AVIOT TE-D01m ワイヤレスイヤホン Bluetooth イヤホン (ブラック)
- 基本スペック
- 競合機種との比較表
- AVIOT TE-D01mの特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- インターフェース/操作方法
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 総評
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今回取り上げる機種は最新の完全ワイヤレスイヤホン、AVIOT TE-D01mです。
AVIOTはプレシードジャパン(旧バリュートレード)のオーディオブランドで、日本人の感性に合わせた音作りを理想としています。とくに完全ワイヤレスイヤホンではNUARLと並んでスタープレーヤーとなっており、新興であるにも関わらず、市場で大きな存在感を持っています。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:10h/50h
- 防水性能:IPX4
- 対応コーデック:aptX adaptive/aptX/AAC/SBC
- 技適番号:210-144992
競合機種との比較表
Padmate PaMu Quiet | Earfun Air Pro | Tronsmart Apollo Bold | AVIOT TE-D01m | Buttons Air X | |
タイプ | カナル型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 |
連続再生時間 | 4h | 7-9h | 4-10h | 7-10h | 8h |
最大再生時間 | 12h | 32h | 30h | 50h | 40h |
対応コーデック | aptX/AAC/SBC | AAC/SBC | aptX/AAC/SBC | aptX adaptive/aptX/AAC/SBC | aptX/AAC/SBC |
防水性能 | IPX4 | IPX5 | IP45 | IPX4 | IPX4 |
ANC性能(10) | 8 | 9 | 8.5 | 5 | 6.5 |
ヒアスルー(10) | 8(やや集音的) | 8(自然) | 8(自然) | 7(自然) | 7(自然) |
音質傾向 | U字型 | 弱U字型 | V字型 | U字型 | 強U字型 |
AVIOT TE-D01mの特徴
最新チップQCC3040を搭載し、高音質コーデックaptX adaptiveに対応、オンガクをより長く
AVIOT TE-D01mは通信SoCとしてQualcomm社の最新完全ワイヤレスイヤホン用オーディオチップであるQCC3040を採用しています。QCC3040は定番の高品質完全ワイヤレスイヤホン用SoCであったQCC3020の後継製品で、最新のコーデックaptX adaptiveに対応しています。これにAVIOT独自の省電力技術を組み合わせることで、イヤホン単体で最大10時間もの長時間再生が実現されています。
クリアな通話品質
AVIOT TE-D01mは通話品質を⾼める為、⽶国Knowles社⾼品位マイクを4基搭載しました。通話中の外来ノイズを軽減するcVcノイズキャンセリング機能との相乗効果で、移動中やテレワークでも、よりクリアな⾳声が相⼿に届くとされています。テレワークでのコミュニケーションにも十分に活躍してくれます。
音質を変化させないマイルドANC&ヒアスルー
AVIOT TE-D01mはアクティブノイズキャンセリング(ANC)機能が搭載されています。そのANCは⾳質への影響がほとんどなく、⾼精度なノイズキャンセレーション効果を実現する「マイルドANC」です。そのANCは強力ではありませんが、帯域全体でノイズを軽減し、音質への影響は最小限になるよう丁寧にチューニングされています。
パッケージ
パッケージは価格帯では少し豪華です。外箱デザインは透明なスリーブボックスタイプになり、イヤホン本体が取り出しやすくなったほか、パッケージ全体の高級感が向上しています。付属品も不足がなく、この価格帯のイヤホンとして十分な満足感を得られる開梱体験をもたらしてくれます。
付属品にはイヤーピースの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、説明書などが含まれます。
イヤホン本体のデザインはAVIOTの伝統を受け継いでいて、エングレービングされた芸術品のような印象を与えます。
装着サンプル
それなりに耳への収まりは良いですが、耳から出る部分は少し多いように思えます。装着感は比較的良好で、耳が小さい人でも収まりは良いと思われます。
音楽再生中にLEDが光ることはありません。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。ただし遮蔽物があるととたんに接続は不安定になり、接続は維持されるようですが、音楽は途切れ途切れになり、まともに聴くのは困難でした。
ホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。ただし敏感な人には気になりそうな気がします。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはフェースプレート部分にあり、タッチ式です。
電源ON
ケースからイヤホンを取り出すと、自動で電源ONになります。
電源OFF
イヤホンをケースに収納すると、自動で電源OFFになります。
またイヤホンに通信がない状態で5分経過すると、自動で電源OFFになります。
ペアリング
イヤホンは接続先がないと自動でペアリングモードになります。
またいずれかの機器に接続中でも、左右どちらかのイヤホンを6秒長押しすると機器との接続が解除され、ペアリングモードになります。
リセット方法
イヤホンをケースに収納して、左右のマルチファンクションボタンを同時に12秒間長押しします。LEDインジケーターが白色で1回点滅したらリセット成功です。
曲再生/停止
左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップします。
曲送り
右耳側のマルチファンクションボタンを2回タップします。
曲戻し
右耳側のマルチファンクションボタンを3回タップします。
音量を上げる
左耳側のマルチファンクションボタンを3回タップします。
音量を下げる
左耳側のマルチファンクションボタンを2回タップします。
通話応答
着信時に左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップします。
通話終了
通話中に左右どちらかのマルチファンクションボタンを1回タップします。
アクティブノイズキャンセリング機能のON/OFF
右耳側のマルチファンクションボタンを2秒長押しします。
アンビエントマイクモードのON/OFF
左耳側のマルチファンクションボタンを2秒長押しします。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルー性能
ヒアスルーをONにすると、ホワイトノイズが少し聞こえます。ヒアスルーの効きは概ね自然です。自分の声は明るさや太さも不自然さがなく、聞こえる位置も自然です。
ANC性能
この機種のANCはあまり効果的とは言えず、多くの人にとってほとんど変化を感じないでしょう。それでも空調の音を聞けば、低周波がカットされるのがわかりますし、わずかに静寂感が向上しているのがわかるでしょう。
詳細についてはマガジンの記事で解説しています。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L/RightMark Audio Analyzer
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
マガジン専用コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
マガジン専用コンテンツになります。
THD+N特性
マガジン専用コンテンツになります。
音質解説
全体は中域を重視したサウンド構造になっており、比較的地味に聞こえるところがあります。聞き心地は良いですが、ダイナミズムに欠けると感じる人も多いかもしれません。中域に音が集まりやすい感じもあるので、人によってはいわゆる「かまぼこ」音質に思えることもあるでしょう。
※各評価項目はあくまでリファレンスサウンド(当サイトの機器測定における自由音場フラット)から見ての周波数特性データと私の聴感に基づく評価です。たとえば迫力のある低域を重視する人は「存在感」「太さ」「重み」「臨場感」が高い低域を好むと思いますが、このような音は本来最も重視されるべき「原音忠実度」はおそらくあまり高くありません。
再生機器にとって「原音忠実性」こそが最も重視されるべきというのはオーディオ界隈の共通認識であると思われますので、本ブログの音響機器の評価も「原音忠実性」を最も重視しています。
「原音忠実度」は基本的に高ければ高い方が多くの人にとって良いと思われますが、ほかの評価値は中間値である「B」を離れるほど原音忠実性が薄れます。そのため「S」や「A」はその音要素を好む人には最も心地よい音かも知れませんが、他の人には不快かも知れません。そして不快な音要素が決まっている人は、むしろその音要素が低い評価のものを選ぶとより心地よく音楽を楽しめると思います。
このように、当ブログでは原音忠実(リファレンスサウンド)からの距離を提示することで効率的にあなたの好みに合ったオーディオ機器を発見できるように工夫しています。
評価が高ければ高いだけ良い評価値というのは「原音忠実度」「クリア感」「おすすめ度」で、とくに「原音忠実度」+「クリア感」がオーディオ製品としての単純な優秀性を表します。
「原音忠実再生」についての参考動画:創造の館「いい音とは何か」
※以下のリンク先はpdfです。
低域(原音忠実度:B+/臨場感:C/深さ:B-/重み:B/太さ:B+/存在感:B)
低域は深いところはあまり強調されない、リラックスしたサウンドになっています。太さと厚みは強調されるのでボリューム感がありますが、重い感じは自然か、もしかすると少し抑えめです。
低域は人によってはやや浅い感じがあり、深いところはあまり強調されません。深いところが出ていないわけではないので、もしかすると意図的なチューニングなのかもしれません。低域は少し膨張感が強く、ぼんやりしやすいところはあるので、人によってはブーミーに思える可能性がありますが、聞き心地は優しい感じです。低域弦楽を聴くと重さはあまりないので、浮き上がりが良く、濃厚な感じで音に弾力が感じられます。
中域(原音忠実度:B+/厚み:B+/明るさ:B+/硬さ:B/存在感:B+)
中域は前進的に聞こえるようになっており、ボーカルはスポットライトを浴びて最前面近くに聞こえます。
中域はかなりはっきり聞こえますが、高域の派手さはかなり抑えられているので、音の質感は少し安定感が強く、素朴な雰囲気で聞こえます。ボーカルも明るい位置でよく聞こえますが、声色はむしろ穏やかで朴訥さすら感じる落ち着きがあり、人によってはわずかにアンニュイに聞こえるかもしれません。静寂感が十分あるので、ボーカルフォーカスはしっかりしています。音も硬くないので、くっきりと解像するような明瞭感もなく、全体的に飾り気はありませんが、とても聞き心地が良く、ゆったりと負担感なく聞けます。
高域(原音忠実度:C+/艶やかさ:C+/鋭さ:C+/脆さ:B-/荒さ:C/繊細さ:B-/存在感:C+)
高域はマイクロディテールはそこそこ強調されますが、基本的に地味です。
高域は音量を上げても荒い感触が出ることはまずありません。クラッシュ感はわずかに目立ちやすく、ギラツキも人によっては少し目立って聞こえる可能性があるので、人によって、シャリシャリした感じに聞こえるかもしれませんが、一般的には中域の印象が勝り、むしろおとなしいと感じることが多いような気がします。
グルーヴ/音場/クリア感(グルーヴの中心:中域/音場:B-/クリア感:B)
※一般にグルーヴの最も大きいところが最も活き活きと聞こえるので、音楽の中心になります。グルーヴの中心範囲の大きさは変動的です。グルーヴの中心は個人の音楽の好みを決定し、音響機器選択のヒントになります。音響機器のグルーヴの中心が個人の好みと離れている場合、むしろその不自然さが強調され、その音響機器を楽しくないと感じる可能性が高いです。音場の評価はBが自然な広さです。クリア感の評価は全高調波歪の測定値を参照して決めています。
このイヤホンのグルーヴの中心は一般に中域に存在すると思われます。
音場は奥行きが少し広いですが、横幅や高さ、深さは少しコンパクトかもしれません。
音質総評(原音忠実度:B/おすすめ度:C+/個人的な好み:A)
AVIOT TE-D01mの音は温和な中域音をきれいに聴かせてくれます。それは飾り気のない無垢な雰囲気の音で、静寂感もある落ち着いたサウンドです。低域が深いわけでもなく、音場が広い感じにも思えず、地味な中域音を聴かせるだけのように思えるAVIOT TE-D01mの音は、多くの人にとって、第一印象はもしかするとよくないかもしれません。しかし、その演出感に乏しいおとなしい聴かせ方は、とても素朴でどこかあか抜けないサウンドで、最初の物足りなさが消えるくらいまで聞き慣れてくると、都会の喧騒を忘れさせてくれるような安らぎをもたらす音楽に思える可能性があります。AVIOT TE-D01mの音は非常にマイルドで耳当たりの良いサウンドです。
私は率直に言ってわりと好きな音ですが、物足りない感じがするのも事実です。とくにディテール感とダイナミズムを強調する感じがほとんどありません。かっこよく音楽を聴きたい、爽快感がほしいというような人にはとてもつまらなそうな音です。ただButtons Air Xのサウンドに似た、鎮静作用のようなものがあり、聴いているだけで心が落ち着く感じはとても好きです。
音質的な特徴
美点
- 穏やかで素朴なサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- 静寂感がある
- 心が落ち着く
- 充実感がある
- 自然な甘み
- ボリューム感がある
- 中域に配慮し、調和している高域
- 安定的で聞き心地が良い
欠点
- 音場が少し狭い
- 明瞭性に欠け、解像感が低い
- レンジ感に欠ける
- 人によってはおとなしすぎる高域
- 地味な音
- 低域に深みがない
- 臨場感に欠ける
- ダイナミズムに欠ける
音楽鑑賞
ReoNa「雨に唄えば」
こういう素朴な弾き語り曲を静かに聴きたいときには、AVIOT TE-D01mはもしかすると最高の友かもしれません。ボーカルフォーカスはとても良く、また素直な声質でニュアンスも自然で、息遣いは少し強調されているように感じますが、その息遣いの抜けに歯擦音の刺さりが混じりません。音量を上げてもピーキーな感じはなく、聞き心地が安定しています。
Fonseca「Ven」
Fonsecaの曲の中でも個人的に大好きな曲のひとつです。このイヤホンの静寂感があって素朴な音作りはこの曲のノスタルジックな雰囲気によく合っています。何より中域の甘い感じがFonsecaの透明感のある声質に合っていて、とても耳に馴染んで聞こえます。アコースティックギターも色気を出しすぎないので、落ち着いていて、ボーカルを邪魔する感じは全くありません。派手さがなく、面白みがないようですが、静かに音楽に浸るにはとても心地良い音です。
Susan Wang「Man In The Mirror」
非常に静かで嫋やかなSusan WangによるJAZZアレンジカヴァーです。個人的にTE-D01mの聴かせ方はとても好きです。ボーカルフォーカスが非常にしっかりしており、ニュアンスも丁寧に聞こえ、ナチュラルで声に媚びや不自然な子音の尖りが出ません。Susan Wangの透明感のある歌声を本当に印象的で素直に聴かせてくれる、舞台装置がすべて整っているかのようなサウンドで、明るいけど少し柔らかみのあるピアノ、静かな背景から優雅に伸びるバイオリンのどちらも、ボーカルを引き立たせる静けさを意識して目立ちすぎることがありません。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。使用イヤーピースは標準イヤーピース(白)のSサイズで、コーデックはaptXです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
AVIOT TE-D01mは落ち着いて、温和で、静かな雰囲気の中で中域を丁寧に聞かせるイヤホンです。そのサウンドには派手なところや重低域が生み出す臨場感のようなものはありません。人によってはどちらかというと眠たい聴かせ方に思う可能性は高いでしょう。地味で素朴です。しかし、この朴訥とも思える聴かせ方は、どこかなつかしく、心休まる雰囲気があって、私はとても好きです。
機能面は悪くありませんが、ANCの効果はあまり感じられないなど、決して優秀な機種ではありません。また私の手に入れた個体は通信品質も堅牢とはいいがたいようです。
AVIOT TE-D01m ワイヤレスイヤホン Bluetooth イヤホン (ブラック)
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