずに戦線拡大してわめき立てる。こういう人は実際のところ深いところからその被害者に共感しているわけじゃなくて、わかりやすい正義感に浸れるから騒いでるだけ。本当に共感している人は一緒に苦しんでいる人で、騒いでる人ではない。もちろんムーブメントとしてマスコミに対する影響力はあるから、短期的には効果的だけど、これ繰り返してたら社会が急速にいびつになる。そもそもこういう話題にすぐ飛びつくTwitter化している日本のマスコミの報道姿勢がひどい。今の国会の法案審議とかあまりにお粗末だけど、そういうのを特別番組で詳しく検証するとかしないの?どこも内容一緒のワイドショーやるより視聴率取れなくてもそっちのほうがよほど意味がある。あるいはそういう番組に出資する心あるスポンサーはもういなくなってしまったかな。株主の目があるから企業も身を切る覚悟はなかなか立たないね。政府にも社会全体の経済規模は小さくなっても多くの人が仲良く生きやすい社会にしようという意識はなく、業界団体がやりたいこと優先。税制不公平もおかまいなし。まあこれは日本に限らず、全世界的に今はそうかな。みんなこれでは疲れてしまって、次は人に優しい経済学が求められるはず。←これは完全に蛇足)。

 私の勝手なイメージでは、青春ソングって比較的閉じた個人的な体験を普遍的に聴かせたり青春のイメージそのものを直情で語っていくものが多いですけど、この曲はむしろ誰にでもありそうな開かれた、その意味でちょっと抽象的な苦悩のメッセージを独白調にやや遠回しに距離感を持たせてショックを和らげて聴かせつつ、そこから二人称を持ち出してその苦悩にいきなり鑑賞者を巻き込んできて、「あれ?」という間に加速感に乗せて気持ちよく青春ソングらしい終わり方に到達させてしまう。終わりはすごく気持ちいいんですけど、途中にあまり解消されない違和感があるので、聴いた後の余韻に何かしこりのようなものが残ります。この展開は趣向があって心地よいです。何より変に凝ってないので難解さがありません。こうした曲の構成はデュエットボーカルであることを最大限生かしていて、これは私の中では名曲です。実に味わい深いです。

 私はもうハルカトミユキに興味津々。下のインタビュー記事も楽しく読めますので、気になった方はチェックしてみてください。

spice.eplus.jp

www.iroduku.jp

 

 今回のテストは味わいの違いを明確にする試みとして、試験的にJVC HA-FD01SPをレファレンスとして比較します。今回はステンレスノズルを用いて、NW-ZX300に銀メッキ銅ケーブルKBF4758でバランス接続したものを比較対象とします。聴き比べる完全ワイヤレスイヤホン類はすべてa&norma SR15にワイヤレス接続します。 

 そういうわけで前置きはここくらいまでにして、早速聴いていきましょう。

 

CANAVIS J29

CANAVIS J29

  たびたび紹介していますが、このイヤホンは低価格ではドンシャリ系最右翼と言ってよい機種です。ということは、私の解釈では、この曲をロックとして楽しむ場合にはかなりのパフォーマンスが期待できそうです。しかし実際にはこの曲はベースラインが強くないので、このイヤホンの強力な低域エンジンはやや手持ち無沙汰です。解像度的には当然の如くレファレンスには全く敵いませんが、サ行が少し尖る感じが強いほかは、印象的にはそれほど悪くないです。でもちょっと白化してるかな。

 この曲だと得意の低域火力があんまり活かせないので肩すかしを食らっているところがあります。ただ、アコースティックなギターの光沢感などははっきり出ており、色彩感はなかなか頑張っています。最後にボーカルの分離感は良くないですね。

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ifancier KD-66

ifancier KD-66

  CANAVIS J29に比べると、音に瑞々しさがあり、印象的に解像度が高そうに見えます。しかし、全体的に音が近く、ボーカルが音割れしやすくキャンキャン言うところがあり、少し落ち着きがないです。発色は良いので、全体的に少し窮屈でギスギスした感じが若干あるのを除けばかなり楽しめます。やや透明感を強調している感じです。

 個人的には相変わらず好印象です。レファレンスのHA-FD01SPに比べて音場にやや窮屈なところがありますが、私のイメージするこの曲の雰囲気をよく出しています。

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iKanzi X9

iKanzi X9

 

 出だしはやや暗めに感じますが、全体的に肉厚で量感を感じます。完全ワイヤレスにしてはパワフルな印象です。低域はかなりボワッとした音ですが、ベースがそれほど目立たないこの曲でもしっかり厚みを出して聞こえてきて、雰囲気がBOSEっぽいです。その分解像度的には締まりの悪いところもあって、ボーカルも含めてやや空間に膨らむ感じがありますが、音場にほどよい広さもあるので、圧迫感はあまりありません。色味は全体的に落ち着いていて情緒が安定している印象を受けます。

 低域の量感は楽しいですが、ウォームで膨張した印象を受けやすく、色彩感や透明感に欠けます。人によっては締まりの悪さが気になるでしょう。ただアコースティックな音に温もり感がしっかり宿って、どことなく私の大好きなSENNHEISER HD599に通じる印象を受けるところもあり、意外と味わい深いです。

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KOMODO U10

KOMODO U10

 抜群のクリア感は健在です。硬い印象を受けますが、中高域の鮮明感は異様に高く、印象的にはレファレンス以上とも言って良いところはあります。ボーカルを明瞭に聞かせる才能は価格帯以上です。ただしドラムは異様に硬く、ボーカルは細長いので、個人的にはあまり生々しさが感じられません。また見かけの解像度感に比べて、奥行き感に乏しく、意外と立体感が感じられません。そのせいでなんだか音が迫ってくるところがあって、少し落ち着いて味わえません。

 一つの理想形に向けて、このイヤホンに足りないものを教えてくれるのはJabra Elite Active 65tRHA TrueConnectです。せっかくの解像度感をより生かすには、暗い背景を丁寧に作る必要があります。背景の黒みが足りないので、全体的に白化して聞こえて薄っぺらくなっている気がします。背景をもう少し引き立たせるにはやはり音場をもう少し広く取る必要があるでしょう。そうは言っても、サビに来てようやくそうした欠点に気づかされる感じではあります。

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SoundPEATS Truengine

SoundPEATS Truengine

 

 率直に言って色味が足りませんが、パワフルで火力を感じさせる音です。2ドライバーを生かした密度感はあって、低域から高域まで量感の上での不足感は感じません。むしろ音圧ではこれより高いメーカー品と競っても充分勝てそうです。サビでは密度感が出てくるとボーカルが膨らんでキャンキャンしてしまったりして少し苦しい気もしますが、それまでは解像度的にも良い感じに思わせるところがあって、結構楽しめます。

 量感と音圧感はあるので、結構説得的に聞こえると思います。一番の欠点は音につややかさが決定的に足りないことですかね。

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VAKER MB2

VAKER MB2

 ikanzi X9に匹敵する重厚感とアコースティックなギターにそれなりのつややかさもあって、出だしの印象は悪くないです。中盤色味が減って少しもっさりする感じがありますが、ボーカルに意外と生気があって瑞々しさも少し感じます。表現としては少し重たく、サビではもっさりします。粒感に決定的な欠如を感じます。サビで聞こえるシンバルはやる気が感じられず、何してんのか埋没してよく聞こえません。

 サビでは音場が全体的に平面的で、あまり凹凸感がなく、立体感に乏しいところもあります。サビ前ではむしろ精彩豊かに深掘り感さえ感じさせてくれるので、これはサビの密度が高い部分で楽器たちをうまく捌けていないんでしょう。

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【総評】

 この曲は聴いてみると、結構難しい曲だということがわかりました。サビ前ではうまく表現してるかに見えているイヤホンでも、サビに入るとなんか途端に精彩を失ってモヤモヤしてくるところがあります。そんな中でも好印象だったのはまずiKanzi X9で、これはうまく聴かせてくれたと思います。次に少し欠点はありましたが、ifancier KD-66がやはり底力を感じさせて結構楽しく、KOMODO U10の刻みの良さも比較的好印象です。あとは一長一短があるので悩みますが、分離感は良くないが比較的雰囲気の出ているCANAVIS J29、出だしの引き込みが印象的だったVAKER MB2と続けたいと思います。ボーカルが好みじゃなくて少し味気なかったSoundPEATS Truengineを最下位としますが、どれもいいところもあるので、これは完全に好みで分けました。

 ていうかむしろ今回はレファレンスのJVC HA-FD01の表現力のレベルの高さに驚かされましたけどね。ステンレスノズルよりリン酸銅ノズルのほうがこの曲は好みだったんですが、光沢感はステンレスのほうがわかりやすいのでステンレスノズルにしてみましたけど、粒立ちがいいですね。びっくりしました。

 今回もここまでで、このささやかなレビュー記事はこれでおしまいです。ここまで読んでくださり、ありがとうございました。この記事が皆様の参考になり、楽しい音楽ライフにつながれば幸いです。

 あなたが素晴らしい音楽とオーディオに出会えますように。読んで下さった感謝を込めて。

17才

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