- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 接続品質
- マルチポイント対応?
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる機種はAfterShokz OpenMoveです。
AfterShokzは2011年10月にアメリカ・ニューヨークで誕生した音響ブランドです。特許を取得した先進的な骨伝導技術を取り入れたヘッドホンで「すべての人が使える」をテーマに、快適なオーディオライフを創る製品を作ることを目的としています。私の経験上、骨伝導イヤホンブランドの中では最も高品質なイヤホンをリリースしています。
AfterShokz OpenMoveはAfterShokzの最新エントリーモデルで、スポーツタイプのアーバンライフスタイルに適した骨伝導イヤホンです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続再生時間:6h
- 防水性能:IP55
- 対応コーデック:SBC
- 技適番号:005-102423
パッケージ
パッケージは価格帯では標準より少し豪華です。付属品は充電用ケーブル(Type-C)、耳栓、説明書などです。
本体のビルドクオリティは良好です。
装着サンプル
ちょっと下の装着サンプル写真はうまくはまってないですが、装着感は良好です。眼鏡をかけていても邪魔になりません。
接続品質
通信チップはQCC3024を搭載しています。
AACでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では良好な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性はおそらく問題なく、5m離れてもシームレスに接続しています。また遮蔽物があっても問題なく接続が維持されていました。
ホワイトノイズのようなものはまず感じられないと思います。
マルチポイント対応?
AfterShokz OpenMoveはQCC3024搭載でマルチポイント対応のはずなんですが、実際のところ、私の手持ちのOpenMoveではいまだにマルチポイント接続に成功していません。手持ちのDAPすべてで試したわけじゃないんで、確実ではないですが、もしかするとマルチポイントには対応していないかもしれません。
マルチポイント接続についての追記
いろいろ試した結果、ようやくマルチポイント接続に成功しましたが、一方はメディア接続(1番目が優先されるか?)、一方は通話接続の固定になるらしいです。つまり、Jabra Elite 65tなんかではできる、2基のDAPを切り替えて音楽を楽しむということができないようです。もしかするとまだちゃんと接続できていない可能性がありますが、私の使っている感じでは、気軽にマルチポイントという風ではなさそうです。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [スタンダードモード]左右別
- [スタンダードモード]左右平均
- [スタンダードモード]左右別(自由音場補正済み)
- [スタンダードモード]左右平均(自由音場補正済み)
- [ボーカルモード]左右別
- [ボーカルモード]左右平均
- [ボーカルモード]左右別(自由音場補正済み)
- [ボーカルモード]左右平均(自由音場補正済み)
- [イヤープラグモード]左右別
- [イヤープラグモード]左右平均
- [イヤープラグモード]左右別(自由音場補正済み)
- [イヤープラグモード]左右平均(自由音場補正済み)
- 各モード比較(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
この測定グラフは基本的にスピーカー部分の気導音の周波数に基づいていますが、聴感上の音質的にはかまぼこに聞こえる感じなので、それを考えても測定値は実際からそれほど遠くないだろうと思います。しかし、装着感によってわりと変化するので個人差は大きそうな気がします。たとえば私の場合、AfterShokz OpenMoveをつけたまま上を向くと、装着感が変わるのでそれだけで音質が変わります。
骨伝導イヤホンの低域は独特で身体内部の振動として伝えられます。その音は頭の中で響く感じであり、頭の中が大きくなったような独特の頭内定位感があります。普段の自然な音の聞こえ方とは明らかに違うので最初は籠った印象を受けるかもしれませんが、慣れると体に馴染む深い音として感じられるようになります。
OpenMoveの中域は鮮やかでボーカルフォーカスは悪くありません。しかし装着感や音量によっては低域の振動が強くなるためにやや後退して聞こえる可能性があります。この中域は横幅が広く、耳から聞こえる音はかなり輪郭がはっきりしているのですが、骨伝導の聞こえが加わるせいか、温かみがあって意識を囲い込むように親密で、充実して聞こえます。ボーカルの聞こえ方は自分の声を聴くような感じで、声質に骨伝導独特の深みと抱擁感があり甘く聞こえます。
耳から聞こえている高域はかなりシャープですが、骨伝導音と組み合わせると自然な抜けを形成するように聞こえます。実際のところディテール感はかなり鋭い気がしますが、骨伝導音と組み合わさると不思議と目立ちません。シンバルの粒立ちなどに耳を澄ますと、わりとシャープでシャリシャリしているのがわかります。
全体の印象はやや中域充実に聞こえるフラットといったところです。
あくまで私の経験上の推測ですが、骨伝導イヤホンの最大の難点は骨導音と気導音のバランスをとるのが難しいことです。多くの骨伝導イヤホンは元のバランスで釣り合いが取れていないだけでなく、音量調節でも崩れてしまいやすい。そこで大抵の骨伝導イヤホンはすぐにシャリシャリしたり、逆に振動がひどくてすぐにボワボワしたりするのですが、AfterShokzは音量調節をしても自然なバランスで骨導音と気導音のバランスをとってくれるらしく、そのおかげで基本的に破綻を感じないのでしょう。
イコライザーの音質変化
このイヤホンはイコライザーを搭載しています。
ボーカルモード
ボーカルモードはかなり高域が落ち着き、ボーカルフォーカスが強くなるので、ボーカル中心で聴きたいときや、ナレーションや通話をより聞き取りやすくしたいときに有効です。音はかなりかまぼこになりますが、骨伝導独特の音場の広さがあるために、音場のダイナミズムは不思議とそれほど減った感じがしません。
イヤープラグモード
付属の耳栓を付けると音が籠りますが、このモードにすると低域が引っ込んで高域音が相対的に強くなるため、籠りを抑制することができます。骨伝導イヤホンは耳を塞がないので、そのままでは遮音性ほぼ皆無ですから、周辺音を抑制するために耳栓をする必要がある場合に便利なモードです。このモードでも耳栓をすると少し籠った音になりますが、スタンダードモードの時より断然不自然さが減ります。しかし、個人的には遮音性が欲しい場合、スタンダードモードで上からANC搭載ヘッドホンでもかぶった方が音が自然な気がします。
イコライザー操作はやや面倒
率直に言ってイコライザー切り替え操作は個人的に面倒で、改善してほしいと思います。このイコライザーの切り替えはコントロールの2つのボタンを長押しするというものですが、片手で同時押ししようとするとうまくいかないことが多く、間違えて電源を切ってしまうことが頻発しました。結局両手を使ってボタンをよく確認しながらやらないとうまくいきません。ワンタッチのイコライザー切り替え専用ボタンを用意するか、イヤホン本体の側面にある再生/停止ボタンでイコライザーの切り替えができればいいのにと思います。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。コーデックはSBCです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
私は以前、中華の骨伝導イヤホンをいくつか使ったことがあり、どれも「音がひどすぎて使えない」とけなしていましたが、Aftershokzに出会ってからはそのサウンドの独特の楽しさ、聞き心地の良さに魅了されています。
他社の骨伝導を最近聴いてないからわかりませんが、率直に言って、骨伝導を買おうと思った場合は他社のを買うくらいなら断然AfterShokzを買った方が良いです。装着感次第ではありますが、AfterShokz OpenMoveは骨導音と気導音を組み合わせるとフラットに近いサウンドで聞こえるようになっており、かなり万能でエントリーモデルとして優秀です。欠点がない機種ではありませんが、同じ価格以下の他社製のものを買うよりはるかに満足できるでしょう。
なお、より引き締まった音が聞きたい場合はAftershokz Aeropexがおすすめです。
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