SOUND WARRIOR ( サウンドウォーリア ) / SW-HP10s 密閉型ヘッドホン
- 基本スペック
- SoundWarrior SW-HP10Sの特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
今回取り上げる機種は城下工業のモニターヘッドホン、Sound Warrior SW-HP10Sです。
Sound Warriorは城下工業の音響ブランドです。城下工業は大正12年に最初は生糸製造所として創業した老舗オーディオメーカーで、音響・通信機器を中心に販売しています。
Sound Warrior SW-HP10Sはその城下工業から発売されているモニターヘッドホンです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:40Ω
- 感度:103dB
SoundWarrior SW-HP10Sの特徴
モニタリングと音楽鑑賞の共存を目指した音づくり
SoundWarrior SW-HP10Sは業務用モニターサウンドを手頃な値段で提供します。モニターサウンド特有の解像感を維持しつつ、うまくリスニング的要素が加えられており、正統派でありながら聞き疲れしない絶妙のサウンドを実現しています。
録音スタジオなどで使われているモニターヘッドホンの音づくりをそのまま皆様に。 肉声や各楽器の定位、音の粒立ちや輪郭、遠近感、広がりなどを、手に取るように聴くことが出来、演奏者やエンジニアの意図をストレートに表現する。 これがモニターヘッドホンの使命です。しかし、モニター系の音はともすれば長時間の音楽鑑賞には不向きで聴き疲れしやすいといわれています。 本機は当社の長年の経験により、これらのデメリットを感じさせず、モニタリング志向の本格的ヘッドホンをめざしました。
プロの現場に育てられたプロフェッショナルなかたち
プロ現場の様々な要求を実現し磨き上げられたヘッドホン。 入力コードの頑強性はもとより、「ワレ」や「劣化」の少ないナイロン素材のケースシェルや、油性劣化しにくいポリウレタン性パッド類など、ひとつひとつの素材は全て高耐久性、頑強性を求めて吟味されています。渡りコードをヘッドバンドに埋め込んでいるのも断線を防ぐためです。更に構造体として金属を使用していないのも楽器や音響機器にあたって傷を付けない配慮の結果です。 コードを踏んでヘッドホンを落としても壊れることはほとんどありません。楽器演奏、録音現場や屋外でのハードな使用にも十分耐え得るプロフェッショナルなかたちをお試しください。
抜群のフィット感による、ものづくりへのこだわり
クローズド・エアー・タイプ(密閉型)ヘッドホンは密着性や遮音性を要求されます。しかしこの要求を実現するため、一般的には側圧や頭部への押さえの力を強くする傾向があります。 本機は、人間工学に基づいたエルゴノミックデザインのイヤーパッド(立体裁断された高弾性パッドや合成皮革を手縫いで成型)を採用し、長時間の使用に欠かせない、包み込むような優しいフィット感をつくり出しています。Made in Japanの誇りを商品に込めました。
パッケージ
パッケージは価格帯では標準クラスかややシンプルです。付属品は最低限で、梱包も簡素です。
本体のビルドクオリティは実際は悪くありませんが、見た目はややプラスチッキーで少しチープに思えるかも知れません。しかしプラスチック素材はほかの機材を傷つけないようにするためというプロ的観点から採用されているとのことです。
装着サンプル
装着感は軽量でやや側圧は強めです。クッションパッドのおかげで耳が痛くなることはなく、快適です。それでも3時間くらい装着していると、さすがに少し痛くなってはきます。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
マガジン専用コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
マガジン専用コンテンツになります。
THD+N特性
マガジン専用コンテンツになります。
音質解説
全体のバランスはかなり自由音場フラットに忠実で、本当の意味での原音忠実に近い音を鳴らします。
個人的にSW-HP10Sの低域の調整にSound Warriorの真骨頂を感じます。その低域は充分な深さまで到達しながら、密閉型で出やすい独特の篭もり感を出さずに、ローエンドでブームを強調せず、モニタースピーカーの音のようにストンときれいにロールオフします。低域は非常にモニター的で中域に自然に繋がっており、透明度が高く、階層性と質感が確かです。この非常に精確性の高いモニター感のある低域は価格を考えると驚異的です。スタジオモニタースピーカーの音に習熟している場合、その自然な締まり具合を聴いただけで、たちまちこのヘッドホンの魅力がわかってしまうでしょう。
中域はわずかにリスニングライクに寄せられていて、モニターサウンドより立体感がつけられており、聴き心地に貢献しています。ボーカルは少し持ち上げられて前面に聞こえるようになっており、また高域方向で空間性が少し強調されているので、中域音は無響的ではなく、響きが強調され、自然より少し多めのグルーヴが生まれています。とくに女声ボーカルは比較的理性的でありながら、少し媚びて語尾が伸びるわずかなコケティッシュさがあり、ややエロティックに聞こえます。
高域は明瞭感と高さが少し高められており、少し輝度が高い印象を受けます。そのため一部のボーカル曲ではわずかに息やサ行の子音が強調され、中庸よりはニュアンスが強くなっています。音場は広すぎたり高くなりすぎない自然な音場感を意識してうまく調整されており、音場表現はかなりナチュラルです。天井はそれほど高くないですが、音の抜けもよく、空間はわずかに開放感が強いように思えます。
全体として充分な解像感・わかりやすいディテール感・自然な音場感・自然な質感・低域のモニタースピーカーサウンド感の点でリファレンスモニターとして充分な音響性能を持っており、わずかに中域が印象的に響く調整になっていますが、それが聴き心地の安定に繋がっています。DTMでの作曲・ミックス・マスタリング、そして普段のリスニングまでこなせる万能系の使いやすいヘッドホンで、これらの作業を個人的な趣味としてこなすDTMerにとって、理想的なオールインワンモニターヘッドホンになり得ます。
音質的な特徴
美点
- 原音忠実性が高い
- ほぼ完全なモニタースピーカーサウンド
- 中域への適切なフォーカス
- 女声ボーカルの色気
- 自然な音場
- 自然な質感
- 聴き心地が良い
欠点
- 低域にブーム感がない
- 臨場感に欠ける
- 中域はモニターフラットではありません
音楽鑑賞
777☆SISTERS「NATSUKAGE -夏陰-」
全体のバランスが非常によく、中域のフォーカス感が高いので、ボーカルがかなり印象的に聞こえます。音の透明度は上から下まで非常に高く、ほぼ自然な音場と自然な質感で上から下まで聞こえますが、低域はスピーカー的でリアリズムがありません。しかし、デジタル的なこういう曲の場合、スピーカーサウンドの低域のほうが相性が良く思えることも事実です。全体的にフルレンジスピーカーで聴いているような統一感があり、原音忠実性は非常に高いです。
でありながら、ボーカルは色気があってエロい。
ヨルシカ「風を食む」
中域がしっかり作り込まれている曲なので、モニターフラットに近い音響機器を使って聴くと、さわやかでみずみずしい音楽が楽しめますが、このヘッドホンこそまさにそれです。低域は自然な力感で表現されるのでうるさくならず、ボーカルを邪魔しません。甘みとみずみずしさを感じさせ、風通しが良く印象的に響く中域はとてもナチュラルで、変な後味を引かない自然な質感とディテールを持っています。
すぎやまこういち、ロンドン・フィル・ハーモニー管弦楽団「そして伝説へ」
リアリズムのあるクラシック音楽を楽しみたい人はいますか?
Sound Warrior SW-HP10Sはそれをほぼ完全に再現します。低域の臨場感だけは少し足りないですが、それはささやかな瑕疵です。中域以上はわずかにダイナミズムが増した、質感と音場において忠実度の高いサウンドを聴かせてくれます。演奏されているコンサートホールの空間的な雰囲気はほぼ完全に再現され、楽器音も非常に透明度が高く、上から下まで滑らかで自然です。みずみずしく、生々しく、そして少し色気がある非常に美しい音楽的なサウンドが聞こえます。自然な質感と音場感にこだわるクラシックファンも納得のサウンドです。
そうです、SW-HP10Sは優れたモニターヘッドホンであると同時に、この価格帯最高クラスのリスニングヘッドホンでもあります。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Sound Warrior SW-HP10Sは非常に原音忠実度が高いモニターヘッドホンです。密閉型ですが、そのサウンドに篭もりの感触は全くありません。それはほぼ完全にモニタースピーカーの音を再現するので、録音、作曲からマスタリングまでこなすDTMerにとってオールインワンになりえる性能を持っています。それでいて、中域は無機質な無響空間ではなく、ボーカルが印象的に響き、色気が再現され、リスニングしやすく、聞き疲れしません。そのためこれ一本でモニタリングからリスニングまで満足させる驚異の性能を持っています。
そして、もちろん当ブログのレコーディングシグネチャー試聴用として最も推奨する製品の一つであるということも付け加えます。
SOUND WARRIOR ( サウンドウォーリア ) / SW-HP10s 密閉型ヘッドホン
【関連記事】