KINBOOFI KBEAR DIAMOND 高音質イヤホン コネクター2pin カナル型イヤホン DLC類ダブル複合クリスタルダイアモンド振動膜 モニター 中華イヤホン
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
Kinboofi(これで「キンボファイ」と読むらしい)系のブランド「KBEAR」からリリースされたKB EAR DIAMONDは1万円付近の価格帯では比較的人気のあるイヤホンです。一部の海外レビュアーはMoondrop Starfieldと並んで、この価格帯最高の高コスパイヤホン候補に入れているくらいです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:20hz-20khz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:112dB
パッケージ
イヤホンのパッケージ全体はこの価格帯では少し豪華な方です。イヤーピースの替え(4種類)、キャリイングケース、説明書が付属しています。キャリイングケースはしっかりした作りでこの価格にしては良好ですし、イヤホン本体のビルドクオリティ、ケーブルのクオリティも高いです。付属イヤーピースも1万円にしては数が多めです。
装着サンプル
ハウジングはやや大きめです。私は耳が大きいのか装着感はなかなか快適だと思っていたのですが、HATS(測定用ヘッド)のSサイズの耳には収まりが悪く、装着感の調整に苦労しました。おそらく耳が小さい人には少しはめ込みづらい形をしています。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [赤軸シリコンM装着時]左右別
- [赤軸シリコンM装着時]左右平均
- [赤軸シリコンM装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [赤軸シリコンM装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [グレーシリコンM装着時]左右別
- [グレーシリコンM装着時]左右平均
- [グレーシリコンM装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [グレーシリコンM装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
周波数特性を見るとご覧の通り、いわゆるドンシャリなV字型といった形をしています。しかしぶっちゃけたところ、私が聴いた感じ、私はわりかしU字に近いマイルドなサウンドに聞こえましたので、インプレッション記事でもそのように書いております。その後いろいろ他の方のレビューを渉猟した結果、今ではV字派に転向したのですが、このイヤホンには一般的なドンシャリイヤホンにあるどぎつい感じがありません。
そのイメージを伝えるのに役に立つと思うので説明するのですが、私が最初U字と判断した理由の一つは、まず中域の傾斜がゆるいことです。そのためボーカルにきついシャウト感が出ることなく、比較的穏和に聞こえます。また息の伸びや子音の尖りは少しあるのですが、ハスキーさも清潔できれいなために、ドンシャリと聞いて通例想像される、サビで極端に明るく伸びていったり、子音が露骨に尖るような元気なボーカル表現はここにはあまりありません。ボーカルは適度に落ち着いています。波形全体の中での中域の底が比較的平坦で広いので、楽器音もわりとリラックスしており、ドンシャリにありがちなアタック感やエッジの強調はあまりなく、パワフル感重視の味付けになっています。低域の温かみもあり、私にはマイルドでドンシャリらしからぬ感触でした。
そういうわけで、通常のドンシャリで想像される、メリハリの利いた音を期待していると、意外とこの機種の音はゆったりしているのに驚くでしょう。
中域の引っ込みによって、音楽の主要部分はドライに聞こえますが、中高域では少し潤いを感じます。このあたりではピアノ音には意外としっかりした輪郭があり、柔らかい中でもそれなりにはっきり目立って、ソリッドでしっかりした稜線を描きます。そのため、音質はマイルドですが、マイルドな音にありがちな骨格がぼやけた感じがなく、音楽の骨組みはしっかりと構築的に聞こえます。またリズム系のスネアはパワフルなたたき込み感はあるのですがアタック感は適度に落ち着いていて、シャープなリズム感を求めている人には、ドンシャリのくせにメリハリが少し緩く感じるかも知れません。スネアよりはアコースティックギターが目立ちやすく、むしろ場合によってそちらがリズミカルでグルーヴ感の主役に聞こえるくらいです。
低域は少しぼんやりしていて熱気が強く、ディテール感には優れていないので、籠もる音が苦手な人には向きません。ベースとドラムキックが少し混じり合って聞こえるくらいの穏和な雰囲気です。
総合すると周波数の形的にはV字型と言えるだろうが、聞こえ方は非常にマイルドでU字に近い雰囲気で聞こえる耳に優しいドンシャリで、低域の暖かみが中域上部くらいまで滲んでいる調和的な雰囲気の中で音楽が聞こえます。ヒップホップなんかかなり気持ち良く聴ける気がします。
私はNe-Yoの「So Sick」とかEd Sheeran「The A team」みたいな曲をこのイヤホンで聞くのが好きです。率直に言ってドンシャリな割に全体的なディテール感やメリハリに優れているとは言えませんが、とにかく聴き心地が良く、温かみのあるポップスなんかを聴いているうちに深い味が出てくるようなサウンドです。しかし、アコースティックギターは粒立ちがよくリズミカルに聞こえやすく、暖かく魅力的に思えます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはKANN CUBEを用いています。ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
音質的には1万円くらいの機種では非常に魅力的な機種の一つです。しかし、この機種については私は「音質的にはMoondrop Starfieldに比べて王道ではない」などと記事に書いたりもしており、全体的なバランスではMoondrop Starfieldよりは万人向きではないと考えているのは事実です。何より一部の人には低域が多すぎるでしょう。
しかし、ビルドクオリティとパッケージ内容、ポップスやヒップホップなど暖かみのある音楽に対する非常に素晴らしい適応性を評価し、最終的にはStarfieldより高い評価の「Highly Recommended」に値するイヤホンとしてこの機種を評価したいと思います。海外での販売価格がStarfieldとそれほど差がないのに、国内での購入価格が圧倒的にStarfieldより安いのも考慮しました。
装着感の問題など欠点がないわけではありませんが、やはりこの機種は素晴らしい魅力を持っています。
KINBOOFI KBEAR DIAMOND 高音質イヤホン コネクター2pin カナル型イヤホン DLC類ダブル複合クリスタルダイアモンド振動膜 モニター 中華イヤホン
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