M-SOUNDS 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)MSC M-SOUNDS MS-TW3BK
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はM-SOUNDS MS-TW3です。M-SOUNDSは株式会社エム・エス・シー(メディア・セル・コーポレーション)の音響ブランドで、完全ワイヤレスイヤホンを出している日本企業としては割と古株です。エム・エス・シーはスイスの大手PC周辺機器メーカーLogitechの製品を「ロジクール」ブランドで国内展開していると言えば、わりとイメージが湧くのではないでしょうか。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:10h/60h
- 防水性能:IPX7
- 対応コーデック:aptX/AAC/SBC
パッケージ
イヤホンのパッケージ全体はこの価格帯では標準クラスか少し上等です。付属品はイヤーピース、充電用ケース、充電用ケーブル(Micro-B)、説明書です。
充電ケーブルがMicro-Bなのはマイナスポイントかも知れません。
装着サンプル
ハウジングは小さい方ではありませんが、大きすぎることもありません。小さな耳では少し収まりが悪いかも知れない可能性があります。
接続品質
価格帯では標準以上に優秀です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では接続は良好です。距離耐性も優秀らしく、5m離れてもシームレスで乱れはありません。ただし、遮蔽物がある場合は少し派手に乱れます。
ホワイトノイズは少し目立ちます。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [Spinfit 360 M装着時]左右別
- [Spinfit 360 M装着時]左右平均
- [Spinfit 360 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [Spinfit 360 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャーを全体的に確認すると、V字型というべき形をしています。低域がやや隆起しているのでウォームな雰囲気がありますが、中域下部に少しを熱気を感じるものの、中域上部はナチュラルに調整されており、中高域は鮮やかに色づくので、音楽の雰囲気には賑々しさが感じられます。
低域は少し厚みを出しつつ、重みがかなりあり、音楽全体に安定感を出してくれます。タイトではありませんが、膨張感もあまりなく、レイヤリングは若干甘いかもしれませんが、聴き心地が良いです。エレキベースは重み重視で、地熱と存在感がありますが、わりと理性的です。熱気のあるロックから厚みが欲しいJAZZのウッドベース、ポップスの浮き上がりの良い床面に至るまで、わりと万能に聞きやすいのではないでしょうか。
中域は安定的でボーカル帯域はかなりナチュラルです。ボーカル帯域の上に谷があって充分にボーカルを印象づけてくれますし、子音に尖りやハスキーさはありません。声質はナチュラルで理性的、女声ボーカルは少し暗めに感じ、わずかに地味っぽく聞こえるかも知れません。少なくとも媚びる感じはほとんどありません。
中高域は中域からフラットな位置関係にあり、中域のナチュラルな雰囲気を乱さない程度に適度に艶やかさを加えます。高域に向かっては少し派手になり、クラッシュ感やバイオリンの伸びは少し強調があると思いますが、低域が充分に支えているので、ギスギス感はないです。手がかりは少し多めでわりと音がくっきり聞こえ、コントラスト感が良い印象を受けます。
全体的な音響設計は少しだけ物静かな、理性的なものになっており、艶やかさはあるので地味すぎる感じではありませんが、落ち着いて聞き込める感じの音になっています。音の太さと重みがあって重厚感と充実感もあります。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。aptXで接続し、Spinfit360 Mサイズを使用しています。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
安定感のある理性的で聴き心地の良いサウンドが魅力です。ボーカルは少し地味で決して一番目立つバランスにはなっていませんが、理性的で自然で活き活きしています。重みと一定の厚みを音楽に提供する低域がライブ感を盛り上げる中に、落ち着いた雰囲気で音楽が展開されるので、JAZZ向きですし、サントラ曲やポップスを少しゆったりと聴きたい人にも向きます。
個人的にはわりと好きな音で、この価格帯の完全ワイヤレスイヤホンの隠れた名機の一つと思っています。
M-SOUNDS 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)MSC M-SOUNDS MS-TW3BK
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