【国内正規品】GRADO SR325e オープン型オーバーヘッドヘッドフォン アメリカ製 新シリーズ 000899
今回取り上げる機種は半開放型ヘッドホン、Grado SR325eです。
GRADOは高級かつユニークなヘッドホンを作っているアメリカのオーディオメーカーで、その製品のほとんどは開放型ヘッドホンです。GRADOサウンドとも言うべき独特のハウスサウンドがあり、ハマるとこのメーカーのヘッドホンを聴かないと頭がおかしくなる病気にかかってしまうくらい一部に人気があります。かくいう私も定期的にPS2000eを聴かないと禁断症状が出る謎の病気にかかっています。
さて、GRADO SR325eはGRADOのプレステージシリーズに属するモデルです。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:20Hz~22kHz
- インピーダンス:32Ω
- 感度:98.8dB
Grado SR325eの特徴
プレステージシリーズの最高峰サウンド
質量を増したアルミニウム製ハウジングにより、ローエンドからハイエンドまでの全音域にわたり、正確な音色表現とよりスムーズな音伝達を可能にしています。
世界的に定評のある中音域の音質は維持しながらも、高音域と低音域についてはより正確な音の表現が可能になりました。
音質はまさにGRADOサウンドです。暖かく身体全体に響くヴォーカル、優れたダイナミクス、スムーズなトップエンドと美しい余韻の低音が特徴です。
パッケージ
今回レビューする製品はレンタル品のため、正規品とはパッケージ内容が異なっておいる可能性があります。
パッケージはほかのGRADO製ヘッドホンと同じく、比較的簡素になっています。
本体のビルドクオリティは良好です。
装着サンプル
装着感は軽量です。側圧はそれほど強くありません。クッションパッドも十分で、耳が痛くなることはなく、快適です。それでも3時間くらい装着していると、さすがに少し痛くなってはきます。開放型なので、遮音性は高くありません。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
マガジン専用コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
マガジン専用コンテンツになります。
THD+N特性
マガジン専用コンテンツになります。
音質解説
GRADO SR325eはGRADOの開放型ヘッドホンらしい、独特の広く、色気のある中域が魅力的なヘッドホンです。
※各評価項目はあくまでリファレンスサウンド(当サイトの機器測定における自由音場フラット)から見ての周波数特性データと私の聴感に基づく評価です。たとえば迫力のある低域を重視する人は「存在感」「太さ」「重み」「臨場感」が高い低域を好むと思いますが、このような音は本来最も重視されるべき「原音忠実度」はおそらくあまり高くありません。
再生機器にとって「原音忠実性」こそが最も重視されるべきというのはオーディオ界隈の共通認識であると思われますので、本ブログの音響機器の評価も「原音忠実性」を最も重視しています。
「原音忠実度」は基本的に高ければ高い方が多くの人にとって良いと思われますが、ほかの評価値は中間値である「B」を離れるほど原音忠実性が薄れます。そのため「S」や「A」はその音要素を好む人には最も心地よい音かも知れませんが、他の人には不快かも知れません。そして不快な音要素が決まっている人は、むしろその音要素が低い評価のものを選ぶとより心地よく音楽を楽しめると思います。
このように、当ブログでは原音忠実(リファレンスサウンド)からの距離を提示することで効率的にあなたの好みに合ったオーディオ機器を発見できるように工夫しています。
評価が高ければ高いだけ良い評価値というのは「原音忠実度」「クリア感」「おすすめ度」で、とくに「原音忠実度」+「クリア感」がオーディオ製品としての単純な優秀性を表します。
「原音忠実再生」についての参考動画:創造の館「いい音とは何か」
※以下のリンク先はpdfです。
低域(原音忠実度:B-/臨場感:C-/深さ:C/重み:B+/太さ:B+/存在感:B-)
GRADOのヘッドホンの低域は大抵、重低域に向かってゆるやかに伸びており、100hz付近から急速にローエンドに向って減衰する直線的なロールオフがあります。
床鳴りを感じさせるノイズは多くなく、臨場感は高くありません。エレキベースは少し浮き上がって聞こえ、バスドラムキックも重みがありますが、やや浅い印象を受けます。中域からは少し離れるように階層性が強調されるので、縦軸での音の立体感はしっかりしています。
中域(原音忠実度:A-/厚み:B+/明るさ:B/硬さ:B+/存在感:B+)
中域は前進的で、低域と高域からほどよく分離されています。
中域はかなりはっきりと硬く構築的に聞こえ、音の手がかりがしっかりと聞こえます。ボーカルは少し明るく媚びて元気に聞こえ、ハキハキツヤツヤとしています。打楽器もかっつりときれいに聞こえるので、ロックでも確かなリズムが感じられます。ピアノは少し硬く、音量を上げるとキンキンする感じが出るかもしれません。
高域(原音忠実度:B-/艶やかさ:B-/鋭さ:B-/脆さ:B+/荒さ:C-/繊細さ:B/存在感:B+)
高域は艶やかな光沢感があり、マイクロディテールも少し強調されるので、全体的に艶がありディテール感はしっかりしています。
高域は少し派手な色づき感があり、少し音がキラキラと粒立ち、アコースティックギターやエレキギターのエッジは少し強調されて聞こえ、金管などの音にも色気が感じられます。女声ボーカルのニュアンスは少し鼻にかかるように強調され、わずかにハスキーに思えるかもしれません。高域は少し派手で、またギラツキがやや強いですが、華やかでGRADOらしい艶やかさの感じられるにぎやかな雰囲気のあるサウンドです。
グルーヴ/音場/クリア感(グルーヴの中心:中域~中高域/音場:B+/クリア感:B)
※一般にグルーヴの最も大きいところが最も活き活きと聞こえるので、音楽の中心になります。グルーヴの中心範囲の大きさは変動的です。グルーヴの中心は個人の音楽の好みを決定し、音響機器選択のヒントになります。音響機器のグルーヴの中心が個人の好みと離れている場合、むしろその不自然さが強調され、その音響機器を楽しくないと感じる可能性が高いです。音場の評価はBが自然な広さです。クリア感の評価は全高調波歪の測定値を参照して決めています。
このヘッドホンのグルーヴの中心は一般に中域~中高域に存在すると思われます。
中域は奥行きと深さ、高さと幅があり、全体の中で広めに、印象的に聞こえます。全体の音場は深さはそれほどもなく、高さも自然なレベルでしょう。打楽器とボーカルの周囲の空間が広く、これらのサウンドが印象的に聞こえます。
音質総評(原音忠実度:B+/おすすめ度:A/個人的な好み:A+)
GRADOらしい華やかさのあるサウンドです。低域はやや薄味なので、音楽全体が前かがみで聞こえるところはありますが、明るくハキハキし、グルーヴ感も高い、艶やかなサウンドで気持ちを高揚させてくれる楽しくノリの良い音楽を聴かせてくれます。
個人的にもGRADOの好きなところが凝縮されており、5万円以内でGRADOで買うなら、これでいいんじゃないかと思うくらいです。私から見ても正統派GRADOサウンドでよくまとまったミドルエンドモデルです。
GRADO Hempとの比較
同じ価格帯のGRADO製ヘッドホンとしてはGRADO Hempがあります。私の観点では両者のうち、「よりGRADOっぽい」と言えるのはSR325eのほうでしょう。詳細は有料記事で解説しています。ここでは録音音源で比較できるようにしておきます。
録音比較
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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原曲(+5dB@1khz)
- GRADO Hemp
- GRADO SR325e
音質的な特徴
美点
- キレの良いスネアやタム
- 印象的なボーカル
- 奥行き感がある
- 中域への適切なフォーカス
- 硬めで手掛かりがしっかりと聞こえる構築的な中域
- バランスが良い
- 分離感が良い
- 派手で賑やかな高域
- 色気のあるボーカルとギター、金管
欠点
- 臨場感に欠ける
- かさついたドライな質感
- 少し浮ついて聞こえやすいサウンド
- 静寂感は少し足りないかもしれない
音楽鑑賞
佐藤有香「風の未来へ」
こういう明るい、ヒーローアニメ系のロックポップスサウンドを楽しみたいときはやっぱりGRADOのヘッドホンを手に取ってしまいます。シンセ音は光沢がきれいでつややかに聞こえますし、エレキギターも色づきが良くにぎやかで、ボーカルは少し媚びて伸びもよく、息遣いもハキハキしています。なによりGRADOらしいキレの良いドラムサウンドが曲を盛り上げます。わずかに音量次第で子音が尖る感じがありますが、それすらも溌溂さに思えます。
fhána「ワンダーステラ」
中高域がきれいに聞こえ、艶が良い感じはこういうプログレッシブロック系のサウンドとも相性が良く思えます。楽器音のディテールは少し強調されて聞こえ、低域は深いですが控えめなため、自然と意識がボーカルの上の楽器音の情報量が多いあたりに向きます。グルーヴの中心もそのあたりにくるので、ギターエッジのディストーションの色気が出るあたり、中高域のキラキラ感のあたりが最も生き生きと聞こえます。
ただ人によっては、ボーカルの上くらいに音が集まっているような印象を受け、静寂感に欠け、ガチャガチャしているように思うかもしれません。
安野希世乃「ミナミカゼ それはきっと」
この曲をかなり色気を強めに、明るく媚びた感じで聴かせてくれます。ドラムも少し元気にかっつり硬めで、金管は色気たっぷりの音で吹き鳴らすので、全体的に少しウキウキした感じに聞こえます。ボーカルはちょっと媚びたアイドルっぽい雰囲気が強調されて、コケティッシュです。この曲を全体的に華やかに楽しみたいなら、SR325eはおすすめです。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。ゲインは低設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
GRADO SR325eはGRADOらしい中域によくフォーカスされた色気たっぷりのサウンドを聴かせてくれます。金管をはじめ楽器音は華やかで、それこそ花開くように艶やかな蓮華に近い色彩感があります。あるいはそれは南国のハイビスカスかもしれません。キレの良いドラムサウンドも元気で、聴いているだけで活力を与えてくれるような、楽しいサウンドがそこにあります。
【国内正規品】GRADO SR325e オープン型オーバーヘッドヘッドフォン アメリカ製 新シリーズ 000899
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