Master & Dynamic ノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホン MW07 PLUS 連続再生10時間/Apt-X対応/防滴ブラッククウォーツ 【国内正規品】
- 基本スペック
- Master&Dynamic MW07 Plusの特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音漏れ
- 接続品質
- インターフェース/操作方法
- ヒアスルー&ANC性能
- 音質
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 総評
- 【関連記事】
今回取り上げる機種はアクティブノイズキャンセリング搭載完全ワイヤレスイヤホン、Master&Dynamic MW07 Plusです。
Master&Dynamic社は2014年に設立されたニューヨークを拠点とするオーディオ企業です。 ヘッドホン、イヤホン、スピーカー、オーディオアクセサリーを企画および製造しています。そのオーディオ製品はただ音を鳴らすだけでなく、デザインとディテールを通して、使用する人々のクリエイティビティの源泉になることを目指しており、芸術性に関与し続けています。Master&Dynamicの製品を愛する人は、高音質だけでなく、その優れたデザインを所有する喜びを体験することができます。
Master&Dynamicはさまざまなブランドとの協業も行っており、最近でもランボルギーニとのコラボが話題になっています。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 連続/最大再生時間:10h/40h
- 防水性能:IPX5
- 対応コーデック:aptX/SBC
- 技適番号:018-190291
競合機種との比較表
製品名 | Master&Dynamic MW07 Plus | BOSE QuietComfort Earbuds | Jabra Elite 85t | SENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2 | Technics EAH-AZ70W |
タイプ | カナル型 | インナーイヤー型 | カナル型 | カナル型 | カナル型 |
連続再生時間 | 10h | 6h | 7h | 7h | 6.5h |
最大再生時間 | 40h | 12h | 25h | 21h | 19.5h |
対応コーデック | aptX/SBC | AAC/SBC | AAC/SBC | aptX/AAC/SBC | AAC/SBC |
防水性能 | IPX5 | IPX4 | IPX4 | IPX4 | IPX4 |
ANC性能(10) | 5.5 | 10 | 9.5 | 7.5 | 8 |
ヒアスルー(10) | 7(自然) | 9.5(集音的) | 9.5(自然) | 8.5(集音的) | 7.5(自然) |
音質傾向 | U字型 | フラット | U字型 | U字型 | U字型 |
プライストレンド(2020/12時点) |
価格は値下がり傾向だが、大きく下がることはあまり期待できない。色によってはアマゾンの大型セールなどで3万円を切る価格で入手することも可能。
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入手困難気味で価格はまだ安くならない。割安で出回るようになるのは2021年半ばごろ以降と予想。
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Jabra製品は定期的に新製品が出るので、コンスタントに値下がりする傾向がある。2021年前半くらいからセールに出てくる可能性がある。
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基本的に発売後1年程度は価格は堅調に推移することが多い。割安で手に入りやすくなるのは2021年後半以降と予想。
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最近は比較的値が落ち着いているようで30000円前後で定着している。現在値がだいたい過去最安。
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Master&Dynamic MW07 Plusの特徴
10mmカスタムベリリウムドライバーとビームフォーミングマイク
10mmカスタムベリリウムドライバーは、豊かで広がりのあるサウンドを提供し、2つのビームフォーミングマイクは明瞭な通話環境を実現します。
最高級素材でハンドメイド
人目をひく美しさ。耐久性が高くスリムなデザイン。
どのカラーも最高級の素材とハンドメイドで際立った美しさを備えています。
快適な装着感を実現するシリコンフィットウィング
独自技術の3サイズのFitWingsと5サイズのシリコンイヤーチップにより、別次元のフィット感を実現しており、抜群の安定性をお約束します。
高級感のあるステンレススチール充電ケース
コンパクトで携帯性に優れたステンレス製の充電ケースは、計3回イヤホンを充電可能です。
パッケージ
パッケージは価格帯でも豪華なほうです。上質で付属品の一つ一つが丁寧に梱包されています。開梱体験も少し凝っており、いくつかの層に分かれて付属品が収納されています。付属品にはイヤーピースの替え、イヤーウィングの替え、充電用USBケーブル(Type-C)、説明書などが含まれます。
ビルドクオリティは価格を考えるとかなり上質です。ケースはコンパクトですが金属製のため少し重いところがあります。ケースの蓋を指で左右に動かすと少しぐらぐらする感じがあるので、工作精度は少し気になるところはあります。もしかすると耐久性は高くないかもしれません。
装着サンプル
独特のイヤーウィングのおかげもあってか、装着感は良好です。ただし少し印象的には大きめに見えやすい完全ワイヤレスイヤホンです。
音漏れ
Master&Dynamic MW07 Plusの遮音性はなかなか優秀です。Master&Dynamic MW07 PlusをHATS(ダミーヘッド)に装着し、FiiO M15に接続して、図書館レベルの静かな環境で30cm程度離れて正面に座ってサウンドリークを聞き取ってみました。サウンドリークのテストではイヤホン側に独立した音量調節がある場合は音量を最大にした状態で、M15の音量調整だけで判断できるようにしています。
音量半分では少し音漏れが目立ち、気にならないレベルですと1/5程度まで音量を下げる必要がありました。図書館など静かな環境では1/5、公共の場では音量半分くらいまでを目安に音量を調整すればよいと思われます。
一見すると以上のようなMW07 Plusの音漏れの傾向はApollo Boldよりひどいのではないかと思われるかもしれませんが、実際にはそうではありません。Master&Dynamic MW07 PlusはFiiO M15側の音量1/5程度でも十分な音量があり、しっかりと音楽が聞こえます。それは図書館のような静かな環境での利用に向いていますか?私の答えはイエスです。そしてMW07 Plusに厳しい評価を下しているAudiophileonも音漏れの少なさは太鼓判を押しています。
イヤホンが耳で完全に密閉されるため、音漏れもゼロであり、オフィスや図書館などの静かな環境での使用に最適です。
サウンドリークについて当ブログでどのようなデータを出していくかは今検討中ですが、この機種の音漏れは実際かなり少ないです。
接続品質
接続品質については、SoundGuysのように少し厳しい評価もあるということはまずお伝えしておくべきでしょう。私のテスト結果は比較的良好でしたが、必ずしもそれがすべてではないということは伝えておきたいです。
接続範囲を30mに拡張したとMaster&Dynamicは言っていますが、実際にはアパートのような閉鎖的な空間で15メートル以上接続を維持したまま歩くことはできませんでした。
aptXでCayin N6II/E02と接続してテストしました。価格帯では優秀な接続品質です。人混みに行ってないのでわかりませんが、家庭内では安定しています。距離耐性は優秀で、5mくらい離れてもシームレスでそのままつながっています。ただし、遮蔽物を挟むと少しの間通信が途切れがちになります。それでも接続は維持され、しばらく経つと通信は安定し、音楽を問題なく聴くことができました。
ANC OFF時でもホワイトノイズは少しあるかもしれませんが、おそらくほとんどの人が気になりません。ただし敏感な人は少し気になるかもしれません。
インターフェース/操作方法
操作インターフェースはイヤホン上部にあり、物理式です。右耳側に多機能ボタン、左耳側に「+」「-」ボタンがあります。
電源ON
充電ケースからイヤホンを取りだすと、自動で電源ONになります。
電源OFF
充電ケースにイヤホンを収納すると、自動で電源OFFになります。
ペアリング
充電ケースからイヤホンを取りだした際に接続先がない場合、自動でペアリングモードに移行します。
手動でペアリングモードに移行するには、ペアリングトーンが聞こえるまで多機能ボタンを押し続けます。
リセット方法
- ケースから両方のイヤホンを取り出します。
- Volume+ボタンと多機能ボタンを同時にすばやく5回押し、6回目は「factory reset」が聞こえるまで長押しします。
- 数秒後に、両側のイヤホンのパルスインジケータライトが点滅します。
- 両側のイヤホンのパルスインジケータライトの点滅が止まり、イヤホン本体がリセットされます。
曲再生/停止
多機能ボタンを1回クリックします。
曲送り
多機能ボタンを2回クリックします。
曲戻し
多機能ボタンを3回クリックします。
音量を上げる
Volume+ボタンを1回クリックします。
音量を下げる
Volume-ボタンを1回クリックします。
音声アシスタントの起動
多機能ボタンを長押しします。
ANC ON/OFF
Volume-ボタンを長押しします。
ヒアスルー ON/OFF
Volume+ボタンを長押しします。
ヒアスルー&ANC性能
ヒアスルー性能
ヒアスルーは少しサーッというホワイトノイズが大きくなりますが、概ね自然な雰囲気で、自分の声は少し太く聞こえる傾向はあります。位置はわずかに近く聞こえる感じがあります。
ANC性能
ANC性能は価格を考えると少し物足りないかもしれません。詳細は有料記事でレビューしています。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
有料コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
有料コンテンツになります。
THD+N特性
有料コンテンツになります。
音質解説
基本的にはU字型のサウンドシグネチャーになります。高域方向の存在感が強く、ディテール感は少し強めにくっきりしゃっきり感が強いので印象的には引き締まった、かなりしっかりしている音に聞こえます。ただし高域は少し強調されすぎる傾向があります。
さて、最初に言っておきますと、この機種の音質については毀誉褒貶が比較的分かれやすいところがあります。audiophileonは音質は平均的で価格に見合わないと述べていますし、前世代のMW07は『家電批評』がかなり低評価していることも知られています(最近『家電批評』を読んでないので、MW07 PLUSの評価はどうだか知りません。)。一方で、比較的高評価が多数派のようにも思われます。engadgetやtechraderのようなサイトはかなり高く評価していると言えるでしょう。
個人的な見解は最後にまとめますが、実際のところ、その音質は2万円クラスの機種に対して抜きんでているかというと、そうでもなく、中域を重視する人はSENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2のほうがきっと気に入るでしょうし、似た音質傾向ではもうちょっとアグレッシブなものの、音量次第なところもありますが、Jabra Elite 85tのほうが比較的大きな音量で歪みが少なく、解像感が高いと思う人は多いかもしれません。少なくとも段違いに音がきれいだなんてことは、私の聞いてる感じからはないので、このあたりは好みで選んで問題ないでしょう。
なお以下の解説は一般的な使用状況にかんがみて、ANC ON時を基準に行っています。
※各評価項目はあくまでリファレンスサウンド(当サイトの機器測定における自由音場フラット)から見ての周波数特性データと私の聴感に基づく評価です。たとえば迫力のある低域を重視する人は「存在感」「太さ」「重み」「臨場感」が高い低域を好むと思いますが、このような音は本来最も重視されるべき「原音忠実度」はおそらくあまり高くありません。
再生機器にとって「原音忠実性」こそが最も重視されるべきというのはオーディオ界隈の共通認識であると思われますので、本ブログの音響機器の評価も「原音忠実性」を最も重視しています。
「原音忠実度」は基本的に高ければ高い方が多くの人にとって良いと思われますが、ほかの評価値は中間値である「B」を離れるほど原音忠実性が薄れます。そのため「S」や「A」はその音要素を好む人には最も心地よい音かも知れませんが、他の人には不快かも知れません。そして不快な音要素が決まっている人は、むしろその音要素が低い評価のものを選ぶとより心地よく音楽を楽しめると思います。
このように、当ブログでは原音忠実(リファレンスサウンド)からの距離を提示することで効率的にあなたの好みに合ったオーディオ機器を発見できるように工夫しています。
評価が高ければ高いだけ良い評価値というのは「原音忠実度」「クリア感」「おすすめ度」で、とくに「原音忠実度」+「クリア感」がオーディオ製品としての単純な優秀性を表します。
「原音忠実再生」についての参考動画:創造の館「いい音とは何か」
※以下のリンク先はpdfです。
低域(原音忠実度:B/臨場感:B-/深さ:B+/重み:A-/太さ:A-/存在感:B+)
低域は重みや太さがかなり強調されますが、それに比べると、とくに音量が小さいときは、深さや臨場感は少し足りなく思える場合があるかもしれません。エレキベースの深い熱気のある轟きにこだわる人は、もしかすると少し成分が足りないと思うでしょう。
高域の影響によって、音の輪郭感はかなりくっきり聞こえるところがあるので、輪郭はタイトに聞こえますが、低域自体は少しリラックスしているので階層性で優れている感じはありません。それでもバスドラムキックはわりと重みを出して生き生き聞こえますし、エレキベースの深みもわりとしっかりしています。低域の雰囲気はそれでもわりと自然で、ノイズ感が少なくて好印象です。
中域(原音忠実度:B-/厚み:B+/明るさ:B/硬さ:B/存在感:B-)
中域自体は、少し引っ込んで聞こえるところがありますが、高域方向の前傾により、あまり奥行き感が感じられず、人によってはモニター的に聞こえるかもしれません。
中域は高域との力関係で少し気になることがあります。とくに少し高い輝度によってディテールは引き出されている感じがあり、印象的な解像度は高く思えますが、ボーカルのサ行は少し尖り、アグレッシブに聞こえるところがあります。少し暗い気がしますが、それでも全体的に中域は落ち着きがあって、高域の影響を少し受けやすく感じるところ以外は比較的自然に思えます。音量を上げると高域の存在感が強くなりやすく、曲によって、金管やシンバルの派手な音がボーカルにかかってきやすい感じは気になります。
高域(原音忠実度:C+/艶やかさ:B+/鋭さ:B/脆さ:A/荒さ:C+/繊細さ:B/存在感:A-)
高域はマイクロディテールがかなり強調されており、音が少し脆く感じられるところがあります。高域は前傾しているので、とくに音量を上げると、音楽の全体はやや前かがみに思えます。
シャープネスは少し強く聞こえるところがあり、とくに音量を上げると少し刺さりを感じるところがあるかもしれません。アコースティックギターはかなり煌びやかに聞こえます。また高域は中域から音のつながりは分離的に聞こえる印象が強いですが、同時に距離感で離れておらず、中域より前に出てこようとする感じも強いので、この中域と中高域の空間は曲によってかなり窮屈に思える時があります。このあたりで音数も含めて情報量は少し多くなりやすく、それがモニター的な印象を与える可能性がありますが、たとえばJabra Elite 85tのようなイヤホンに比べると、音の響く空間に余裕がない印象を与える可能性があり、ボーカルフォーカス感も少し足りないように思うかもしれません。
グルーヴ/音場/クリア感(グルーヴの中心:中域~中高域/音場:B/クリア感:A-)
※一般にグルーヴの最も大きいところが最も活き活きと聞こえるので、音楽の中心になります。グルーヴの中心範囲の大きさは変動的です。グルーヴの中心は個人の音楽の好みを決定し、音響機器選択のヒントになります。音響機器のグルーヴの中心が個人の好みと離れている場合、むしろその不自然さが強調され、その音響機器を楽しくないと感じる可能性が高いです。音場の評価はBが自然な広さです。クリア感の評価は全高調波歪の測定値を参照して決めています。
このイヤホンのグルーヴの中心は一般に中域~中高域に存在すると思われます。
音場は少し平面的に思えるかもしれません。深さは自然で、奥行きは少しあるかもしれませんが、それ以上に少し前かがみに音が聞こえるように思えます。幅や高さは標準的か、もしかするとわずかに狭いように思えます。
音質総評(原音忠実度:B-/おすすめ度:B+/個人的な好み:B)
中域から中高域にかけて情報量が多く聞こえるのが最大の魅力ですが、同時にそれは中域にうまくフォーカスされない印象を与えるところがあります。この点に関してaudiophileonが「中域は吸い込まれるような感じで、奥行き感がなく、透明感に欠けています。この周波数帯のボーカルや弦楽器は、表現の深みに欠け、イメージの薄さがあります。」と書いているのは個人的に納得できます。中域の響きに余裕がない感じがあり、実際には音の厚みに欠けるわけではありませんが、印象的に「薄く」感じることも事実です。それでも明瞭性と情報量が高い音楽を聴かせてくれる傾向があるので、クリアな印象は強いと思われ、それが解像度が高いと感じさせてくれるところがあります。このあたりがMW07を高く評価する人がいるのと、反対にあまり好ましくない音として評価する人が分かれる境目に思われます。
私個人は中高域がうるさい感じはあまり好きではないのと、重低音が生き生きとする深い感じの低域ではないので、そのあたりがやや物足りなく思うことが多いところがあります。とくに重低域の不足感がある点についてはかなりの数のレビュアーが指摘していますね。とはいえ、その重低域の不足感も実際には「悪くないけどもうちょっと……」ってくらいではあると思うので、めっきり不足しているという感じではありません。心なし足りないといったところでしょうか。
私個人としてはMW07 Plusより同じ音質傾向でもJabra Elit 85tのほうが中域が広く、低域ももっと強調されて聞こえるので好きなのですが、ディテールや中域付近の音数的な情報量を重視する場合、MW07 Plusのほうがきれいに音が聞こえる気がする、今まで聞こえにくかった中高域付近の音がはっきり聞こえるという人も多いんじゃないでしょうか。EDMをはじめとくに電子音に緻密さを求める人はMW07の音をかなり気に入るような気がします。
音質的な特徴
美点
- 情報量が多く感じられる中域~中高域
- 艶やかで賑やかなサウンド
- ディテール感がある
- モニター的に聞こえる
- 比較的バランスの良いサウンド
- 引き締まった中域
- 比較的自然でつながりのよい低域~中域
- ノイズ感の少ない低域
- 重みや太さがしっかりしている重厚サウンド
欠点
- 奥行き感が少し足りない
- 前かがみで派手になりやすい高域
- うるさくなりやすい高域
- 少し貧相に聞こえやすい中域
- 少し支えが弱いかもしれない低域
音楽鑑賞
岸田教団&THE明星ロケッツ「Blood and Emotions」
この曲は中高域のあたりに音が多いため、このイヤホンで聴くと電子音のあたりがかなり光沢感が強くしっかり聞こえるので、満足感が高いです。ドラムやエレキベースも重みはしっかりしてますが、それほど前に出てくる感じではないので、エレキギターが主役に聞こえます。そのエレキギターはかなりエッジが鋭くアグレッシブでのびやかです。
この曲は中域から中高域がフラットか前傾しているような、モニター的なサウンドで説得力を感じることが多いと思いますが、MW07 Plusはそういうタイプの高域構造を持っているのでよくマッチしてくれます。低域の存在感が不足している感じはありませんが、やはり人によっては少し重厚感というか熱気が足りないと思うかもしれないところはあります。私はそのクチですね。
MW07 Plusの聴かせ方はかなり楽しいですが、この曲はTronsmart Apollo Boldのような少し演出感が強い重ドンシャリで聴くほうがもっと好きだったりします。あるいはJabra Elite 85tくらい低域が強い方が好きですね。ただElite 85tは少し中高域が物足りないかもしれません。
安野希世乃「恋する私カラー」
この曲の明るい感じはうまく出してくれている気もしますが、低域がやはりちょっと高域に比べて弱い気がするので、全体は少しふわふわして感じられるところはあります。高域は全体的に派手すぎる感じはあり、楽しくにぎやかではありますが、人によっては金管やシンバルがガシャガシャ必要以上に目立っている気がするかもしれません。音量を上げていくと少しうるさい感じは強くなります。ボーカルは自然でありながら、子音や息の伸びに勢いがあるので、元気な雰囲気が感じられます。
好みにもよりますが、個人的にはSENNHEISER MOMENTUM True Wireless 2(MTW2)の中域で暖かな、ボリューム感のある音の方がボーカルが甘い感じでふっくらして、好きかなと思いますが、一方で中高域は静かになってしまうので、聴き比べるとMTW2はMW07 Plusに比べて色気や光沢感に不足があって地味に聞こえると思う可能性はあるでしょう。この2者で好みを分けるのはこの中高域の雰囲気が一番大きいと思われます。金管でとくに差を感じるでしょう。
上田麗奈「リテラチュア」
中高域はかなりきれいに出るので、この曲の第一印象はかなりいい気がします。ただこの曲は個人的には低域方向で安定感の不足を少し感じますね。なんていうかこの曲、中域が貧相に聞こえやすいところがあるので、MW07 Plusは少しボーカルのボディが不足して聞こえます。音量次第では埋没気味になります。
EarFun Air ProとかJabra Elite 85tで聴くとしっかり中域が安定して充実感があるんですけど、MW07 Plusは中高域あたりの情報量や色づきが良い感じは好ましいんですが、低域方向で力強さが足りない感じがあって、音がかすれるような感じがあります。audiophileonが言っている中域の薄い感じってこういうことだと思います。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ANCはONで、コーデックはaptX、使用イヤーピースは標準イヤーピースのMSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Master&Dynamic MW07 Plusはかなり高価な価格設定ですが、機能面では必ずしもトップレベルというわけではありません。アクティブノイズキャンセリング性能は価格帯では平凡ですし、付属アプリもありません。しかし、デザインには高級感があり、持ち運びやすいという感じではありませんが、所有欲を満たしてくれるところがあります。音質は中高域を重視するリスナーに好まれる可能性が高く、この点でEDMやアニソンのような明るい曲とは相性が良く、モニター的に感じられる情報量の多さが魅力的に思えるかもしれません。音楽にディテール感を求める人にはかなり良いと思いますが、一方で少しうるさくなりやすいところもあります。
Master & Dynamic ノイズキャンセリング完全ワイヤレスイヤホン MW07 PLUS 連続再生10時間/Apt-X対応/防滴ブラッククウォーツ 【国内正規品】
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