「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はTribit Flybuds 3です。Tribitはワイヤレススピーカーやワイヤレスイヤホン製品を製造している中国のブランドです。低価格帯の中国製メーカーの中では品質面でかなりまともなほうです。
Flybuds 3は以前紹介したFlybuds 1と同じく同社の主力完全ワイヤレスイヤホンFlybudsシリーズの機種です。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:5h/100h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号: 210-140792
パッケージ
価格帯ではパッケージはそれなりに上等で標準以上です。付属品はイヤーピース、充電用ケース、充電用ケーブル(Type-C)、説明書です。充電ケースにはモバイルバッテリー機能もあります。
装着サンプル
丸っこい本体です。私には耳への収まりが良く、遮音性も良好です。ただし耳が小さい人には少し安定しないかも知れません。
接続品質
価格帯ではそれなりに優秀です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では接続は良好です。距離耐性も優秀らしく、5m離れてもシームレスで乱れはありません。ただし遮蔽物があると切断されました。
ホワイトノイズはほとんどないと思います。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 S装着時]左右別
- [AET07 S装着時]左右平均
- [AET07 S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(ダブルフランジ) S装着時]左右別
- [標準イヤーピース(ダブルフランジ) S装着時]左右平均
- [標準イヤーピース(ダブルフランジ) S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(ダブルフランジ) S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(シングルフランジ) S装着時]左右別
- [標準イヤーピース(シングルフランジ) S装着時]左右平均
- [標準イヤーピース(シングルフランジ) S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(シングルフランジ) S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Sサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
私の個体の測定値にわりと露骨な左右差がある理由はよくわかりません。
全体を見ると穏やかなU字型といった形をしています。わりと中域から中高域にかけてがフラットに近く仕上がっており、高域は適度に分析的なので、モニター的な印象を受けるかも知れません。
低域は重みに強調がありますが、厚みはそれほど強調されず、わりと見通し感は良いです。重低域の地熱も強くなく、適度な床鳴り感はありますが、中域に熱気が滲み出す感じはほとんどありません。低域弦楽の濃厚感などには少し欠ける印象を受けると思います。
中域は低域からの繋がりはわりと自然ですが、厚みを抑えて適度に清潔になっており、また色づきもわりと良好です。ボーカル周りは結構清潔でフォーカス感が良く、ロックでも埋没感はありません。中域の空間は透明感があるのでエレキギターはかなり色づきがくっきりしています。ボーカルはやや後退的になりやすく、わりと理性的ですが息の伸びと抜けが感じられるので、媚びる感じはありませんが、スリムで清楚な雰囲気があります。息遣いは比較的はっきり出ます。
高域は少し賑やかですが、それほどギラつかず、音像の提示が丁寧に感じられます。少し手がかりは強調され音の輪郭はソリッドですが、硬さを強く出す感じではありません。刺さりに繋がるシャープネスは抑制的で、うるさげな感じはありません。シンバルの粒立ちの粒子が細かく、輪郭はしっかりしていて完全に滑らかではないのでシルキーではありませんが、粉雪のような清涼感があります。
中域周りのマージンが意外と広く、レンジ感が感じられ、奥行きもあり、わりと整理された音場を持っているうえ、高域にきつい感じがないので聞き心地が安定しています。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピースのシングルフランジのSサイズ、コーデックはSBCです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
個人的には聞き心地が安定しており、わりと広い音場で、かつ低域の重みがしっかりしていて、低域ジャンキー傾向のある私をちゃんと満足させてくれるライブ感があるのが好きな機種です。ややドライでもさっとしますが、中域以上は引き締まっていて音の色づきもわりと感じられるのに、歪みが少なく静寂感もあり、輪郭が丁寧な点に好感を持っています。
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