- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はSURIA T12です。
SURIAはJoyhouseなどと同じく、福州ソウシアのブランドです。一般にあまり有名ではないかもしれませんが、福州ソウシアは楽天やamazonなどのECサイトを中心にガジェット製品を多数取り扱っており、中国メーカーの中でも日本展開に熱心なブランドな一つです。このブランドのモットーは「Made in China ≠ Cheap」を広く知らしめることにあるとしており、実際その製品は低価格でありながら高品質で、格安ブランドの中でも技術適合証明といった安全規格を丁寧に取得していることが知られています。
低価格でaptXに対応しているJoyhouse T11をレビューしたことがありますが、その品質から考えても、福州ソウシアはわりとアンパイメーカーです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:8h/40h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:210-138788
パッケージ
パッケージは価格帯では標準的か少し豪華です。付属品も不足を感じず、かわいいキャラクターのメッセージカードも結構愛らしいです。プレゼントにも悪くないかもしれません。充電コネクタはUSB Type-Cです。
本体のビルドはプラスチッキーですがクオリティは良好で、マットブラックとラメシルバーのシンプルなデザインは意外とエレガントで、高級感を感じます。
装着サンプル
装着感はわりと良好です。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では標準以上の接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5m離れてもシームレスにつながっています。また遮蔽物があっても途切れることがなく、接続は維持されるようです。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルーはちょっと背景にホワイトノイズを多めに感じるかもしれません。空調の音は少し強調されます。全体的にサーッとした感じがあります。自分の声は少し強調され、若干明るいですがわりと自然に聞こえます。
ANCの効果は価格帯では平凡です。下はヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から基準ノイズを流して測定し、その後標準イヤーピース Sサイズをつけ、ANCをONにして、もう一度ヘッドホンから基準ノイズを流し、このイヤホンの遮音性能を1/6オクターブごとに測定したものです。今回の測定では、基準ノイズに対し、20hz~20khzの可聴域での平均遮音性能は9.98dBくらいありました。
ANC傾向としては高域でノイズカット効果が高いようです。アクティブノイズキャンセリングの効果自体は感じられ、ONにすると空調の音はわりと静かになると思いますが、完全に消えるほどではないかもしれません。サーキュレーターの動作音は消えませんが、ANC ON/OFFではっきりと存在感が違うので、効果自体はあるようです。ゴォーッがゴーッになるくらいかな。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- ANC ON/OFF比較(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー的にはフラットに近く、やや中域に音が集まるサウンドですが、非常にバランスが良いです。ANCのON/OFFで音質の変化もないようで、違和感なく切り替えできそうです。そういう意味では優秀かもしれませんが、私の個体は左右差があるようです。
低域は温和で少し厚みがあり、リラックスしています。ベースは明るめでじわじわした感じで少しブリブリ感が強調される甘い感じです。バスドラムキックは柔らかく膜を張るように弾力があり、ポンポンしてる感じです。深みと重みはあまりありませんが、全体的に浮き上がりが良く、太くて弾む床面です。低域弦楽は弾力感と透明感がある音で、ポロンポロンして聞こえます。
中域は厚みのある中低域に支えられて、非常に充実感があり、甘く聞こえます。中低域から中域下部が若干押し出してくるので、ボーカルは少し後退しており、人によって中域は籠りがちに思うかもしれません。個人的には安定感とふくよかさが感じられるサウンドなので好きですが、モニター的なサウンドが好みな人にはぼやっとした感じが明瞭性に欠けると思うかもしれません。ボーカルは高域方向が少し後退しているのでフォーカスは悪くありませんが、それでも楽器音との力関係は50:50に近く、場合によっては少し埋没的に感じる可能性はあります。
中高域はわりとくっきりしてますが、騒がしい感じがなく、適度に後退してるためにボーカルを邪魔しません。子音は少し強調されてニュアンスははっきり感じられますが、尖りは感じません。ピーク感が少なく、適度な静寂感と明るさを維持しながら、ナチュラルに高域に伸びています。その高域は少しマイクロディテールを強調するので、わりと音の輪郭はしっかりしており、トランジェントも良好に思えます。
超高域もロールオフして中域の甘みを引き出しつつ、適度にピークがあるので自然な余韻も感じられます。風通しも悪くなく、音場は窮屈ではありません。
穏やかですが、中低域の弾力が生み出すグルーヴ感はしっかりしており、意外と味わい深いチューニングで、JAZZなんか聞くにはおすすめできます。また透明感と潤いがあるサウンドで充実感は高いです。
このイヤホンの中域の甘い感じが好きで、個人的にはEndorfin.の「Raindrop Caffé Latte」版の「桜色プリズム」とか、「純情ティータイム」なんかこれで聴きたくなるし、ReoNa「ANIMA」もわりとこのイヤホンで聴くのが好きかな。実際にはカップリングの「雨に唄えば」とか「ミミック」のような正統派ポップス曲向きかもしれないけど。Run Girls, Run!の「スノウ・グライダー」とか清浦夏美「Midnight Love Call」のような静かな曲もいいかな。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはJVCスパイラルドット Sサイズを使い、ANCをONにし、コーデックはSBCです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
アクティブノイズキャンセリングの性能はお世辞にも良いとは言えませんが、効果がないわけではありません。音質は比較的万能で聞きやすく、甘みのあるフラットに近い中域充実系で個人的には好みです。通信品質やバッテリー性能は優秀で、装着感に優れており、ビルドクオリティも悪くありません。アクティブノイズキャンセリング目的の人はほかの機種を当たるべきですが、わりと使い勝手は良い機種で、この価格帯ではおすすめできます。
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