「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
NUARLは日本の完全ワイヤレスイヤホン市場ではちょっとしたスタープレーヤーです。同社は2018年に非常に有名な完全ワイヤレスイヤホンNUARL NT01AXをリリースしました。その素晴らしい音質と品質は多くの人を驚かせ、たちまち虜にしました。NUARLは日本の完全ワイヤレスイヤホンメーカーとしても珍しい研究開発型の商品展開を行っており、ドライバーの品質にこだわっています。
NUARL N6 Proには単層カーボンナノチューブとPEEKという2枚の振動膜を真空蒸着して貼り合わせた「SWCNT複合振動板」が採用されており、これとNT01AXでも採用されていたHDSS技術を組み合わせることで、歪みの少ないピュアなサウンドを実現しています。こうして完成されたN6 Proのサウンドは完全ワイヤレスイヤホンとは思えない自然で立体的なものとなっており、立体的な音場表現にこだわるユーザーには特に強い訴求力を持つ製品に仕上がっています。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:11h/55h
- 防水性能:IPX4
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
パッケージ
イヤホンのパッケージ全体のデザインはこの価格としては普通のほうです。AVIOTとNUARLのパッケージはだいたい似ており、付属品もだいたい似ています。パッケージには黒いシリコンイヤーピースとSpinfit CP360の含まれており、専用充電ケース、専用充電ケーブル(USB Type-C)が含まれます。付属品は少し豪華です。
装着サンプル
ハウジングはやや大きめです。出っ張りが少し多く、耳が小さい人ですと、やや側面からイヤホン本体が出っ張って見える可能性はあります。耳にうまくフックするイヤーループがついており、装着感は快適です。
接続品質
価格帯ではかなり優秀な方です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では良好です。距離耐性も優秀らしく、5m離れてもシームレスで乱れはありません。遮蔽物があっても大丈夫なようです。ただしあくまで私の場合ですが、接続した最初の頃に通信が乱れる傾向があります。
またホワイトノイズはほんのかすかにありますが、敏感な人でないと気にならないのではないかと思います。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [Spinfit CP360 S装着時]左右別
- [Spinfit CP360 S装着時]左右平均
- [Spinfit CP360 S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [Spinfit CP360 S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [黒シリコンM装着時]左右別
- [黒シリコンM装着時]左右平均
- [黒シリコンM装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [黒シリコンM装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
周波数特性を見るとご覧の通り、比較的フラットになっていますが、中域はやや凹み、そこから中高域にかけての傾斜はわずかに強く、高域はかなり伸びている様子が窺えます。U字型と定義するのが良さそうな気がします。
このことにより、中域はわずかに乾き、少し音が薄く清潔で、高域ではハイハットのクラッシュがやや派手に聞こえやすいです。そしてトランジェントが強めで音の輪郭ははっきりして聞こえ、リズムは非常にパリッとしていて明快ですが、それが音楽全体にデジタルな雰囲気をもたらしてもいます。少し若い感じはあり、音場の全体は明るく、すっきりとさわやかに見渡せる感覚があります。高域でわずかに刺激が強いところがあり、シャリシャリ感はわずかに強くなる傾向がありますから、そうした刺さりに敏感な人には若干好まれない可能性があります。また低域は厚みが感じられますが、重みや深さ、床鳴り感は相対的に抑えられており、わずかに浮き上がりが良い印象を受けます。
中高域は相対的に隆起しているので、アコースティックギターは金属的でかなり粒立ちが細かくアルペジオが利いており、ギラつく程度のきらびやかさがあり、私には魅力的に聞こえます。超高域の落ち着きによって中域には甘やかな雰囲気もあり、女声ボーカルを魅力的に聞かせるでしょう。そのボーカルのボディはやや薄く、スッキリ傾向で聞こえます。わずかに子音は強調されやすいです。
音場全体は高さと奥行き感があり、風通しも良く見渡せる広さがあります。音場を重視するリスナーには非常に好ましく思えるはずです。爽やかでのびやかな、明るい雰囲気が好きならこのイヤホンを愛さずにはいられないでしょう。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはKANN CUBEを用いています。aptXで接続しています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
音質的には非常に完成度が高いとしか言いようがなく、1万円台の完全ワイヤレスイヤホンで探す場合、定番機種と言って間違いありません。やや音が明るさに傾いており、高域のシャリシャリしたあたりが刺激的に聞こえる可能性がありますが、それを除けば、比較的すっきりと見通しよく奥行きのある音を楽しめます。音の実体感の点でも厚みは適度に調整されており、清潔な空間を持っていますが、不自然なほど音が細く聞こえるということはないでしょう。
ビルドクオリティやパッケージの点でも全体的な完成度が高く、高級感があり、audio-sound@hatenaはこの製品を文句なく「Highly Recomennded」に値する機種として推奨致します。
購入にはお得なトレードアッププログラムが利用できます
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