水月雨 (MOONDROP) SSR グリーン 有線 イヤホン リケーブル対応 カナル型 ダイナミックドライバー 【送料無料】
今回取り上げる機種は人気の中華イヤホン、Moondrop SSRです。
Moondropは科学的で堅実なチューニングとクラフトマンシップに溢れたビルドクオリティとデザインで近年中華イヤホン界隈で高い名声を博しているメーカーです。Moondrop SSRはそのMoondropのエントリークラスイヤホンの1つであり、Moondropはそのブランドにおけるリファレンスエントリーモデルと位置付けています。
audio-sound @ hatenaはこの機種を「audio-sound @ hatena Highly Recommended」として、大多数の人にとって満足度が高いオーディオ製品であると推奨します。
基本スペック
- ドライバー構成:1DD(ベリリウムコーティングドーム+ PUサスペンションリングダイヤフラム)
- 周波数特性:20Hz~20kHz
- インピーダンス:16Ω
- 感度:115dB
- ケーブルコネクタ:0.78mm 2pin
Moondrop SSRの特徴
ベリリウムドライバー
SSRは、ダイナミックドライバー1発構成のIEMです。市場にありふれたマルチハイブリッド設計とは異なります。代わりに、MoondropはこのニュートラルチューニングIEMに単発のベリリウムコーティングドーム構造のドライバーを使用しました。
ベリリウム製ドライバーの存在は今となっては珍しくありません。スピーカーメーカーはこれを長い間使用してきました。ベリリウムは素材として、重量と耐久性/剛性の適切な組み合わせを持っています。その軽量性は、振動板にスムーズな動作を可能にします。その剛性は、過度の屈曲のためにドライバーが歪むのを防ぎます。
拡散音場ターゲットに基づくニュートラルサウンド
Moondropの音響エンジニアは、拡散音場ターゲットに従って新しいSSRを調整しました。 したがって、サウンドシグネチャーはかなりニュートラルに近づいています。
そのシングルドライバーの音響設計は、非常に解像度が高く中立的なサウンドシグネチャーを実現しています。
Moondropによると、ベリリウムコーティングされた振動板は、より詳細な音の把握を可能にし、改善された調性を提供し、音質を改善します。 その結果、サウンドは楽しく、ダイナミックで、解像度の高いものになっています。
公式にリリースされた周波数グラフによると、フラットで強調されていない低音、クリアな中音域、不快なピークのない高域を備えたニュートラルチューニングが期待できます。その結果、楽しくダイナミックで、非常に解像度の高いリスニング体験が実現されます。
優れたデザイン
ハーマンチューニングされたIEMで知られてきましたが、Moondropは、SSRで高コスパIEMのラインナップをさらに拡充させました。同社によると、SSRは、いくつかの調整が施された前機種Spaceshipの改良版です。
Moondropは、SSRのためのユニークなハウジングを設計しました。 外観は芸術的に見えますが、人間工学に基づいたデザインにより、イヤホンの着脱が簡単に行えるようになっています。それにより、最高の音質を維持しながら適切なフィット感を確保します。
見た目は小さいですが、実際にはかなり頑丈に作られています。さらに、新しいSSRには取り外し可能なケーブルも付属しています。 これは低価格のIEMでめったに見られません。
パッケージ
Moondrop SSRのパッケージングは価格のわりに上質です。5000円するかしないかくらいのイヤホンですが、イヤーピースやキャリイングケースが揃っており、不足感はないでしょう。
本体のビルドクオリティも価格を考えると優秀です。
装着サンプル
本体はコンパクトで耳への収まりは良好です。
音質
測定機材
- SAMURA HATS Type3500RHRシステム:HEAD & TORSO、左右S-Typeイヤーモデル(Type4565/4566:IEC60268-7準拠)
- AWA社製Type6162 711イヤーシミュレータ
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- アナライザソフト:TypeDSSF3-L/RightMark Audio Analyzer
※イヤーシミュレーターの特性上、20hz以下と16khz以上の信頼性は高くありません。
周波数特性
マガジン専用コンテンツになります。
サウンドシグネチャー解説
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THD+N特性
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音質解説
このイヤホンは音量が小さめのときにニュートラルフラットに近くなるように調整されているブライト系サウンドです。
※各評価項目はあくまでリファレンスサウンド(当サイトの機器測定における自由音場フラット)から見ての周波数特性データと私の聴感に基づく評価です。たとえば迫力のある低域を重視する人は「存在感」「太さ」「重み」「臨場感」が高い低域を好むと思いますが、このような音は本来最も重視されるべき「原音忠実度」はおそらくあまり高くありません。
再生機器にとって「原音忠実性」こそが最も重視されるべきというのはオーディオ界隈の共通認識であると思われますので、本ブログの音響機器の評価も「原音忠実性」を最も重視しています。
「原音忠実度」は基本的に高ければ高い方が多くの人にとって良いと思われますが、ほかの評価値は中間値である「B」を離れるほど原音忠実性が薄れます。そのため「S」や「A」はその音要素を好む人には最も心地よい音かも知れませんが、他の人には不快かも知れません。そして不快な音要素が決まっている人は、むしろその音要素が低い評価のものを選ぶとより心地よく音楽を楽しめると思います。
このように、当ブログでは原音忠実(リファレンスサウンド)からの距離を提示することで効率的にあなたの好みに合ったオーディオ機器を発見できるように工夫しています。
評価が高ければ高いだけ良い評価値というのは「原音忠実度」「クリア感」「おすすめ度」で、とくに「原音忠実度」+「クリア感」がオーディオ製品としての単純な優秀性を表します。
「原音忠実再生」についての参考動画:創造の館「いい音とは何か」
※以下のリンク先はpdfです。
低域(原音忠実度:B/臨場感:B-/深さ:B+/重み:B+/太さ:B/存在感: B+)
低域は比較的フラットに近く、わずかにリラックスして聞こえます。深さの点では少し物足りないでしょう。
低域は実際の存在感がそれほど弱いというわけではありませんが、音量を上げると高域のほうがパワーバランスが強くなる傾向があります。低域は重みが比較的しっかりしており、太さも良好で適度な厚みがあるため、エレキベースやドラムキックは十分パワフルだと思われます。臨場感という点では少し物足りないかもしれません。
中域(原音忠実度:B+/厚み:B+/明るさ:B/硬さ:B/存在感:B-)
中域は自然な質感を意識していますが、このイヤホンでは音響デザイン上、よりパワーバランスの強い高域の影響を受けやすいところがあります。
ボーカルは最前列ではありませんが、かなり前に出てきます。中域は中高域の強調によって明瞭感ははっきりしていて、ディテール感がある形で聞こえます。音量次第ではありますが、基本的に少し硬くて構築的なサウンドで、シャープネスも少し強いので輪郭はかっつり、くっきりしています。
ボーカルは一般的に少しシャウティに聞こえやすい傾向があり、とくに音量を上げて聞く人には全体的にアグレッシブに聞こえると思います。一方で普段音量を小さめに聴く人にはかなりニュートラルサウンドに近く、みずみずしい中域に感じられるはずです。
高域(原音忠実度:C/艶やかさ:A-/鋭さ:B/脆さ:A+/荒さ:C+/繊細さ:B+/存在感:B+)
高域はマイクロディテールがやや強めに強調され、ギラつきも少し強めで派手な音に聞こえやすいところあるでしょう。
さて、多くのレビュアーが指摘するようにSSRの固有性がこの高域にあることは間違いありません。それは多くの人の適正音量でもしかすると鋭すぎる可能性があります。より正統派の拡散音場ニュートラルに近いMoondrop Starfieldを基準にすると、少し低い音量でニュートラルに近くなるようになっています。そのため、小さな音量で楽しむリスナーにはかなり理想的ですが、70dB相当(これは多くの人が最も気持ち良いと感じる音量です)くらいまで音量を上げると、かなりシャープで質感も硬く、全体的にギラギラしたアグレッシブなサウンドに聞こえるでしょう。
グルーヴ/音場/クリア感(グルーヴの中心:中域/音場:B/クリア感:B+)
※一般にグルーヴの最も大きいところが最も活き活きと聞こえるので、音楽の中心になります。グルーヴの中心範囲の大きさは変動的です。グルーヴの中心は個人の音楽の好みを決定し、音響機器選択のヒントになります。音響機器のグルーヴの中心が個人の好みと離れている場合、むしろその不自然さが強調され、その音響機器を楽しくないと感じる可能性が高いです。音場の評価はBが自然な広さです。クリア感の評価は全高調波歪の測定値を参照して決めています。
このイヤホンのグルーヴの中心は一般に中域に存在すると思われます。
音場はやや平面的です。奥行きは自然で、高さ、深さ、幅もほぼナチュラルだと思います。
音質総評(原音忠実度:B/おすすめ度:B+/個人的な好み:A)
Moondrop SSRはやや小さめの音量で音楽を聴く人にとって、拡散音場ターゲットのニュートラル・リファレンスサウンドに近い音を届けます。透明感があり、輪郭もしっかりしたディテールサウンドを小音量でしっかりと楽しめるのがこの機種の最大の魅力でしょう。またスペックパフォーマンス的にもエントリークラスとは思えないほど優秀です。
一方で固有の欠点はシャウティになりやすい高域です。人によっては少しキンキンするかもしれません。小音量で解像感がしっかりしているのは明確な美点ですが、大音量では音が荒っぽくなり、価格なりのパフォーマンスに感じられます。
音質的な特徴
美点
- 硬質で明瞭性が高い
- タイトな音
- ニュートラル系でバランスの良いサウンド
- 派手で賑やかな雰囲気がある
- ボーカルニュアンスが活き活きしている
- 中域への適切なフォーカス
- 色気の感じられるサウンド
- リズム感の強調
- しっかりした骨組の感じられる構築的なサウンド
- 小音量で解像感が高い
欠点
- 大音量では少しシャウティに聞こえやすい
- 少し平面的な音場
- 臨場感に少し欠ける
音楽鑑賞
ユーロまちカド「よいまちカンターレ」
こういう構築的でしっかり作られた曲を小音量でもかっつり輪郭確かに楽しめるのがMoondrop SSRの魅力です。逆に音量を上げるとすぐにうるさくなってくるので、自然と適正音量で音楽を聴くことになるでしょう。音質的には低域の深みが少し足りない傾向があることは事実なので、臨場感やレンジ感の点でわずかに物足りないかもしれませんが、音量が気持ち小さめでは中域をはじめ全体の質感はかなりナチュラルに聞こえ、充実感は十分に出ると思われます。
悠木碧「水底のリズム」
比較的小音量でこの曲の輪郭感やディテール、光沢、透明感が十分に引き出され、質感的にも自然に近い雰囲気で聞こえるのが魅力です。音量を上げるとすぐガチャガチャした感じになるので、ややピーキーさを感じることは事実ですが、少し小さめの音量ではかなりニュートラルで満足感は高いです。店頭試聴では必然的にボリュームが大きくなるので、このイヤホンをうるさく感じる可能性が高いですが、少し小さめにして聴いてみるとこのイヤホンの魅力がわかるでしょう。
Choucho「優しさの理由」
50dB@1khzあたりに音量を合わせてみてください。そうですね、ボリュームは50%より低めくらいです。人によっては音楽はいつもより少し静かで、最初は細っているように思うかもしれませんが、物足りない気持ちを我慢してしばらく聞いてみましょう。このボリュームレベルでこのイヤホンを聴くと、小音量でありながら、ディテールはしっかり聞こえ、ボーカルも少し媚びて、やや語尾がのびやかですが、シャウティな感じは出ないと思います。しばらく聞きこんでみると、最初は物足りなく思った感じも消えているかもしれません。静かな環境で音楽を楽しむにはこれくらいの音量がちょうどいいと思いませんか?
レコーディングシグネチャー
レコーディングシグネチャーの基本的な原理、楽しみ方については以下を参考にして下さい。
参考用にレコーディングシグネチャーを掲載します。ソースはFiiO M15を用いています。使用イヤーピースは標準イヤーピース(final E)のMSサイズです。
レコーディングシグネチャーで使用している楽曲は私も大好きなゲームメーカー日本ファルコム様のものを使用させて頂いております。
録音機材
- SAMREC HATS Type2500RSシステム:HEAD & TORSO、Type4172マイクX2搭載
- 5055Prot 実時間2ch 自由音場補正フィルター(特注)
- マイクプリアンプ:Type4053
- Type5050 マイクアンプ電源
- オーディオインターフェース:ROLAND Rubix 24
- レコーディングソフト:Audacity
GENS D'ARMES(ロック系)
GENS D'ARMES / イースVIII -Lacrimosa of DANA- オリジナルサウンドトラック / Copyright © Nihon Falcom Corporation
白き魔女(クラシック系)
第3部「白き魔女」: 白き魔女 / 交響曲「ガガーブトリロジー」 ~白き魔女~朱紅い雫~海の檻歌~ / Copyright © Nihon Falcom Corporation
The Silver Will -ギンノイシ-(EDM系)
The Silver Will -ギンノイシ- / 空の軌跡ざんまい / Copyright © Nihon Falcom Corporation
Sophisticated Fight(JAZZ系)
Sophisticated Fight / 英雄伝説 空の軌跡FC&SC スーパーアレンジバージョン / Copyright © Nihon Falcom Corporation
浮遊大陸アルジェス -Introduction-(OST系)
浮遊大陸アルジェス -Introduction- / Zwei!!オリジナル・サウンドトラック2008 / Copyright © Nihon Falcom Corporation
総評
Moondrop SSRはエントリークラスでありながら比較的優れたオーディオパフォーマンスを持っているイヤホンです。そのサウンドはどちらかといえば小音量で音楽を楽しむ人向きのモニターライクなチューニングになっています。小さな音量でも明瞭でくっきりとしたサウンドを味わえるのは魅力ですが、逆に音量を上げていくと少し荒々しくなりやすいのが欠点です。
水月雨 (MOONDROP) SSR グリーン 有線 イヤホン リケーブル対応 カナル型 ダイナミックドライバー 【送料無料】
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