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【コラム】Tri Starlightは名機Tri i3のアップグレード先になり得るか?そしてそれはTri Audioの伝統的なサウンドの中でどう位置づけられるべきか[Tri Starlight/Tri i3/Shuoer Tape]

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Tri Starlight

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TRI Starlight 4 Electrostatic Driver Units+2BA+1DD In Ear Earphone Flagship IEMs

 

 

非常に人気の高い名機 Tri i3

 Tri Audioというブランドは中華メーカーとしても新しく、おそらくKinboofi系のわりと新しいブランドですが、そのデビュー作Tri i4はバランスの良いサウンド出力で非常に話題を呼び、さらにその後に発表したTri i3は平面駆動型ドライバー技術を導入した先進性とその広いヘッドホンのような音場表現によって多くのオーディオファンを感激させました。

 とくにTri i3は本当に評価が高く、今でもオーディオコミュニティで語られ続けている名機と言って良い機種です。

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Tri Audioの新たなフラッグシップイヤホン「Tri Starlight」

 このように質の高い製品を立て続けに出してきたTri Audioなので、当然その新作Tri Starlightには注目が集まりました。とくにその価格設定はこれまでのTri Audioが主戦場としてきたエントリークラスやミドルエントリークラスと異なり、ハイエンドクラスになっています。なかなか簡単に買って試せるという価格帯ではありません。

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この記事を書いた発端はTwitter上で受けた質問です

 これは本当に感謝するしかないのですが、私がこの記事を書こうと思ったそもそもの発端はtwitter上で、この機種がTri i3と比べてどうだろう?という質問頂いたからです。その段階では詳しい測定比較は行っていなかったので、あくまで聴感印象に基づいて、「Tri Starlightは音の印象的にどちらかといえば、Tri i3よりShuoer Tapeのアップグレード先としてふさわしい気がする」という返事をしました。

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実際に周波数特性を比較してみました

 ただ私の中では一度は上のように述べたものの、いろいろ気になる点はあります。

 まず、Tri Starlightは聴感上は静電型の印象が強く出るので、わりとその分析的なドライな表現が強く、どうしても中域が乾いていて、細い印象を受けるのですが、周波数特性の上では言うほど極端にドンシャリでもなく、高域偏重にも見えないというところです。ボーカルを聴いてみれば、わりと吠える声でシャウティなShuoer Tapeに比べて、Tri Starlightのボーカルの声質はどちらかといえばナチュラルで理性的であり、いわゆる歯擦音系のサ行の子音が少し耳障りになりやすい欠点がありますが、ボーカル本体にそれほど聴き苦しい感じはありません。

 上のTwitterレビューでも述べていますが、中高域は落ち着いて音像が聴きやすくなっており、エレガントで歪感が少なく、素直に解像度が高い印象を受けます。

 

 まあとりあえず周波数特性の比較グラフを見てもらいましょう。使用イヤーピースはAET7で共通化し、自由音場補正をかけたうえで、1khzで交差させたものです。下は1khz以上を拡大したものです。

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 さて、周波数特性の上では、むしろTri StarlightはShuoer TapeよりはわりとTri i3に近いウォームサウンドであることがわかります。Tri i3よりはV字が深まっている、つまりよりドンシャリになっていますが、低域の全体におけるパワーバランスはむしろTri i3より強く、より深いところに到達していて、私はインプレッション記事で「Tri i3とは異質なブライトサウンド」というようなことを言っていましたが、少なくともTriのサウンドデザイナーはそういう意図で設計したわけではないだろうということがわかります。この比較を見て、Tri Starlightの音の明るさはむしろドンシャリ的な音によってコントラストが強調されているために実現されているのではなかろうか、そんな印象を深めました。

 一方Shuoer Tapeに対しては、このイヤホンの欠点としてよく挙げられるスパイキーなピーク感はTri Starlightにはほとんど見られず、わりと高いところでヒスる感じはありますが、中域は少なくともTapeより安定して聞こえると思います。

 

総評「Tri Starlightは周波数特性の上からはわりとTri的な良さが残っている」

 さて、結論です。以下のインプレッションでの結論は書き換えられる必要があるでしょう。

Tri i3Tri i4のウォームなサウンドが好きな人にとって、別方向の分析的なサウンドになっていて、その極端な音質傾向の変更にわりと驚くかも知れません。Triの現行のフラグシップモデルになりますが、これまでのTriの音とは明らかに異質です。かなり分解能を重視した静電型をこれでもかと使ったブライトサウンドは好みを分けそうでもあります。

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 インプレッションでは「Tri Starlightの音はこれまでのTriの系列の音を期待してた人には期待外れになるだろう」みたいなことを言っていましたが、これはやはりTri i3の厚みのあるサウンドと比較しての表面的な理解で、上の比較を元にもっと深く考えてみれば、Tri Audioの音が好まれる要因となっている「ウォームさ」と「中高域の音像の丁寧な提示」は生きており、むしろTri Audioの新たなフラッグシップとして、歓迎されるべきもののように考えを改めました。まあ、私には良くある、またもやの前言撤回です。

 たしかにTri i3の平面駆動型の太く力強い音とは異なり、静電型の傾向の強いStarlightの音は第一印象でだいぶ音の傾向が違うように思われます。しかし、耳慣れして静電型のドライな粒立ちの強い音を充分に受け容れてしまえば、そこから聞こえてくるチューニングはわりとTri Audioの伝統的なサウンドに近いと言えるのではないでしょうか。

 Tri i3のわりとマイルドな感じとは異なるStarlightの分析的な雰囲気は、たしかにTri i3の乗り換え先としてはちょっと微妙です。Shuoer Tapeがガシャガシャしていると思う人に、より最適なアップグレード先になるでしょう。ただ、この音は間違いなくTri Audioの系列に属するものであることは今のところ確実で、Tri Audioのファンにその良さはきっと理解できるものであるだろうということが言えます。これまでの機種の音の印象を一度かっこに入れた上で、これを素直に聞いてからもう一度考え直すと、「Tri Audioらしさのある静電型イヤホン」として素直に語れる気がします。

 

 この記事を書けたのはTwitterで質問してくれたDaniele Martireさん(@daniele_martire)のおかげです!本当にありがとう!

 

Tri Starlight

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