以前DAPについて質問を頂いた方から追加で質問を頂きました。ありがとうございます。個人的にも実にブログのネタになる興味深い質問だったので、ブログで返答させて頂きます。質問メールは以下の内容でした。全文引用いたします。
こんにちは、突然のメール失礼します。
いつもブログ拝見しております。
2週間ほど前に5万円以下のDAPの購入相談をした者です。
前回はお忙しい中ありがとうございました。
発売後の評判もよかったのでDX160を購入しました。
在庫切れだったため来週届くのを楽しみにしているところです。
そして、これからリケーブル対応のイヤホンとバランスケーブルを購入するのですが、何点かお伺いしたいことがあります。
予算5万円でイヤホンとケーブルを買おうと思っています。
【1】おすすめのイヤホンについて
高級イヤホンを取り扱ってるお店が県外にしかないため、ある程度目星をつけてから視聴しに行きたいと思っております。
そこで、おすすめのイヤホンを予算内で価格帯別に教えていただきたいです。
好みの音はNUARLのNT01AXのような自然でありながら立体感や臨場感があり、華やかで厚みがある音です。
この音をベースに、もう少し分離感がよく、音がクリアなイヤホンがほしいと思っております。
また、ヘッドホンはHD598を使っており、そちらも自分の好みの音です。
【2】リケーブルについて
ケーブルは何を見てどれがよいか判断すればよいでしょうか。
また、おすすめのケーブルも教えていただきたいです。
ブログではLuminox Reflectionを推していたと思いますが、とりあえずこれを買っておくのが無難でしょうか。
【3】視聴について
イヤホンとケーブルは実際に視聴してから購入するのですが、その際にどのような曲で視聴すればよいでしょうか。
また、イヤホンから鳴る音のどのような点に注意して視聴、比較すればよいでしょうか。
いつもイヤホンのレビューをブログに書いておられますが、その際にどのように視聴して音の良さや特徴を判断しているのかを教えていただきたいです。
たくさんの質問をしてしまい申し訳ございません。
お時間があるときにお答え頂ければ嬉しいです。
【1】おすすめのイヤホンについて
要望としては5万円以内でNUARL NT01AXっぽい感じの出音でランクアップできる感じというふうに受け止めました。
そこでまずNUARL NT01AXがどういう音であるかを考えてみる必要がありますが、私の考えるNT01AXの出音の特徴は以下の感じです。
- ほどよく厚みがある低域
- 奥行き感のある中域
- みずみずしい音
- 高域での伸びが良い
5万円以内をことごとく聞いたわけではないので、必ずしも質問者様のお眼鏡に適うか分かりませんが、まずOriolus Finschiは低域の厚みの出し方、奥行き感の表現、中域の潤い感は似ていると思われます。今は後継機種のFinschi HiFiになっており、若干印象が変わったと思いますが、雰囲気は基本的に似ていると思います。
次に高域の出音がNT01AXに比べると少し派手になりますが低域の厚みの出し方と奥行き感がある感じで比較的音の質感が柔らかくナチュラルな質感のあるqdc SH3は現在5万円ギリギリになりますが、おすすめしたい機種です。
予算的には少しだけオーバーすると思われるのが心苦しいですが、Cayin YB04はNT01AXに近い自然な分離感と一体感のバランスを取っていて、しかも音がみずみずしい機種なのでかなりおすすめです。
あとは定番機種なのでROSE BR5 mk2は候補に入れておくと良いかも知れません。さらにJVC HA-FW01もナチュラル系の音なのでもしかすると好みに合うかも知れません。
【2】リケーブルについて
Luminox Reflectionについては以前熱烈にオススメしてましたが、それはあの記事を書いた前後にちょうど1万円くらいで底値だったのでコスパ良すぎだったためでした。現状は1.5万円くらいになってしまっていて、普通のコスパですが、それでも1万円台では最強クラスと言って良い製品です。イヤホン本体が5万円だとすると、1万円台のケーブルが適切と思われますし、高域が少し伸びて、音場が整理される系統のケーブルなので、NT01AXの音が好きならば、おそらく好みに合うと思われます。そういうわけでやっぱりLuminox Reflectionをおすすめします。
リケーブルについては私自身が個人的にあまり重視してないので、語れるほど製品を聴いているわけではありませんが、オカルト含めリケーブルに関する一般的な知識については以前の記事にまとめてあります。ご参照下さい。
【3】試聴について
基本的に好きな曲を聴くためにイヤホンを買うと思われますので、自分のフェイバリットプレイリストを作っていって、聞き流すのが一番良いと思います。
と言うと答えになっているようでなってない気もするので、あくまで選曲は私の好みで簡単な方法を説明すると、下の3つの動画を順番に聴きます。どれかがうるさかったり気に入らなかったら、私はたぶんそのイヤホン買わないと思います。(もちろん例外はあります。)
ちなみにレビューしてるときはプレイリストを適当に選んで、適当に流しながら、「ああ、これいいね」ってヤツをよく聴いてみたり、逆に「これはつまらんね」ってヤツを聴きながらイコライザーいじってどこが物足りないかを探るみたいなやり方をしています。レファレンスDAPはONKYO GRANBEATかKANN CUBEです。
【追記】返事を頂きました。あとレビュー評価の方法論については近日もう少し深く触れるつもりです。
メールで返事を頂きました。ありがとうございます。参考になったようで安心しました。
こんにちは。
さっそく回答のブログを読ませていただきました。
丁寧な回答ありがとうございます。
サイトで紹介していただいたイヤホンについてはぜひ視聴してみたいと思います。
自分でも下調べはしているのですが、特にOriolusのFinschiは音のバランスがよくコスパもよかったり、qdcはNeptuneが有名であるように高域が特徴的できれいという評判もきいていますので、視聴するのがとても楽しみです。
バランスケーブルは購入するイヤホンの値段にもよるとは思いますが、Luminox Reflectionを基準に考えたいと思います。
視聴するときはやはり普段からよく聞く好きな曲を聞くのがいいですよね。
紹介していただいた17才、Knew dayは初めて聞きましたが自分の好きなタイプの曲だったので、思わず自分のプレイリストに入れてしまいました。
調べてみるとどちらもアニソンのようで、今までは聞いてこなかったジャンルですがしばらくの間ハマってしまいそうです。
アニソンに触れるいいきっかけを作っていただいたと思ってます。
おすすめのイヤホンとケーブル、曲まで紹介していただきありがとうございました。
イヤホンを買いに行くのはもう少し遅くなるのですが、購入したら報告したいと思います。
実はこの記事を書いたときには【3】のレビュー評価の方法については自分のやり方がよいものかどうかわからなかったので、肝心なところは一度詳しく書いたんですが、万人向きの音色評価として適切か迷ったので、結局消して掲載しませんでした。しかし先日、finalの音響講座に参加して、自分の評価方法について言語化できるだけの知識が得られ、さらに評価方法の中で肝心な音質体験の個人差という点についても理解が得られましたので、詳しく方法論を紹介することが出来るようになりそうです。
なおfinalの人も言っていましたが、リケーブルには科学的根拠をいまだ見出しづらいので、データ的な蓄積はありますが、最終的には個々人の感性に頼る半ばオカルト的なところが多くなる気がするということだけ補足しておきます。つまり、イヤーピースに比べて確実な科学的根拠があるわけではないので、リケーブルよりはイヤーピースによる音質変化の方が影響が大きく、体感しやすいと思われます。私がリケーブルをあまりレビューしないのも、その音質変化が万人に感じられるものなのか、根拠薄弱で自信がないからです。
レビュー方法論については参考文献が届いてから、近日中により詳しく紹介したいと思います。
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