《在庫あり》Audiosense Earphone T300 [T300]【楽天】
- AUDIOSENSEのことなら秋葉館
- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
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- 総評
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「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる中華イヤホン製品はAudiosense T300です。
AUDIOSENSEについては日本ではあまり知られていませんが、コスパの良いマルチドライバーIEMを作っていることで一部のオーディオファンに人気が高いブランドです。とくにこのブランドを一躍有名にしたのがAUDIOSENSE T800で、バランスドアーマチュアドライバー採用機らしからぬ深い低域と独特の歯切れの良いクリスピーなサウンドが好評を博し、オーディオコミュニティで好評をもって迎えられました。
最近ではフラッグシップモデルであるAQ7をリリースしています。一般的にはT800で知られているメーカーですが、低価格機からミドルレンジまでカヴァーしており、ラインナップは豊富です。
AUDIOSENSEのことなら秋葉館
なおこのレビューは秋葉館さんからレビュー用レンタルサンプルを提供していただいています。秋葉館さんはAUDIOSENSE製品を実店舗、通販で取り扱っており、そのパッケージはすべて国内正規品になります。店頭にも試聴機が置かれているので、AUDIOSENSE製品に興味がある方は秋葉原に行くことがあったら是非寄ってみて下さい。アクセスはこちらのリンクでご確認頂ければと思います。
また、AUDIOSENSE製品の通販リンクはこちらになります。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- ドライバー構成:3BA
- 周波数特性:20hz-22khz
- インピーダンス:27Ω
- 感度:107dB
- ケーブルコネクタ:mmcx
パッケージ
今回は見本サンプルなので、製品版のパッケージとは内容が一部異なる可能性があります。
イヤホンのパッケージ全体はこの価格帯では標準的なレベルだと思われます。キャリイングケースや付属イヤーピース、本体のビルドクオリティでおそらく不満を感じることはありませんが、今回試した個体の左側のケーブルのmmcxの噛み合わせは少し悪い気がします。
ノズルについて
ノズルはWestoneなどと同じ、細いタイプです。一般的なイヤーピースを取り付ける場合は調整ゴムリングなどを付ける必要があります。
装着サンプル
WestoneやShureの製品を意識したイヤーモニタースタイルのハウジングで小型です。遮音性も良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [標準シリコンS装着時]左右別
- [標準シリコンS装着時]左右平均
- [標準シリコンS装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準シリコンS装着時]左右平均(自由音場補正済み)
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
全体は低域が隆起したウォームサウンドです。
THD+N特性
上は周波数帯域ベースのTHD+N特性、下は1khzでの音量レベルTHD+N特性です。THD+N特性は1%以下で、満足できる品質です。
音質解説
率直に言って、T300のサウンドは私には難解で、チューニング意図がよくわかりません。奥行きが強調されている割に高さが足りないので、ボーカルが異様に浮き上がって聞こえ、多くの曲で一番高い位置の近くで聞こえます。個人的には余裕がない感じで聞こえ、落ち着きません。
低域は比較的フラットで、少しリラックスして聞こえます。ノイズ感は少なくモニター的で、リズムは明瞭です。レイヤリングは良好で見通しも良く、キックとベースではわずかにキックが強いように思えます。透明度は高く、質感的には自然です。
低域から中域への繋がりは自然です。中域の構造は独特で、大抵の曲でボーカルは最前面に近く聞こえます。中域の奥行きはありますが幅はほどほどで、高さも足りないので、ボーカルの後ろくらいに楽器が地平線を這う形でずらずらと並んでいるように聞こえ、少し窮屈に思えます。分離感はしっかりしていますが、定位は少し奇妙で、ボーカルが時々一番高い位置にいるように聞こえ、時々その下あるいは斜め前からハイハットが聞こえるように思えます。ステージの下の方から音楽を見上げているような感覚があり、最初はかなり違和感を感じました。ただしイメージングは良好で、中域は響きが印象的で音楽的に聞こえ、活き活きしています。
高域はすでに述べたように少し高さに不足を感じます。高域単体のチューニング自体は悪くない気がしますが、中域や低域とのバランスはあまり取れていません。天井が低く聞こえるので、ダイナミズムに欠ける印象を受けるでしょう。
全体として音楽的なグルーヴ感は豊かで中域は非常に印象的ですが、ダイナミズムに欠け、妙に縦軸でコンパクトに音楽がまとまって聞こえるところがあります。
AUDIOSENSE AQ3/DT200/T260との比較
T300は価格的に1万円台前半に位置しますが、1万円台はAUDIOSENSEの製品ラインナップの中では比較的主力の価格帯です。ここでは同じく主力帯で競合するAQ3、DT200と、もう少し下の価格帯ですが、音質的に競合するT260を取り上げ、T300と比較し、その立ち位置を明確にしたいと思います。
AQ3とDT200の比較
まず人気機種であるAQ3とDT200ですが、一見してわかるように両者は非常に似たサウンドシグネチャーを持っています。厳密にはAQ3のほうがよりレンジで優っているので音場が広く、ディテールも強調され、よりモニター的に聞こえ、DT200はより中域へのフォーカスが良く、質感を重視した音楽的なサウンドに聞こえるという人が大半でしょう。しかし雰囲気はほとんど共通です。下の録音音源で聴き比べていただければ、それはすぐに納得していただけるでしょう。
録音比較
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
T300とDT200の比較
そのうえでT300とDT200を聴き比べてみますと、T300は非常にウォームで安定し、濃いバターのような濃厚感があって充実しているように聞こえるところがあるのがわかりますが、高域方向が異様に奥まっていて、一部の音がすごく遠いところにいるような定位になっていることがわかると思います。自然な立体感ではありません。T300を高く評価する人もいるので、口にするのは些か憚られるところがありますが、私には率直に言って、心地よくない音です。
録音比較
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
T300とT260の比較
では、同じように中域を重視しているT260はどうでしょうか。あくまで私の感覚からすると、T260のほうが音場は自然に聞こえます。T260の音に比べるとT300の音は低域から中域までが濃厚でリッチに聞こえるのは良いですが、リッチすぎてうるさい気がします。人によっては濁っていると感じるでしょう。T260のほうがより透明度が高く、ナチュラルに中域のリッチ感を出しているように思われるので、私はT300とT260だったら、T260のほうが相対的に好みです。
録音比較
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピース Sサイズを使い、ゲインは低設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
AUDIOSENSE T300はAUDIOSENSE随一のリッチサウンドを持っており、音楽において充実感を重視するリスナーの愛すべき1本になるかもしれません。しかし、その音質はバランスが悪く、音場が些か奇妙に思えます。T300は個性的なサウンドを追求するAUDIOSENSEらしい面白みを感じるところもありますが、かなりニッチな製品ではないでしょうか。私にはこの音を理解するのはかなり困難だったので、今回借りたAUDIOSENSE製品の中でおそらく一番時間をかけて聞きこみました。しかし、結果として私はいまいちこの機種に心惹かれることはありませんでした。音響特性上のスペックや使い勝手の上で問題がある機種ではないので、レビュアーとしてのおすすめ度はわりと好意的になりますが、個人的には刺さるところがなかった機種です。
《在庫あり》Audiosense Earphone T300 [T300]【楽天】
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