audio-technica 完全ワイヤレスイヤホン ノイズキャンセリング Bluetooth マイク付き ATH-ANC300TW
- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はaudio-technica ATH-ANC300TWです。
audio-technica(オーディオテクニカ)は東京都町田市に本社を置く日本の音響機器メーカーです。もともとはレコードプレーヤー用のカートリッジ販売で創業しましたが、その後業務用音響機器を取り扱い、ヘッドホンやマイクロホンの市場に参入しました。ヘッドホン・イヤホンでは、いまや民生の廉価なモデルからプロ用のモニターモデルまで幅広いラインナップをそろえるようになり、世界の家電量販店で見ないことはない、日本を代表するオーディオブランドです。
そのaudio-technicaのフラッグシップ完全ワイヤレスイヤホンとして発売されたのがaudio-technica ATH-ANC300TW です。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:4.5h/18h
- 防水性能:IPX2
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
- 技適番号:001-P01453/001-P01454
パッケージ
パッケージは価格帯では標準的か少し豪華です。いわゆるコンシューマーモデルっぽいパッケージデザインですが、丁寧にパッケージされているので安っぽさはありません。高品質なガジェットにふさわしい機能的でわかりやすいパッケージングです。
付属品はイヤーピースの替え、充電用ケース、充電用ケーブル(Type-C)、説明書です。
本体のビルドクオリティは良好で、コンパクトな充電ケースに収まっています。デザインも高級感があり、物欲を満たしてくれます。
装着サンプル
装着感は悪くはないですが、イヤホン本体の形状は少し大きめです。耳が小さい人はもしかするとうまくはまらないということがあるかもしれません。
接続品質
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では標準以上の接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5m離れてもシームレスにつながっています。ただし、遮蔽物があると通信はかなり不安定になり、音楽はほとんど聞こえなくなりますが、接続は維持されるようです。
ホワイトノイズはわずかにあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルーは少しサーッとした背景音が強く、特に空調の音は少し露骨に聞こえすぎてしまう気がします。しかし、自分の声も少し大きめに拾われますがナチュラルで、周囲のナレーションは聞きやすいです。そのため、ヒアスルーの主要用途(案内や同僚、友人の声を聞き取る)を考えると、悪くないと言えます。
ANCの効果は価格帯では平凡なレベルです。下はヘッドホン(beyerdynamic DT990 Edition 2005 600Ω)から基準ノイズを流して測定し、その後標準イヤーピース Sサイズをつけ、ANCをONにして、もう一度ヘッドホンから基準ノイズを流し、このイヤホンの遮音性能を1/6オクターブごとに測定したものです。今回の測定では、基準ノイズに対し、20hz~20khzの可聴域での平均遮音性能は13.99dBくらいありました。ただしATH-ANC300TWがやや大きめのハウジングのために、ヘッドホン内側の共振が多くなって、ノイズが増幅されている可能性が高いので、実際はこの測定数値よりはもうちょっと優秀であると思われます。
中域と高域でノイズカットの性能は良いようです。低域の効果が露骨に低いのは、おそらく先ほど説明した共振のせいではないかと思っています。アクティブノイズキャンセリングの効果自体は感じられ、ONにすると空調の音はたぶんほとんど聞こえなくなると思いますが、サーキュレーターの動作音が消えるほどではなく、総合すると価格なりかやや物足りません。ただマイルドで自然なアクティブノイズキャンセリングです。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [ANC ON 標準イヤーピース S装着時]左右平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
全体のバランスは良く、やや低域が強いU字型ないし緩やかなV字型と言える形をしています。ディテールをわりと大胆に調整していますが、ピークはほとんど出ないように丁寧にチューニングされており、ハイブランドらしい品格の感じられるサウンドシグネチャーです。
独特の厚みと重みが強調されつつ、ノイズ感はほとんどないクリアな低域を実現しています。エレキベースのブリブリとした活きの良いエッジや、コントラバスのつややかな甘いあたりに自然とフォーカスが来るようになっていて、低域のディテールを丁寧に引き出しています。豊かで中域を良く支える少し厚めに思える低域ですが、中域の見通しを悪くしません。露骨な床鳴り感や胴鳴り感の強調がなく、低域単体は率直に言って、個人的には物足りない印象を受けるのですが、ノイズ感や重量感を適度に抑えているチューニングは実際に音楽全体に落とし込んでみると、聞き心地に大きく貢献しており、よく考えられていて、とても納得できるものです。
中域は非常に独特で、滑らかな質感と引き締まったサウンドを両立させています。音の発色は丁寧に抑えられて、上部は静寂な雰囲気があり、奥行きに空間的な余裕を感じるとともに、聞き心地が非常にマイルドで聞き疲れないようになっています。中域は甘やかで音の透明感は強くなく、どこか燻る音ですが、それが不思議なノスタルジーを醸します。
非常にマイルドな中高域と自然と上昇する高域のピークは音楽全体にダイナミズムをもたらしており、どちらかというと静的な中域の音楽のエネルギーに抜ける流れを生じさせます。これによりサウンドにホールのような広がりを感じさせ、音場は適度に開放されて聞こえます。また高域方向の静寂感は中域の甘いサウンドを十分に印象付けます。
率直に言って、私には非常にセンスが感じられる素晴らしいチューニングで、万人向きではないかもしれないですが、とても美しく、静かで丁寧なサウンドになっていて、聞いているだけで気持ちが安らぐ雰囲気があり、長時間聞いても聞き疲れしません。audio-technicaらしい品格のあるサウンドで個人的にはとても好きです。
下でレコーディングシグネチャーを聞いてほしいのですが、ATH-ANC300TWは楽曲全体のディテールを維持しつつ、刺激的な音をうまく静寂にして聞き心地と音ののびやかさを丁寧に調整しているのが伝わると思います。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはJVCスパイラルドット++ Mサイズを使い、ANCをONにし、コーデックはaptXです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
ノイズキャンセリング性能や通信品質、バッテリー駆動時間は価格帯の水準をぎりぎり満たしているといった具合で、audio-technica ATH-ANC300TWは性能的には地味な完全ワイヤレスイヤホンです。しかし、原曲の雰囲気を維持しつつ、静寂感と奥行き、甘みを丁寧に感じさせてくれるノスタルジックな聞き心地の良い上品なサウンドはaudio-technicaの真骨頂であり、ハイブランドならではの良質なチューニングが味わえます。
個人的にはとてもお気に入りの機種でいつも手放せない相棒です。
audio-technica 完全ワイヤレスイヤホン ノイズキャンセリング Bluetooth マイク付き ATH-ANC300TW
【関連記事】