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【完全ワイヤレスイヤホン M-SOUNDS MS-TW3 試聴レビュー】パワフルで濃厚、目鼻立ちもくっきり。濃ゆい感じではあるけれど、がっつり音楽を聴きたいならあり!おすすめ

M-SOUNDS MS-TW3

M-SOUNDS MS-TW3

M-SOUNDS 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)MSC M-SOUNDS MS-TW3BK

 

 

より新しいレビュー記事があります

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【1】装着感/遮音性/通信品質「コンパクトなデザイン」

おすすめ度*1

M-SOUNDS MS-TW3

ASIN
B07XCG738B
スペック・評価
連続再生時間/最大再生時間 10h/60h
Bluetoothバージョン 5.0
対応ワイヤレスコーデック aptX/AAC/SBC
防水性能

IPX7

 音質傾向

ドンシャリ、濃厚、コクがある、手がかりが多い、深みがある、高域少し暗い、広がりが良い

 装着感はそこそこ良好。遮音性について非常に工夫を施されているように公式でいろいろ主張されているが、私の試した感じだと、それほど遮音性で高井感じは受けないというか、むしろ遮音性の面ではそれほど優秀ではなく普通くらいのような印象を受けた。

 

 通信チップはQCC3020。対応コーデックはaptX/AAC/SBC。店舗内テストでは通信品質全く問題ない。しかし、あまり通信の混雑していない店舗内でのテストでしたので、当てにならない。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行った。

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【2】外観・インターフェース・付属品「割愛」

 付属品は割愛。

 

M-SOUNDS MS-TW3M-SOUNDS MS-TW3

【3】音質「濃いめのくっきりした濃厚感のある音を出す」

 音質的にはかなり音を濃いめにくっきりしっかり聴かせるところがあり、手がかりは結構はっきりと感じられるので、目鼻立ちのあるメリハリの良好な音を奏でてくれる。全体的にはドンシャリ傾向に思う。

 

美点
  1. 全体的に音が濃い
  2. 中域にコクがある
  3. 音の広がりが良く、濃厚感がある
  4. 煌めきすぎない、自然な明るさのある音場
欠点
  1. 高域は少し後退し、暗く感じやすい
  2. 女声ボーカルも少し暗い
  3. 音が全体にガツガツしている

 

[高音]:中高域が濃く、くっきりめに強調され、その上の高域はやや後退して中域の濃くを重視したマイルドな質感を持っている。自然な明るさがある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域に向かって、やや前屈みになっているが、中域でも厚みがある。中高域でかなりカリッと手応えの強い感じを出しながら、中域ではそのまま厚みにつながって充実感につながって音に広がりがある。ギターやピアノは上辺で明るさを出しつつ、深みも一定程度感じさせてくれる。濃厚感と見通し感のバランスをうまく取ろうとしている印象を受ける。

[低音]:100hz~40hzまでブーッという少し締まった振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域は少しタイトな締まりを持って、濃くはっきりと床面を作る(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域で黒みのある少しタイトなビシバシ感のある味わいを出しつつ、中域は少し厚く、中高域でかっちりした感じではっきり聞かせる色が濃いめのドンシャリ(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:タムはやや針が柔らかく、パタタンというくらいの膨張感が少しある濃いめの音に感じる。バスドラは少しタイトにガツンとくるはっきりしたキックを出し、総合すると、ちょっと硬めのバズンバズンとした音に聞こえる。シンバルはチンチンとしたあたりが目立つ、こちらもかっつりした感じ(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは黒みがあり、自然な吐息と暖かみを持っている。女声ボーカルも中域で厚みを出す感じで、若干暗めの濃いパワフル系ボイス。

 

【4】官能性「濃厚感のある音楽を奥行きを出しつつ、丁寧に聴かせてくれる」

PCゲーム「Symphinic Rain」愛蔵版付録アレンジアルバム所収、ピアノとチェロの二重奏「Feel the rain」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】低域弦楽が濃く、くっきりと深掘りし、中域は濃厚感を出して聞かせ、ピアノは上辺で明るさを出しつつ、滑らかに中域に沈む。全体的に濃いめに空気感を出して聞かせる感じだが、音場に奥行き感があって、もやっとする感じはない。

 


工画堂スタジオ シンフォニック=レイン愛蔵版

 

TVアニメ「とらドラ!」OP主題歌「プレパレード」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】少し濃いめに聞かせるバランスだが、音の厚みが充分に感じられ、アクリル絵画風の色味のかっつりした味わいを感じる。ボーカルは少し暗めで太い印象があり、甘味が濃い感じで聞かせる。

 


プレパレード

 

TVアニメ「Carole&Tuesday」挿入歌「Round & Laundry」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ギター音がかなりかっつり刻みを出すカリカリした感触が楽しい。ボーカルはコクがあり、濃いめに中域で厚みを出して、充実感を感じさせてくれる。全体的に音が濃く、目鼻立ちをくっきり出してくれる感じがある。こういうちょっとバタ臭い感じの曲と相性良さそう。

 


TVアニメ「キャロル&チューズデイ」VOCAL COLLECTION Vol.1

 

Rasmus Faber「コスモスに君と(Jazz Ver.)」

【Hiby R6 Proで鑑賞】低域は濃く、沈みも良い。中域は厚みがあって空気感があるが、ピアノはかなりはっきり輝くので、もっさりする感じはない。むしろピアノのツヤに透明感を感じられるくらい。音がくっきりと濃いめに聞かせてくれるので、外音を気にせず没頭できるところがある。

 


プラチナ・ジャズ ~アニメ・スタンダード Vol.1~

 

【5】総評「JAZZなんかいいんじゃないでしょうか」

 PHILEWEBのレビューでピュアサウンドを目指した音作りが素晴らしいというような比較的べた褒めレビューが書かれていたが、実際、濃厚感を出しつつも、目鼻立ちのよいメリハリ感も忘れない音響になっていて、なるほどまさにと思った。高域を明るくさせすぎず、中域で安定感を出すようなバランスになっているので、JAZZや室内楽、弾き語り系の曲なんかいいんじゃないかと思う。全体的に音が濃く、力強い感じもあるので、音の好みによってはポップス、ロックも悪くなく、万能感を感じるかも知れない。

 

M-SOUNDS MS-TW3

M-SOUNDS MS-TW3

M-SOUNDS 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)MSC M-SOUNDS MS-TW3BK

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン Arbily T22 レビュー】暗めの落ち着いたサウンドを奏でる沈潜した音を出すイヤホン。落ち着いたアコースティック曲向き。おすすめ

Arbily T22

Arbily T22

【3000mAh |IPX6完全防水 】ワイヤレスイヤホンBluetooth5.0 Hi-Fi高音質 片耳 自動ペアリング スポーツイヤホン ブルートゥースイヤホン ノイズキャンセリング LEDディスプレイ iPhone/ipad/Android適用

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は軽め。通信品質良好」

おすすめ度*1

Arbily T22

ASIN

B07X1WLWVB

スペック・評価
連続再生時間/最大再生時間

4h/196h

Bluetoothバージョン 5.0
対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
防水性能

IPX6

音質傾向

かまぼこフラット、落ち着きがある、抑制的、高域が暗い、味気ない、抑揚に乏しい、ボーカルフォーカスがよい

 耳への収まりは良く、付け心地は安定している。遮音性もそこそこ悪くない印象を受ける。

 

 対応コーデックはAAC/SBC。ONKYO GRANBEATHiby R6 Proでテストしたところ、通信安定性はド安定に近く、関東某ターミナル駅の改札付近くらいでしか途切れなかった。

 

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEATで行っています。

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【2】外観・インターフェース・付属品「インターフェースはタッチ式」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、専用充電ケース、説明書。インターフェースはタッチ式。反応速度は普通。

 

Arbily T22Arbily T22

 

【3】音質「音場は暗く、中域から低域に向かって沈潜していくような音。その低域も強調は強くなく、どこまでも深く重くというわけでもない中途半端感がある。人によっては篭もっていると思うかも知れない。そういうわけでぶっちゃけあまり他人におすすめできないが、個人的には悪くない」

 音質的には、はっきり言って、この価格帯の中でとくに感心するところがない。高域は暗くてディテールはかなり控えめ、低域もあまり深くまで沈んだり、重くなったりしないので、中域から低域のあたりも平坦で、なんとなく抑揚や奥行き感に物足りなさを感じるだろう。曲によって中域に音が詰まった感じがある。

 たとえば同じく暗い傾向の音質を持っているにしても、Hiyoo A66(A8-C5)のほうが低域の沈み込みがよく、音場に重みと奥行き感が出て、立体感があり、質感的にも中域にしっとり感がより感じられて、明らかに精彩がある。T22の音はもう少し平坦で、深ささえも抑制的。たぶん、価格差が大きいとか、とくに支障がなければA66のほうを個人的にはおすすめすると思う。

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 じゃあこの音が悪いかというとそうでもなくて、むしろその演出感がほとんどない、一見するとつまらなそうな音が、実際つまらないけれども、個人的には沈潜できて良い。聞くのにほとんど集中力を必要とせず、感情を昂ぶらせてくるような抑揚もないので、浸るのにちょうど良い。面白味がない割に、ボーカルフォーカスはしっかりしているので、ポップスをボーッと聴いてもそれなりに曲を楽しめるし、情緒は驚くほど安定しているので、どんな曲でもクセを抑えて落ち着いて聞かせてくれる。とにかく明らかに楽しい音ではないが、考え事をするお供にはちょうどよいくらいの、やる気の無さだったりする。つまんない音だけど、解像度は高くないがそれなりに悪くない感じもあり、聞いていて不快な感じがないのも良い。

 後述するが、個人的にはアコースティックな曲向きに思う。

 

 私が聴いた、この曲のサウンドイメージは以下の曲のような感じだ。

 

美点
  1. 情緒の安定した落ち着きのある音
  2. 沈潜する抑揚を抑えた物静かな音場
  3. 派手さのない聞き疲れしにくい音
  4. 男女ともにボーカルフォーカスが良い

 

欠点
  1. 高域が暗い
  2. 派手さがない
  3. 演出感に乏しい
  4. 曲によって篭もっていると感じられやすい
  5. 開放感に欠ける
  6. 音場の縦軸が狭い

 

[高音]:高域に派手さはなく、奥まりやすくディテールもほとんど強調されることがなく、暗い。音場は上方向ではかなり閉じている印象を受け、ボーカルに天井感は出やすい(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域はかまぼこに近くなっていて、女声ボーカルやピアノ、ギターは暗く感じられやすい。上方向に伸びる感じが薄く、開放感がないうえ、曲によっては中低域が少し支配力を及ぼしやすく、大抵の曲で重たげになりやすい。もっさり感が気になるタイプの人には篭もっているように感じられやすいところがある。ただしボーカルフォーカスは良い。

[低音]:100hz~40hzまで少し太めのブォーッという感じの濃い振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域はやや中低域が中域に影響しやすく、ベースが少し強かったりドラムが少し強かったりすると、若干中域がもやっとしやすいところがある。低域は沈み込みはそれほど強くなく、どちらかというと中域と親和的である(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:全体的に奥行き感は抑えめ。立体感も抑えめで凹凸は平坦な印象を受け、縦軸の伸びやかさにも乏しい。重心は低めでどちらかというと重力に引かれて、音が下がっていく感じに聞こえる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:中低域のパンチがよく出るので、リズムコントロールは良い。タムやスネアの上辺は暗く、どちらかといえば中域で膨らんで下に重くなっていくふくよかなドラム構造を感じる。バツンバツンかバズンバズン。ハイハットは基本的に埋もれやすく、大抵はドラム優位になりやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルも女声ボーカルも濃く、フォーカスが利いているが、女声ボーカルは暗めでのびが不足しやすい。

 

【4】官能性「率直に言って抑揚には乏しい」

沼倉愛美「Climber's High!」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ぶっちゃけ面白いかっていうとどうなんだろうって思うけど、この曲は意外とよくて、ドラムがパンチかなりノリノリで聞かせてくれる。そしてボーカルは暗いが、ボーカルフォーカスは良くて、一貫して安定した情緒感を持っている。ギターもボーカルも抑揚は抑えめでダイナミクスには欠けるが、リズムコントロールは悪くないし、メリハリは一定程度ある。

 説明しづらいんだけど、つまんない感じではあるが、つまんないなりに聴き応えを出してくれて、その聴き応え的な部分が、意外と丁寧で悪くないかなと思わせるくらいには頑張っている。単純に音楽性を向上させたいなら、イコライザーで高域を引っ張り上げるのがよい。

 


Climber’s High!(初回限定盤)(DVD付)

 

ずっと真夜中でいいのに。「ヒューマノイド」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】曲調に抑揚的演出が多めのこの曲だと、このイヤホンでもさすがに多少の展開感を感じさせてくれるようになるが、それでも全体的に情緒が安定していて、ギターのディストーションとかピアノの撥ねる感じとかが抑えめで、ボーカルも中域で落ち着く感じが強い。一貫してボーカルフォーカスされているし、聞き疲れしない感じで浸るには悪くない。

 


正しい偽りからの起床(通常盤)

 

やなぎなぎ「mnemonic」

 この曲はHiyoo A66でも聞いたので、それと比較して語ると、まずこちらのほうがボーカルフォーカスは良い。低域の沈み込みが足りない代わりに、低域が目立つ感じがなく、構造的にボーカル中心に組み立てられる感じになる。ただ、A66の沈み込みの良い低域が作り出していた濃厚で深淵のある音楽に比べると、なんていうか迫力に欠けるし、平坦であることは事実。ボーカルのツヤもあまり強調されず、A66の、価格帯では圧倒的な濃厚感を聞いた後だと物足りないことは事実だろう。

 


やなぎなぎ ベストアルバム –MUSEUM-【初回限定盤CD+特典CD】

 

佐渡裕指揮、シエナ・ウインド・オーケストラ「Tarkus - Eruption」



【Hiby R6 Proで鑑賞】上の動画は参考用で、私が聴いた音源とは異なる。ちょっと興味本位でA66と聞き比べてみたが、ぶっちゃけクラシックはT22がいいかもしれない。この曲ではA66の深すぎる床面に比べて、音をしっかり支える床面が感じられるし、中域音に安定感があって、オーケストラの足場の安定感みたいなのがしっかり感じられ、高域も明るくないので、ホールに自然と消えていく立体感がある。全体的に落ち着いた感じもクラシック向きで音に入り込める。

 


タルカス

  

【5】総評「クラシックやカントリー音楽、ムードポップスを聴く人に」

 最初は面白くないと思ってたイヤホンだけど、個人的にクラシック音楽を聴いてから評価が変わった。中域と中低域がしっかりしているので、アコースティックな音楽に落ち着いて浸れる感覚がある。高域方向で縦軸の抑揚に乏しいので、現代的な曲との相性が良いとは言えないところはある。

 

Arbily T22

Arbily T22

【3000mAh |IPX6完全防水 】ワイヤレスイヤホンBluetooth5.0 Hi-Fi高音質 片耳 自動ペアリング スポーツイヤホン ブルートゥースイヤホン ノイズキャンセリング LEDディスプレイ iPhone/ipad/Android適用

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン MAVIN Air-XR 試聴レビュー】明るく伸びやかな中高域と、深めに濃さを出す低域のコントラスト感が秀逸。おすすめ

MAVIN Air-XR

MAVIN Air-XR

Mavin Air-XR 完全ワイヤレス フルワイヤレス コードレス Bluetooth 10時間連続再生 イヤホン

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「コンパクトなデザイン」

おすすめ度*1

MAVIN Air-XR

ASIN
B07XM6XXQ9
スペック・評価
連続再生時間/最大再生時間 10h/30h
Bluetoothバージョン 5.0
対応ワイヤレスコーデック aptX/AAC/SBC
防水性能

IPX7

 音質傾向

ドンシャリ、のびやか、つややか、シームレス、開放的、見通しが良い、存在感のある低域、コントラスト感が良い、分離感が良い、明るい

 小型で装着感は良好です。

 

 通信チップはQCC3020。対応コーデックはaptX/AAC/SBC。店舗内テストでは通信品質全く問題ありませんでした。しかし、あまり通信の混雑していない店舗内でのテストでしたので、当てになりません。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行っています。

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【2】外観・インターフェース・付属品「割愛」

 付属品は割愛。音声ガイダンスが日本語でした。

 

 

【3】音質「ワイドレンジ感と透明感のあるサウンド。ポップスを中心にのびやかに楽しめる音」

 音質的にはMAVIN Air-Xの密度感が出やすい音とは真逆の、開放感が強い音になっています。低域の下の方と中高域を目立たせるバランスで、さらに高域も開放的で音が中域から、シームレスに伸びていく感じがあります。つまり、とくに女声ボーカルで顕著に感じられますが、高域で奥に行ったり、前に出張る感じがなく、中域からまっすぐ上に上がるような直立感が出ます。このボーカルはのびやかで晴れやか、あでやかさも感じるので開放感と突き抜け感があるものの、サビでやや抑揚に欠ける感じがあり、若干単調に聞こえるところが私には気になりました。ボーカルと同じようにギターも伸びやかです。

 低域はドラムキックのあたりに一番強調点があるようで、中域からは丁寧に分離されて感じられます。重低音にあまり強調がなく、ノイズ感がない見通しの良い感じで低域が楽しめ、曲によってしっかり黒い感じも出ます。

 

 私が聴いた感じ、MAVIN Air-XRのサウンドイメージは下の曲のような感じに思いました。

 

美点
  1. 女声ボーカルとギターが伸びやか
  2. 開放的でツヤもある中高域
  3. 縦軸でワイドレンジ感がある
  4. 見通しが良い
  5. 輪郭感も良い
欠点
  1. 男声ボーカルがツルツルしやすく、女性的に出やすい
  2. 女声ボーカルもやや抑揚を感じづらい
  3. 基本的に陽気

 

[高音]:中高域でシンバルのチリチリとシャリの刻みが非常に鮮やかに目立つバランスになっている。中高域には開放感があり、ボーカルがスルッと伸びる。明るいポップスやEDMで派手さをほどほどに感じさせつつ、ツルツル感を出し、スキッと伸びる背筋がある。個人的には、この中高域のシームレス感が最大の持ち味と考えており、この音域では音場が整理され、音の伸びが滑らかに、ほどよく色づく感覚を味わえる。高域は尖る手前でマイルドに抜けるようになっており、シャープネスはかなり抑制されている。とにかく伸びが良い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域はかなり清潔になっており、たとえばピアノラインは厚みが抑制されていて、上辺の方に高めのキンキンした光沢のある音を出しやすい。ボーカルは中高域で浮かび上がる感じがあり、大抵の女声ボーカル曲で適切なフォーカスを感じる。ギターは上に向かって明るい。

[低音]:100hz~40hzまで濃いガツンとした振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。中低域はおそらく中域に混濁を与えないために色味が抑えられており、やや後退的で強調点はないが、パンチの存在感はあり、弾みはきれいに出やすい。低域の強調点は中低域の下の方にあるキックにあり、広がりを感じられる。ベースも見分けやすい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中高域と中低域の下側に強調点があるドンシャリ。だがシャリ味はほとんどなく、むしろ高域方向は艶やかで伸びやかで、手応えを強調しない感じがある。縦軸は長めに感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ほとんどパリパリに近い、パツパツ音の明るいタムやスネアの音に、明るめのパンチ、濃いめのキックを持つ。リズムの焦点はタムやスネアの上辺とキックに感じられ、ドラムはコントラスト感がある縦軸が分かりやすい構造になっている。やや明るいパズンパズンという音。ハイハットは明るめにシャンシャンとした少し白味のある刻みを持っている。リズムコントロールはかなり正確(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは率直に言って少しツルツルしすぎて女性的に聞こえる。女声ボーカルは伸びやかで明るめにツヤを出しながら、上方向にシームレスに伸びる。少し平坦に直線的に、抑揚を抑えて中域から高域までを行き来する感じはあり、突き抜け感は結構するっと抜けていく滑らかさがあるが、抑揚不足のせいか、案外情感の「ため」のような表現があまり出ないところがある。

 

【4】官能性「シームレスで開放的」

Angela Ammons「You'll Be Gone」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ギターの上辺に強調点があり、のびやか。ボーカルも同様に上気した感じで上に突き抜けていく声色で、ツヤもある。低域はベースがかなり黒く出るが、中高域から遠く、充分に分離されているように感じるので、混濁感なく、深みを出している。音の一番上から一番下までが長く、高低感は強調されて感じられやすいため、ダイナミクスに富む。

 


Angela Ammons

 

水瀬いのり「三月と群青」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】空間は明るく、清潔でピアノはツヤツヤキラキラ、ギターもすっきり伸びていく解放感がある。ボーカルも滑らかに突き抜けていく。このシームレスなボーカル表現はやや情感に乏しい反面、力む感じがなく素直に伸びるので、開放感を感じる。低域のドラムキックとベースはそれぞれよく分離されつつも、相互に黒みを丁寧に出し、背景を引き締めてくれる。そのため、中高域の一番艶やかな色味が引き立って聞こえる。

 


BLUE COMPASS【初回限定盤】

 

TVアニメ「とらドラ!」OP主題歌「プレパレード」

【Hiby R6 Proで鑑賞】低域の黒みとリズムコントロールが良いので、やや強めの低域バランスにも関わらず、中域との境目でもやっとするようなことはなく、中高域のボーカル付近がきれいに浮かび上がり、フォーカスされる。コントラスト感も良い。ボーカルの抑揚があまりないところが、曲調を少し平面的に感じさせるのだけが気になる。

 


プレパレード

 

ナナヲアカリ「しあわせシンドローム」(TE-D01d/NT01AX/WF-1000XM3との簡単な聴き比べ付き)

【Hiby R6 Proで鑑賞】ドラムキックは少し広がりが強く、やや低域が目立つ感じになるが、パンチがうまく利いていてリズムコントロールが利いていて、重厚感がある割に篭もった感じやスピード感で遅れる感じがない。ボーカルはツヤツヤキラキラで、黒い低域からはコントラスト感良く浮き上がり、半ば低域が支配的にも関わらず、埋没感はなく、色味にメリハリがある。個人的にはやはり、この曲でもボーカルに抑揚が少し欠けている印象を受けるのだけが気になる。

 

 この曲で手持ちの機種と聞き比べを行った。

 まずSONY WF-1000XM3。音場が広く、余裕を感じる。Air-XRでいまいち感じづらかったボーカルの抑揚も充分あるが、高域ではAir-XRより閉じていて、明るさはわずかに暗く感じられる。全体的に開放的だが、重心はAir-XRより低く、安定感が高まっている。

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 NUARL NT01AXはドラムがより濃く、躍動的でボーカルにもみずみずしさがあり、奥行きがしっかりしている。ボーカルの抑揚も丁寧に感じられ、音の伸びと高さもAir-XRに勝るように感じられる。個人的にはこの曲では、Air-XRよりNT01AXのほうが全体的にディテールが良いように思われた。

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 AVIOT TE-D01dは低域の床面が少し高く、縦軸と横軸で楽器音がボーカルに近くて、密度感が出る。そのせいか個人的にはボーカルフォーカスはAir-XRが優れているように感じられる。

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しあわせシンドローム(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

 

【5】総評「のびやかな女声ボーカル曲に強い」

 Air-Xに比べると、かなり開放的でのびやかな縦軸の立体感に優れた音質を持つようになりました。明るいポップスやガールズロック、EDMなどを楽しませてくれそうな、ツヤのあるシームレスな高低感を持っています。渋みや尖りがなく、ドライな感じもないので、男声ボーカル曲ではややツルツルしすぎる感じがあると思います。

 あとノズル軸が太く、ケースも小さめなので、イヤピの選択肢は標準添付のもの以外ほぼありません。

 

MAVIN Air-XR

MAVIN Air-XR

Mavin Air-XR 完全ワイヤレス フルワイヤレス コードレス Bluetooth 10時間連続再生 イヤホン

 

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AVIOT TE-BD21f-pnk

AVIOT TE-BD21f-pnk

AVIOT×ピエール中野 TE-BD21f-pnk Special Edition 完全ワイヤレスイヤホン Bluetoothイヤホン ボイスアナウンスは花澤香菜 シリコンストラップ SpinFit イヤーピース付属 iPhone アンドロイド SBC AAC aptX 対応

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「小型で装着感が良い」

おすすめ度*1

ASIN
B07TTQKHL4
スペック・評価
連続再生時間/最大再生時間 7h/25h
Bluetoothバージョン 5.0
対応ワイヤレスコーデック aptX/AAC/SBC
防水性能

IPX5

 音質傾向

低域強調、ホット、清潔、バランスが良い、見通しが良い、ディテールが豊富、分離感重視、ややドライ

 イヤホンは少し出っ張り気味ですが、装着感は悪くありません。

 

 通信チップはQCC3020。対応コーデックはaptX/AAC/SBC。店舗内テストでは通信品質全く問題ありませんでした。しかし、あまり通信の混雑していない店舗内でのテストでしたので、当てになりません。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行っています。

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通常版のレビューはこちら

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【2】外観・インターフェース・付属品「割愛」

 付属品は割愛。

 

 

EnacFire E18 plusEnacFire E18 plus

 

【3】音質「低域にボリューム感を出し、ディテールをやや落とした代わりに、中高域へのフォーカス感が高まった」

 音質はほとんどフラットだったノーマルのTE-BD21fに比べると低域がややブーミーに前に出てくるようになり、その影響でボーカルや中域音にウォームな色彩感が加わり、ツヤが増して感じられるようになりました。

 低域は量感が増して少し膨らむようになったとはいえ、基本的に明るめのキャラクターは変わらず、浮き上がりの良い元気な感じがあります。支配力は高まって中域との境目が少しもやもやするようになったので、聴く曲や好みによっては篭もっている印象を受ける可能性が高くなりました。低域は見通し感が薄れたので、ドラムに比べるとベースはやや埋没しやすくなり、重低音の方でも少しもやっとする地熱感が出るようになりました。そのためディテールは自然と中高域のほうに集中するようになり、音楽全体の焦点は合わせやすくなっています。ノーマルのTE-BD21fにあった、やや音楽の焦点を捉えづらい、間延びした感じは改善され、親しみを持ちやすい音響構造を持つようになりました。

 低域支配力が高まったせいか、ディテール感でそれほど変化が感じられないにも関わらず、高域方向は少し閉じた印象を受けます。ドライ傾向は相変わらずですが、よりシンバルラインに焦点が合いやすくなり、上方向への空気感が抑制された感じでジャリジャリとした砂粒のような細かな粒感を出すようになりました。女声ボーカルへのフォーカスも相対的に高まり、ツヤや甘味がより感じられるようになっています。その分男声ボーカルの質感はよりホットで乾燥感が強くなっており、若干攻撃的な色彩を感じるようになりました。なるほど、順当にロックをドライにかっこよく聞かせる方向にシフトさせられています。

 

美点
  1. ホットでドライなロックサウンド
  2. 中高域へのフォーカス感が高まった
  3. アグレッシブ感が増したサウンド
  4. 音場が広い
  5. 清潔感がある
  6. 低域に厚みがある
  7. 不自然な派手さがない
  8. 明るめの音場
欠点
  1. 全体的にドライ
  2. 低域のディテールが落ち、やや中域への浸食力が高まり、篭もった感じが出やすくなった
  3. 若干改善されたが、ツヤは相変わらず不足気味

 

[高音]:低域の支配力が高まったせいか、ノーマル比べて閉じた感覚がある。ドライ傾向なのは変わらず、シンバルの粒立ちは非常に細かく、砂粒のような手応えと繊細さがある。中高域でシンセやピアノが乾燥し、ボーカルもドライ傾向で聞こえる全体的な傾向は変わらないが、中域で暖かみが増したために、ボーカルに甘味が出たり、中高域でツヤが出るようになって、わずかに表現に親和的な雰囲気が増した(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域全体を見るとだいたいフラットな傾向はほとんど変わらないように感じられるが、中域の下の方は低域の支配力をより受けやすくなり、もやもや感が出やすくなった。ボーカルはノーマルのTE-BD21fと同じように男女の均等性に配慮されているが、低域支配力が増した関係で、曲によって低域に埋もれやすくなる場合があり、とくに男声ボーカルでフォーカス感が甘くなったように思われる。

[低音]:見通しの良かったノーマルの低域に比べて、中低域で厚みを強調するようになり、ドラムの弾みが強くなったかわりにベースの存在感がその下に埋もれる感じは少し強まった。重低音の方は少しもやもやとした熱気を感じる。厚みが加わっても、低域が基本的に明るい感じなのは変わらない。床面はボーカルに近づきやすくなったので、全体の縦軸はやや狭まり、少し窮屈になった(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中低域で厚みを強調し、その上は相対的にフラットなままにされている。膨らむようになった分だけ低域はディテールが甘くなり、エッジ感が維持されている中高域との対比が明瞭になって、縦軸のディテールに起伏と抑揚が見られるようになった。そのため、低域は少しディテールが緩く、中高域に向かって行くにつれディテールが高まるような、音楽的な焦点と奥行きが感じられるようになり、リスニング的には音楽構造がわかりやすく、味が出て感じられるようになった(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムスはタムがパツパツ革張り感を出すのは変わらないが、パンチやバスドラムのキックの広がりが増して、ドラム音につながりが感じられるようになって一体感が増した。厚みのあるバッツンバッツンという音に聞こえる。少し粘りもあって重みもある。シンバルはシャンシャンドライに浮き上がり、全体的に暗めのドラムと二元論のリズムを形成する(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルの力関係で男女均等に調整されている感じがあるのは共通だが、低域支配力の関係で質感上でより変化を感じられるようになった。具体的には男声はより熱くドライに、女声は艶やかさと甘味が増し、さらに男声ボーカルは強まった低域のパンチに埋もれやすくなったところがある。そういう意味で女声ボーカルへのフォーカス感が相対的に高まっているように思われる。

 

【4】官能性「ホットでドライな表現がロックに親和的」

スガシカオ「愛について」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】アルバム版を聴いたが、許諾動画がなかったので、弾き語りのライブ版を参考用に提示する。したがって、この動画は私が聴いた音源とは曲調は少し異なる。

 さて、ホットでドライに傾きやすい音楽表現はスガシカオのハスキーなボーカルをよりセクシーに聴かせてくれるんじゃないかと期待して、この曲を聴いた。この曲なら低域がうるさくなる感じもないし。実際シンバルはドライに繊細に出るし、この曲の低域はうるさくないので、ボーカルに埋没する感じはない。低域の熱量だけが素直に音場を暖めてくれる感じだ。ドライで熱気があるとはいえ、音場は比較的明るめで見通しは良く、中高域の詳細な分離の表現もよくて、縦軸で小刻みというか手がかりの多い立体感を感じる。ギターはドライでマッチョな雰囲気を持っていてかっこよく、金管にダンディな色気があって、渋い。

 


THE BEST-1997~2011-

 

Aimer「六等星の夜」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】音源はアルバム版なので動画とは異なるので、あくまで参考用にしてほしい。

 さて、この曲はピアノライン主体に組み立てられているので、ドライな音質傾向を持つこのイヤホンでも比較的潤いを感じて聴くことができる。それでもちょっとみずみずしさに足りないところはあって、ボーカルはしなやかさが失われてややサビで息苦しく感じるが、一方で子音や息継ぎに手がかりが多いので、ディテール感が高いと肯定的に評価することもできる。ドラムが少しパサパサして聞こえるのが気になるが、熱量が高めで、ホットな味わいになっている。

 


六等星の夜/悲しみはオーロラに/TWINKLE TWINKLE LITTLE STAR

 

(K)NoW_NAME「Harvest」

【Hiby R6 Proで鑑賞】やや音数が多く、密度も高く出やすい曲だが、分離感とエッジ感が良いので、中高域は非常に詳細で混濁感はない。一方で低域はややディテールを落として、自然な足場を形成しており、馴染みやすい温和な表情を見せてくれる。しかしドラム支配力が非常に高まるサビでは、ボーカルにやや天井感が感じられるので、埋没感が出る。突き抜けとツヤが足りないので、ドライなシンバルとの質感的な差を感じづらいのも埋没感が出る原因だろう。

 


「灰と幻想のグリムガル」エンディング・テーマ「Harvest」

 

三月のパンタシア「三月がずっと続けばいい」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ややドライに聞こえるが、しかしボーカルには甘味が少しあり、ツヤもちょっとあってフォーカス感は良い。ギターやシンバルと混濁しない。ドラムの力強さは充分出る。個人的な意見を言えば、シンバルが乾燥しきっているのが、この曲の場合ちょっと辛くて、なぜなら、3月というより9月くらいの乾いた暑熱を感じるからだ。低域のディテールは少しゆるく、おかげで少し密度の高い中高域のディテール感が際立つバランスになっており、リスニング的な焦点が明確となっている。息継ぎは丁寧に出て、後半のクライマックスにあるはっと息を呑む表現はきれいに決まる。

 


ガールズブルー・ハッピーサッド

 

 

【5】総評「よりリスニングライク」

 非常に詳細ですがモニターライクでやや掴み所のないサウンドだったTE-BD21fのノーマル版に比べると、全体的な分離感は減りましたが、逆に音楽構造の焦点は明確となり、リスニング的な安定感が増した印象です。艶味の不足はまだありますが、だいぶ親しみやすく楽しみやすい調整になっています。中域と低域の境目に、ややもやもや感が出るようになりましたが、個人的にはノーマル版よりは好みの音に仕上がっている印象を受けました。

 

AVIOT TE-BD21f-pnk

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AVIOT×ピエール中野 TE-BD21f-pnk Special Edition 完全ワイヤレスイヤホン Bluetoothイヤホン ボイスアナウンスは花澤香菜 シリコンストラップ SpinFit イヤーピース付属 iPhone アンドロイド SBC AAC aptX 対応

 

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン Earfun Free レビュー】そこそこ派手さを出しつつも、全体としてマイルドな中高域と適切なボーカルフォーカス、温和な低域を持つポップス・JAZZ向けの音質。おすすめ

Earfun TW100

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【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は軽め。通信品質良好」

おすすめ度*1

Earfun TW100

ASIN

B07SYLCB7T

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間

6h/30h

 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
 防水性能

IPX7

 音質傾向

弱ドンシャリ、やや低域寄り、ウォーム、調和的、チャリチャリ、ツヤツヤ、甘味が強い、ポンポン、潤いがある、みずみずしい

 耳への収まりは良く、付け心地は安定している。

 

 対応コーデックはAAC/SBC。ONKYO GRANBEATHiby R6 Proでテストしたところ、通信安定性は高め。ただし、特定箇所で異様に片耳だけ途切れやすくなる傾向があって、関東最大規模の某ターミナル駅の改札付近とコンコースではほとんど片耳しか聞こえなかった。ただ、道中や電車乗車中などは途切れがなかったので、おそらくかなり通信品質は高い。

 また再現条件がわからないが、稀に片耳だけしか聞こえなくなることがある。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEATで行っています。

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【2】外観・インターフェース・付属品「Qiワイヤレス充電に対応」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Type-C)、専用充電ケース、説明書。インターフェースが物理式で操作はしやすい。反応はスムーズなほうではないので、人によっては押し込みすぎてしまうこともあるかもしれない。

 Qi規格のワイヤレス充電に対応する。

 

Earfun TW100Earfun TW100

 

【3】音質「やや腰高の床面とウォームな温度感を持つ、ポップス寄りのメロウ系サウンド」

 音質的にはやや床面高く、厚みを出してウォームに音場を支える低域と中高域に強調点があり、つややかで暖かみのあるポップス向きのサウンドを持ち味としている。ボーカルフォーカスは強めで、高域の明るさはほどよく抑えられているために、女声ボーカルも男声ボーカルも濃いめで甘味を出して聞こえる。

 中域は中高域がやや強調されており、見通しが優れているというほどではないが、ほどよく閉じているくらいで、この価格帯では標準的な分離感を備えている。ただし中低域付近に強調があるため、床面が高く、膨らみも出やすいため、音源によっては中域付近に過剰な濃度と暖かみを感じ、若干篭もった印象を受ける可能性はあるかもしれない。ドラムはパンチもキックも少しふくよかになりやすい。

 高域方向は比較的早く閉じており、たとえばシンバルは高くシャーンと広がるより、どちらかといえば中高域で濃い感じにチャリチャリとした質感を強調する。またボーカルの子音にあまり強調は出ず、ツヤの乗ったあでやかな甘いボイス表現になる。

 

 私の聴いた、このイヤホンの音の基本的イメージは下の曲みたいな感じです。まあこのイヤホンで池田綾子さんの初期のアルバム「Lunar soup」を聴いていたら、実にちょうど良い温度感とディテールバランスだったので、私は勝手にこのイヤホンを「池田綾フォン」と呼んでみたり。すみません、冗談です。

 

美点
  1. 聴き心地の良いウォームサウンド
  2. 高域は閉じて、中域音に濃さとコクがある
  3. 中高域で発色が良く、潤いがあり、あでやかでつややか
  4. 床面が近く、パンチ感が出る
  5. ボーカルフォーカスが比較的良い
  6. 厚みが豊かで充実感のある音響
欠点
  1. 低域がふくらみやすく、場合によって篭もったり、ボーカルを埋没させる
  2. メロウで楽器音に外連味があまりない
  3. 開放感に少し欠ける
  4. 高域で高さは強調されない

 

[高音]:高域は中高域のツヤを受けて明るめではあるが、高い方は閉じているので、マイルドカーブになっている。そのため高域音はやわらかみのある感じに聞こえる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は低域の暖かみを受けて基本的には調和的な雰囲気を持っている。中高域に強調点があって、ギターサウンドにチャリチャリジンジンしたあでやかな色彩があり、ボーカルもツヤが出て甘味がある。ピアノ音や弦楽音だけでなく、曲調によってはベース音、シンバルにも潤いを感じることができる。コクも強め。また音場は明るい。

[低音]:100hz~40hzまでややボーッとしたブーンという感じの振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域は少し膨らみが強く、分離感はもやっとするところがあり、見通し感はそれほど高くない。ドラムの膨らみが強くなりやすいので、曲によってはベースに埋没感を感じるかも知れない。床面はやや高めに出やすく、深いところは熱気に変わってもやもやしやすい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中低域がやや目立ち、中高域にもう一つの強調点がある、ややふくよかな弱ドンシャリを形成している。中域の下の方と中低域の分離が若干悪く、濃度が強めに出るところがあり、輪郭を強調せず分離感は抑えめで調和的な音響になっており、音場はウォーム(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:中域から中低域にスムーズにつながっているうえに、床面も高く出やすいため、タムやスネアとバスドラムにつながった感じがあり、人によってはドラムサウンドは緩い、もやっと聞こえやすいところはある。全体的に柔らかい弾力のあるゴムボールのような感じで、バッツンバッツンといった感じ。シンバルは下の方のチンチンチリチリという濃いめの部分を強調し、やや黄金に近い色彩感で聞こえやすい。リズムコントロールはややゆったりしており、私が聴いた感じではロックでは遅れているというほどではないが、やや鈍い制動を感じる。

 ドラムはふくらみやすいので、とくに元々膨らむ感じに味付けされている曲では曇って聞こえる感じは出やすいところはある。リズムコントロールの甘い感じがしばしば弱点になりやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは色味は濃いがやや膨らむ低域に埋没しやすい位置になるため、曲によっては充分にフォーカスされない印象を受ける可能性がある。女声ボーカルは濃い甘味のあるあたりが強調されつつ、ツヤもあってみずみずしく輝くため、充分にフォーカスされて聞こえる。明るい女声ボーカルは天井感があり、清涼感よりは濃厚感重視で聞こえる。

 

【4】官能性「比較的万能に清潔な音が楽しめる」

水瀬いのり「harmony ribbon」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】やや末広がりの、ゆったりした空間にみずみずしく音が厚みを感じさせながら広がっている。水瀬いのり独特の突き抜けるボーカル表現は抑制的になっており、中域の安定感重視の聞かせ方で、潤いと甘味重視でじんわりした味を出す。本来なら高域の突き抜けで感じることができる、吹き抜ける感じと爽快感がないあたりが好みを分けそうではある。この曲を味わうには、もう少し高域の高さが足りない印象がある。

 


harmony ribbon

 

早見沙織「やさしい希望」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】わずかに明るさを抑えた感じではあるが、この曲はツヤツヤチャリチャリ温和そうながら楽しげなシンバルやギター、ツヤツヤなピアノと弦楽、これらすべてがみずみずしく彩りを加える。サビでのびやかに上に高くなるところではボーカルにやや遠のく感じがあるが、中域では濃く甘味を出すのでメロディラインは濃厚。床面は一貫して調和的で、ボーカルをやや近めに支える。印象的には、人によってはもっさりしているかもしれないとも思うので、若干このイヤホンには明るすぎる曲かも知れない。

 


やさしい希望<アニメ盤> CD+DVD(2枚組) (TVアニメ「赤髪の白雪姫」オープニングテーマ)

 

大原ゆい子「Magic Parade」

【Hiby R6 Proで鑑賞】この曲ぐらいだとサビで一番ボーカルフォーカスされるような感じ。しかし、楽器音は重心が低く、少しメロウ感が強いのかサビ以外ではやや暗い印象を受けるかも知れない。またこの曲では元々ドラムがややふくらんで表現されているので、このイヤホンで聴くとさらに膨らんでいるところがあり、見通し感を阻害しているところがある。

 ただしこれはHiby R6 Proが低域をふくよかに出すところがあるので、このイヤホンだけの問題ではないかも知れない。そう気づいて低域の強調が抑えめなGRANBEATで聴くと、なるほどこちらは同じ低域が厚いにしても、支配力が収まっている。ただ、そうすると中低域と中域の境目のゆるい、ちょっともやもやする感じが逆に気になってきたりする。このイヤホンでは、膨らみやすいドラムが意外とネックになりやすいところがある。

 


『リトルウィッチアカデミア 魔法仕掛けのパレード』主題歌「Magic Parade」

 

FONSECA「TU AMOR YA SABE」


【Hiby R6 Proで鑑賞】そういうわけでこれくらいドラムが締まってくると、リズムコントロールがしっかりして聞こえるため、少なくともモヤモヤ感はほとんどなくなる。ボーカルフォーカスも終始しっかり利いていて、ブレがない。

 


Ilusion by Fonseca
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鈴木勲「Mack The Knife」

【Hiby R6 Proで鑑賞】鈴木勲の音源の許諾動画がなかったので、代わりにBobby Darinの動画を参考用につける。

 さて、それで、むしろリズムコントロールが悪いなら、ゆったり系のJAZZなんか相性良いんじゃないかと思って聴いてみると、案の定リズムコントロールの悪さは気にならなくなり、低域も広がりすぎずに、温かみのある深みだけが出る感じになった。リズムがうるさくないJAZZは結構濃厚感を出して聴かせてくれつつ、中高域で艶のある派手さを出してちょっとした風通しの良さを見せるところもあり、また高域が静かなため、しっとりした味も出るのが良い。

 


衝撃の“アヴェ・マリア”ISAO SUZUKI plays “AVE MARIA”

 

【5】総評「リズムコントロールの難しさが気になるが、基本的にはポップス向きでJAZZも楽しませてくれる」

 使い勝手の上ではQiワイヤレス充電に対応するのが便利ですが、通信品質はやや不安定な印象を受けます。それでも価格帯では安定している方ですが、稀ではありますが、時々片耳からしか聞こえなくなることがあります。

 音質的にはリズムコントロールに若干ウィークポイントがあるように思われ、中低域の膨らみが曲をモヤッとさせ、篭もって感じさせる場合があります。しかし、ポップスはJAZZでは一般に中域で充実する聴き心地の安定した音楽を奏でてくれます。

 

 

Earfun TW100

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EarFun Free Bluetooth 5.0 イヤホン Hi-Fi高音質 IPX7防水 カナル型 高遮音性イヤホン 6mm径グラフェンドライバー USB-C充電&ワイヤレス充電 絶妙なフィット感 自動ペアリング ワイヤレスイヤホン 内蔵MEMSマイク ハンズフリー通話 音声アシスト機能 ブラック

 

【6】同価格帯の実力派完全ワイヤレスイヤホンとの聞き比べ

vs Hiyoo A66(Uru「願い」)

 同じように中域で濃厚感があり、どちらかというとメロウなサウンドを得意をするHiyoo A66と聞き比べてみる。一聴して気づくのは低域の沈み込みの差とそれに伴う音場の懐の深さの差である。Hiyoo A66のベースは深く、重厚で雄大。音場はやや暗く、重心が低いが、見通し感は悪くなく、重厚さがあり全体的にコントラストは抑えめにも関わらず、味わいはしっかりしている。中域の甘味も強い。全体的に暗い感じであり、ツヤに露骨な強調がないにも関わらず、声色は自然にみずみずしい。

 それに比べるとEarFun Freeは明るく、弦楽やピアノ音に豊かな潤い感があり、ボーカルも上向きにのびるが、A66の懐の深い音楽を聴いた後だと、なんとなくチャラい気がする。かなりの潤い感があるのでこれもこれで決して劣るとは思えず、最終的には好みだろうが、個人的には、A66の沈み込みの良い低域の魅力と比べると、案外月並みなレベルを越えていないように思える。

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【Amazon.co.jp限定】願い (期間生産限定アニメ盤) (Blu-ray Disc付) (「願い」CDジャケット柄クリアファイル付)

 

vs TOKYOSOUND F8(yoshiki*lisa「Destin Histoire」)

 次は同じく中域に強調があるTOKYOSOUND F8と聞き比べてみる。まず言えるのはF8のほうが全体的に色味がサッパリしており、中域に厚みがあまりないのにボーカルフォーカス感は強い。低域もややおとなしい感じがあり、コントラスト感で劣る。シンバルとボーカルがやや目立ちやすく、ギターはやや細い。ボーカルは少し明るさが強調されるので浮き上がりは良いが、暖かみには欠ける。シャープな感じはあって、中高域の音の刻みはきれいではある。

 EarFun Freeは床面の支えがはっきりしており、色味も濃く、より暖かい。中域の厚みもあって、充実感で高め。そういうわけでこの曲に関してはEarFun Freeを推したい。

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TVアニメ「GOSICK-ゴシック-」オープニング・テーマ:Destin Histoire

 

vs Orit OR01(TVアニメ「宇宙よりも遠い場所」ED主題歌「ここから、ここから」)

 同じく低域と中高域に強調があるOrit OR01と聞き比べてみる。表現の方向性は似ているが、OR01のほうが低音の重心が低く、深みが出ており、中域はその黒みを受けて、やや静寂感が強く、引き締まったドライな感じがある。高域もEarFun Freeに比べて暗い。EarFun Freeよりロックに寄った音響に聞こえる。

 EarFun Freeはより中高域で鮮やかでみずみずしく、低域も床面がやや弾みが強く、ポップス的な躍動感のあるサウンドになっている。ボーカルも明るくのびやかで、同じく甘味が強いにしてももう少し潤い感がある。

 甲乙は付けがたい。

 


TVアニメ「 宇宙よりも遠い場所 」エンディングテーマ「 ここから、ここから 」

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン AVIOT TE-BD21f 試聴レビュー】質感的にはドライで清潔、淡泊なところと、少し無愛想でモニター的なところもあるけど、分離感とエッジ感で解像度を考える場合、現状文句なくNo.1かな。音が洗練されてるし、万能感もあるし。おすすめ

AVIOT TE-BD21f

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【1】装着感/遮音性/通信品質「小型で装着感が良い」

おすすめ度*1

ASIN

B07WJ5FR91

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 7h/25h
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック aptX/AAC/SBC
 防水性能

IPX5

 音質傾向

フラット、モニターライク、デジタル、清潔、バランスが良い、見通しが良い、ディテールが豊富、分離感重視、ややドライ

 イヤホンは少し出っ張り気味ですが、装着感は悪くありません。

 

 通信チップはQCC3020。対応コーデックはaptX/AAC/SBC。店舗内テストでは通信品質全く問題ありませんでした。しかし、あまり通信の混雑していない店舗内でのテストでしたので、当てになりません。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行っています。

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ピヤホン版のレビューはこちら

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【2】外観・インターフェース・付属品「割愛」

 付属品は割愛。

 

 

EnacFire E18 plusEnacFire E18 plus

 

【3】音質「現状の完全ワイヤレスイヤホンでは最高レベルまで分離感を突き詰めた、高解像度系サウンド」

 音質はフラットか弱ドンシャリで高低感での凹凸は抑えめになっている印象です。たとえば比較的女声ボーカルに焦点を当てることの多かったこれまでのAVIOTとは異なり、中域ではより均等にディテール感を散りばめ、男声と女声のフォーカス感はほぼ対等になるよう調整されています。質感的にデジタル的な光沢感があるのも、これまでのAVIOTの主流な機種と共通していますが、より輝きを抑え、むしろシンバルやボーカルの高いところにはドライな清潔感が増しています。そのため、たとえばTE-D01dのように、眩しい高域音にボーカルが埋もれるということがなくなり、ボーカルの派手さは抑えられ、女声ボーカルはやや後退したものの、適切なフォーカス感が感じられます。

 音場のデザインは明るい味付けを好むAVIOTですが、このイヤホンも明るい傾向は似ており、低域の床面の上辺は比較的高い位置でパンチを利かせ、爽快感を出します。しかし、この明るい低域は見通しが良く、その下にバスドラキック、ベースとレイヤーを丁寧に重ねてくれて、高さが把握しやすく、そのため明るいにも関わらず、深みを出すことができます。

 ややぎっしりだったTE-D01dに比べ、音場も開放的になっており、横幅と高さ、奥行き感の三次元全てで向上が見られます。全体的に音の手がかりが多く、分離感だけを考えれば、現状の完全ワイヤレスイヤホンで最もディテールが詳細ということができます。高低感的にもなるべくフラット、色味もなるべくニュートラル、音場もなるべく広めとモニターライクな音を目指して作り込まれている印象を受けます。

 

美点
  1. バランスが良く見通しの良いフラットサウンド
  2. 男声と女声への均等なフォーカス
  3. レイヤー感のある見通しの良い低域
  4. 音場が広い
  5. 清潔感がある
  6. 風通しが良い
  7. 不自然な派手さがない
  8. 全音域に均等に散りばめられたディテール
欠点
  1. 音がどちらかというとデジタル
  2. モニター的で包容力に欠ける
  3. ツヤは不足気味

 

[高音]:AVIOT的なデジタル感のある音響で、シンセの電子音を少しキラキラさせるところがあるが、シンバルなどにはドライなシャリ感があり、ロック・EDM双方で比較的クセが少なく味わえるような万能感のある高域デザインを目指したことが窺える。とくに現代的な音楽を好むリスナーにとってこの高域は分離感も良くされて、派手さも適切に抑えられているために、解像度が高く音の聞こえが良く感じられるはずである。素直に賞賛したい。

 基本的に明るく、抜けが良く、潤い感にだけは欠けるが清潔。弦楽の張りはやや弱く、金管も少し渋く乾燥してみずみずしさに欠ける感じなのが、クラシック音楽やJAZZでは好みを分けるかも知れない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は比較的フラットで均等に音の厚みとディテールが分散しているように思え、若干強調点を把握しづらい、平坦な印象を受けるところがある。バランス的には高域と低域に比べてわずかに凹んでいるようで、弱ドンシャリの印象を受けるが、基本的に前進的な把握しやすい中域で、聞こえづらい感じはない。ピアノはやや乾燥した音で、ボーカルもどちらかといえばドライになる。

[低音]:100hz~40hzまで、ブーッという厚みのある振動。30hzで沈み、20hz以下ほぼ無音。AVIOTのイヤホンは比較的高井床面を好む傾向があるように思うが、このイヤホンもご多分に漏れず、床面の上辺はやや高めに出やすく、パンチに爽快感がある。しかし、これまでのAVIOT製品と異なり、低域に薄くなったり単調になる感じがなく、そこからキック・ベースと全体として三段階のレイヤーを構成するような、高さの分かりやすい見通し感がある。そのため下に行くほど濃くなるのがわかる、深さの把握しやすい音響となっており、これまで縦軸でやや狭く出るところのあった音場デザインが改善されている。ここも好感を持った。ただしこの低域は一方で分離感を強調する、やや親しみづらいところもあるので、音楽全体の調和性を考えると、浮き上がって聞こえやすいかも知れない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域と高域にわずかな強調があり、中域~中高域は少し引っ込み、弱ドンシャリ的な構造を感じる。縦軸はしっかりしているが、高さ毎にやや分離を強調するようなレイヤー感を感じるので、音楽全体の統一感には少し欠けるように思うこともあるかも知れない。一方で高低の把握はしやすく、のびやかなサウンドを定規で測るように把握しやすい感覚がある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムスはタムやスネアがやや暗めで、表面ではドライにパツパツした革張り感を感じさせる。シンバルはその上でチリチリ火花を散らしながら、上に向かってシャリッと白味のある清潔な空気感も出し、精彩に富んでいる印象を受ける。モニター的ではあるが、面白味のある音でリスニング的にも気持ち良い。床面のパンチも強く、リズムコントロールの制動力に優れているため、少し広がりの大きいキックもスピード感で遅れる感覚がない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:中域から中高域は比較的フラットに感じるため、ボーカルは伸びと厚みのバランスが中庸的で、若干平坦な印象を受ける。ただ男声と女声にバランス良くフォーカスが当てられ、それぞれ少し清潔な感じでクセがなくまとめられており、息感と子音にも適度な強調があって、不自然な演出感を極力排したモニター的な声色になっている。

 

【4】官能性「ややデジタルでモニター的だが、万能感がある」

鈴木聖美「熱くなれたら」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】パンチはよく、ポップス的な少し床面を高く強調する感じをうまく出して、低域に浮き上がりの良い快活な味を出すことができる。中高域以上にはドライな感触があり、高域まで派手なところがあまりないような、清潔な空間が広がっているため、高さも素直に把握しやすい。それでも空間が乾燥しているせいなのか、むしろシンセサイザーの音にツヤの強調があるように感じられ、適度な潤い感を出している。ギター音も手がかりが多く、この曲は派手めなので、実は意外とギターラインが埋没しやすいが、ほどよく清潔な空間を持つこのイヤホンはしっかりチャリッと輝かせながら、音を逃さず聴かせてくれる。鮮やかさとかみずみずしさは少しセーブされているので、必ずしも感動するほど凄いってわけではなかったけれども、率直に言って感心した。

 


City Hunter Sound Collection X-Theme Songs-

 

米津玄師+菅田将暉「灰色と青」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】男声ボーカルのボディは充分濃いが、濃すぎることはなく、息感に清涼感があるので、もっさりする感じはなく、自然な色味を持っている。この曲では低域に深みが出るので、静寂感を出しつつ、サビではドラムが入って、パンチが加わり、床面が少し高くなって、ほのかに明るくスポットが当たるような、丁寧な演出も感じられる。高域もすっきりと浮かび上がる感じがあり、見通しが良い印象を受ける。

 


BOOTLEG

 

本多俊之「Going To "Zone"」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ピアノがあると「少し乾くのがどうかな、そこは賛否両論だ!」となると思うけど、JAZZでもあんまり鮮やかでない、ピアノのないこういう曲だと、清潔に渋い感じが出る。音場はどちらかというと明るめに感じるが、ドライな感じがあるので、金管含め音に渋みが十分のって、低域弦楽と低域木管もクリアに深みを出して音場を支えてくれる。この低域の弦楽と木管に混濁感がなく、しかもそれぞれ結構深いところまで潜るのに、浮き上がりも良くて躍動感も感じられるのが良い。量感もほどよく、うるさげに低域が前に出てこない。そして全体的にレイヤーがきれいに描画されているような、音の分離が高さを伴って感じられる感覚がある。

 


メトロポリス ― オリジナル・サウンドトラック

 

UVERWorld「Touch off」(TE-D01d/NT01AX/WF-1000XM3との簡単な聴き比べ付き)

【Hiby R6 Proで鑑賞】こういう比較的上から下まで音が多いようなハイファイ系の現代ロックをきれいに味わえる感じがある。ギターが最もチャリチャリギラギラと鮮やかに目立つ感じで、しっかり手がかりを感じさせつつ、金管は派手さを抑えて渋く男らしく、ボーカルはドライにホットな感じで、シンバルは少しコシを感じさせつつ清潔に、低域ではベースとドラムがきれいに分離した形で、と曲の構造を余すところなくレイヤーに振り分けて、それぞれの役どころをかっつり聞かせる感じがある。こういう曲を聴くと、なるほど解像感はすごいなと思わせてくれる。

 

 で、この曲は結構ディテールが全音域にばらけているんでちょうどいいかと思って、手持ちの機種と音質を比較した。

 まず同じAVIOTのTE-D01dだが、この曲では床面が少し高く、音場の縦軸が少し狭い。ギターが明るく目立つので、横幅的にもぎっしりする感じが出てしまう。上が明るい感じも派手めにキラキラ出てしまって、デジタル感の強い、本来の意図された曲調からすると、若干チャラい感じになっているように思う。

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 NUARL NT01AXはHDSSの効果か音場に明らかな奥行き感があって、少なくとも奥行きでは、TE-BD21fよりも優秀なように聞こえる。横幅も開放的だが、こちらはTE-BD21fのほうが見通しが良く広くなっている感覚がある。質感的には明らかに違いがあり、NT01AXの音には自然なみずみずしさが出て、潤い感が強く、たとえば金管は色気のある音になっている。それに比べるとTE-BD21fの音は男らしい渋みがあるが、少し華やかさに欠ける気もする。ここらへんは好みによるかも知れない。音の分離感という面では、やや低域で見通しを悪くする感じのあるNT01AXに比べると、上から下までしっかりレイヤーを構築しているのはTE-BD21fのほうだろう。

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 SONY WF-1000XM3に対しては、やはり音場表現でWF-1000XM3が格上で若干広く感じる。デジタル的な音作りに共通性があるが、音の質感的には大きく違い、どちらかと言えばツルッと滑らかに上から下まで音がつながる統一感のあるWF-1000XM3に比べると、TE-BD21fは極端に言うとギザギザ感を重視して出す感じがある。そのため、聞き心地という面では滑らかな感じのWF-1000XM3のほうが自然に没入できる感覚があるが、エッジ感ではTE-BD21fに軍配を上げたい。

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Touch off

 

 

【5】総評「単純にAVIOTを応援したくなる」

 この機種、出る前も出た後も話題に尽きなかったし、不具合なんかもあったりし、なかなか聴けなくてイライラさせられたけど、なんだかんだいって「完成度高いですね、AVIOTさん」って感じでした。好みの音かどうかはともかく、少なくとも分離感とエッジ感に関しては現状で最強なんじゃないかと思います。とにかく見通しは良いし、ちょっと無愛想なほどクセがない音で、比較的万能に聴かせてくれます。

 個人的にはもうちょっと媚びた音のほうが好きで、ちょっと武骨な音に感じますけど、少なくとも予想以上に完成度の高い音でした。突っ込んで言えば、NUARL NT01AXみたいなみずみずしさがないんで、色味的にちょっと淡泊で、普段聴くなら艶味が欲しいなぁって思うんですけど、これはいいですよ。好みではないですけど、素直に感心させられました。これはよい。

 清潔でさわやか系の音が好きなら、結構どストライクな好みの音を出してくれるかも知れません。

 

AVIOT TE-BD21f

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AVIOT TE-BD21f トゥルーワイヤレスイヤホン 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン iPhone アンドロイド SBC AAC aptX 対応 防水 IPX5 通話 最大7時間 イヤーピース S/M/L SpinFit CP355 SS/S/M 付属 (ブラック)

 

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【ネックスピーカー機能付きワイヤレスイヤホン Hallomall SX991 レビュー】ネックスピーカー機能はだいぶまともになった。スピーカーのシャリ付きも少ない。通信品質は物足りない。

Hallomall SX991

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(2019進化版)Bluetoothイヤホン ネックスピーカー ワイヤレスイヤホン 一台二役 Bluetooth4.2 28時間連続使用可 伸縮式 高音質 マイク内蔵 首かけスピーカ Siri機能 CVC6.0ノイズリダクション IPhone&Androidなどに対応 日本語取り扱い書付

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。通信品質が少し不安定」

おすすめ度*1

※イヤホンとしての評価です

Hallomall SX991

ASIN

B07SMFC25J

スペック・評価
 イヤホン連続再生時間/スピーカー連続再生時間 25h/7h
 Bluetoothバージョン 4.2
 対応ワイヤレスコーデック SBC
 防水性能

IPX4

 音質傾向(イヤホン)

ドンシャリ、低域強調、さわやか、シャリシャリ、風通しが良い、派手、シャープ

 イヤホンデザインはネックバンドタイプです。イヤホンは小さめで装着感は良いです。

 

 対応コーデックはSBCのみ。接続品質はやや弱く、プレーヤーを少し動かすだけでプチプチしやすいところがあります。ぶっちゃけこの機種は前に試したことのあるSEOBIOG HX208と比べると、ネックスピーカー部分が大きく進化していて、音質がだいぶ聴きやすくなったんで、通信品質が弱いのは本当に残念です。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間は優秀」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、説明書。

 

Hallomall SX991Hallomall SX991

 

【3】イヤホンの音質「イヤホンはやや低域過多のバランスのさわやかドンシャリ」

 この製品はスピーカー部分とイヤホン部分があるので、分けて音質をレビューします。

 まずイヤホンの音質ですが、低域が強いドンシャリです。低域の重心は普通かやや深いところにあり、パンチが若干強いのでリズムコントロールは悪くなく、スピード感も出ますが、少しブーミーでバスドラキックとベースは膨らみすぎる傾向にあり、曲によってはややノイジーかも知れません。床面は高くないですが、音の広がりが強いので中域に浸食しやすいところはあり、少し篭もって感じられる可能性はあります。

 中域は既述のように低域の支配力が及ぶので暖かですが、やや清潔感に欠けて感じられる可能性はあります。中域音は少しふくよかで、ボーカルはやや暗く感じられるところがあります。一方で高域で強調があり、シンバルのシャリ味はかなり露骨に白く浮かび上がる感じがあり、その影響を受けてか中高域付近でボーカルに清潔感が出ます。

 全体の立体感としては低域に寄ったドンシャリで、ドンとシャリの間にやや分離感があるので、若干音場は縦伸びしてワイドレンジに聞こえます。

 

美点
  1. 広がりが良く、パワフルなパンチ力のある低域
  2. ボーカルが濃い
  3. 高域は派手め
  4. コントラスト感が強い
  5. 熱量が高い
欠点
  1. 低域の支配力が強い
  2. 透明感に欠ける
  3. 見通しが悪い
  4. やや刺さりやすい高域
  5. 奥行き感に欠ける
  6. 音場の縦軸がやや間延びして聞こえる

 

[高音]:高域はやや白味を強調しやすく、ハイハットは派手めにシャンシャン余韻を出し、弦楽も少しヒステリックに伸びる。一方で中高域付近にそれほど強調はないため、ボーカルはどちらかというとドライで、伸びも強調されず、高域の明るさに比して暗い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域にあまり強調点がない。そのためボーカルはやや暗めに中域の真ん中で膨らみ、甘味を出す。ピアノや弦楽のツヤも抑えめ。

[低音]:100hz~30hzまで輪郭がゆるい太めの振動。低域はブーミーで少し見通しが悪く、熱量も高くて、ドラムとベースの分離は明瞭でないが、表面のパンチが利いているため、リズムコントロール自体は悪くなく、スピード感は出る(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域が広く、高域に向かうにつれ、細くなる三角形の音場を感じる。バランス的には高域でシンバルのシャリシャリするあたりが最も目立ち、低域はブーミーに広がって重い存在感を出す、典型的なドンシャリ。中域も厚みがあってそれなりに音の繋がりがあるが、中域の上の方で谷間があって、音場が少し縦長に感じられやすい。また奥行き感はあまりない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムスはスネアやタムの表面に強調があり、上面が浮き上がる感じがあってパツンと明るく弾ける感じがある。ドラムセットの光源になるハイハットとも近い。それに比べるとややバスドラムは分離して聞こえ、下の方で重く広くブーミーに音を奏でる。パッツンパッツンあるいはパズンパズンというような、やや上辺とバスドラが遠いような、縦軸に分離感のあるドラムサウンドになる。ハイハットは明るく浮き上がりやすいので、コントラスト感は良好(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:低域と高域に比べ、中域から中高域に少し後退が見られるので、男女問わずややボーカルは薄味になる。中域で少し楽器音に埋もれやすいところはある。強調点は中域の真ん中にあり、中高域で強調されないので、暗めでドライな声色になる。

 

【4】スピーカーの音質「スピーカー位置が調整されており、耳に痛い感じがない。低域は不足する」

 スピーカーはイヤホンの音質を薄くした感じで、同じく高域のシャリっとしたあたりに強調がありますが、低域の存在感がなくなったので、相対的に中高域の聞こえが改善されます。

 このスピーカーの音質は以前レビューしたSEOBIOG HX208のスピーカーに比べると聞きやすくなっており、HX208が耳のすぐ下にスピーカーユニットが来るために高域がダイレクトに聞こえて不快感が強かったのに対し、こちらは側面にスピーカー口があるため、耳に直接音が当たって痛くなる感じはなくなりました。音はHX208と同じくシャープネス強調で軽い感じになりますが、HX208ほど聞き疲れしやすい感じはありません。

 

美点
  1. 高域のディテール
  2. 音が薄味なので聞き疲れしにくい
欠点
  1. 中低域の下の方から音が存在しない
  2. 全体的に細く、音がミニチュア的

 

[高音]:シャリシャリしたあたりが強調され、シャンシャンという空気感もかなり派手めに聞こえる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域が聞こえ、中域はあまりよく聞こえない。ボーカルやピアノ、タム、ギターなどとにかく細めに軽く聞こえる。

[低音]:低域の存在感は薄く、そもそも100hz以下は無音でスピーカーに耳を近づけて全く鳴っていない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:高域と中高域が細く聞こえてくる感じになる。高域でわずかに立体感が出るが、全体的に非常に平面的(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:シンバルとタムしか聞こえず、バスドラはすっぽり消えているような感覚がある。パスパス軽い感じになる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:イヤホンの時よりボーカルははっきり聞こえるが、細く、薄く、ボソボソはっきりしない。

 

【5】総評「ネックスピーカーとしてはなんとか使えますが、音に迫力がありません。イヤホンは低域にパワフルさ、高域に派手さがある正統派ドンシャリで、解像度は少し悪いですが、好きな人には悪くないです。しかし接続品質が安定しません」

 音質はともかく、ネックスピーカーとして普通に使えるというのは悪くないポイントです。ただしスピーカーとしては圧倒的に低域が不足し、中域の上半分以上からしか音が聞こえません。イヤホンの方はいまどきここまで素直なのは珍しい、典型的なドンシャリですが、低域支配力が強く、中域を浸食しやすく、高域もやや耳に刺さりやすく、ピーキーに感じます。

 接続品質もあまり安定しないので、個人的にはぶっちゃけとくにおすすめするところはありません。

 

Hallomall SX991

Hallomall SX991

(2019進化版)Bluetoothイヤホン ネックスピーカー ワイヤレスイヤホン 一台二役 Bluetooth4.2 28時間連続使用可 伸縮式 高音質 マイク内蔵 首かけスピーカ Siri機能 CVC6.0ノイズリダクション IPhone&Androidなどに対応 日本語取り扱い書付

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン NexAudio Q70 レビュー】高域に清涼感、低域はやや浅めに厚みのある床面を出して軽やかに聴かせる。さわやかドンシャリ。高域でサクサク、クリスプな感触があるのが魅力。おすすめ

NexAudio Q70

NexAudio Q70

【2019進化版Bluetooth 5.0 QCC3020搭載】Bluetooth イヤホン Nex Q70 完全ワイヤレス HiFi 高音質 ブルートゥースイヤホン TWS イヤホン ワイヤレス AAC対応 ノイズキャンセリング AptX対応 左右分離型 片耳&両耳モード マイク内蔵 立体音声通話 24時間連続再生 Siri対応 iPhone/iPad/Android適用

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は軽め。通信品質良好」

おすすめ度*1

NexAudio Q70

ASIN

B07TT986Z3

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 8h/24h
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック aptX/AAC/SBC
 防水性能

IPX4

 音質傾向

弱ドンシャリ、さわやか、風通しが良い、スッキリ、サクサク、ハキハキ、明るい低域、開放的、朗らか、清々しい、晴れやか、ドライ

 いわゆる「うどん型」で軽い付け心地になっている。遮音性はそこそこ良い。

 

 対応コーデックはaptX/AAC/SBC。チップはQCC3020。横浜の人混みの中やYC店内、駅前ロータリー、改札、帰り道の道中にONKYO GRANBEATHiby R6 Proで交互に繋ぎながら接続品質を見たが、改札付近や駅前ロータリーといった比較的途切れやすいポイント以外では安定していた。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProとONKYO GRANBEATで行っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「操作インターフェースはタッチ式」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Type-C)、専用充電ケース、説明書。インターフェースがタッチパネル式。ちなみに、もしかすると初期不良かも知れないが、ぶっちゃけ私の個体のタッチセンサーの反応はかなり悪い。

 

NexAudio Q70NexAudio Q70

 

【3】音質「朗らかで風通しの良い、明るくさらっとした空間を持つ、ポップス向きの音質」

 音質的には鮮やかさを少し抑えた、清潔感のある風通しの良い音場を持っている。音の質感は少しドライで、低域は中低域付近に厚みがあって、少し浅いところで広めに床面を強調する明るい音。中域はほどほどに清潔、中高域は少し上向きに前屈みとなって女声ボーカルでは少し明るいあたりを強調し、のびやかで、少しツヤを抑えた清潔な声色を出す。高域は派手さを抑えて風通しが良く、カリカリとしたクリスピーな感触やサラサラ、サクサクという気持ち良い歯ごたえを出しつつ、高いところでは余韻を強調せずに閉じて尖りを抑えている。

 基本的にはフラットに近い、中低域と中高域の比較的高いところに強調を感じる弱ドンシャリで、低域の床面が少しだけ厚ぼったく出やすい以外は、淡泊で爽やかなスッキリ系のサウンドになっている。

 そのため低域のウォームな感じがだんだんと上に向かうにつれ、ニュートラルになっていく自然な風通しを感じる温度感と、輪郭や分離感を強調しすぎない、音場的には少しだけ閉じて聴かせるほどよい充実感がある。低域で厚みと音圧が一番強く出るので、パンチ力はそれほど強くない割にその存在感は高く、リズムコントロールは比較的まとまりよく、ビシバシは強調されすぎない調和的な低域音だが、スピード感とメリハリは出る。

 上に行くほどカラッとする感じではあるので、ボーカルは少し息や子音を強調したシルキーな清潔感を感じ、湿っぽさは抑制的。基本的にはハキハキしていて、上の方でスキッとした歯切れの良い伸びを見せてくれる。そのため音場は開放的で干した後の洗濯物のような晴れやかな暖かみを感じさせてくれる。ポップスやロック、ダンスを晴天のようにぽかぽかと、しかしすっきりとして朗らかに聴かせる。

 

 このイヤホンの音の基本的イメージは下の曲みたいな感じです。

 

美点
  1. 低域に温かみのあるウォームサウンド
  2. 高域は派手さを抑え、風通しの良い清々しい味付け
  3. 明るく見通しの良い開放的な音場
  4. 低域に自然な温かみがあり、上に行くほど風通しの良い自然な温度感のある音場表現
  5. 派手さのない、さわやかで素直な質感の音響
  6. 聞き疲れしにくい
欠点
  1. 音に湿っぽさはなく、基本的にドライ
  2. 煌めき感やツヤのあるガラス質の光沢感が抑制されている
  3. どんな曲も大抵陽気になる
  4. 曲によって低域が少しうるさくなることがある
  5. 低域の深掘り感に欠ける
  6. コントラスト感に少し欠ける
  7. 男声ボーカルが薄くなりやすい

 

[高音]:高域は清々しく、清潔感のある感じで臭みの元になる派手な音は抑制され、さわやか。シンバルは基本的に無色に近い感じでシンシンサラサラな質感を出す。弦楽も表面は透明でどちらかというと輪郭の筋が目立ち、ヒステリックさが全くない、素直な伸びを見せる。ボーカルはよく伸びるが、質感的にはスキッとしたやや子音の輪郭と息感を強調した感じになる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域付近ではドライなカサッとした質感のシンバルやタムが特徴的で、清潔感を出す。湿っぽさは抑制されているが、そのことがギターやパーカッションに乾いたパリッとした刻みを与えており、ボーカルの潤いも抑制的なので、相対的にピアノ音や弦楽のツヤを中域で際立たせるところがあり、曲によってはその潤いはむしろ強調されて感じられるかも知れない。ボーカルは基本的にドライで清潔。

[低音]:100hz~40hzまでやや明るめのブーッという振動。30hzでほぼ無音。低域は深掘り感は抑えめで、暖かな膨らみを持っている。量感はそれほど多くないが、厚みはしっかりしている。パンチは浅めに感じるので床面は少し高く感じるが、カラッとした質感で聞こえが良く、ベースとの分離もよいため、暖かく厚みのある割にコントロールが利いていて、見通しも悪くない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:重低域と中低域の境目あたりの比較的浅いところに床面の強調点があり、少し重心が高い感じで音場は支えられる。そこから中域は少し引っ込んで清潔になるが、低域の暖かみは維持されたまま、中高域につながってなだらかな強調を見せた後、上にすっきりと伸びていくほぼほぼ三角形の弱ドンシャリ(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:タムやスネアは乾いたパスパスした質感の音で清潔な白い感じがあるので、バスドラの重い黒い音とはきれいなコントラストが感じられる。キックは色味的には明るめでそれほど濃くないが、全体の中で低域に最も濃さが与えられているため、聞こえは良く、それほど深くない割に高低感はしっかり出る。総合するとバスンバスンくらいの乾いた感じ。シンバルははっきり聞こえるが、乾いた感じでドライ。タムとシンバルのドライな感じに、バスドラが対比される、把握しやすい二元論のドラムス構造を持っており、リズムコントロールははっきりと感じられやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは男声も女声も基本的にはドライで清潔。男声ボーカルは子音が少し強調され、息感がはっきりとした、ややハスキーな声色になる。そのため潤い感に涸れた感じが出てしまうことは事実だが、のびやかでスリムな立体感をきれいに感じさせてくれる。

 

【4】官能性「比較的万能に清潔な音が楽しめる」

鹿乃「ディアブレイブ」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ボーカル含め音場に清潔感があるために、基本的にはピアノラインと中域の弦楽音だけに潤いが濃縮されて表現されるため、相対的に音楽の中で存在感が増しており、オーケストレーションはきれいに感じられる。

 面白いのはボーカルで、中域でドライすぎる感じはあり、最初はモサモサした質感が出てしまっていて、味気ないなと思わせておいて、サビではピアノラインまで浮かび上がって、みずみずしく聞こえるようになる。おかげで、サビでは明るくなるピアノラインとともにはっきりと音楽全体が潤う感覚があり、その対比が曲に展開的な抑揚をもたらしていて、気持ちが良い。派手さやくどい甘味、濃厚感を出さずに、爽やかにこの曲を味わわせてくれる。

 


nowhere

 

あいみょん「君はロックを聴かない」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ドライで晴れやかなホットな曲調になっており、明るいフェスロック風のスカッと空に抜ける感じがある。明るい低域やカラッとしたギターのドライエッジも日差しを照り返してるように陽気で、朗らかでのびやかにこの曲を聴かせてくれる。これは気持ちいいね。

 


青春のエキサイトメント

 

スフィア「Non stop road」

【Hiby R6 Proで鑑賞】このイヤホンでこの曲おすすめ。ポンポン膨らみながらもほどよくパンチを利かせてコントロールされているドラムが、充分なスピードで疾走感を出し、快活さを感じさせてくれる床面の上に、カラカラッとした晴れやかな青空が広がっているように陽気で明るい楽器音が広がり、一番みずみずしいボーカルがツヤツヤのびやかに清潔に歌い上げる感じが爽快。

 あとこの曲、イヤホンによっちゃ結構うるさくなるけど、このイヤホンならうるさげなところが全くない。

 


Non stop road

 

777☆SISTERS「スタートライン」


 【Hiby R6 Proで鑑賞】すっきりと風通しが良く、ボーカルがほどよくツヤを出しながら、清潔に歌い上げてくれる。ギター音やタム、シンバルも明るく、吹き込む風のように涼しげ。その下では熱気のあるバスドラムやベースラインが音場に朗らかさを加えている。リズムコントロールも良く、暖かい聞き心地の良い温度感がある音場にほとんど澱みがない。透明じゃないけど見通しが良い、親しげで清潔な空気感がある。

 


スタートライン / STAY☆GOLD(CD+DVD)(初回限定盤)

 

【5】総評「スッキリ系で聞き心地の良い音を求めているなら、おすすめ」

 素直によいです。臭みがなく、聴きづらいところがなく、それでいて低域の存在感とリズムコントロールもはっきりしているし、ウォームで聞き心地が良く、それでいてさわやかで音場に開放感があり、音は伸びやか。とにかく朗らかな、陽だまりの中で澄み切った清涼感を感じさせるサウンドを持っています。ドライな質感を好むかどうかはありますが、基本的にこの音質には万能感があります。クラシック音楽やJAZZだと弦楽音やピアノ音なんかに豊かなみずみずしさが欲しいことが多いと思うので、そういう場合にはちょっと乾きすぎている音ですが、リズムはきれいに決まるんで、HIP HOPなんかも気持ち良く聴けるはずです。ポップスをはじめとして現代的な音楽のほぼすべてをカヴァーできるような万能感があります。とにかくクセがない。

 

NexAudio Q70

NexAudio Q70

【2019進化版Bluetooth 5.0 QCC3020搭載】Bluetooth イヤホン Nex Q70 完全ワイヤレス HiFi 高音質 ブルートゥースイヤホン TWS イヤホン ワイヤレス AAC対応 ノイズキャンセリング AptX対応 左右分離型 片耳&両耳モード マイク内蔵 立体音声通話 24時間連続再生 Siri対応 iPhone/iPad/Android適用

 

【6】同価格帯の実力派完全ワイヤレスイヤホンとの聞き比べ

vs SoundPEATS Truengine SE(藍井エイル「月を追う真夜中」/EGOIST「Depatures~あなたにおくるアイの歌~」)

 同じように清々しい音作りでQCC3020搭載というのも共通しているSoundPEATS Truengine SEと比べてみる。どちらも低域のパンチ力は強めだが、Truengine SEの低域が深めなのに対し、Q70はより浅いところに床面が来るため、相対的にパンチの威力がより浮かび上がっており、弾みが良い。一方でボーカルはTruengine SEがボディをはっきりと濃く出し、強く訴えかけてくる渇望感を感じさせる、情感の篭もった迫力のある感じで、すがるような声色で聴かせるのに対し、Q70はむしろさわやかに、サビで突き抜けていく感じになる。ぶっちゃけボーカルはTruengine SEがかっこいいが、爽快感はQ70が勝る。同じくドライな音質にしてもその表現の方向性はかなり異なっており、甲乙付けがたい。

 まあ、曲の主題から考えると、より重くのしかかってくる感じのあるTruengine SEのボーカルの方が説得力があるといえる気がする。Q70の表現は疾走感が強いので、気持ちを溜めず、後ろを振り返らずに吹っ切っていくような潔さがあって、若干気持ちが軽く聞こえる。この曲はもうちょっと懊悩している気がする。

 

 

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月を追う真夜中 (期間生産限定盤) (DVD付) (特典なし)


GREATEST HITS 2011-2017 “ALTER EGO”

 

vs Mpow T5(ORESAMA「ワンダーランドへようこそ」)

 次の聞き比べは、やはり同じ価格帯でQCC3020搭載と比較的ライバルになりそうなMpow T5としてみる。Mpowはデジタル感満載で高域でキラキラ、発色もしっかりしており、輪郭もくっきり。ボーカルはツヤを出して聞こえる。なんていうか、遊園地のような、あるいはディスコ的な、辺り一面光に満ちた、楽しげな音響空間をよく感じさせてくれる。床面は少し浅く、硬いけどリズムコントロールも良い。

 Q70はそれに比べると見通しが良く、すっきり見通しの良い、ダンスホールにいるような感じで、どちらかといえば床面のビシバシが目立ち、ボーカル周りに清潔な空間ができている。ボーカルはよりハキハキしていて、健やかな感じ。なんていうか、どちらかというと、エアロビック的なスポーティーなダンスを踊っている感じに聞こえる。あるいはちょっと息が上がる感じがあるので、ブートキャンプ?これはこれで楽しい。

 これはまたかなり甲乙つけがたく、選びづらいが、言えることは、Mpow T5の音はどちらといえばライトアップされた夜のダンス、Q70の音は昼間の自然光を感じるということかな。

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ワンダーランドへようこそ/秘密

 

vs EnacFire E18 plus(Pastel*Palettes「もういちど ルミナス」)

 同じくQCC3020のEnacFire E18 plusと聞き比べてみる。で、実際のところ好みによると思うけど、こういう曲で甘ったるいところをたっぷり聴かせてくれるのがE18 plusで、のびやかさ重視で聴かせてくれるのがQ70。楽器音ではE18 plusがツヤっぽくボーカル周りに少し充実感を与えながら、シンバルやキーボード、ギターがみずみずしく聴かせるのに対し、Q70のほうはむしろロックで、ホットなドラムの熱気の上を、ドライなシンバルとタムがさわやかに吹き抜けていく感じ。まあ個人的な好みは良い意味で媚びた感じがうまく出ているE18 plusかな。

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もういちど ルミナス(Blu-ray付生産限定盤)

 

vs AUKEY EP-T10(KANA-BOON「まっさら」)

 最後は同じように陽気でロック、爽快な音を持っているAUKEY EP-T10と比べてみる。表現は結構似ているんだけど、やっぱりQ70のほうがよりドライですっきりしている。そういう意味で晴れやかなんだけど、一方でボーカルは少し乾燥して薄い感じにすっきりしちゃうところがちょっと厳しいかな。EP-T10のほうはまずシンバルがより濃くてチリチリ手がかりが多い感じで、ボーカルはより濃く聞こえるから、少なくとも男声ボーカルのロックに関する限り、一般的な満足度はEP-T10のほうが良さそう。Q70の男声ボーカルは少し薄味になりやすいところがある。

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まっさら (通常盤) (特典なし)

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン SoundPEATS Truengine SE レビュー】低域にドスの利いたパンチ力があり、重心が低く、ドライな質感の音を持ちながら、上ですっきりとした爽やかな風通しのよい清潔感を持つ。おすすめ

SoundPEATS Truengine SE

SoundPEATS Truengine SE

完全ワイヤレス イヤホン デュアルドライバー 高音質 aptX AACコーデック対応 Bluetooth5.0 6時間連続再生 TWS Plus対応 QCC3020チップセット 自動ペアリング 両耳/片耳対応 ワイヤレスイヤホン ブラック

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感・通信品質は満足できる」

おすすめ度*1

SoundPEATS Truengine SE

ASIN

B07WJ5FR91

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 6h/27h
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック aptX/AAC/SBC
 防水性能

IPX4

 音質傾向

低域重視、パンチがある、ドライ、すっきり、さっぱり、サクサク、シャキシャキ、息感強調、ハキハキ、風通しが良い、清々しい

 完全ワイヤレスイヤホンとしては少し大きめのハウジングだが、カスタムIEMのような凹凸が付けられており、装着感は良好で遮音性もそこそこ高め。

 

 対応コーデックはaptX/AAC/SBC。チップはQCC3020。私がONKYO GRANBEATにつないでテストした範囲だと、ターミナル駅の改札口付近とバスロータリーくらいでしか途切れず、比較的途切れの多い駅ホームでも途切れる感じはなかった。ただし、テストしたのは通勤混雑時ではないため、人が多いと結果は少し変わるかも知れない。

 この機種の通信品質についてはこの製品を紹介して下さったはしさんからも情報提供を頂き、混雑時はさすがに途切れるとのこと。はしさんに感謝です。

 私の感想としては、この価格帯の機種の中では通信品質はかなり安定しており、またQCC302X系に多い、接続した最初の頃にやや途切れやすいというクセも少なめに思えた。私がこれまでレビューしてきたQCC3020チップ搭載機種の中でも相対的に安定度が高い印象を受ける。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby RR6 ProとONKYO GRANBEATで行っている。

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この製品に偽物疑惑があるらしいです

 Twitter上でこの製品に偽物疑惑があるという指摘を頂いた。ぶっちゃけ私自身が本物かどうか保証できるものもないので、この点についてはSoundPEATSのストアフロントに質問を投げかけてみるのが良いように思う。

 一応添付品の写真は下のツイートに掲載した。その後、情報を寄せて頂いた方から、たぶん正規品だという追加情報も頂いた。多謝!

 

【2】外観・インターフェース・付属品「操作インターフェースは物理ボタン式」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、専用充電ケース、説明書。インターフェースが物理ボタン式。このボタン、押し心地が軽く、耳にそれほど押し込む感じを出さずに操作できるので、操作時に耳にそれほど負担感が出ない。

 

【3】音質「高域で派手さを強調せず、地平線付近に重心のある音響」

 音質的にはSoundPEATSではよくある、低域に強調点を置いた調整になっている。その低域はやや厚みがあり中域と親和的で、地平線付近に音の密度を集中させ、音場を暖める黒みと地熱感のある音。このおかげでギター音にも熱気のある黒みが加わっており、ドライなエッジを感じさせてくれる。

 高域方向は派手さを抑えたやや質素なすっきりした味わいになっており、風通しがよく、たとえばシンバルの音もどちらかといえばややドライに、サラサラ、サクサク、シャキシャキとしたシルキーな肌触りや清潔感、クリスプ感を重視した感じになっている。シンバルが派手めに聞こえる曲、たとえばヨルシカの「藍二乗」では、シンバルがさわやかに少しシルキーな感じでシャンシャン聞こえる泡立ち感のある淡泊な酸味と、ドラムの温かみのある黒い音が見事な対比をなして聞こえてくる。

 

 こういう高域音の良いところは自身が眩しい光沢を避けることで、中域の質感や色味を丁寧に感じさせてくれるところで、たとえば女声ボーカルは明るさに強調がなく、どちらかといえばわずかに暗い傾向を持っているにも関わらず、少しドライな質感のまま浮き上がって聞こえてくる。ボーカルの突き抜け感はセーブされているので、外連味は抑えられているが、中域で少ししっとりとするボーカルには沈み込む余韻が出る。質感的には若干ハスキーさが強調される感じがあり、息感に「スキッ」とした感触が出てくる。前出の藍二乗でもボーカルに憂いのある吐息感が丁寧に出ていて、また「ツ」音やサ行の凹凸感がナチュラルに強調される自然な輪郭感がある。

 

 パワーバランス的には低域から中域の下のほうにかけて密度がある感じで、明るさや軽妙さを味にしているタイプのアニソンにはやや鈍重さが出てしまうところがある。たとえば個人的にはfhána「青空のラプソディ」を聴くと、ボーカルに天井感を感じ、ドラムサウンドがやや厚く中域に出張ってくるので少し重苦しく感じる。


 それに対し、大原ゆい子「星を辿れば」のような曲は充分に暖かみを感じつつ、派手さを抑えたサラサラ系の音を持つシンバルが、吹き抜ける風のようなさわやかさを感じさせてくれる。

 

 より正統派ロックに近い曲も得意な印象を受け、ドラムとベース、ギターがしっかりした黒みを出す中に清涼なハイハットと甘味のあるボーカルが少し息遣いを強調しながらセクシーに聴かせてくる。

 

  あくまで個人的な好みだが、このイヤホンで聴く「ざらざら」の花澤香菜のボーカルは息感にさわやかなドライさがあってスキッとしつつ、必要以上にコクを出し過ぎない自然な甘味が感じられて説得力を感じる。高域で派手さが抑制されているために、色味を抑えた少しセピア色かモノクロに近い淡い雰囲気があるのも、しつこくない、さっぱりして、そしてどことなく物憂げな儚い情緒感に感じられて良い。

 

 好みにもよるが、意外なところでは、元々高域に存在感があるEDMはさっぱりと聴ける。派手さは抑えられ、高域の立体感も抑制的になっているが、パンチ力があるためにダンスフロアの床面ははっきりと感じられ、低域に寄った味付けにはなるが、充分な迫力がある。電子音にドライな酸味と苦味が出るので、ピターな味で楽しめる。

 

美点
  1. 低域に温かみのあるウォームサウンド
  2. 高域は派手さを抑え、風通しの良い清々しい味付け
  3. ギターにドライで黒いエッジ感があり、ロック
  4. 中域に充分な濃厚感がありつつ、高域にさわやかさがあるのでほどよく吹き抜ける感覚がある
  5. 音にパンチ力があり、迫力に勝る
欠点
  1. 奥行き感に不足を感じる
  2. 高域が暗い
  3. 女声ボーカルに天井感が出やすい
  4. 曲によって低域が支配的になり、もっさり篭もる感じになる

 

[高音]:高域は清々しく風通しは良いが、光沢は強調されず、派手さがない。またおそらくボーカルの突き抜け感に関わる2khz~4khzくらいに不足があり、それが高域にクリーンさをもたらしているのだが、ボーカルに天井感が出てしまう原因にもなっている。同様にこのあたりの帯域が抑制的に調整されていることが、音にドライな風味をもたらしていると考えられる。同じ理由から曲によって、弦楽の張りに物足りなさを覚える可能性は高い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:高域でツヤが抑えられているので、ボーカルやギターはドライな味になっている。ギターはビターなテイストで黒みを出して聞かせてくれる反面、のびやかさに欠け、立体感では抑制的に感じられる。ピアノも質感的にはややカラッとした音で淡泊な味付けになっている。中域の下の方では厚みが出て、音にパンチ力もあり、迫力が感じられる。

[低音]:100hz~40hzまでぶっとい振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域は濃く、厚みがあり、ウォーム。地熱感がある。ドラムやベースは少し膨らんで、どちらかといえばブーミーに聞こえるので、クリアな感じではない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:ふくよかな音響構造を持っており、低域に比重があって重心は低い。音の濃さの上でも、低域方向でより濃く、高域は比較的さっぱりと仕上げられているため、人によっては低域過多に感じる可能性がある。また音場の明るさを重視する人には、音が渋く暗いと感じられるはず(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムセットはタムは明るさを抑え、ドラムは全体的に黒い重厚な音となっており、バズンバズンと重く広がる熱のある音になる。一方でハイハットは光沢感を控えめにして鮮やかさを抑えながらも、浮かび上がりは良く、清潔な感じで聞こえる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは中域で濃くボディはしっかりしている。天井感があるので、のびやかさはそれほど強調されないが、かわりに息感に清潔さがあり、サ行の子音を少し強調してはっきり聴かせる。物憂げなボーカル表現は吐息も含めてうまく、そういう方向性での妖艶さの表現に優れる。

 

【4】官能性「個人的にはロックを聴くのにおすすめしたい」

安月名莉子「Glow at the Velocity of Light」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】このイヤホンのこの曲の聴かせ方を表現すると、「パンチ力と熱気のある低域、ドライな中域、サラサラな清涼感のある風通しの良い高域」。ボーカルのツヤは抑えられており、ドライでちょっと攻撃的な雰囲気があり、渇望感を歌う歌詞とマッチしていて、さらに低域にはどっしりとした重みとドスの利いたパンチ力がある。そのドラムのパンチはカラッと乾いた音で清潔感があり、どちらかというとギラつく弦楽やピアノとの対比が気持ち良い。ビターでかっこよいロックダンス曲として聴ける。

 


TVアニメ 「 彼方のアストラ 」 エンディングテーマ 「 Glow at the Velocity of Light 」

 

澤野弘之 with David Whitaker「Battle Scars」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】この曲がすごくかっこいい。低域でパンチ力が利いてるし、高域のほうではドライで清潔な爽快さがあって気持ち良い。ギラつく中域で、スチームパンク風で無国籍的なメトロポリタンな退廃の雰囲気を感じつつ、一方で清潔なシンバルにスピード感と清涼感を感じるというね。ビターで明るさを強調しないキーボードもダンディズムに満ちている。

 


青の祓魔師 劇場版 オリジナル・サウンドトラック

 

EGOIST「Depatures~あなたにおくるアイの歌~」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ハスキーさが強調されつつ、シンバルとともに清潔な色彩感を持つ、シルキーボイスに惹き込まれる。カラッとした乾いた空気感がこの曲でも独特の渇望感を感じさせてくれて、渇望感がマックスになるサビではドラムもパンチ力をしっかり利かせて熱気も出し、ボーカルに熱に浮かされたような吐息感を加える。最高です。

 


GREATEST HITS 2011-2017 “ALTER EGO”

 

AXIS「HEAVEN'S RAVE」


 【Hiby R6 Proで鑑賞】ドライで黒みと熱気のある音は、たとえばこの曲も存分に楽しませてくれる。ドラム音のズバズバッとしたパンチ力の音がキレてて、質感的にザラザラ、ギラギラしている感じが、この曲の熱狂的でどこか攻撃的な雰囲気をよく表してくれる。たぶんこの音源を大抵のイヤホンで聴くと、「ボーカルちょっとコケティッシュでかわいいなぁ」なんて感じると思うんだけど、このイヤホンで聴くとドライでちょっとアンニュイ感を漂わせたような、ドスの利いた感じで聞こえる。

 


HEAVEN'S RAVE(通常盤)

 

【5】総評「パンチ力とドライな味を楽しみたいならこのイヤホンはおすすめ」

 性能や通信品質的には文句ない機種でおすすめできます。音質は清潔感がありますけど、SoundPEATSらしく、かなりドスが利いた感じなんで、それほど万能ではないと思います。個人的には好きな音ですけど、もっさりしやすいところがありますし、ツヤが不足して感じられると思いますんで、ツルツルのびやかキラキラ系の音が好きな人には向かないと思います。音に媚びた感じがありません。

 ちなみに初代Truengineとの違いは、初代は上から下までぎっしり系の音でしたが、こちらは低域偏重です。

 

SoundPEATS Truengine SE

SoundPEATS Truengine SE

完全ワイヤレス イヤホン デュアルドライバー 高音質 aptX AACコーデック対応 Bluetooth5.0 6時間連続再生 TWS Plus対応 QCC3020チップセット 自動ペアリング 両耳/片耳対応 ワイヤレスイヤホン ブラック

 

【6】同価格帯の実力派完全ワイヤレスイヤホンとの聞き比べ

vs EnacFire Future plus(ORESAMA「Hi-Fi TRAIN」)

 同じように低域に濃さと厚みのあるパンチの利いた音を奏でるEnacFire Future Plusとまず聞き比べてみる。ドスは明らかにTruengine SEのほうが重く濃く、パンチが利いてるんで、Future Plusのほうが印象は上品である。Future Plusはそれほど強調しないとはいえ、音にツヤも普通に出すので、たとえばシンセの音やボーカルにみずみずしさがあり、Truengine SEに比べて、質感がツルッとしている。Future Plusも密度感高めの音を持っているとはいえ、音場ももうちょっと上向きで開放的である。

 Truengine SEはボーカルにボソボソした感じがあり、サ行と息感に強調があるので、もう少しザラザラして毛羽立つ感じになる。そういうと味気ないと思うかも知れないが、たしかに色味はややグレーがかるものの、手がかりはむしろ多く、ハキハキした感じは強くなる。人によってはこのボーカルをさわやかと感じるだろう。良いか悪いかは別にして、低域のパンチ力では明確に勝り、ドラムのドスドス感は非常にパワフルで力強い。

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Hi-Fi POPS(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

 

vs Mpow T5(SawanoHiroyuki[nZk]:Uru「Binary Star」)

 次は同じ価格帯でQCC3020搭載、低域多めと個性が被りがちに思えるMpow T5と聞き比べてみる。よりデジタル的で明るく派手さがあるのはT5だが、実際のところ低域はちょっと浅くて、個人的にはもう少し濃さが欲しい。個人的にはこの曲に関してはTruengine SEのほうが好きで、光沢感が少しギラッとした形で抑えられているために、音場の背景に静謐感があって、シンバルの色が映えて、まさに星々の輝きを感じる。しかも、ただそれだけではない。ドラムに重みと黒みがあって、沈み込みがしっかりしているためにメリハリ感にも優れ、鮮やかさではT5に明確に劣るにも関わらず、サビの昂揚感でむしろ勝る。

 低域の深みの貢献力といえるかもしれないし、あるいはつややかさに優れたUruのボーカルのおかげか、むしろこの曲ではTruengine SEのボーカル表現の方にすっきりとした清涼感のある突き抜けが感じられるところも大きいかも知れない。個人的にはTruengine SE推し。

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Binary Star/Cage(期間生産限定盤A)(『銀河英雄伝説 Die Neue These』盤)(DVD付)

 

vs Dudios Zeus Ace(藍井エイル「月を追う真夜中」)

 同じSoundPEATS系代表としてTruefree+ことDudios Zeus Aceと聞き比べてみる。同じSoundPEATS系らしく、低域重視でどちらかといえばドライな出音の感じまでクリソツだが、Zeus Aceのほうが低域のパンチ力が弱く、淡泊。その分シンバルがより前面に出てくるところはあって、より明るく、見通し感が良いのはZeus Aceのほう。もう一つのポイントはボーカルの潤い感。ツヤはZeus Aceが優れていて、中高域にみずみずしさがある。

 個人的にはどちらかというとこの曲にはZeus Aceのほうが合っている気がする。その理由は、この曲ではオーケストレーションが加えられているので、弦楽ののびやかさと張りはZeus Aceが勝り、色気が出ているから。最終的には好みだけど。

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月を追う真夜中 (期間生産限定盤) (DVD付) (特典なし)

 

vs AUKEY EP-T10(樋口了一「1/6の夢旅人2002ver.」)

 同じようにロック向きの音質を持っているAUKEY EP-T10と比べてみる。率直に言って、EP-T10のほうが陽気。たとえば、EP-T10のボーカルはちょっと華やかに、ふわっとしているのに対し、Truengine SEの音はより濃ゆい感じでパンチを利かせるので、誤解を恐れず言うと、ちょっとしゃくれてる感じがする。そういうわけで軽快な冒険心のあるこの曲にたぶんより合っているのは、総合的にはAUKEY EP-T10だと思うんだけど、一方でTruengine SEのドラムのパンチの音圧が心地よくて、メリハリ感は明らかにTruengine SEの方が良いから、疾走感がある。低域が目立つので、ちょっとくどいかなとは思うんだけど、パチンパチンしている活きの良い弾みを持つ音の気持ち良さは、なかなか他では味わえない。

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1/6の夢旅人2002

 

vs NexAudio Q70(EGOIST「Depatures~あなたにおくるアイの歌~」)

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GREATEST HITS 2011-2017 “ALTER EGO”

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン TaoTronics SoundLiberty 77 レビュー】低域は比較的抑えめのフラットサウンドで見通しよいスッキリサウンド。おすすめ

TaoTronics SoundLiberty 77

TaoTronics SoundLiberty 77

ワイヤレス イヤホン TaoTronics Bluetooth 5.0 【MCSync左右独立型 ホールスイッチ IPX7防水 ライトニングペアリング技術】 AAC対応 高精度ハイブリッドドライバー 片耳対応 Siri対応 HIFI高音質 ハンズフリー通話 20時間再生 SoundLiberty 77

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感・通信品質は満足できる」

おすすめ度*1

TaoTronics SoundLiberty 77

ASIN

B07W1F17WF

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 5h/20h
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
 防水性能

IPX7

 音質傾向

フラット、スッキリ、見通しが良い、粒立ち重視、明るめ、爽やか

 耳へのフィット感を考慮したIEM風の立体構造になっており、装着感は良好。遮音性もそこそこ高め。

 

 対応コーデックはAAC/SBC。チップはAiroha製AB1532。Airoha製は古いチップはiOS系でないとAAC接続できなかったが、このチップはAndroidでもAAC接続されることを確認した。

 通信品質は私のテスト環境では安定性が高めで、外出中もあまり途切れず、バスロータリーや駅ホームなどで少し途切れるかなという程度。

 

テスト環境

 今回のテストはAAC接続をCayin N6IIで、SBC接続をONKYO GRANBEATで行っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「操作インターフェースはタッチ式」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、専用充電ケース、説明書。インターフェースがタッチ式。反応は悪くない。

 

TaoTronics SoundLiberty 77TaoTronics SoundLiberty 77

 

【3】音質「輪郭に少し強調あり。ややデジタル系だが、すっきりと見通しのよい感じで臭みがないフラットサウンドで、比較的万能に楽しめる」

 音質的にはかなりすっきり中高域以上を見渡せるフラットサウンド。若干輪郭に強調があり、パリパリした感じはあるが、音圧の割に音の濃さはあまり強調せず、ほどよい距離感と聞き心地を持っている。

 たとえば音質傾向的にはよく似ているEnacFire E18 Plusに比べると、より中高域が前屈みに聞こえてくる感じがある。E18 Plusのほうは一方で音の光沢感はよりはっきりコントラスト感を出して聴かせるところがあり、チャイム音などは明るくチャリッと聞こえるが、こちらはもう少し硬いカリッとした音になる。キラキラ感の明るさはE18 Plusの方が強いと言えば分かりやすいかもしれない。そういう意味で、若干派手さが少なく、すっきりとしているところがある。まあ音質的にもデザイン的にもガチライバルがE18 Plusであることは間違いないだろう。

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 低域の不足はイヤピで補いたくなるかも知れないが、残念ながらケースデザインがそれをほとんど許さない。E18 Plusでぎりぎり運用できたSednaEarfit Shortはこちらではケースに収まらなかった。そのため低域重視の人にとってはやや魅力に乏しく思えるところがあるのは事実だろう。中域以上を見通しよく解像度重視で聴きたい人向きである。

 どうしても低域を市販イヤーピースで補いたい場合はfinal E Blackradius deepmountなら、何とかケースに収まった。

 

美点
  1. バランスが良く見通しの良いフラットサウンド
  2. よくボーカルフォーカスされていて、ギターも美しい中域
  3. 高域も比較的開放的で抜けが良い
  4. 全体的にディテール感があり、解像感は高い
  5. 輪郭感重視で分離感が良い
  6. すっきりとして聞き心地が安定している
欠点
  1. 音の色味は濃くない
  2. 低域の存在感が薄い。イヤピ交換の選択肢も絞られる

 

[高音]:高域は明るめでほどよく開放的だが、光沢感の強調はあるものの、強くなく、明るさは自然。高いところでマイルドになっており、シャープネスは強調されない。弦楽の伸びはきれいにつややかに出る(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域ではやや輪郭を強調する感じが強く、パリパリカリカリした音の感じになるが、音に一定の厚みもあり、デジタル的ながらバランスは良く万能系の音に聞こえる。ギターエッジはやや強調されて刻みが良いし、シンバルもはっきり刻みを出すチリッとした手応えがある。ボーカルは少し明るめに伸びやか。中域の真ん中は中高域に比べると相対的に清潔で低域の分離も良い。

[低音]:100hz~20hzまでやや淡い、ぶっとい振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。低域はやや抑えめで中高域と分離して聞こえる。重心は低く厚みも出る感じだが、深さはそれほど強調されず、濃さもそれほど強くないので、低域に存在感を求める人にはやや淡い印象を受けるかも知れない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域はやや控えめで、中域は見通しが良く、高域も開放的なフラットサウンド。中高域に一番の強調があるように聞こえるが、音はすっきりで目立ちすぎる感じはない。全体的に輪郭が良い(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムスはどちらかというとややタムの存在感が強め。そのタムは輪郭感があり、パリパリというかパシパシとした感じで手応えがありつつ、それほど色味は強調されない。そのため、ハイハットがより鮮やかに感じられる。バスドラはやや控えめで、パツンパツンかパスンパスンといった感じ。ハイハットはチリチリ感が出て刻みは少し明瞭に出る(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは暖かいが、色味は若干薄めでスッキリ系の伸びが良い感じ。女声ボーカルも明るめでさらっと伸び、どちらかといえば透明感重視に聞こえる。

 

【4】官能性「個人的な印象ではまずEDMと相性が良く、デジタル的な曲はきれいに見通しよく聴かせてくれる」

Snail's House「Galactic Whisper」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】音にパリッとした輪郭があり、分離感も良いので手応えよく楽しめる。低域の量感は抑えめだが厚みはしっかりしているので、スカスカした感じもなく、やや中高域が前に出てくる形で包まれるような感覚で楽しめる。煌めき感は強調されすぎないので、明るく見通しがよい割に光沢が強すぎて聞き疲れする感じもない。

 


エイリアン☆ポップ III

 

中野家の五つ子「五等分の気持ち (PandaBoY Five Flowers Dance Edit)」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】明るいボーカルがちょうどつややかに聞こえてくるあたりにフォーカスされていて、低域も分離良く中域の空間が清潔になっているため、見通し感が良い。高域のキラキラ感もほどほどにセーブされているため、ボーカルを邪魔する感じもなく、立体感のあるボーカルの掛け合いを素直に楽しめる。これはいい感じ。

 


五等分の花嫁 (可愛さMax Re-mix)

 

Uru「Scenery」

【Cayin N6IIで鑑賞】中高域をはっきり聞かせるバランスながら、高域であまりキラキラしないので、こういうツヤツヤ系の曲には説得力を感じる。弦楽はヒステリックな派手さは抑えられつつ、伸びは良く、充分に情感を高く突き上げてくれるし、ボーカルはやや薄味に儚げに聞こえてくる。低域は厚みをしっかり出しながら、重さはほどほどで重苦しい感じがなく、どちらかといえば暖かく調和的に弾む。

 


【Amazon.co.jp限定】願い (期間生産限定アニメ盤) (Blu-ray Disc付) (「願い」CDジャケット柄クリアファイル付)

 

Machico「TOMORROW」


 【Cayin N6IIで鑑賞】低域が重すぎず、全体的にやや上向きにすっきりした軽快な開放感が出るので、この曲みたいな明るめのロックポップスとは相性が良い。ボーカルも明るくしっかりフォーカスも当たるし、そのすぐ近くでシャリシャリ弾けるシンバルも煌めきが強すぎないので、明るさを充分に感じさせるのにボーカルを邪魔しない。そしてギターも伸びが良く、浮かれた雰囲気が良く出る。

 


TVアニメ『この素晴らしい世界に祝福を! 2』オープニング・テーマ「TOMORROW」

 

【5】総評「音質は明るく見通しよく、開放的。フラットでややデジタルな音だが比較的万能」

 日常使用の範囲ではスペック的にほぼほぼ問題なく、防水性能も高くて特に欠点が見当たらない。音質的には現代的なサウンドと相性が良い輪郭と見通しの良い解像度感の高いサウンドが特徴で、すっきり気持ち良く明るめに音楽を聴かせてくれる。曲によっては低域の不足感が少し気になるが、装着感の良さなどを考えると、価格帯では手堅くまとめられた機種という印象を受ける。

 

TaoTronics SoundLiberty 77

TaoTronics SoundLiberty 77

ワイヤレス イヤホン TaoTronics Bluetooth 5.0 【MCSync左右独立型 ホールスイッチ IPX7防水 ライトニングペアリング技術】 AAC対応 高精度ハイブリッドドライバー 片耳対応 Siri対応 HIFI高音質 ハンズフリー通話 20時間再生 SoundLiberty 77

 

【6】同価格帯の実力派完全ワイヤレスイヤホンとの聞き比べ

vs EnacFire E18 plus(東儀秀樹「Echoes Of Time」)

 すでに述べたが、同じ価格帯でガチライバルになりうるのはEnacFire E18 plusであろう。両者は高低バランスはほとんど似ている印象を受けるが、色の濃さや光沢感が異なり、たとえばこの曲では篳篥の音をE18 plusがより濃く、ややデジタルな感じではっきりと聴かせるのに対し、SoundLiberty 77の音はもう少し輪郭をパリッと強調する感じがある。コントラスト感ではわずかにE18 Plusのほうが優れ、くっきり感はわずかに強い反面、音のカラッとした爽やかさはSoundLiberty 77のほうがより強いといった具合だ。

 とはいえ、総合した印象はどちらもほぼ同等で、E18 Plusのほうがわずかにくっきり色味が濃く、SoundLiberty 77のほうがわずかに疾走感が強いといったくらいの違いしかない。

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ヒチリキ・ラプソディ

 

vs Mpow T5(Galileo Galilei「サークルゲーム」)

 同じ価格帯の有力機種Mpow T5と聞き比べて見る。T5の低域はより黒みが強く、またシンバルやギターサウンドがドライでよりギラギラしている。ボーカルも妙に黒光りするようなところはあって、やや人工的に聞こえるところはある。それに比べるとSoundLiberty 77はもう少し風通しが良く、ボーカルとシンバルがもう少し爽やかで、低域も厚みはあるがより明るい。やや音が近めで圧迫感もあるT5に比べると、もう少し見通しが良い。

 この曲の場合どちらが好みかは微妙なところだが、ボーカルはSoundLiberty 77のほうが自然に近いとは言える。

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サークルゲーム(期間生産限定アニメ盤)(DVD付)

 

vs AUKEY EP-T10(ナナヲアカリ「オトナのピーターパン」)

 同じ価格帯くらいで人気がある機種というとたとえばAUKEY EP-T10がある。音質はAUKEY EP-T10のほうが少し渋い感じで、やや重心が低いが、より大きな違いは音場表現。EP-T10のほうが広く、奥行き感にも勝り、パノラマ感のあるサウンドになっている。SoundLiberty 77のほうは中高域とボーカルが近めで、より音空間に密閉感がある。その分はっきりとシンセサイザーの音が聞こえてくる感じがあり、好みにもよるだろうが、EDMの音は全体的にしっかり聴かせてくれる感じがある。どちらかといえば、EP-T10はJAZZやロック向きと言え、低域もより黒みが強くはっきりし、相対的に前面に出ている。



しあわせシンドローム(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

 

vs NUARL NT110(T.M.Revolution「INVOKE」)

 最後にやや格上となるNUARL NT110と聞き比べてみる。NT110はしっかりとした黒みと厚みのある低域を出しつつ、中高域にもフォーカスがあり、やや重厚に偏りつつもコントラスト感高めのドンシャリでしっかり聴かせてくれる。色味も濃く、輪郭もはっきりしている。SoundLiberty 77の音はもう少し上向きで、中高域のシンセ音の透明感やツヤを重視して聴かせる。そういう意味では見通しは良いが、迫力の面ではNT110に少し劣り、コントラストのメリハリ感でもやや劣る。それでも見通しよく聴かせてくれるので、個人的にはこの曲と相性良く感じる。ボーカルもより溌溂としている。

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INVOKE -インヴォーク-

 

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【ANC搭載ワイヤレスヘッドホン BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700 レビュー】デザインと装着感、そして何よりノイキャン性能が素晴らしい。音質もより見通しが良い音になった。課題は通信品質。

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700 ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン Amazon Alexa搭載 トリプルブラック

 

 

 【0】BOSE党が待ち焦がれた新型ノイキャンヘッドホン

 かつては圧倒的なノイキャン性能で業界に君臨していたBOSE。しかし最近はWH-1000XM3でSONYが天下のBOSE様のQC35Ⅱのノイキャン性能をついに追い抜いたという評価が一般的。去年(2018年)のクリスマス商戦前にはBOSE党陣営には悲壮感すら漂い、「クリスマスにはQC45が出るはず!なんでリリース来ないんだ!」という渇望の声に対して、実際のBOSEの施策は製品の価格調整のみの対応で新商品なしというややさみしい展開に。その後、SONYはWF-1000XM3で完全ワイヤレスイヤホン市場に本格ノイキャン時代を招来し、いまやヘッドホン・完全ワイヤレスイヤホンなどで業界の覇者となりつつあります。

 去年までは、ノイキャンあたりにこだわりすぎてむしろ他がおろそかになった失敗作WF-1000Xでブランドイメージに瑕疵がついてしまったSONYを尻目に、アウトレットモールなどでも積極的に攻勢を掛けてBOSE SoundSport Freeが売れまくるという状況でしたが、1年で業界の視界は変わり、BOSEはなんとなく鳴かず飛ばずな雰囲気に。完全ワイヤレスイヤホンでは来年出るノイキャン機種の情報だけ流して、WF-1000XM3のあまりの売れっぷりに動揺するBOSE党をなだめつつ、ようやく主戦場のノイキャンヘッドホンでSONY WF-1000XM3キラーを投入してきました。

 そう、それこそが「BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700(NCH700)」。これまでのQuietシリーズとは一線を画した名前を付けてきたあたり、天下を取り返す意気込みを感じます。これは期待しないほうがおかしいよね!

 

 先日台湾旅行に行った際、桃園空港でこのNCH700がWH-1000XM3といっしょに試せたんで、最近改めてノイキャンにはまっている私は早速テスト。「デザインもかっこいし、装着感も良くて、これはBOSE本気だな」としみじみ実感しました。何よりノイキャンがXM3のわずかにツンとくる感じがなく、非常にナチュラルでしかも性能的に同等っていうね。帰国後早速買いました。

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「デザインと装着感は良いが、通信品質は心許ない」

おすすめ度*1

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

ASIN

B07RSCM9ZZ

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 20h/-
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
 防水性能

なし

 音質傾向

デジタル、厚みのある音、輪郭パリパリ、透明感あり、見通しが良い、クリアな低域、DTM的な高解像度サウンド

 第一報でこのヘッドホンのデザイン見たときは、「装着感あんまり良くなさそう。ヘッドバンドもすぐ折れそう」って印象を持ったんですけど、実際試してみるとむしろ装着感は素晴らしく、ヘッドバンドが想像以上に伸びます。見た目で硬い質感を想像していると、案に相違してかなり柔軟なので、びびるくらい。

 たとえば低価格中華のDJヘッドホンOneOdio Studio Pro PRO-002にこのヘッドホンを被せてみると、下の写真のように普通に覆うことができます。かなり頭の大きい人でも違和感なく装着でき、しっかりノイズキャンセリングを体感することができます。まあこの予想以上の柔軟性に私は感激しました。さすがBOSEだね!

 この柔軟なヘッドバンドと優しいイヤーマフのおかげで長時間着用していても全く負担感がありません。またさらっとした材質のイヤーマフは肌触りも良く、通気性も一定程度あるので、比較的蒸れません。真夏日はさすがにじっとり汗が付きますが、それでも耳に当たる感触はさらっとしています。

 

f:id:kanbun:20190915065303j:plain

 

 対応コーデックはAAC/SBCのみ。個体差の可能性もあり、私の手に入れた個体がたまたま通信品質が弱いか相性が出ている可能性もありますが、残念ながら通信品質は満足できませんでした。完全ワイヤレスイヤホンのSONY WF-1000XM3以下です。手持ちのDAPにつないで秋葉原でロケテストしたんですけど、そもそも秋葉原でなくても腰ポケットからDAPを出し入れしただけで普通に途切れます。それほど人のいない駅構内でもプチプチします。秋葉原の路上でも結構プチプチ。通信の多い電器店の店舗内でもプチプチ。とにかく途切れる場面が結構多くて、これはかなりがっかりでした。

 私の場合、音楽目的というより単純にノイキャン目的で使っているところもあるんで、まあプチプチしてもいいかなと思いますけど、普通にワイヤレスヘッドホンとしての通信性能は高く評価できません。しかし、BOSE製品はiPhoneに対しては通信品質が高いと評判なので、Appleユーザーの人は通信品質の不安定感を感じることはないかも知れません。私はAppleユーザーじゃないので、わかりません。

 通信品質の点はむしろ安い中華のノイキャンヘッドホンOneAudio A9なんかのほうが率直に言って安定度が高いです。

 

テスト環境

 今回のテストはHiby R6 ProONKYO GRANBEATで行っています。

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【2】外観・インターフェース・付属品「妙に洗練されたインターフェース」

 付属品は充電ケーブル(Type-C)、キャリイングケース、AUXケーブル、説明書。インターフェースは側面に電源やノイキャンを操作する物理インターフェースがあり、曲操作などはヘッドホン部分の表面のタッチインターフェースで行います。このあたりの洗練された使い心地は人によって好ましいと思うでしょう。

 

 一方で、私は個人的にはノイキャンだけを使いたい派なので、ノイキャンだけONにするのに面倒な手間が必要なこの機種のインターフェースデザインが若干煩わしく、ノイキャンだけを使いたい場合はまず電源を入れて、そのあとBluetoothをOFFにする作業を伴います。この点もたとえば低価格中華のノイキャンヘッドホンOneAudio A9やMeloAudio Urban TravellerはノイキャンだけスイッチONにできます。装着感とかデザインでは劣りますが、ノイキャンの手軽さでは中華の格安ヘッドホンが勝るというのが私の評価です。

 

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

 

【3】音質「低域を強調しない、フラットで見通しの良いデジタル系サウンド」

 音質は中高域が一番きれいに聞こえる、厚みと透明感のある音で、輪郭は少しパリッと強調して出るのでデジタル的な感触ですが、解像度感は高いです。以前のBOSEと違って低域は厚みを出しつつも抑制的でむしろ深みを強調するようになっており、深掘り感に優れた奥行きと広さを感じさせるワイドな音響になっています。

 高域は上品に閉じていて、開放感を出しつつ、マイルドにロールオフしていき、中域は広さと奥行き感があって、音の広がりも良く、ゆったりとしています。低域は中低域の厚みもしっかり出しますが、強調は強くなく、厚みはありますが音の弾力が良くスピード感があり、むしろ沈みの良さを感じさせ、深掘り感が感じられます。はっきり言って、これまでのBOSEのワイヤレスヘッドホンの中で最高にバランスが良く、音場表現も優れたものになりました。それでいて、音のデジタルで独特の張りと厚みがある感じはいつものBOSEで、ユーザーの期待を裏切りません。ここまでの音質を実現したなら、aptXHDなどの上位コーデックに対応しなかったのは、かなり残念ではありますけど。


美点
  1. 開放的で見通しが良いが、厚みもしっかりあって少し暖かく聞き心地の良い中域
  2. 高域は丁寧に調整されていて、中域の明るさと色彩感を大事にしつつ、マイルドに閉じている
  3. 輪郭もしっかりしており、ややデジタル的に解像感をしっかり出す
  4. 低域は量感的にわずかな強調が加えられているが、しつこく膨らむこともなく、厚みがありながら、重低音までよく沈む
欠点
  1. 相変わらずBOSEっぽいデジタル系サウンドでコンピュータ的な音響
  2. 高域のディテールは抑えめ
  3. 基本的に渋みのないツルツルした音

 

[高音]:高域はどちらかというと中高域の引き立て役で、中高域に比べてディテールが強調されず、マイルドに抜けていく感じになっている。充分に明るいが、高域で派手さを強調する感じはない。基本的に適度な開放感を出しつつ、中域から気を散らさないよう配慮されている。そのためシンバルのクラッシュなどは見た目の明るさの割に意外と地味に感じるかも知れない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は中高域でつややかさを充分に味わわせてくれる。ギターのエッジやピアノの表面に潤いのある光沢感が感じられ、ボーカルもやや明るめに伸びる。中域でも厚みは一定程度あり、しかもクリーンで見通し感も良く、奥行きが充分に感じられる。

[低音]:100hz~30hzまで輪郭に明瞭感がある振動。20hzでもわずかに振動感が残る。低域は中低域で一定の厚みを出しつつ、重低音の方が広く、クリアに沈む見通しの良い感覚がある。量感的には少し強調が加えられているが、中域に浸食する感じはない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中高域が最もよく聞こえ、次に低域、高域といった力関係になる。音場は幅もあって広いが、どちらかというとより奥行き感に優れた立体感を持っている(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムはわずかにバスドラの広がりと重みが優位に聞こえる。タムは少し粘り腰でバスドラの熱気と黒みが少しドライに色づけする。バズンバズンという音。ハイハットは少し白味を出し、シンシンとした音(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは少し明るく質感的にもややツルッとしているが、充分に濃く、太さも感じられる。吐息に熱気もある。女声ボーカルは甘味よりは中高域のツヤが少し強めで明るく伸びる。とはいえ中域での太さも充分にあり、自然な膨らみがある。

 

【4】官能性「DTM的に音楽を楽しみたい人向け」

安月名莉子「Glow at the Velocity of Light」

【Hiby R6 Proで鑑賞】こういうデジタル系ポップスには強い印象。音の輪郭をはっきりパリッと出しつつ、ツヤと厚みのある感じで聴かせてくれる。低域も深みも充分で立体感もしっかりと感じさせてくれる。ボーカルも輪郭がはっきりと楽器との分離感を出しつつ、みずみずしいつやっぽさを出す。やや質感がデジタル的で人工的だが、それが近未来的な音響を感じさせてくれ、この曲とは相性が良い。

 どうでもいいけど、今回のMVはSiaっぽい感じで攻めてて楽しいね。

 


TVアニメ 「 彼方のアストラ 」 エンディングテーマ 「 Glow at the Velocity of Light 」

 

Gilead「Die Nacht」

【Hiby R6 Proで鑑賞】質感的にはかなりパリパリツルツルしてデジタル的な音響に寄るけど、見通し感は良く、低域に厚みがあるので重厚感も充分。楽器音がデジタル的になり、質感がパリパリしているのが人工的で好みを分けそうだが、解像度感は高め。

 

 

Madeon「You're On ft. Kyan」

【Hiby R6 Proで鑑賞】こういうデジタルなEDMは非常に得意で、奥行き感を丁寧に出しながら楽しませてくれる。低域に厚みがあって足場も充分だし、その低域も量感は結構あるのに深みまで透明に沈んでいく音色で臭みがないから、きれいに楽しめる。奥行き感があるので没入感も高く、気持ち良く楽しめる。

 


Adventure (Deluxe)

 

La Nef「Le Chateau du Graal (The Castle of the Grail)」


 【Hiby R6 Proで鑑賞】透明感のある音の中にもほどよく厚みがあるので、デジタルで少し人工的な音にも関わらず、意外とこの曲で暖かみを感じさせてくれ、ややツルッとしているものの、きれいに聴かせてくれる。DTM的な音質ではあるものの、解像度は高く、静寂感も丁寧に表現されている。

 


V 2: PERCEVAL-LA QUETE DU GRAAL (THE QUEST FOR THE GRAIL)

 

【5】総評「完成度は高いが、それに比して通信品質がやや見劣りする」

 デザインはよく、装着感も非常に満足でき、ノイキャン性能は現状最高クラスであり、DTM的ながら解像度も高い音質を持っています。ほとんど欠点のない機種ですが、通信品質だけは個人的に満足できる感じではなかったのだけが非常に惜しいところ。またここまで高価な機種で、ここまでの音質を実現しているなら高音質コーデックに対応して欲しかったというのが素直な感想です。

 

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700

BOSE NOISE CANCELLING HEADPHONES 700 ワイヤレスノイズキャンセリングヘッドホン Amazon Alexa搭載 トリプルブラック

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン TOoKA BASE BASE01 試聴レビュー】NT01Bの限定モデル。音質はNT01AXより低域が薄く、少しスッキリしてるが、HDSSの独特の自然な立体感がある。まあ音はそのまんまNT01Bでした。

TOoKA BASE BASE01

TOoKA BASE BASE01

TOoKA BASE TRUE WIRELESS STEREO EARPHONES [NT01 TOoKA BASE 01]

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良好」

おすすめ度*1

TOoKA BASE BASE01

ASIN

amazon登録なし

スペック・評価
連続再生時間/最大再生時間 5h/17h
Bluetoothバージョン 5.0
対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
防水性能

IPX4

音質傾向

フラット、自然な輪郭感、広がりがよい、マイルド

 ぶらぶら完全ワイヤレスコーナーの棚を覗いていたら見つけたこれ。「おおっ、HDSS搭載だって?」と思わず釘付け。早速試聴させてもらいました。しかしケースの裏面見ると「MTI」の文字が。「あれ、これNUARLとおんなじとこじゃん」と思って、メモっておいて、家に帰って調べたらNT01Bの限定モデルなんだって。ただ、NT01Bのレビューは書いてなかったから、この機会に書いておこうと思い、この記事を起筆しました。しばしお付き合い下さいませ。

 

 装着感はNUARL NT01AXと全くと言って良いほど変わらない。遮音性そこそこ。

 

 

 対応コーデックはAAC/SBC。

 やはりQCC3026を搭載しているNT01AXに比べると通信安定性は一段劣る。SBC接続時は比較的安定しているが、AAC接続時は途切れないものの、時々片方の音が遠のく感じがあり、音楽再生は安定しないと感じるかも知れない。

 

テスト環境

 今回のテストはAAC接続をCayin N6IIで、SBC接続をONKYO GRANBEATで行っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「操作音がビンビンしません」

 試聴レビューなので付属品の詳細は割愛。

 操作インターフェースは物理ボタン式。NUARL NTシリーズと違って、操作音がビンビンうるさくないのが改善点かな。基本は同じ。

 

TOoKA BASE BASE01TOoKA BASE BASE01

 

【3】音質「低域が薄味になった優しいNT01AX」

 前述の通り、音質はおそらくNT01Bと一緒です。低域の濃さと厚みが減ったNT01AXといった感じの音で、コントラスト感や重厚感が減った代わりに、少し中域以上で見通しが良くなかった感触があります。そういう意味ではNT01AXよりライトで現代的な明るいサウンドキャラクターです。

 

 

美点
  1. 見通しが良い中域
  2. 輪郭を強調しない自然な厚みと広がりのある音
  3. 丁寧な奥行き感
  4. 厚みを感じさせつつもさっぱりした低域
  5. フラットで万能
欠点
  1. 低域が時々力不足に感じる
  2. 輪郭が強くないため、ディテールで解像度を感じる人にはやや物足りない

 

[高音]:高域は基本的にNT01AXと似ている。印象的にほとんど差が無く、すらっと自然に伸びていく高域を感じることができるが、低域が薄味な分だけ、コントラストが抑えめで、さらに少し前に出てくる印象があり、スッキリ感が強くなっている(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域はBT01AXより低域がすっきりしている分だけ、見通しは若干優れていると言える。NT01AXのちょっと濃厚な感じがないけど、音の輪郭を強調せずに自然に聴かせるHDSSらしさは残っていて、少し明るめに音がすーっと広がっていく感覚がある。

[低音]:100hz~40hzまで厚みはあるがやや淡い振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。全体的なキャラクターはNT01AXに似てるけど、こちらは厚みが抑えめで音に重みが少し足りない感じがある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:開放的で広がりも良いので圧迫感を感じないが、音は意外と近め。ただ奥行き感もあるため、感覚的には音場を狭く感じない。NT01AXよりは明るく上向きで若干軽妙な音場になっている(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:タムが強め。明るめのパツンパツン。バスドラキックの色味がNT01AXより薄味になっているので、ロックやJAZZは個人的にはNT01AXのほうが味わい深いと思う。浮き上がり通い分見通しはよくなっているかもしれないが、深さで物足りない。ハイハットはチリチリ観を少し出しつつ、シンシンとした白味もほどよく感じさせる、自然でバランスの良い味付け(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルはやや明るめだがナチュラル。女声ボーカルはNT01AX同様、甘味と伸びのバランスが良く、ナチュラルな艶やかさを感じさせてくれる。

 

【4】官能性「ボーカルフォーカスが良い。ポップス向き」

Snail's House「Galactic Whisper」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】低域はNT01AXより明るめで、厚みでは負けるが、浮き上がりは良く、より中域が明るい。好みにもよるが、見通し重視ならこちらのほうが少し優れて聞こえるだろう。NT01AX同様、輪郭を強調しないのに音がはっきり聞こえる色づきの良いナチュラルサウンドで聞き疲れしない。ピアノの音がじんじんと心に響き、ギター音も立体的で楽しく、美しい。奥行き感も良好。

 


エイリアン☆ポップ III

 

ORESAMA「ワンダードライブ」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ボーカルがナチュラルで輪郭は強調されないのに自然な色合いで活き活きとしっかり聞こえる。中域の見通しも良く、奥行きも良好。NT01AXより低域の色味が強くない分、少しすっきりと楽しめる。

 


Hi-Fi POPS(初回限定盤)(Blu-ray Disc付)

 

安月名莉子「Glow at the Velocity of Light」

【Cayin N6IIで鑑賞】この曲では透明感がしっかり感じられ、奥行き感も出るので圧巻。音の輪郭が強調されないので、音数が多く迫力のあるそれぞれの音の繋がりは一体的。それでいて定位はしっかりしている。混濁感は全くない。タムやスネアの色づきがよく、パリパリした感触がきれいに反響して聞こえるあたりは、HDSSならではって観がある。

 


TVアニメ 「 彼方のアストラ 」 エンディングテーマ 「 Glow at the Velocity of Light 」

 

Faun「MacBeth」


 【Cayin N6IIで鑑賞】NT01AX同様、弦楽系楽器の表現が素晴らしく、ギターの色づきにリアリズムがある。輪郭を強調しないので、ハイファイ感のあるこの曲で充分な解像度が感じられつつ、音にデジタルな感触がなく、自然な存在感がある。ハイファイ系だけどアナログ楽器を使っているような曲もそつなく味わえるのが良い。

 


MIDGARD

 

【5】総評「こだわりがなければNT01Bを買いましょう」

 音質や使い勝手はほぼNT01Bと同じです。ちょっと割高なので、とくにデザインにこだわりがなければ、NT01Bを買えば良いと思います。

 

TOoKA BASE BASE01

TOoKA BASE BASE01

TOoKA BASE TRUE WIRELESS STEREO EARPHONES [NT01 TOoKA BASE 01]

 

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【ワイヤレスイヤホン Hiyoo W8 レビュー】妙にブヨブヨした独特のブーミーな低域が好き嫌いを分けそう。ボーカルフォーカスをよく実現している音響設計は好意的に捉えられる。

Hiyoo W8

Hiyoo W8

【令和進化版 最大20時間連続再生】Bluetooth イヤホン スポーツ ワイヤレス イヤホン IPX7防水 マグネット搭載 Hi-Fi高音質 最新bluetooth 5.0+EDR搭載 AAC対応 CVC8.0ノイズキャンセリング ブルートゥース イヤホン マイク付き ハンズフリー通話 自動ペアリング 音量調節 二台接続可能 Siri対応 PSE&技適認証済 iPhone/ipad/Android対応

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は悪くない。2台までマルチポイント対応」

おすすめ度*1

Hiyoo W8

ASIN

B07VR7ZBBQ

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 20h/-
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック SBC
 防水性能

IPX7

 音質傾向

ブーミーな低域、ボーカルフォーカスが良い、中域充実、音が太め

 ネックバンド式。ハウジングは小型で耳に良く収まり、装着感は悪くない。遮音性そこそこ。

 

 対応コーデックはSBCのみ。2台までのマルチポイントに対応し、切り替えながら使用可能。通信品質はそこそこ安定している。マルチポイント使用時はやや途切れを感じる。なおONKYO GRANBEATとは相性が最悪で、高域が露骨にカットされ、篭もった感じになり、遅延も酷くなる。

 

テスト環境

 今回のテストは既述のとおりGRANBEATが役に立たないので、Hiby R6 Pro単独で行っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「連続再生時間はなかなか良い」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、説明書。

 

 この機種の特徴としては操作インターフェースが左側にある。普通右にあるのが一般的なのでその点は斬新。

 

Hiyoo W8Hiyoo W8

 

【3】音質「独特の手応えの柔らかいブーミーな低域表現が好みを分ける。ローファイ志向」

 最近はあまり見ないブーミーさを重視した低域を持つ。しかし、その低域は、おそらく中域以上を支配しすぎないように適度に音圧を抑え、色味も抑制的な調整が加えられており、厚みの割に色味を強く色づける感じがなく、手応えも柔らかで、ブヨブヨというかポコポコというか、目立ちすぎない調整が加えている。

 個人的にはロックではちょっと黒みが足りなく、バスドラがだいぶボンボンした柔らかすぎる感じで出るのが、素直に好みではない。一方でEDMを聞いてみると、低域の広がりがほどよく、ウーファー感があるのに、色味は抑えめで中高域以上にあまり影響がないため、かなり良質に聞こえる。結構な量感がある割に音場をウォームにする感じがないのは素直な美点。締まりは全くないので、タイト系の音が好きな人には微妙なんじゃないかな。スピード感は案外悪くないけど。

 中域はボーカルフォーカスがしっかりしていて、ボーカル以上の音は抑制的。ボーカル周りの色味はやや濃いめで、薄めの低域より相対的にはっきり聞こえてくるので、バランスは取られている。音の輪郭はゆるめで全体として調和的な音場表現を持っているかな。低域はブーミーだし音が太いので、密度感重視で風通しは良くない気がするけど、圧迫感はあまりない。全体像としてはちょっと低域が太く鳴るヘッドホン的な音響を目指している雰囲気がある。そういう意味では面白い。

 人によっては露骨に篭もっているとかボーッとしているとか、ヴェ-ルが2枚も3枚もかかってるとか言いそうな機種なんで、ハイファイ至上主義的な傾向のある今の時流には乗れなそうな音だけど。個人的にはジャンルを選べば、むしろ好き。


美点
  1. ブーミーなのに色味に対しては比較的中立な低域
  2. ボーカルフォーカスは丁寧で、色味も充分に濃い
  3. 音が太く、充実感があり、マイルド
  4. ヘッドホンで聞いているかのような鳴らし方
欠点
  1. 高域は閉じていて、素直に暗い
  2. メリハリは緩く、奥行き感に欠ける
  3. 曲のジャンルや好みによってはただただブーミーなだけになる、はっきりしないのに存在感だけはある、現実感のない低域が不快になりやすい

 

[高音]:ぶっちゃけると高域はほとんどない。ロールオフは早く、高さを強調する感じがなく、明るさや清潔感に強調はない。中域の濃さをひたすら意識している(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域はど直球で真ん中あたりを強調しており、ほとんど単純にボーカルフォーカスされている。中域と高域だけ見れば、完全なるかまぼこ。ボーカルは濃いが、周りの楽器音はそれより薄味で、ボーカルライン以外のメロディーは抑揚もあまりなく、もっさりしている。ボーカルフォーカスが強いのでポップスが楽しめるかと思いきや、聴いても案外つまらない。むしろ普段ドンシャリで聞いていることが多い、EDMのほうが個人的には楽しい。

[低音]:100hz~40hzまで厚みのあるかなり太い振動。30hzで沈み、20hzでほぼ無音。厚み重視のブーミーな音だが、色味は薄く、音圧も抑えめ。そのため、存在感の割に中域以上を暖めない。ブーミーだがゆったりした感じではなく、単純に膜を張っている感覚があり、スピード感は速いほうでもないが悪くない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:かまぼこっぽい中域を厚みのあるブーミーな低域が支えている、少し下ぶくれな音空間を持っている。中域以上では奥行き感は抑制的で平面的な音に感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは一言で言うと柔らかブーミー系。タムはゆるめでもっさりしており、バスドラムはキックがボンボンしている。ボスンボスンといった感じ。個人的にはもっと黒みと重みがないとロックを感じない。ハイハットもゆるい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルはほどよく温かめで生々しく、女声ボーカルもふくとか系。ボーカルはどちらも充分に濃く、フォーカスは良い。

 

【4】官能性「こういう音でEDMを聴くのは好き」

Snail's House「Cinnamon」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ブーミーで量感が非常に良いのに、音圧は濃さは控えめで、透明感のある低域が素直に心地よい。フロアを強調する感じでもないので、感覚的にはちょっと非現実的にも思える。中域も音が太くて充実感があるが、圧迫感なく聴けるマイルドサウンドになっている。不思議とずっと聴いていられる魅力がある。個人的にはすっごく好きだけど、これは好き嫌いありそうで、おすすめとも言いづらい。機会があれば聴いてみてほしいことは確か。

 


Love Magic

 

Matt Bianco「Sunshine Day」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ラテンダンス曲。このイヤホンで聴くと床面のリズムが面白く、ウーファー感がかなり感じられるのに色味はかなり透明というね。そのおかげで中域以上がかなり開けているんだけど、その中域以上は基本的にかまぼこだから、音も厚みがあって熱気が感じられる。自然なウォーム感があり、低域は支配的でも濃くもないのに床面をきれいに感じさせてくれるのがやはり秀逸。

 


WORLD GO ROUND

 

Rasmus Faber「雨 feat. 中島愛」

【Hiby R6 Proで鑑賞】この曲でもブーミーなのに透明な低域が妙に新鮮で、個人的には惹きつけられる。中域以上は少し厚みを出して濃厚に聴かせてくるが、低域の透明感のせいか、太い音なのに圧迫感はほとんどない。ボーカルは厚みがあって、吐息重視のセクシーさを押しだした声色になっており、これもまたなかなか好み。中島愛はアイドルっぽい声のはずなのに、アイドルっぽさがあまりなく、成熟した情緒を感じさせてくれる。

 


ウィ・ラフ・ウィ・ダンス・ウィ・クライ 【CD+DVD】【初回限定】

 

ナナヲアカリ「オトナのピーターパン」

【Hiby R6 Proで鑑賞】この曲大好きなんだけど、このイヤホンで聴くと透明な低域のブーミーさが心地よくて、妙にボーカルフォーカスしてかまぼこっぽい中域の、気怠い感じが意外にマッチしているっていうね。普段もっとはっきりさせた感じで聴いてたけど、この透明でだるい感じ、これはいいなぁ。おすすめしないけど、個人的にはすごく楽しい。まあこういう曲を気怠く聴くのが好きってあたりに、自分がいかにコミュ障で根暗かってことを知るっていうね。笑える。

 


しあわせシンドローム(初回生産限定盤)(DVD付)(特典なし)

 

【5】総評「通信に相性問題もあるみたいだし、おすすめはしません。個人的には気に入ったけど、おすすめしません。おすすめしませんよー、これは!」

 傾向としては明らかにローファイな音なんで、流行には逆行してるかな。まあ迂闊に「この音イイよね」なんて言ったら馬鹿にされそうなくらい、感心しないボロクソな音です。しかし、個人的にはハマったね。通信安定性もつなげる相手によっては優れているとは言えないし、万能系の音じゃなくて、明らかにマニアっぽい音なんで、とてもおすすめできません。でも、これ面白いなぁ。そして、この音が好きな人は絶対いるね。この変な音が好きな人と語り合ってみたいね。これで何聴いてんの?みたいなね。

 個人的には楽しいけど、音の評価は低いんで、「おすすめ度」は低めです。

 

Hiyoo W8

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン MEE Audio X10 試聴レビュー】音質の評判は比較的高い機種だが、なるほどすっきり見通しが良く、価格帯では良好なクリア感を持っている。おすすめ

MEE Audio X10

MEE Audio X10

MEE audio X10 トゥルーリーワイヤレスインイヤーヘッドホン 人間工学設計 IPX5耐汗 4.5時間バッテリー寿命 (23時間コンパクト充電ケース付き) (ブルー) ブルー EP-X10-BL

 

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は良いです」

おすすめ度*1

MEE Audio X10

ASIN

B07R54MYJS

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 4.5h/23h
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
 防水性能

IPX5

 音質傾向

ワイドレンジなドンシャリ、中高域が鮮明、見通し良し、すっきりクリア、歯切れが良い

 カスタムIEMっぽい凹凸が設けられていて、装着感は悪くないです。ただ海外amazonのカスタマーレビューなんかを読むと、スポーツなどで使えるほど安定感はなく、遮音性も人によってはそれほど高く思えない可能性があります。個人的には遮音性そこそこで充分です。

 

 対応コーデックはAAC/SBC。比較的通信混雑している店舗と通信混雑の少ない店舗、合計2店舗で通信品質をテストしましたけど、その範囲ではAAC・SBCともに特に不安定な印象は受けませんでした。amazonのカスタマーレビューでは遅延が大きいと指摘されていましたけど、手持ちの動画を試した感じはそんな目立つ感じではなかったです。ただネット動画は試してないのでわかりません。音楽では遅延は感じられません。

 

テスト環境

 今回のテストはAAC接続をHiby R6 Proで、SBC接続をONKYO GRANBEATで行っています。

www.ear-phone-review.com

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【2】外観・インターフェース・付属品「スペックは平凡」

 付属品はイヤーピースの替え、充電用ケーブル(USB Type-C)、専用充電ケース、説明書。試聴レビューなので付属品は不正確かも知れない。

 

 2019年9月現在の段階では率直に言って、少々物足りないスペックです。

 

 

MEE Audio X10MEE Audio X10

 

【3】音質「1万円以下の機種の中では、見通し感重視でハイファイ感の優れた製品」

 日本ではほとんど埋没している機種ですが、この機種の音質に関する評価は海外では案外高めです。それで興味を持ったんですけど、実際、すっきり見通しが良くボーカルフォーカスも丁寧にされている印象で、低域もクリアに重低感を出すので、ワイドレンジに音が緩急を付けてくっきり聞こえるように調整されています。中域ではほどよく厚みもあって、音が涸れる感じもなく、高域もかなり繊細でモニターライクです。


美点
  1. ボーカルフォーカスが効いている
  2. なかなか詳細な高域
  3. 見通しの良さとほどよい厚みを兼ね備えた透明感のある中域
  4. 重低音まで見通せるクリアな低域
  5. 音圧と濃さもほどよくあって、メリハリが利いている
  6. 見通し感が良いため、奥行きと左右はほどよく広く、音場観に優れる
欠点
  1. 音質はややデジタル寄り
  2. 低域に厚みがない

 

[高音]:明るく繊細さもあり、ディテール感は充分。シンバルの粒立ちも良く、シャリシャリときれいに刻みが聞こえ、白味もかなり感じられる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中高域にパリパリとした感触があり、ボーカルに明るい透明感がある。ボーカルフォーカスも良い。中域下方にはややクリーンな空間があるが、音に薄い感じはないのでスカスカした印象は受けない。見通し感が良く、奥行き感も良好。また音圧と濃さも適度にあって、キレも良い。

[低音]:100hz~30hzまでビーッという輪郭のしっかりした振動。20hzでも振動感が残る。低域は沈み込みもよく、クリアに重低感が出る。スピード感も良好。深いところで少し広がりを感じ、地熱感がわずかに出て、温かみが少しある(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中高域が一番良く聞こえ、ボーカルが前面に出てくる。重低音の沈み込みは良く感じることができるため、床面の深掘り感も高め。音の濃さも良く、発色が鮮やかなので、コントラストも良い。全体像としてはドンシャリ(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:タムの張りが良く、パリパリとした手応えがしっかりとあり、弾みも良く、爆発力を感じる。バスドラはやや深めにキックし、黒みがある。やや重厚なバツンバツン。ハイハットは白味もあり刻みも良く、黒いドラムとのコントラストが利いていて、くっきりとした存在感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは少し明るいが自然。薄い感じはなく、充分に濃く、一定の膨らみもあって生々しい。女声ボーカルは中域で甘味を出すが、基本的にはすらっと伸びる端正なキャラクターを感じるだろう。息感の強調はなく、滑らかである。

 

【4】官能性「クリアで見通し感が良く、ボーカルフォーカスも適切で明るめのサウンド」

Afterglow「Hey day狂騒曲」

【Hiby R6 Proで鑑賞】ベースラインがクリアに見え、黒さがある。シンバルはやや明るく粒立ちよくはっきりとシャリシャリと、ベースに対して良好なコントラストをなす。中域下にクリーンな空間があるため、ギターラインの浮かび上がりがよく、ベースラインとの分離は明確で二元論的なロックサウンドが丁寧に表現されている。ギターには縦軸の伸びもあり、刻みも良く、立体感を出す。高域方向の開放感も適切で、ボーカルは熱気を感じさせるほどの濃さを持ちつつも、滞留する感じはなく、適度に風通し良く上にすっきり開放されていく。息感に強調はほとんどないので、質感は艶やかで滑らかさがある。

 


Hey-day狂騒曲(カプリチオ)

 

鈴木さえ子/TOMISIRO「A.D.2067」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】金管は中域で少し太さを出しながら、艶やかに伸びる。質感は少しツルツルしていて、ツヤが多め。この金管の奥行きの表現が良く、中域の奥から高域に向かうにつれ、前面に伸びてくる立体感が感じられる。中域下のクリアな空間は低域をよく分離しつつも、孤立させることなく音がつながっている感覚は維持されている。どちらかといえばモニター的に透明感と分離感を重視しつつ、適度な太さとマイルド感、わずかにウォームな色味があり、リスニングの快適性もよく担保されていると言えるだろう。

 


TVアニメーション「マクロスΔ」 オリジナルサウンドトラック1

 

ヨルシカ「神様のダンス」

【Hiby R6 Proで鑑賞】シンバルにツッツッという手がかりがしっかり出て、きれいにリズムを感じられる。タムも明るい張りがあり、軽快ながら、少し膨らみと弾みもあって、幅のある生の躍動感を出すことを忘れていない。ボーカルの分離が良く、やや明るめで伸びが良いながらも甘味もある。ピアノは少し明るくJAZZ味を出して少し浮かれながらも、厚みを出して充実させることにも気を配っている。バランス的には中域が少し浮き上がって陽気に聞こえてくる、風通しの良い表現になっている。

 


エルマ(初回限定盤)

 

池田綾子「花びら」


 【Hiby R6 Proで鑑賞】中域に透明感があり、ボーカルはちょっと明るめに上向きに伸びるが、甘味も出ていて、つやっとしたたるジューシーさもある。ややハイファイ感のある明るめの音場は厚みよりは見通し重視で、スネアのパリッとした音がよく浮き上がり、ピアノは厚みを少し抑えて明るく鮮やかに色づく。やや明度高めで濃厚感は控えめであるが、コントラストの良い表現は色づきが鮮やかで鮮度の高い音に感じる。

 


Lunar soup

 

【5】総評「音質は評判通り解像度感がある音でおすすめできる。ただ個人的にスペックは物足りない」

 1万円以内なら音質ではかなり上位のおすすめ機種です。上質な透明感のあるサウンドは見通しよく、しかも自然な聞き心地で楽しめるほどの充実感もあり、丁寧な調整が感じられます。そんな良質な音質を持っているこの機種が埋没している理由は、やはりスペックが平凡でとくに見るべき機能性もないところでしょう。見た目の派手さが全くなく、おそらく店頭でもほとんどオススメもされず、試聴もされていないと思われます。まあ、気になった人は是非店頭試聴で聴いてみて下さい。1万円以下にしては結構いい音ですよ、この機種。

 

MEE Audio X10

MEE Audio X10

MEE audio X10 トゥルーリーワイヤレスインイヤーヘッドホン 人間工学設計 IPX5耐汗 4.5時間バッテリー寿命 (23時間コンパクト充電ケース付き) (ブルー) ブルー EP-X10-BL

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【ワイヤレスイヤホン UENO Q30 レビュー】ウォームでやや幅広な低域が支える安定感のあるマイルドサウンド。ロックやポップス、ダンス向き。2台までのマルチポイント対応

UENO Q30

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Bluetooth イヤホン-ランニング-スポーツ-ワイヤレス-HIFI重低音 CSR+CVC8.0ノイズキャンセリング搭載 マグネット搭載 マイク内蔵 10時間連続再生 ネックバンド型 片耳 両耳 2台接続可能 iPhone/iPad/Android適用 ブラック

 

 

【1】装着感/遮音性/通信品質「装着感は軽く、安定感もある。通信品質は不安」

おすすめ度*1

UENO Q30

ASIN

B07TX9CP7F

スペック・評価
 連続再生時間/最大再生時間 10h/-
 Bluetoothバージョン 5.0
 対応ワイヤレスコーデック AAC/SBC
 防水性能

IPX6

 音質傾向

低域やや強調、ややウォーム、マイルド、おたふく型

 ネックバンド式。比較的高級感のあるネックバンドは軽量で負担感はない。ハウジングは小型で耳に良く収まる。遮音性そこそこ。

 

 対応コーデックはAAC/SBC。2台までのマルチポイントに対応し、切り替えながら使用可能。通信品質はそこそこ安定しており、遅延はあまりない。ただAACにせよSBCにせよ、時々派手にプチプチする場面がある。とくにマルチポイントを使っていると途切れが多くなる。

 

テスト環境

 今回のテストはAAC接続をCayin N6IIで、SBC接続をONKYO GRANBEATで行っている。

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【2】外観・インターフェース・付属品「標準的な構成」

 付属品はイヤーピースの替え、充電ケーブル(Micro-B)、説明書。

 

UENO Q30UENO Q30

 

【3】音質「音圧ほどほど、輪郭ほどほど、光沢感ほどほど、解像度ほどほど、明るさほどほど、ややウォームでマイルドという、聞き心地のよい音が魅力」

 音質はやや低域が濃く、厚みを出す感じで、イメージ的にはおたふく面のような、やや下ぶくれするふっくらした音になる。音の輪郭はそれほど強調される。音場は低域によって暖められており、ちょっと熱っぽいくらい。ボーカルはやや太めで甘味と厚みがある。高域ではシンバルの下のチリチリしたあたりに強調が出て、少しシャリシャリシャープな手がかりがあるが、上で空気感は強調されず、穏やかな下方向に落ち着く音を持っている。ギターもやや音が太く、重心が低め。

 ややゆったりした安定感のある音で、全体的に少しだけ音が前屈みに、頭を包み込んでくる。横幅は低域の広がりから床面の張り出しもあってやや広に感じられるが、奥行き感はそれほどない。


美点
  1. 温かみのある聞き心地の良いサウンド
  2. ボーカルには生々しい温かみがあり、やや甘味が強く、少し滞留し、コクがある
  3. ギターやベース、バスドラなど音は全体的にやや太い
  4. 輪郭は強調されず、音場に一体感がある
欠点
  1. 高域は閉じられていて、あまりディテールを感じない
  2. 低域が中域に近く、若干浸食しやすい

 

[高音]:高域はマイルドカーブで閉じていく感じがあり、天頂は高くない。どちらかといえば中域を濃くし、低域の暖色感を閉じ込める働きをしており、高域それ自体のディテールは強調されず、比較的早くロールオフする(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は真ん中に充実感があり、女声ボーカルは甘味が強く、ギターサウンドやピアノも厚みを強調するサウンドになる。個々の音の輪郭感に強調はないので、マイルドポップス向きのふくよかな表情を持っている。

[低音]:100hz~30hzまで厚みと黒みのある振動。20hzでほぼ無音。低音は濃く、厚みもはっきり出てウォーム。横にやや広く、前面に出てきてライブ感のある床面を形成する。スピード感は良好で早足のロックでも低域に遅れる感じはない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域が前面に出てきて床面を作り、その上にボーカルを中心としたふくよかな中域が載り、高域はおとなしめのやや下ぶくれな三角形になる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは胴鳴りしている感じがあり、バスドラの重みと黒みもあって重厚。バズンバズンという重ための地熱もある音だが、沈み込みが結構ある割にディケイは案外早くて浮き上がりも良く、スピード感も悪くない。ハイハットはチリチリした下辺以外はほとんど目立たず、シュワシュワとドライに噴き出す感じの音になる。まあ正統派ロックだね(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:男声ボーカルは充分に暖かく、太さもある。女声ボーカルは甘味が強調され、若干暗く、ふくよか。

 

【4】官能性「ロック!ロック!ロック!ポップス!ダンス!」

UVERWorld「Touch Off」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ドラムに確かな重みがあり、床面にズンと音が沈む感覚があり、ズンズン気持ち良い。地熱感が素晴らしく、熱気に満ちていて、男らしく、マッチョ。ボーカルは低域や周囲の楽器と近く、床面よりは奥から聞こえてくる。やや音にもっさりした感じはあるが、ライブ感は非常に良く、音の全てが床面に重みとなって伝わるかのような一体感があって、ロックしてる。

 


Touch off

 

MADKID「FAITH」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】ダークで重厚。バスドラにしっかりと床面に沈み込む重力がある。高域は明るさを強調せず、熱気を閉じ込めてくれ、ボーカルはやや暖かな吐息感があって、セクシーでかっこよすぎる。低域は暖かくキックは広がりがやや大きめながら、浮き上がりは良く、スピード感にもたつきはない。

 


CIRCUS[Type-A]

 

Celt Islam「Warrior Dub feat. The Renegade Sufi」

【ONKYO GRANBEATで鑑賞】レゲエダンス曲。エレクトロニカって括りの方が正確かな。低域に厚みが出て熱気があるので、まさに中東の暑熱が感じられる。とにかく低域の沈み込みと広がりが良くて、スピード感もあるから重心が低いのにもっさりしない。この曲でかなりウーファー感のあるサウンドを楽しめる。

 

大原ゆい子「ユビオリ」

【Cayin N6IIで鑑賞】こういう厚みのあるマイルドポップスをかなり暖かく、充実して甘味たっぷりに聴かせてくれる。ピアノは音に深みがあり、ギターは黄金色で、ボーカルは吐息が強調されてふっくら。音はほどよく濃く、マイルドながら発色に物足りなさはない。低域の熱気は充分で、じんわり感のあるこういうポップスは得意。

 


星を辿れば(アニメ盤) TVアニメ『リトルウィッチアカデミア』エンディングテーマ

 

【5】総評「音は好みだけど、スペックと通信品質はそれほどでもない」

 音は厚みがあって充実感を感じられて、個人的にはすごく好みですし、解像度的にも悪くないと思いますけどね、通信品質があまりよくないです。そしてスペックも価格考えるとめぼしいところがないんですよね。デザインは比較的スマートで高級感もありますし、装着感も悪くないんですけどね。通信品質が個人的には安定しなかったので、この機種はちときついです。もちろん個体差や相性問題の可能性もありますけど。うーん。

 音質はね、個人的にはこの価格帯でこれだとちょっといい感じでおすすめしたいんですけどね、私の手に入れた個体は通信品質ほんとダメです。

 

UENO Q30

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Bluetooth イヤホン-ランニング-スポーツ-ワイヤレス-HIFI重低音 CSR+CVC8.0ノイズキャンセリング搭載 マグネット搭載 マイク内蔵 10時間連続再生 ネックバンド型 片耳 両耳 2台接続可能 iPhone/iPad/Android適用 ブラック

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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