2020 KBEAR KS2 Hybrid DD+BA In ear earphone With 0.78mm pin earbud Hifi Sport Running game headphone
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回はKBEAR KS2を取り上げます。KBEARはKinboofi(これで「キンボファイ」と読むらしい)系のブランドで低価格で人気のある製品を数多く出してきた中華系のブランドです。
その新作イヤホンKBEAR KS2は低価格で1BA1DDのハイブリッドドライバー構成を実現しているエントリークラスイヤホンになります。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Recommended」として、比較的多数の人にとって買って損がないオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- 周波数特性:20hz-20kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:106dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
パッケージ
イヤホンのパッケージはこの価格帯では標準的です。ケーブルが少しチープで絡まりやすいタイプなのが気になるかも知れず、アップグレードを検討する人がいるかもしれません。
本体のビルドクオリティは価格帯の水準を満たしており、価格帯の平均よりは少し上等かも知れません。
装着サンプル
装着感は良好です。ユニバーサルIEMタイプのデザインをしており、耳によく嵌まります。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [AET07 M装着時]左右別
- [AET07 M装着時]左右平均
- [AET07 M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [AET07 M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース M装着時]左右別
- [標準イヤーピース M装着時]左右平均
- [標準イヤーピース M装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピース M装着時]左右平均(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み)
- 標準イヤーピース比較(自由音場補正済み/2khz-24khz拡大)
※「AET07 Mサイズ」は当ブログの測定用レファレンスイヤーピースです。それ以外のイヤーピースは特記がない限り、このイヤホンパッケージの標準添付のものです。
※また当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー的には全体として見るとU字型か穏やかなV字型と言える形をしています。低域は中域にわりと配慮された傾斜をしていますが、深みが強調される形になっており、熱気がありますが、重みや厚みはわりと抑制的で、中域の清潔感重視になっています。中高域は少し艶やかで、高域ではややエッジの強調が強い印象です。ただ全体的な音域バランスは中域が凹んでいてドライな感じがありますが、モニター的と言えるサウンドで、中域の見通しは良好です。
低域はかなり深いところで持ち上がっており、床鳴り感に強調があります。深み重視で地熱があり、重みは適度に強調され、厚みは抑えめです。熱気があるので引き締まりが強いというわけではありませんが、タイト傾向ではある低域で、質感自体は適度に柔らかみがあって耳に優しいながら、リズム感にボケた感じはありません。キックがしっかり強調され、ベースのブリブリ感もそこそこあります。熱気のある低域でライブ感はほとんどの人にとっておそらく充分です。逆に清潔な低域が好きな人には少しノイジーかも知れません。
中域下部と上部には谷が設けられていて、中域の清潔感は調整されています。ロックなどでは完全に清潔とはいかないかも知れませんが、わりとボーカル周りは清潔ですっきりしています。ドンシャリではあるので、ボーカルはやや後退的ですが、ボーカルニュアンスは結構しっかりしており、のびやかに聞こえ、低域の熱気からは少し離れたところにボーカルの頭が出て、存在感があります。子音はわずかに尖り、息遣いも少し過剰な感じがあるかも知れませんが、耳に痛い感じはなく、わりとナチュラルです。ボディの不足も少しあるかもしれませんが、おそらくほとんど気になりません。
ギターエッジは鮮やかで中高域は充分に賑々しく、ハイハットは少しギラつき派手です。超高域はロールオフが早いので、開放感は調整されており、高域の抜けは高くなく、中域に甘味があります。
ドンシャリですが、バランス感覚は悪くなく、全音域のパワーバランスはわりと均等に感じられると思います。中域だけ少し細っている気がしますが、空間の清潔感がうまく調整されていて、聞こえにくい感じはほとんどありません。ただ、充実感には少し欠ける印象を受けます。中域の清潔感とニュアンスとディテールに振ったようなチューニングステータスは、少し分析的でモニター的なサウンドに仕上がっていると言えるでしょう。
KBEAR LARKとの比較
競合するKBEAR LARKとの比較があります。詳細はKBEAR LARKのレビュー記事をご確認ください。
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。自由音場補正済みです。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースは標準イヤーピースのMサイズ、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
JAZZ
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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町「ペンタウァ」 / ファルコムベストサウンドコレクション -All in All- / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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Desire / The Songs of Zemeth ~Ys VI Vocal Version / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
OST
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Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC Evolution オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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永劫の夢、大空の記憶 -Online Version- (Bonus Track) / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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ユルギナイツヨサ / 日本ファルコム 英雄伝説 零の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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アプリエス神殿 / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
クラシック
- Sophisticated Fight / We Love 空の軌跡 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- FEENA / イース ピアノコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
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組曲 LILIA (ファルコム ネオクラシック フロム スタディオズ イン ロンドンシティ) / ベリー・ベスト・オブ・イース / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ロック
- Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- The Decisive Collision / 英雄伝説 閃の軌跡 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
- Mighty Obstacle (2003) / Music From The History Of Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
中域の清潔感を大事にしており、分析的なモニターサウンドを低価格で手に入れたいという人にはわりと魅力的な機種になると思います。低域はわりとライブ感があり、高域も少し派手になるので楽しいドンシャリサウンド的な要素もあり、しかも中域に甘味があります。少し充実感には欠ける印象を受けますが、モニターサウンド好きにはかなり良いイヤホンに思えるでしょう。
しかし、同じブランドのKB04という、ビルドクオリティやパッケージ内容の面では明らかに優れる機種が価格的に近い位置にいるのが気になるところです。単純に音質以外の品質面でKB04のほうが価格差以上にお得に見えてしまうところがあります。
KBEAR KS2 重低音 高音質 イヤホン イヤモニ型 イヤホン Yinyoo (KS2 緑)
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