qdc Dmagic 3D 【QDC-8503】 有線 イヤホン リケーブル対応 カナル型 ダイナミック型 【送料無料】
- 基本スペック
- qdc Dmagic 3Dの特徴
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- qdc Dmagic 3D
- 音楽鑑賞
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- qdc Dmagic 3D
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今回取り上げる中華イヤホンはqdc Dmagic 3Dです。
qdcはShenzhen Qili Audio Application Co.、Ltdのオーディオブランドで、中国の深圳に拠点を置く超高級ブランドです。このブランドはプロフェッショナルな楽曲向けのハイエンド・インイヤーモニター(IEM)を開発することに専念していて、現在存在する中国のIEMメーカーとして、トップレベルの知名度と技術力を持っている最高峰ブランドと考えられています。
qdc Dmagic 3DはそのqdcからリリースされたトリプルダイナミックドライバーIEMです。
なおこのレビューはONZO様の素晴らしいサービスを利用して作成されました。感謝とともにONZO様のますますのご発展をお祈り申し上げます。
ONZO様のサービスについて興味がある方は以下をご参照下さい。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- ドライバー構成:3DD
- 周波数特性:10Hz~30kHz
- インピーダンス:13.5Ω
- 感度:98dB
- ケーブルコネクタ:qdc 2pin
qdc Dmagic 3Dの特徴
2種類の異なる素材の振動板を同軸で配置
qdc Dmagic 3Dは、3基のダイナミック型ドライバーを搭載したハイエンドIEMです。中/低域には10mmのグラフェン振動板と10mm チタンコーティング振動板の2種類のトーンが異なる振動板を採用し、それらを同軸で配置して駆動させています。高域には 8mmの複合振動板採用のダイナミックドライバーを採用することで、ピュアで自然な広がりのあるサウンドを実現したとされています。
独自のプラグ機構を備え、あらゆるバランス/シングルエンド出力に対応
qdc Dmagic 3Dに付属する高品質な単結晶銅と銀メッキ銅のハイブリッドケーブルには、独自のプラグ交換機能が備わっています。これにより、3.5mmシングルエンド出力だけでなく、2.5mm/4.4mmのバランス出力にもケーブル交換なしで対応することができます。パッケージには6.35mmヘッドホン出力用の変換アダプタ、航空機出力変換用プラグも含まれており、様々なオーディオ機器にシームレスに対応することができます。
パッケージ
qdc Dmagic 3Dのパッケージは最高級レベルの製品にふさわしいものになっていますが、特別豪華と言えるかは難しいところです。このイヤホンがDUNU LUNAとほぼ同じ価格だということを思い出してみましょう。私自身はLUNAのパッケージ実物を見たことはないので完全に比較することは出来ませんが、HiFiGOのレビューを見る限り、LUNAのほうがパッケージの豪華さでは勝るように思われます。qdcは必ずしもパッケージングで卓越したメーカーというわけではなく、むしろどちらかというとパッケージはシンプルなことが多いです。
本体のビルドクオリティは文句なく高く、吸い込まれるような高級感があります。ケーブルの質も高く、不満はないと思われます。
装着サンプル
耳への収まりは良く、遮音性も良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
マガジン専用コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
マガジン専用コンテンツになります。
THD+N特性
マガジン専用コンテンツになります。
音質解説
qdc Dmagic 3Dの最大の魅力はその迫力と質感に優れたサウンドです。パワフルで豊かな厚みのある実体感に優れた音を持っており、音場は自然な雰囲気よりはダイナミックで、うねるようなグルーヴ感を音楽から引き出し、豊かで芸術的な音がします。
低域はパワフルで印象的です。そのサウンドは一般に重く、太く、重厚で、中域とは少し分離されて深い位置で聞こえます。それはモニター的ではなく、ライブ感のある音楽的な床鳴りや胴鳴りが楽しいサウンドで、ドラムキックにインパクトがあり、活き活きしています。低域のグルーヴ感を重視する場合、イヤホン全体を見ても屈指のパフォーマーで、どんな曲を聴いても音の深みに不足は感じられないでしょう。音楽全体のコントラストの最も黒い部分を形成する、充分に鮮やかな低域ですが、息苦しい圧迫感はなく、深すぎないのでノイズ感もない、非常にクリアで美しい低域です。ダイナミック型の魅力を最大限引き出しているような低域はqdc Dmagic 3Dの最初のチャームポイントであることは間違いありません。
グルーヴ感のある低域に支えられた中域は前進的で、透明感があり、わずかに上向いて聞こえます。奥行きと見通しに優れ、一見落ち着いているように感じられる中域ですが、トーンが豊かで音の質感にうねるような変化があり、ワクワクさせてくれる楽しいサウンドです。その雰囲気はリスニング的なので、正統派のモニターサウンドを求める人には向きませんが、豊かでリッチに聞こえます。高級オーディオセットのように鮮やかで心温まる美しいサウンドがそこにあります。
高域はqdcらしい、滑らかさと質感のナチュラルさを重視したサウンドになっていますが、中高域のあたりは強調され、艶やかなサウンドが印象的に聞こえ、音楽の明瞭感はニュートラルより少し強調されています。そのため、音楽全体は明度の点で少し明るく、くっきり感が高まっています。それに対し、輝度は非常に丁寧に調整されていて、わずかにギラつきが強い印象を受けますが、シンバルは清潔で耳障りさがなく、中域の音楽的な雰囲気と調和しています。この主張しているようで中域を邪魔しない高域のチューニングはqdcの真骨頂で、ディテールがしっかりしているのに耳に不快感が残りません。賑やかでエネルギッシュでありながら後味の良いサウンドです。しかし、それでも一部の人にはシャカシャカしているように聞こえる可能性があります。
私が比較的qdcのサウンドを好んでいることは事実ですので、やや評価が甘い可能性はありますが、率直に言ってそのサウンドは明瞭感に優れ、とても音楽的で楽しく、魅惑的です。癖があるとすればおそらく高域ですが、それは不快なピーキーさがあるというような明白な欠点ではなく、どちらかというとシャカシャカした粒立ちの質感の好みの問題のようなもので、その音にはシルキーというよりはもう少しジャリつくところがあるといった具合です。すっきりした高域を好む人にはこの点、少し不快な可能性があるでしょう。
音質的な特徴
美点
- ボーカルフォーカスが良い
- グルーヴ感に優れる
- ナチュラルさを意識した質感
- 良好なディテール感
- 音楽的で楽しい
欠点
- わずかにしつこく感じられる高域
- モニター的ではない
- 音場の雰囲気が演出過剰に思える可能性がある
- 静寂感で物足りない
音楽鑑賞
すぎやまこういち、ロンドン・フィル・ハーモニー管弦楽団「鎮魂歌〜ほこら」
個人的には自然な感じより少し明るく聞こえるので、原曲の静けさと重厚感がわずかに不足している印象を受けますが、このイヤホンで聞く「ほこら」のリフレインはうねるようにダイナミックで、非常に鮮烈かつ印象的です。このイヤホンのバイオリンの高い部分は倍音がうねり、カタルシスを感じるほどはっきりと目立ち、やや演出過剰に思えますが、身もだえするほど迫力があります。
LiSA「シルシ」
個人的な好みからすると、わずかに明るすぎるように聞こえますが、この曲のグルーヴ感をかなり最大限引き出してくれ、とくにLiSAのボーカルの天に昇るような突き抜けるダイナミズムを強調してカタルシスを存分に感じさせてくれます。ドラムの打ち込み感も素早く、キレがあって、この曲の静と動の変化をよく感じさせてくれます。わずかに静寂感が足りず、いまいち心の深くに響いてこないところがありますが、個人的にはかなり感動しました。
デーモン閣下×宝野アリカ「時空の迷い人」
ちょっと明るい感じなんですけど、この曲はかなりスタイリッシュでボーカルも曇りなく活き活きと聞こえるので、すごく楽しいです。解像感も非常に高く感じられ、最初はちょっとツヤツヤしすぎかなと思うんですが、聴いているうちに曲の世界観に飲み込まれる没入感があります。全体的にデジタル味は少し強調されている感じではあるかな。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピース(シングルフランジ) Sサイズを使い、ゲインは低設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
qdc Dmagic 3Dはうねるようなグルーヴ感とクリアな明瞭感、リッチな優雅さを兼ね備えたハイエンドイヤホンです。そのサウンドとパッケージ/ビルドクオリティは充分価格に見合うものだと思われますが、音質は若干静寂感に欠け、演出感も強いように思えます。わくわくする活気に満ちた楽しいリスニングサウンドを求めている場合、このイヤホンは最高に魅力的に思えるでしょう。私には少し見栄を張った「傾(かぶ)いた」音に聞こえます。
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