JVC HA-FW02 CLASS-S WOODシリーズ カナル型イヤホン リケーブル/ハイレゾ音源対応
- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はJVC HA-FW02です。
JVCは日本を代表するオーディオブランドです。JVCの源流である日本ビクターは1927年に設立された日本でも有数に歴史の古いメーカーです。ビクター時代の代表的な業績といえば、世界的なビデオカセット規格となったVHSビデオの開発です。先行していたSONYのベータマックスに対し、利便性を武器に規格戦争を勝ち抜いた歴史があります。
JVC HA-FW02はJVCを代表するイヤホンシリーズであるWOODシリーズのミドルエントリーモデルです。
ハイレゾ音源の豊富な情報量を忠実に再現する新ウッドドームユニットを搭載
独自の薄膜加工技術を進化させ、従来の80µmから50µmに薄型化した軽量10mmウッドドーム振動板により、ハイレゾ音源の繊細なニュアンスの表現を可能にします。さらに、強力な駆動力に加えリニアリティを大幅に向上させたハイエナジー磁気回路の正確な駆動と、軽量なCCAWボイスコイルによる振動板の正確な振幅が、原音に忠実な再生を実現します。
新開発アコースティックピュリファイアーを採用し、自然な音の広がりを実現
当社独自のスパイラルドッドイヤピースの技術を応用し、ユニット前面に不要な音を拡散するドットを効果的に配置。分解能を改善し、自然な音の広がりを実現します。
不要な振動を抑制し、美しい響きを実現する新設計トリプルメタルハーモナイザーを採用
ウッド、ブラス、アルミなど異種材料の組み合わせにより、不要な振動をコントロールするとともに美しい響きを引き出す、トリプルメタルハーモナイザー設計を採用しました。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:6Hz~45000Hz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:104dB
- ケーブルコネクタ:mmcx
パッケージ
パッケージはJVCの標準的なスタイルですが、2万円台としては標準以上です。開梱体験は決して豪華というわけではありませんが、適度な高級感があり、付属品もそろっています。なおONZOのレンタル品なので、パッケージの付属品は少なめになっており、実際はキャリイングケースも含まれているはずです。
ビルドクオリティも2万円台としてはしっかりした作りです。安っぽさは全くありません。
装着サンプル
直垂らしタイプです。左右を入れ替えて接続すれば耳掛けスタイルも不可能ではありません。筒形で耳から出る部分も多く、耳の形によってはやや装着感は安定しづらい場合があります。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [標準イヤーピース(スパイラルドット)S装着時]左右別
- [標準イヤーピース(スパイラルドット)S装着時]左右平均
- [標準イヤーピース(スパイラルドット)S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース(スパイラルドット)S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
全体を見ると拡散音場を意識したような形をしています。低域が少し隆起しており、中域は少し凹みますので、サウンドシグネチャー的にはU字型か穏やかなV字型といった感じです。
低域は少し熱気が強く、クリアではありません。ウッド独特の音の輪郭が引き締まるような、掠れるような、乾いた感じがあります。重みと厚みが少し強調され、ノイズ感も少し強い、温かみのある低域です。エレキベースは少しぼさっとしやすく、ドラムも胴鳴りがやや強く、ドシドシして聞こえます。床鳴り感も結構あるので、ライブ感はかなり高いですが、人によって籠っている感じがするかもしれません。低域弦楽は重みと厚みのバランスがよく、ゴリゴリ感を少し出しながらも、黒くなりすぎず、濃厚なボンボンとした膨らみが感じられます。質感的にはウッド独特の引き締まって響く感じが非常に有機的に感じられ、音の深み、渋みのようなものが感じられます。
中域は少し後退しており、引き締まって聞こえます。中域への傾斜はわりと丁寧で、自然で有機的なつながりがありながら、熱気が中域に上りすぎないように調整されています。それでもやや厚みの強い太い低域は場合によって、少し支配的に聞こえるかもしれません。中域はどちらかというと上向いていて、色づきが明るく、バイオリンは特に自然な太さを出しながら優雅にのびやかに聞こえます。
中高域は意外とソリッドで、少し硬い手がかりがあり、音の骨組みがしっかりしているような構築感があります。ピーク感はなく、比較的滑らかですが、音量を上げると意外とガシャガシャと感じられるかもしれません。高域は適度に伸びていて風通しは十分なくらいありますが、抜けを強く強調しすぎません。曲にもよりますが、ボーカルがわりと上向きで高い感じがあるので、天井は案外近く感じられる可能性があります。また音量を上げるとボーカルは少しシャウティになり、ツ音などがやや刺激的になると思われますが、適正音量ではほとんど荒さを感じないと思います。
音量といえば、録音時に気づいたのですが、私の個体は音量を上げると右側から音割れします。測定時も左右差が多めだったので、個体差の可能性があります。適正音量では問題ないとは思いますが、大きめに音楽を聴く人の場合、露骨に音割れするかもしれません。レコーディングシグネチャーでは「Sophisticated Fight(ロック系)」で露骨な音割れがあるのが確認できます。
総合するとわりとバランスの良い弱ドンシャリでなかなか楽しめる音質だと思いますが、個人的には低域がガツンと来るわけでもなく、高域で繊細なわけでもなく、音場は狭くはないですが平凡で、なんだか煮え切らない機種に思えます。これを買うなら少しだけお金を積んで、HA-FX1100を買ったほうがはるかに生き生きした音がし、楽しめるように思えます。
ただし、私の個体は音割れがあったので、そのせいで印象が悪かった可能性はあります。この音割れは最初装着感の問題かと思ったので、録音のイヤーピースをいろいろ試したり、機材のせいかとも思って確認したりと、わりとめんどくさかったので。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはJVCスパイラルドット Sサイズを使い、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
JVC HA-FW02はバランスの良い弱ドンシャリのサウンドを持ち、パッケージやビルドクオリティも十分に満足できる製品です。装着感は人によっては安定しない可能性があり、また今回の個体では音量を少し大きくすると露骨な音割れが見られましたが、WOODシリーズらしいサウンドは魅力的です。ただし、JVC HA-FX1100のほうがよりダイナミックで楽しいサウンドで活気があるため、この機種より総合的に満足度が高い可能性があります。
JVC HA-FW02 CLASS-S WOODシリーズ カナル型イヤホン リケーブル/ハイレゾ音源対応
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