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【中華イヤホン AUDIOSENSE T800 フラッシュレビュー】透明感のあるU字に近いウォームニュートラルサウンド。全体的に見通しが良く、サクサクしていて、音の手がかりがはっきりしているが、エッジやシャープネスには適度な抑制が利いており、聴き心地が良い

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AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800 Knowles 8 バランス アーマチュア ドライバー HiFi IEMs 取り外し可能なMMCXケーブル付き 3D プリント樹脂シェル

 

 

 「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。

 今回取り上げる製品はAUDIOSENSE T800です。AUDIOSENSEについては日本ではあまり知られていませんが、このT800はスペック的にコスパが非常に優れていることで話題になり、さらに音質も非常に良かったことから、海外では3万円台の中華イヤホンの定番機種となっています。

 T800についての海外の秀逸なレビューについては以前記事にまとめましたので、そちらを参照下さい

www.ear-phone-review.com

 

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 audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。

 

基本スペック

  • 周波数特性:5hz-22khz
  • インピーダンス:9Ω
  • 感度:90dB
  • ケーブルコネクタ:mmcx

 

パッケージ

 イヤホンのパッケージ全体はこの価格帯では標準的なレベルだと思われます。大きめのペリカンケースが入っており、それが若干プレミアムに感じさせる可能性がありますが、付属イヤーピースやケーブルの品質、本体のビルドクオリティは価格に比べて特別優れているというほどではありません。

 

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

 

装着サンプル

 ハウジングは厚みがそれなりにありますが、装着感は良好で、遮音性も悪くないでしょう。

 

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

 

音質

測定機材

  • SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
  • AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
  • マイクプリアンプ:Type4053
  • Type5050 マイクアンプ電源
  • オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
  • アナライザソフト:TypeDSSF3-L

※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。 

www.phileweb.com

 

周波数特性

 上から順に、

  1. [AET07 M装着時]左右別
  2. [AET07 M装着時]左右平均
  3. [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
  4. [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
  5. [標準シリコンM装着時]左右別
  6. [標準シリコンM装着時]左右平均
  7. [標準シリコンM装着時]左右別(自由音場補正済み)
  8. [標準シリコンM装着時]左右平均(自由音場補正済み)
  9. 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
  10. 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)

※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。

※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。

www.s-acoust.jp

 

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

 

 全体として見れば、ほとんどニュートラルですが、中域下部から中低域にかけてが少し凹んで重低域に向かって深く傾斜しているのと、高域は高くまで減衰していませんが、強調があまりなく凹凸感が少ないことがわかります。ほとんどフラットあるいはニュートラルに近い音でモニター的と言えますが、低域は重低域の重み、深さ、床鳴り感に重み付けされているので、モニター的ではありません。

 すでに海外のレビューまとめを読んだ人はU字型という評価があるのをご存知のはずで、実際中域下部の凹んだ感じは、中域に清潔感をもたらしており、U字型独特の低域と中域が少し分離された、それなりに見通しの良い感覚に貢献してます。また中域の傾斜具合はボーカルをわずかに明るくさせており、低域の深いところの隆起を考えると、U字型という解釈も成り立ちます。しかし、全体のパワーバランスは中域がわずかに凹んでいますが、ほぼ均等でバランスが良いと言えます。

www.ear-phone-review.com

 

 海外のレビューまとめを読んだ方は、それぞれのレビュアーに一定の差はあるにしろ、音が明確でニュートラル、そして真面目というイメージを持っていると私は想像するのですが、そのイメージは全く間違っていません。

 率直に言ってT800の音は音楽的というよりはモニター的で真面目です。高域で開放感を強調しないので、高域音はややディテール感が強めに手がかりが多く、ボーカルのニュアンス(子音と息)にも少し強調があります。人によってはボーカルの息の穂先くらいのあたりで少し音が硬い手がかりを強調しているのが気になるかも知れません。ガチャガチャはしませんが、カシャカシャしているという印象は受ける可能性があります。

 ボーカルは息継ぎと子音は強調されますが、それが尖って不快に感じると言うほどではないはずです。ボディは少し薄く、声質には清潔系の若い清楚な雰囲気が出ます。たとえば、やなぎなぎ「ユキトキ」のような曲を聴くと、暖かい感じよりは、すっきりした少しハスキーな雰囲気が強調される、そんな清潔感があります。シャウトはわずかに強調されますが、一般に清潔で息の伸びの方が長いので、スーッと抜けるでしょう。

 中域下部から中低域にかけては清潔感重視で、深くなるほど音が重み付けされる、ややライブ感重視の味付けがされています。必然的に低域はウォームな雰囲気を持っていますが、低域の上部は清潔なので、低域弦楽などはタイトで清潔な音に聞こえるはずです。中域は低域から少し浮き上がって聞こえます。

 

iBasso AM05との比較

 全体的な印象はウォームなフラットあるいはバランス/ニュートラルサウンドとでもいうべきものになるでしょうが、しかしそれは同じ価格帯のもう一つの機種、iBasso AM05を形容する同じ言葉とは意味合いが異なります。

www.ear-phone-review.com

 

 以下はAUDIOSENSE T800とiBasso AM05の周波数特性の比較グラフで、T800は標準イヤーピースM、AM05は標準添付の青軸イヤーピースMで測定したデータを比較したものです。1khzで交差するようにグラフは調整されています。

AUDIOSENSE T800 vs iBasso AM05

 

 さて、まず言えることから確認していくと、T800はAM05に比べてドンシャリであり、より高域が強くて明るく、深みや重さの点でもよりはっきりした、全体的にメリハリのある音を奏でる傾向があるということです。一方でAM05にあった厚みのある豊かな感じはあまりありません。

 一般にディテール感の点ではAM05より優れているでしょうが、中域の豊かさ、充実感ではAM05の厚みのある音楽的な音は出せません。低域の深いところ、ベース音やドラムの重厚感、床鳴り感の点でT800はライブ感のある音を出してくれ、それが何人かのレビュアーをして、「バランスドアーマチュアらしからぬ」低域と評する根拠となっています。私の聴いた感じでは、そうとはいえダイナミック型のような迫力には欠け、ベースヘッド(低域愛好者)を満足させるレベルとは思えず、その音はバランスドアーマチュア的に聞こえるのですが、この重低域の利きが高く評価されるポイントであることは間違いありません。

 AM05に比べて、T800の音は明るく、手がかりも多く、そして少し軽っぽい、上に引き延ばされたような感触の音であると言えます。低域の深みと重みがあるにも関わらず、AM05の表現に比べて重心は軽いと感じるのではないでしょうか。少なくとも中域はモニター感を意識した、明らかに現代的な楽曲向きの清潔な雰囲気があります。

 

レコーディングシグネチャー

 レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。

www.ear-phone-review.com

 

 参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。ゲインは高設定、使用イヤーピースは標準添付のMサイズです。

www.ear-phone-review.com

 

 レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。

www.falcom.co.jp

 

JAZZ

anchor.fm

 

OST

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クラシック

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ロック

anchor.fm

 

総評

 透明で明瞭でありながら、前進的な中域音と主張は強くないものの、かなり高いところまで伸びている高域、深くてライブ感のある低域といった味付けになっており、現代的な曲を見通しよく、音数を比較的正確に把握しながら楽しむのに向いている製品です。音質的には真の意味での万能に近い雰囲気があり、若干無機質で音楽性に乏しい気がしますが、艶やかでくっきりしつつも、色味がしつこくない、清潔感のあるバランスの良い音を持っています。

 

 パッケージ内容は必ずしも豪華と言うほどではありませんが、価格の標準をクリアしており、DT200の例を考えると、ビルドクオリティには若干心配なところはありますが、一般に音質はディテール感がよく、おそらくかなりの数のオーディオファンの心をくすぐる味付けです。メタルを含めたスピード感のあるロック、ハイファイ系のデジタルポップス、EDMなどに優れた表現力を発揮してくれるのではないでしょうか。

 

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800

AUDIOSENSE T800 Knowles 8 Balanced Armature Driver HiFi IEMs Earphone

 

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