- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
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「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はcoumi ANC860です。
coumiはDongguan Koppo Electronicsのオーディオブランドです。先進的で意欲的なメーカーで、TWS-817Aは低価格で付属アプリ付きだったりして面白いのですが、今のところその技術力は安定しているとはいいがたく、私の中では評価が難しいメーカーです。ただし技適やPSEはまじめにとっており、誠実に日本展開を考えているメーカーであることは確かです。
そのcoumiが出したアクティブノイズキャンセリング搭載インナーイヤー型完全ワイヤレスイヤホンがcoumi ANC860です。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:5.5h/30h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:210-141464
パッケージ
パッケージは価格帯では標準的か少し豪華です。付属品も不足を感じません。充電コネクタはUSB Type-Cです。
本体のビルドはSudioのようなデザインで北欧的な機能美を感じます。ケースデザインはとてもおしゃれで女性にプレゼントしても喜ばれそうです。
装着サンプル
装着感は悪くないと思いますが、人によっては少し合わせづらいかも知れません。インナーイヤー型なので密閉度は高くありません。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では標準以上の接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5m離れてもシームレスにつながっています。また遮蔽物があっても途切れることがなく、接続は維持されるようです。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルーは少しだけホワイトノイズのようなものを感じますが自然です。かなりナチュラルなので変化はわかりづらいのですが、自分の声を聴けばノーマルモード時より少し強調されているのがわかります。
ANCの効果は価格帯では平凡です。下はヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から基準ノイズを流して測定し、その後標準イヤーピースをつけ、ANCをONにして、もう一度ヘッドホンから基準ノイズを流し、このイヤホンの遮音性能を1/6オクターブごとに測定したものです。今回の測定では、基準ノイズに対し、20hz~20khzの可聴域での平均遮音性能は13.58dBくらいありました。
以上のように測定値上は価格を考えるとかなり優秀に見えるんですが、実際のノイズカット性能は大したことがないように思えます。その根本的な理由はノイズカットの測定グラフを見ると、中低域から中域のノイズカット性能があまり優秀とは言えないので、そのあたりが影響しているようです。私自身がアクティブノイズキャンセリングについてはまだよくわかってないところがあるので詳しくは言えませんが、効果の高く思えるANC搭載機種は大抵中低域から中域にかけての領域でよく音を遮断しています。
以下のDENONの記事を読んで欲しいですが、ANCの肝はいかに低域から中域を抑制できるかにあると述べています。
逆相を加えるアクティブノイズキャンセリングでは、中域から低域のノイズを消すことができます。高域になると山と谷の間隔が短いので回路処理が間に合わなくなってしまい、有効ではありません。
そういえば、SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2とTechnics EAH-70Wを比較した時も平均遮音性能はそれほど差がなかったのですが、より低域をしっかりカットしてるEAH-70TWのほうが効きがよいと感じたのを思い出しました。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [ANC OFF]左右別
- [ANC OFF]左右平均
- [ANC OFF]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC OFF]左右平均(自由音場補正済み)
- [ANC ON]左右別
- [ANC ON]左右平均
- [ANC ON]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC ON]左右平均(自由音場補正済み)
- ANC ON/OFF比較(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
ANCをONにすると少し低域が持ち上がります。聴感上も確かに少し音が重くなるのですが、全体像はそれほど変わりませんので、ANC ON/OFFでそれほど音に違和感を感じないと思います。
全体は低域が強めで少し中域が出張る中域充実系のかまぼこ的なサウンドですが、低域と高域それぞれに対して分離感があるので、立体感に欠ける印象はなく、適度なダイナミズムがあります。
低域は太く、重いキックとパンチの利いたドカつくサウンドを持っています。やや熱気が強く、もやもやしているのでライブ感重視のサウンドです。大抵のロックではベースよりは明らかにバスドラムの存在感が強く聞こえます。重厚感の強い気持ち良いズンドコサウンドですが、ディテールは少しぼんやりしています。低域弦楽は胴鳴りの響きが重く濃く、結構ゴリゴリです。重量感のあるサウンドで床面を強調するので、ライブ感には非常に優れていますが、少し響きすぎている印象を受けるかも知れません。中域下部で低域とよく分離されているので、低域の熱気はボーカルまではほとんど滲み出さないとは思いますが、存在感は強めです。
中域もかなり前面に出てくるW字型をしているので、ボーカルは重い低域の上でしっかりとスポットライトが当たります。ボーカルの雰囲気は少し媚びて聞こえますが、響きの広がりは豊かなものの、高い方向でののびやかさはそれほど強調されないので、わりと安定的に聞こえます。息継ぎのニュアンスは比較的はっきりしていますが、子音に尖る感じはありません。
高域は少し静かですが、自然なディテール感があります。ギラつきは少し強調されるので、アコースティックギターの表面は少しツヤツヤしていて、太く濃厚な音でありながら、艶やかな響きの表情を持っています。高域音は少し奥行きを出しながらも、シンバルクラッシュなどは比較的はっきり聞こえ、風通しも悪くありません。
低域強調タイプのサウンドですが、インナーイヤー型のせいか音が露骨に篭もる印象はありません。重厚でライブ感のある低域と、甘くちょっと媚びた感じの中域を聴かせてくれます。ベースヘッド(低域好き)向きであることは間違いないでしょう。
個人的にはriya「小さなてのひら」とか奥井雅美「ソフィア」のようなバラード系の曲をこういう雰囲気で聴くのが好きかな。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ANCをONにし、コーデックはSBCです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
coumi ANC860はデザインもおしゃれで、スペック的にも不満が少なくてわりと気に入っているイヤホンです。ただ確実に低域が支配的なので、低域の存在感が強い音が嫌いな人には向かないと思います。ライブ感のあるサウンドなので、ロックではパワフルで骨太なバススラムを聴かせてくれますし、バラード系の楽曲では空間に深みが出て味わい深いです。個人的にはわりと好きな方のサウンドではあります。
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