「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はULTRASONE Edition 8 EXです。ULTRASONEは1990年12月に設立されたドイツのオーディオメーカーで、独自のS-Logicと呼ばれるサラウンドサウンドシュミレーションテクノロジーを使っているのが特徴です。直接音が耳に到達する従来のヘッドホンとは異なり、このS-Logicによってスピーカーの音のように拡散されて音が届くようになるとされています。
このEdition 8 EXでは、Edition 5から採用されたS-Logic EXが採用され、Edition 8系列にS-Logic EXの技術を落とし込んだものとして開発、発売されました。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:5hz-46khz
- インピーダンス:38Ω
- 感度:96dB
- ケーブルコネクタ:LEMOコネクター
パッケージ
ハイエンド機らしく、ヘッドホンのパッケージはこの価格帯ではかなり豪華です。専用のアタッシュボックスが付いており、高級感があります。
装着サンプル
ハイエンドヘッドホンにしては装着感が少し硬く、かっつりしています。少し側圧は強いかも知れません。夏場は蒸れやすいところがあります。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [1回目測定]左右別
- [1回目測定]左右平均
- [1回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [1回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- [2回目測定]左右別
- [2回目測定]左右平均
- [2回目測定]左右別(自由音場補正済み)
- [2回目測定]左右平均(自由音場補正済み)
- 1~2回目測定平均(自由音場補正済み)
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
全体として見れば、ややウォームに寄ったU字型と言えるサウンドシグネチャーをしています。低域はやや盛り上がっていますが、中域は安定的で、中高域の音像の提示は丁寧で、ピーク感は少なく、分解能はそれなりに高い印象を受けます。
まず、ボーカル周りの空間はそれほど清潔ではありません。中高域の適度な後退によってボーカルと中域の楽器音は明瞭に聞こえますが、低域は少し膨張的で、熱気が中域にせり上がってきやすいところはあります。そのためロックサウンドや膨らみの強いドラム表現のあるポップスでは充実感が感じられる一方、ボーカルが少し埋没する印象を受けるかも知れません。
一方で中高域方向では適度に艶やかさがあり、音像が明瞭な雰囲気があります。人によっては少し音が硬く、カチコチするところを感じるかもしれませんが、中域のハリと甘味が活き活きとして聞こえ、透明感のある音を好むリスナーにはかなり満足度が高いでしょう。輪郭はかなりくっきりとしており、音の光沢感はかなりきれいに聞こえます。ボーカルに子音の尖りはなく、甘味が強くてエロティックです。インプレッション記事でも述べましたが、男女ともに息遣いからボディの立ち上がり方にいたるまで妙に艶めかしい雰囲気があってセクシーです。
総合するとウォームサウンド好きの人におすすめできる機種で、適度に聴き心地の良いマイルドな雰囲気の中で、中域以上の音像を明瞭に聴きたい人向きです。独特の甘味と透明感がコケティッシュな艶味のある音楽を聴かせてくれます。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
-
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
-
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
-
組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
おそらくこういうヘッドホンのことを人は「美音系」などと言ったりするのでしょう。艶があり、美しい透明感のあるサウンドが魅力です。低域が充分にウォームなので、聴き心地も安定しており、ボーカルは甘味があってエロティックです。
【関連記事】