Fender NINE 2 [Competition Orange] 9.25mmダイナミック1基+BA2基 ハイブリッド型イヤホン IEM2pinコネクター採用
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
ギターやギターアンプメーカーとして有名なFenderですが、2016年にAurisonics社を買収し、インイヤーモニター(IEM)製造を開始、イヤホン市場に参入しました。
今回はそのFenderのインイヤーモニターのNINEシリーズから、1DD2BAのハイブリッド構成を持つイヤホン、Fender NINE 2を取り上げます。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:10hz-21khz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:110dB
- ケーブルコネクタ:Talon 2pin
パッケージ
イヤホンのパッケージはこの価格帯では標準クラスです。FenderのNINEシリーズはだいたいこの共通パッケージに入っており、Fender SureSeal tipsが付属しています。
装着サンプル
カスタムIEMのようなデザインをしており、比較的すんなり耳に収まります。遮音性も悪くありません。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [SureSeal MP装着時]左右別
- [SureSeal MP装着時]左右平均
- [SureSeal MP装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [SureSeal MP装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
全体として見れば、低域が強く、ベースとバスドラムを重視したような厚みと重みのある低域が特徴的です。中域上部は凹んでおり、奥行き感のある音場になっています。ボーカルは比較的ナチュラルで理性的ですが位置的には少し奥に聞こえるでしょう。のちほど比較しますが、ベースが生きる黒みのあるロックが好きな人にはNINEシリーズの下位機種の中では最もおすすめできます。ウォームでダークなサウンドになっています。
ダークで黒みがあり、少しシックさがあるのが特徴です。印象的にはドライで重厚、熱気のある音楽空間を実現しています。エレキギターも中高域に少しギラつきがあるので艶っぽさはありますが、黒みのある引き締まった音がします。アコースティックギターも少し黒い小麦色をしながらもエッジの色づきに色気があるので、かなり楽しめます。どちらかというと静寂感があり、少し大人びて音楽を楽しめます。
Fender NINE/NINE 1との比較
上のグラフはイヤーピースをAET07に変更して共通化し、測定値に自由音場補正をかけています。FenderのIEMシリーズについては価格comが面白い記事を書いています。是非参考にして欲しいのですが、その記事中に「帯域バランス&音調傾向グラフ」というのがあり、これが実に面白いです。たぶんこれはFenderが公式に用意したものではなく、ライターの高橋敦さんが作成したんだと思います。上の周波数特性を見ながら読むと「なるほど!」とニヤニヤできます。
で、まずすぐ気づくのは高橋敦さんも指摘しているのですが、NINEとNINE 1はわりかし近似的で低域から中域には差がないので、サウンドキャラクターにあまり差が無いのに対し、わりとNINE 2はベースやドラムの厚みがより中域に向かって意識され、中域は後方傾斜的になり、中域下部の充実感が重視される音質に変更されているということです。そういうわけで、中域付近はより熱気が強く、ライブ感が感じられるサウンドになっています。これら3機種の中では最もウォームでダークな音がすると言えるでしょう。高橋さんはメロウ感の高さを指摘していますが、実際アコギも深みのある色気があって甘味があります。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはSureSealのMサイズ、ゲインは低設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
NINEシリーズの低価格モデル3機種の中では最も落ち着いて大人びた、メロウなサウンドがします。ベースやバスドラムに量感と暖かみを求める人、ウッドベースに充実感が欲しい人はこれを選ぶとかなり満足できるでしょう。ロックだけでなく、JAZZや弾き語り曲、室内楽も濃厚感重視で楽しめると思います。
Fender NINE 2 [Competition Orange] 9.25mmダイナミック1基+BA2基 ハイブリッド型イヤホン IEM2pinコネクター採用
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