- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- ANC性能
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
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「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はdyplay ANC Shieldです。
dyplayは中国北京を拠点とするオーディオブランドです。一般にはあまり有名ではないかもしれませんが、とくにアクティブノイズキャンセリング製品では先進的な新興メーカーで、自社でANC製品を製造するのはもちろん、他社のOEM製品のANCをチューンして販売しているようです。グランドビジョンとしては誰もが満足できるANC製品を手ごろな値段で提供することを目的としており、実際、低価格中華ANC製品のファンではわりと人気が高いブランドです。
そのdyplayのANC搭載完全ワイヤレスイヤホンの主力製品がdyplay ANC Shieldです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続(ANC ON)/最大再生時間:5h/45h
- 防水性能:たぶんありません
- 対応コーデック:AAC/SBC
- 技適番号:210-140525
パッケージ
パッケージは価格帯では標準的か少し豪華です。凝っているというわけではありませんが、価格に対してチープというわけでもありません。
付属品はイヤーピースの替え、充電用ケース、充電用ケーブル(Type-C)、説明書です。
本体のビルドはプラスチッキーですがクオリティは良好で、安っぽくはありません。
装着サンプル
装着感は悪くはないですが、イヤホン本体の形状は少し大きめです。耳が小さい人はもしかするとうまくはまらないということがあるかもしれません。
接続品質
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では標準以上の接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5m離れてもシームレスにつながっています。ただし、遮蔽物があると通信はかなり不安定になり、音楽はほとんど聞こえなくなりますが、接続は維持されるようです。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。ただしANC ON時のホワイトノイズは少し大きいかもしれません。
ANC性能
ANCの効果は価格帯ではわりと良好なレベルです。下はヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から基準ノイズを流して測定し、その後標準イヤーピース Sサイズをつけ、ANCをONにして、もう一度ヘッドホンから基準ノイズを流し、このイヤホンの遮音性能を1/6オクターブごとに測定したものです。今回の測定では、基準ノイズに対し、20hz~20khzの可聴域での平均遮音性能は13.58dBくらいありました。
ANC傾向としては中域と高域でノイズカット効果が高いようです。アクティブノイズキャンセリングの効果自体は感じられ、ONにすると空調の音はたぶんほとんど聞こえなくなると思いますが、サーキュレーターの動作音が消えるほどではありません。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC OFF 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- ANC ON/OFF比較(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー的にはV字型でわりと典型的なドンシャリ系の音がします。
低域は重みが強く、床鳴りのノイズ感も感じられるので、わりとライブ感のあるサウンドに聞こえます。エレキベースは黒味があって引き締まっており、熱気が感じられます。ドラムキックも重みがあり重厚です。低域弦楽は少し重みに傾いていてゴリっとしたボディを感じさせつつ、厚みも感じられ、少し躍動します。全体の中でやや支配的で少しシックな暗い低域ですが、リアルな雰囲気があります。
中域は少し奥にいて落ち着き、引き締まって聞こえます。ボーカルは理性的で落ち着いており、かなり自然に聞こえます。ドンシャリですが、ボーカル付近は穏やかなスポットライトが当たっており、ほとんどのボーカル曲では自然とボーカルにフォーカスされます。ドンシャリですが、ボーカルが埋没してあまりよく聞こえないということはないでしょう。静寂感のある中域はシックで落ち着きが感じられます。
中高域はシックな中で少し艶を強調し、たとえば静かなJAZZピアノ曲を聴くと、ピアノが暗い中でわりとつややかに目立ち、存在感を出します。高域は低域と釣り合う程度にまで上昇しており、超高域にもピークがあるので、音場はわりと開放的で狭くありません。
中域の奥行き感と低域のライブ感、わりと開放的な高域を組み合わせた音場はそこそこダイナミックで楽しく聞こえます。ボーカルフォーカスも悪くなく、その声質はわりと理性的で落ち着きがあって大人びてシャウティにならず、聞きやすい安定感のある感じなのも個人的に好みです。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはJVCスパイラルドット++ Mサイズを使い、ANCをONにし、コーデックはSBCです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
低価格で十分なノイズキャンセリング性能があり、防水性能がない以外はスペック的にもほとんど不満がないので、低価格でANCを試したい人には悪くない選択肢だと思います。音質はドンシャリで大衆的ですが、静寂感をうまく出しつつ、ダイナミックに聞かせてくれるので、個人的にはわりと良質な系統のドンシャリに思えます。楽しく音楽を聴いて気分を盛り上げたいタイプの人には、かなり付き合い甲斐のある相棒になってくれると思われます。
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