- 基本スペック
- パッケージ
- 装着サンプル
- 音質
- レコーディングシグネチャー
- 録音機材
- GENS D'ARMES(ロック系)
- Sophisticated Fight(ロック系)
- TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
- 白き魔女(クラシック系)
- 小さな英雄(クラシック系)
- 淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
- FEENA(EDM系)
- The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
- Sophisticated Fight(JAZZ系)
- ケノーピ火山(JAZZ系)
- 浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
- QUATERA WOODS(OST系)
- 幻の大地 セルペンティナ(OST系)
- 愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
- 魔王ヴェスパー(OST系)
- 花と風のうた(JAZZ系)
- 総評
- 【関連記事】
「フラッシュレビュー」はデータ中心の簡潔な内容で、ポイントを絞ってオーディオ製品を解説します。
今回取り上げる中華イヤホンの機種はKBEAR LARKです。
KBEARはKinboofi(これで「キンボファイ」と読むらしい)系のブランドで低価格で人気のある製品を数多く出してきた中華系のブランドです。
KBEAR LARKはブランドから出た最新の1DD+1BAのハイブリッドイヤホンです。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- ドライバー構成:1DD+1BA
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:104dB
- ケーブルコネクタ:0.75mm 2pin
パッケージ
パッケージは5000円以下という価格を考えるとかなり豪華です。
本体のビルドクオリティも良好で、ケーブルクオリティはチープですが、価格を考えれば普通です。
装着サンプル
耳への収まりは良く、遮音性も良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
上から順に、
- [標準イヤーピースS装着時]左右別
- [標準イヤーピースS装着時]左右平均
- [標準イヤーピースS装着時]左右別(自由音場補正済み)
- [標準イヤーピースS装着時]左右平均(自由音場補正済み)
※当ブログの自由音場補正については機材に合わせてサザン音響さんから提供された補正値を使用しております。
サウンドシグネチャー解説
全体を見るとU字型といった感じです。全体のバランスは比較的良く取れており、わりとフラットに近く聞こえるのでほとんどの曲で破綻は少ないでしょう。
THD+N特性
上は周波数帯域ベースのTHD+N特性、下は1khzでの音量レベルTHD+N特性です。THD+N特性はおおむね1%以下で、満足できる品質です。
音質解説
低域はわずかに重みが強い印象を受けますが、ほとんどフラットなので見通しは悪くありません。ただしわずかに中域に対して優位にあるので、エレキベースやドラムキックは少し目立つ印象に聞こえる可能性があり、熱気も少し強めです。少しブーミーさが感じられるライブ感のある低域です。低域弦楽はわずかに重いですが、黒すぎない感じでほぼ中庸な明るさがあり、自然な厚みと躍動感が感じられます。中域とのつながりはわずかに分離されていて、ほとんどの場合熱気は低域内で処理され、中域に滲み出すことはないと思いますが、ウォーム傾向であることは事実なので、人によってはこれでもまだ中域が濁ると感じる人はいるかも知れません。
中域は全体の中ではわずかに凹んでいますが、フォーカスは良好です。中域の空間は奥行きはほどほどですが、高さで少し多めのマージンがあります。ボーカルはボディが充分で、適正音量ではシャウティになることはなく、子音が尖ることもありません。空間の静寂感も一般に充分だと思われます。中高域のギラつきは中域とバランスが取れているので、派手でも地味でもなく中庸です。
高域のシャープネスは少し強調され、輝度は高めになっています。マイクロディテールはやや強調されます。天井はそれほど高くありませんが、ギラつきはうるさくなるほど強くないので、シンバルクラッシュなどには透明感があって、シルキーな清潔感のある感じで耳に残るため、耳障りさはありません。
全体として見ると、少し広い中域を中心にしてサウンドが整えられており、中域に適切にフォーカスされるように輝度、高さ、低域の存在感がよく調整されています。かなり万能系でバランスが良いイヤホンです。
KBEAR KS2/KZ EDX/BGVP DN2との比較
ここでは価格と構成でだいたいのライバルになるであろうKBEAR KS2/KZ EDX/BGVP DN2と比較します。
KBEAR LARKとKBEAR KS2の比較
KBEAR LARKは同じブランドで同じく1DD+1BAハイブリッドイヤホンのKBEAR KS2をよりフラットに近づけたリバランスモデルと言って良いかもしれません。両者の違いは低域のバランスの違いだけと言って、おそらく実質的に差し支えないように思われます。
多くの人にとってKBEAR LARKのほうがバランスが良く、中域の聞こえがよりクリアなので好ましいと思われますが、私はぶっちゃけKS2のほうが音が引き締まって感じられ、静寂感もあって好きです。こういうときに低域ジャンキーだなぁって自覚します。
録音比較
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
KBEAR LARKとKZ EDXの比較
KZ EDXは1DDですが、KBEAR LARKとかなりバランスが似ています。総合的には、KZ EDXのほうがわずかにドンシャリ傾向が強いです。実際のところ、おそらく中高域と超高域の余韻、低域の違いから来る濃厚感の差だと思うのですが、KZ EDXのサウンドはKBEAR LARKと比べると、もう少しダイナミックで華やかさがあります。輪郭感の良さや中域の透明感、音場の広さではKBEAR LARKのほうが勝っており、本来であれば相対的に万能性が高く、より解像度も高いと評価されるべきはKBEAR LARKだと思われます。
ところが、私にはどうもKBEAR LARKの音はKZ EDXに比べてまとまりが良すぎて、空間も少しスカスカし、いまいち楽しさに欠けるところがあるんです。KZ EDXの音にはKBEAR LARKにない色気を感じるんですよね。最終的には好みなので、皆さんの印象は違うかもしれません。ぜひ聞き比べてみてください。
録音比較
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
KBEAR LARKとBGVP DN2の比較
KBEAR LARKと同じような万能系ですが、高域で輝度を抑え、低域でよりウォームになり、より正統派フラットリスニングサウンドに近いのがBGVP DN2です。音場の点では明らかにKBEAR LARKのほうが優れています。
流行という点でも現代的なサウンドにより親和的で、洗練された音に感じられるのはLARKのほうですが、DN2には聞き心地の良さと適度なディテール感があり、静寂感の点でも優れています。甘い雰囲気で聞こえるDN2のような音は第一印象は良くないかもしれませんが、心地よく楽しめるサウンドに感じることがあります。私も穏やかな曲を聴く場合はDN2のような雰囲気が好きです。
録音比較
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。イヤーピースはJVCスパイラルドット++ MSサイズを使い、ゲインは高設定です。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(ロック系)
Sophisticated Fight / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
TO MAKE THE END OF BATTLE(ロック系)
TO MAKE THE END OF BATTLE / Ys Ⅰ&Ⅱ ベストサウンドコレクション / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
小さな英雄(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 小さな英雄 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
淡い恋 ~Too full with love~(クラシック系)
淡い恋 ~Too full with love~ / イース・ヒーリング / Copyright © Nihon Falcom Corporation
FEENA(EDM系)
FEENA / PROVINCIALISM Ys / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
ケノーピ火山(JAZZ系)
ケノーピ火山 / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
QUATERA WOODS(OST系)
QUATERA WOODS / イースVI -ナピシュテムの匣- オリジナル・サウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
幻の大地 セルペンティナ(OST系)
幻の大地 セルペンティナ / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
愛を感じていたい「終焉」(ポップス系)
愛を感じていたい「終焉」 / オリジナル・サウンドトラック 「海の檻歌」~後編~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
魔王ヴェスパー(OST系)
魔王ヴェスパー / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
花と風のうた(JAZZ系)
花と風のうた / 「Zwei!!」 スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
KBEAR LARKは5000円以下で入手できるイヤホンとしてはビルドクオリティとパッケージ内容が格別に優れているだけでなく、音質的にも万能系で使いやすいイヤホンです。デザインもかっこよく、入門用のIEMとしてかなり理想的な機種の一つであることは間違いありません。音場は広く、中域へのフォーカスも良好です。全体的な完成度で、この価格帯の中華イヤホンの王者として君臨できる可能性はあります。
【関連記事】