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【完全ワイヤレスイヤホン audio-technica ATH-SPORT7TW レビュー】音質的にはATH-CKR7TWと同じく清潔感に優れる。良好なフィット感と洗練されたインターフェースによる使い勝手。コスパは良好

audio-technica ATH-SPORT7TW

オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(グレー)audio-technica ATH-SPORT7TW-GY

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-SPORT7TW

ASIN

B07H95NRHV

 丸っこく耳当たりが良いので、収まりが良いハウジング。重心も比較的安定している。

 遮音性はあまり高くなく、周囲の音は結構聞こえ、没入感は高くない。この機種にはヒアスルー機能がついているが、OFFでも比較的周辺音は聞こえ、ONにするとよりスカスカになって聞こえるようになる。

 aptXには対応しない。通信品質は比較的安定していて、途絶はない。ただし若干の遅延は恒常的に見られ、動画鑑賞では少し不自然に感じやすい。音楽鑑賞はほぼ問題ない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、日本語説明書。

 インターフェースは徹底的に絞り込まれており、無駄を排している。ペアリングボタンもなく、自動ペアリング&自動接続でヒアスルー機能のON/OFF以外はほぼ操作の必要なく使える。

 

audio-technica ATH-SPORT7TWaudio-technica ATH-SPORT7TW

 

【2】音質

 旭化成のDAC「AK4375」を搭載しており、高音質を謳っているが、これはATH-CKR7TWと共通。若干の調整を加えているのかも知れないが、実際ほとんど音質の差を感じない。CKR7TWはaptXに対応している分、解像度面で若干の差が感じられるような気がすることは事実だが、傾向としてはほぼそっくりで、抜けが良く、見通しに優れた清潔感のある音場表現が爽快で気持ちよい。比較的エッジ感良くシャープな音の傾向ではあるが、抜けが良いので耳に刺さらず、後味はさっぱり。臭みが少ないので聞き疲れしにくく、長時間聴いていても不快感が出にくい。オーテクらしい清涼味のある音質で、個人的には好みだ。

 

[高音]:清潔感重視で突き抜け感もそこそこ。サラッとシームレスにまっすぐ抜ける(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:音の傾向としては若干煌めき感が出る。厚みはそれほどなく、輪郭感をだしつつスッキリ抜ける清涼感のある音。無機質感は少しあるので、アコースティックな曲だと若干人工的に思える場面はある。

[低音]:100hz~40hzまで厚い振動。30hzから沈み、20hz以下はほぼ無音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:音場の見通しは良い。全体的にスッキリしていて、圧迫感がなくスムース(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは表面の爆発力高め。音の端はシャリシャリシャープで輪郭感が強く、バシンバシンという鋭い音。印象的にCKR7TWより少しだけ尖って聞こえるが、大差はない。ハイハットもシャープに尖る感じで聞こえる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:爽快感のあるさっぱり味。息は少し尖りやすい。スッキリさらさら抜けるシームレスな伸び方をする。

 

【3】官能性

 rionos「ウィアートル」は音味がボーカル・楽器問わず全体的にサラサラとしていて耳当たりが良い。煌めき感もそこそこ出るので、この曲のグロー表現は味わいやすい。全体としてスッキリした後味で聴かせるので濃厚味は少し薄いかも知れない。

 飯島真理「愛・おぼえていますか」のドラムはウェットで粘りを感じ、固着感がかなりある、ズチャッとした音。それでも抜けが良いので耳に必要以上に粘らず、後味はスッキリしていて、リズム感のメリハリが利いている。パーカッションは少し精彩強めに感じ、ボーカルに被さる場面が多い。キーボード音は少し無機的で人工的に思える。

 伊藤美来「Rouge Back」は比較的煌めき感をうまく出しながら、後味スッキリで味わえるので、爽快味が強い。金属色の強いシンバルが華麗さを加えてくるので、色彩感もきれいでおすすめ。

 Choucho「flyleaf」は見通し良くスッキリしている。ドラムセットがパッスンパッスンシャンシャンと、妙に抜けよく軽快で明るく、色彩感に満ちていて楽しい。ピアノはほどよく煌めき感を強調しており、こちらも少し明るめでウキウキしている。ボーカルも清潔感が感じられて抜けよくサッパリしている。

 

【4】総評

 音質的にはオーテクらしい爽快感のある聴きやすい音で、一見淡泊だが、聞き疲れしにくいのに音像ははっきりしている清涼感のある音。同時発売のATH-CKR7TWと音質面での実質的な差はあまり感じられないので、廉価に済ますならこちらを選ぶと相対的に満足度が高いかも知れない。

 使い勝手の面でも、ATH-CKR7TWよりもさらにインターフェースの無駄を無くして、ヒアスルー機能を追加しており、こちらのほうが場合によって優れるところもある。連続再生時間だけはCKR7TWが6時間を謳うのに対し、こちらは3.5時間で短いところをどう思うかだ。こちらはaptXに対応しないという点もディスアドバンテージではあるが、正直なところaptX非対応でも音質的な遜色はあまり感じなかったので、個人的にはコーデックの有無は無視して機能性の違いで選ぶと良いと思う。

audio-technica ATH-SPORT7TW

 

【5】このイヤホン向きの曲

 爽快感を味わうなら、この曲がオススメ。力強いボーカルがスッキリ抜けていく突き抜け感は最高。ギターのエッジも良く、ドラムの爆発力も強い。この調子だとハイハットはうるさげに来るかと身構えたが、思ったよりおとなしく、臭みは強くない。パワフルスッキリな清涼感溢れる仕上がりになっている。

 

 ギターは輪郭感よく色彩もよく出るが、抜けはスッキリで重たくならず、軽妙なこの曲の雰囲気が良く感じられる。ボーカルもサラサラしてスッキリしている。

 

オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(グレー)audio-technica ATH-SPORT7TW-GY

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【完全ワイヤレスイヤホン audio-technica ATH-CKR7TW レビュー】見通しの良いスッキリサウンドで爽快に聴かせる良機種。aptX対応

audio-technica ATH-CKR7TW

オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)audio-technica ATH-CKR7TW-BK

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-CKR7TW

ASIN

B07H945FFJ

 やや外側に重心のあるハウジング。耳当たりは悪くないが、BOSE SoundSport Freeのように安定性に欠けるところがある。イヤーピースをよく選ばないと外出時などに耳から脱落してしまうかも知れない。

 遮音性はあまり高くなく、周囲の音は結構聞こえ、没入感は高くない。電車のアナウンスなど十分周囲の音は聞こえるように思えた。音漏れはそこそこ。

 aptX対応。通信品質は比較的安定していて、途絶はない。ただし0.3秒くらいの遅延は恒常的に見られ、動画鑑賞時には口パクが気になるかも知れない。音楽鑑賞にはあまり問題とはならない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、日本語説明書。

 後発で出してきた時間的余裕のおかげか、インターフェースは成熟していて、比較的わかりやすく思える。SONYの統一感のない、販売店員でさえ時々迷うこともある、わかりにくいデザインインターフェースに比べると、直感的にペアリングでき、使用できる。音量操作と曲操作を左右で分けており、左で音量、右で曲・通話操作と明確。充電ドック取り出し時の、自動ペアリング・自動接続にも対応する。

 

audio-technica ATH-CKR7TWaudio-technica ATH-CKR7TW

 

【2】音質

 音質的には、CKRの型番機としてSound Realityシリーズらしい、一見淡泊だが、フラットに高低見通しよく、個々の音もバランス良く聴かせて後味をすっきりとまとめあげる、エッジ感を感じさせるのに聞き疲れしにくい品の良い爽快サウンド。高域は清潔感を感じさせる抜けの良い音で、臭みがなく、中域ではやや硬質で輪郭感があり、個々の音が鮮明で、低域は厚い音だが自己主張が強くなく、中高域をサポートする鳴り方。徹底的に臭みを消して、どのジャンルの曲でもすっきり後味良く、音楽を長時間楽しんでほしいという意図を感じさせる。

 

[高音]:突き抜け感はそこそこ良い。透明感や煌めき感よりは清潔感を重視した音の出し方(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:鮮明度高く思える。やや硬質でクール傾向の音。ギターのエッジは比較的綺麗に出る。ピアノや弦楽は硬い光沢感を感じ、輪郭は良いが若干無機的で人工的に聞こえるところはある。

[低音]:100hz~40hzまで厚い振動。30hzから沈み、20hz以下はほぼ無音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:音場の見通しは良い。個々の音のエッジはシャープだが、抜けが良いので耳に刺さらず後味すっきり。色味は全体的に明るめに感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムは表面の爆発力高め。音の端はシャリシャリシャープで輪郭感が強く、バシンバシンという鋭い音。ハイハットもシャープに尖る感じで聞こえる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:爽快感のあるさっぱり味。息は少し尖りやすいが、抜けが良く刺さる場面は少ない。色味は明るい。

 

【3】官能性

 池田綾子「宵の道」を聴いてみると、ボーカルが高域にまっすぐ伸びてすっきり抜けていくシームレス感がなかなかよい。ピアノ音は若干厚みが足りず、光沢感もどことなく金属的で人工的に思え、情緒に乏しい気がするので温もり感には欠ける。透明感の出やすい曲であるが、どちらかというと透明感は抑えられていて、ボーカルの清潔感が目立つ。

 ClariS「again」は大音量で少しキラ味が強く思えるが、全体的にシャープでメリハリ良く、しかも抜けが良いので爽快感増し増しで楽しめる。曲の見通しも良く、奥行き感や広さも感じさせる。音味は若干デジタル感が強い。

 nano.RIPE「スターチャート」はパーカッションとギターのシャープなエッジ感がかなりよい。シャリ感の出る感じではあるが、抜けが良いので刺さらない。ボーカルの突き抜け感も良く、立体感がある。ドラムは若干バネを感じさせるブヨブヨした感じなのが少し気になる程度。

 Trysail「Sail Out」もシャープなエッジをサッパリ後味で楽しめる、爽快感が強いソーダ味に聴ける。リズムは固着感がしっかりしていて明瞭に聴かせながら、最後は粘らず抜けて疾走感を出す。

 

【4】総評

 音質的にはオーテクらしい、スッキリ素直で演出感を感じさせない爽快感のある音。エッジ感は良好だが、耳に刺さったり妙に尖ったりしないので、長時間聴いても比較的聞き疲れしにくい。派手さがないので初見では淡泊に思えるが、耳が慣れてくるほどその解像度感がクセになってくるところがある。音質傾向的にはクール方向なので、温もり感はほとんどないが、清潔感のある音が心地よい。

 使い勝手の面では、恒常的な小幅の遅延と、重心が外側にある装着感の不安定性だけが気になるが、インターフェースは洗練されており、使い勝手は上々。

 aptX対応で通信コーデック面での優位性はあるが、ATH-SPORT7TWと音質的な差はあまりないので、とくにこだわりがなければSPORT7TWの方が安い分だけお得に感じる。聴いてみた感じ、若干の解像度の差はたしかに感じるが、音質傾向は双子かというくらい相似。通信品質的には遅延の具合も同じで、価格差ほどの機能差を感じない。むしろSPORT7TWにはヒアスルー(周辺音取り込み)機能もついているだけ面白みがあるようにも思える。

audio-technica ATH-CKR7TW

 

【5】このイヤホン向きの曲

 煌めき感と色彩感が良好で、エッジのよいシャープな音が、後味スッキリ抜けるので爽快感高めに楽しめる。メリハリがよくて心地よい。

 

 中高域の煌めき感は良く出ている。透明感は若干抑えめでどちらかというと清潔感が出て、さっぱり塩味。ボーカルはサビ付近では少し尖りが強いが、概ね刺さらず不快感はない。イヤホンによっては癖が強いというか、アクの出やすい曲だが、このイヤホンはすっきりまとめて臭みを出さない。

 

オーディオテクニカ 完全ワイヤレス Bluetoothイヤホン(ブラック)audio-technica ATH-CKR7TW-BK

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【特集】新宿&秋葉原で路上テスト敢行!都心部での完全ワイヤレス&ワイヤレスイヤホン&Bluetoothオーディオレシーバー通信安定性テスト

秋葉原

 去る11月2日、3日、4日の3日間に秋葉原&新宿に連泊して、いろいろ買い物してきました。しかしただ買い物するだけではつまらない、せっかく人口密集地に行くのでワイヤレスオーディオの通信性能を試そうではないかと選り抜きの製品をかき集めて持って行き、路上でテストを敢行してきました。この記事ではその結果をレポートします。

 

【今回持っていった製品】

音源機器(発信元)
1. 完全ワイヤレスイヤホン
  1. JVC HA-XC70BT
  2. BOSE SoundSport Free
  3. Lesoom S1
  4. HAVIT G1
  5. CANAVIS J29
  6. Qitian Touch Two V5.0
2. ワイヤレスイヤホン
  1. The House of Marley SMILE JAMAICA WIRELESS
  2. KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)
3. Bluetoothオーディオレシーバー
  1. RADSONE EarStudio ES100
  2. audio-technica AT-PHA55BT

 

 ワイヤレスイヤホンに「KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)」とありますが、これはKSCAT BC05の着脱可能なワイヤレスレシーバーをJVC HA-FX1100のハウジングに接続したもの。つまり実質的にKSCAT BC05の通信性能テスト。

KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)

 BC05のレシーバーはシュア掛けタイプ。おかげでコードが邪魔にならず、装着感はかなりいいです。通信性能は日常使用なら問題なく、音質的にはドライバーはHA-FX1100なので、悪くありませんが、EarStudio ES100など高品質レシーバー使用時の音質には劣りますね。

 

【完全ワイヤレスイヤホンの通信性能】

 率直に言って、今回テストした機種はどれも、完全に安定した通信品質を確保できませんでした。秋葉原や新宿の街中を徒歩移動時にはどれも多かれ少なかれブツブツ通信は途切れましたし、駅構内などのより密集性の高いところでは使い物になりませんでした。ただ通勤ラッシュ時ではない80%くらいの乗車率の電車内では駅での出入りの時を除いて安定動作しましたし、飲食店内などでの利用も安定していました。一方で人通りが少なくても、移動しながらの利用は不安定なところが見られました。

 後述するワイヤレスイヤホンやワイヤレスレシーバーに比べても通信安定性は低いので、まだまだ完全ワイヤレスイヤホンは都心部で快適に使えるほど成熟していないというのが実情なのでしょう。

 

JVC HA-XC70BT

 JVC HA-XC70BTは、今回の機種の中では比較的通信が安定していたように思います。それでも街中の移動時にブツブツ切れることはありましたが、電車内や店舗での使用は安定。

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BOSE SoundSport Free

 今回のテスト製品の中ではスポーツ向けを謳っていることもあり、期待は高かったのですが、結果から言うと少し微妙。歩行時は片耳だけ途切れることも多く、数回完全に通信が途切れてプレーヤーと切断されました。切断されると、自動接続で復帰できる場合もありますが、プレーヤー側で再接続してやらないといけなくなる場合もあるので面倒です。音質は最高レベルの満足度で人気が高い機種ですが、通信品質はそれほど実力が高いわけではないようです。

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Lesoom S1

 音質と装着感が好みで日常生活で使用頻度が高く、通信品質の安定性はそこそこ確認していたので期待していましたが、街中はだめですね。電車内などでは稀に途切れる程度で不便は感じませんでしたが、新宿駅構内に入るとブツブツ。街中歩行時も途切れ途切れで全くいいところなしでした。人口密集地で使用できるほどの通信品質はありません。

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HAVIT G1

 こちらはネット上で評判の良い機種です。音質は良いのですが、ハウジングの形状が私の耳には合わないのか、装着性はあまりよくないので、それほど使ってません。通信品質的にはS1とあまり変わらないですね。電車内や飲食店内のようにあまり動かない場面では稀に途切れる程度で安定してますけど、新宿駅構内、秋葉原の街路歩行時などの人の移動が多い場所ではほぼ使い物になりません。

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CANAVIS J29

 音質が気に入っており、装着感も良いので最近よく使っている機種です。こちらも近所のスーパーに買い物に行く程度の日常使用では安定した通信品質なので期待していましたが、やはり都心部では使い物になりません。新宿駅構内、秋葉原の往来などではブツブツ。

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Qitian Touch Two V5.0

 人気機種のバージョンアップ版です。こちらも日常使用ではほぼ通信が途切れることのない優秀な機種ですが、やはり都心部の往来では厳しいですね。繰り返しになりますが、飲食店など建物内に入ったり、電車内のような移動の少ない箇所では問題ありません。しかし、街中を歩くと途端にブツブツ。人通りの量からいえば、決して負けているとは思えない町田や八王子駅前付近を歩いていても、ここまではブツブツしないので、やはり都心部は電波状況が混雑しているのでしょう。

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 【ワイヤレスイヤホンの通信性能】

 正直今回のテストでは完全ワイヤレスイヤホンとレシーバーのテストが主目的でしたので、左右分離型ではないワイヤレスモデルのイヤホンは比較対象として参考にするつもりでした。しかし結果的には今回持参した完全ワイヤレスイヤホンはおしなべて通信品質で満足できるものはなかったので、都心部では最低限ワイヤレスイヤホンを使用することを推奨します。

 

The House of Marley SMILE JAMAICA WIRELESS

 音質が気に入っていて、寝ホンにも使っているネックバンド型のワイヤレスイヤホンです。完全ワイヤレスイヤホンに比べるとかなり通信安定性は高く、完全ワイヤレスで一番健闘していたJVC HA-XC70BT以上に安定しています。往来の移動時にはブツブツ切れますが、完全に切断されることはほぼありません。最低限これくらいの使い勝手でないと快適に音楽は聴けませんね。

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KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)

 標準付属のイヤホン部分ではなく、JVC HA-FX1100を接続してテストしました。シュア掛けタイプで固定感もよく、通信品質も結構安定しています。やはり街中では途切れることも多いですが、完全ワイヤレスイヤホンよりは断然安定しています。

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【Bluetoothオーディオレシーバーの通信性能】

 まだ個別レビュー記事は書いてないのですが、今回のテストの主目的の1つは、人気の高いオーディオレシーバーのレビュー記事を書くため、その通信品質を確認することにありました。レシーバーとプレーヤーの位置関係をいろいろ変えてテストした結果、レシーバーの位置関係については以下のことがわかりましたので紹介します。

  1. Tシャツの首回りや襟にクリップ止めしたり、胸ポケットにレシーバーを入れるのはあまりよくない。通信があまり安定しない。
  2. ズボンのポケットか上着の腹ポケットが比較的安定する。
  3. プレーヤーもポケットに入れた方が基本的には安定するが、手持ち鞄やバックパックの内側ポケットなどに入れてもよい。プレーヤーがズボンや上着の腹ポケットにあるときは、それでかなり安定した。

 少なくとも今回のテストでは、オーディオレシーバーの通信性能が一番安定していました。顔に近い胸ポケットよりズボンポケットなど低い位置のほうが通信が安定するので、おそらく都心部では地面に近いほうが通信の混雑が少ないのではないかと思います。なのでレシーバーが一番安定するのでしょう。

 レシーバーには上のKSCAT BC05のように、リケーブル対応イヤホンをワイヤレスイヤホン化するタイプがありますが、通信品質の安定性を考えると、個人的には低い位置に持ってこれるポータブルボックスタイプの機種をオススメします。

 

RADSONE EarStudio ES100

RADSONE EarStudio ES100

 EarStudio ES100は、AAC/aptX/aptX HD/LDACという高品質ワイヤレスオーディオコーデック対応を謳い、さらにDACを2つ搭載してバランス出力可能という高い使い勝手と音質を誇る人気機種です。テストした結果からは実際はLDAC対応ではない()ようですが、aptX HDにはしっかり対応しており、充電しながらも使用可能と、ほぼあらゆる点で次に紹介するaudio-technica  AT-PHA55BTに勝っています。音質的にも AT-PHA55BTよりも解像度が明らかに高く、なめらかな音質です。

 通信安定性は高く、今回のテストでは人の密集する都心部の歩行時や駅構内でも、時々ブツ切れするものの、かなり安定していました。

 

※その後11/8にリリースされたファームウェア ver. 2.0.1に更新したところ、正常にLDAC接続された。

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audio-technica AT-PHA55BT

audio-technica AT-PHA55BT

 audio-technica AT-PHA55BTも人気が高い機種です。こちらはAAC/aptX/LDACに対応しています。ES100と違い、LDAC対応はしっかり確認できましたので、こだわる人ならLDAC対応プレーヤーにはAT-PHA55BTを使うと良いかもしれません。個人的には、DACはES100と比べて少し表現が無味乾燥でやや見劣りし、またLDAC対応プレーヤーはSONY製ばかりですが、現行のNW-A55もNW-ZX300もaptX HDに対応しているので、ワイヤレス通信音質的にもLDACが使えないという理由だけでは、ES100でもほとんど遜色はありません。充電時には音楽再生が出来ないところも残念です。

 美点としては、音質をダイナミック向け(MODE A)とバランスドアーマチュア向け(MODE B)の2種類の出力抵抗(インピーダンス)切り替えが出来、調整できます。ただJVC HA-FX1100やKlipsch X11iなど手持ちの主要イヤホンで使ってみた感じ、ダイナミック向け(MODE A)は低音ブーストした感じでややウォームに、バランスドアーマチュア向け(MODE B)は音が少し輪郭良く感じられるので、個人的にはドライバーの種類に関係なく、音が好みなMODE Bを常用してます。

 通信安定性はやはり相対的に高いです。ズボンのポケットに入れれば、都心部の街中でもあまり途切れる場面がなく、比較的安定して使えました。

 

【結論】

 人口密集地では完全ワイヤレスイヤホンはほとんど使い物になりません。ワイヤレスイヤホンでも途切れる場面は多く、オーディオレシーバーを使用するのが一番良いようです。ただしオーディオレシーバーでも胸ポケットや首回りなど上の方に持ってくると、通信安定性は落ちます。使用するならズボンポケットが良いようです。

 

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【モニターヘッドホン audio-technica ATH-M20x レビュー】個々の音のまとまりがよく、空間表現はやや広めで、やや淡泊でスッキリ味の聞きやすい音質。

audio-technica ATH-M20x

audio-technica プロフェッショナルモニターヘッドホン ATH-M20x

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-M20x

ASIN

B00HVLUR18

 イヤーマフは少し薄めだが、柔らかく耳辺りはそこそこ良い。蒸れやすいかも知れない。バンドの側圧はやや硬く感じる。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は標準ステレオ変換プラグ、説明書。ケーブルのタッチノイズはほぼない。

 

audio-technica ATH-M20xaudio-technica ATH-M20x

 

【2】音質

 音質的には個々の音のまとまりが良く、少し広めの空間に定位感良く聞こえてくる感じで、聞き取りやすいモニターヘッドホンという銘にふさわしいもの。個々の音の鳴り方は自然で、どちらかというと演出の少ない淡泊な感じで、臭みも少ない代わりに外連味に乏しい。全体的にスッキリとした味わい。

 

[高音]:やや天井感がある。のびやかさはそこそこ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:個々の音のまとまりは良い。全体的に淡泊でスッキリした音。空間の広さはそこそこ感じられるが、音の輪郭もはっきりしていて聞き取りやすいせいか空間的な静寂はあまり感じられず、曲によっては密度高めに感じることも。

[低音]:足場をしっかり作るが、重みや深みには欠け、やや淡泊(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:頭のやや前方に左右広めのパノラマに音を展開する(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:やや淡泊。脇役に徹して味付けに終始する印象(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:近い。自然な伸びやかさあり。開放感は出づらく、カタルシスに欠けるように感じるかも知れない。

 

【3】官能性

 飯島真理「天使の絵の具」ではこの曲の持ち味であると思われるボーカルの上方向への突き抜け感は出づらい。パーカッションにほどほどの量感と精彩があって盛り上げるが、印象としては淡泊。キーボードの音もキラキラ感が出ているが、出過ぎない聞きやすさを重視した感じで耳当たりよいが、味気なくも感じられる。全体的に音をしっかり慣らしつつ、個々の音に色を付けすぎないバランス感覚を感じる。

 Falcom Sound Team jdk「空の軌跡」を聞くと、金管などはまとまりがよいが、それだけに空間的な溶け込みや色気に欠けるような感じもあり、全体的に硬質に思える。突き抜け感や開放感にもやや乏しい。ただ骨格はしっかりしており、この曲の趣向を凝らした構造は丁寧に再現される。

 坂本龍一「Rain」はやや色味が淡泊ながら弦楽とピアノの輪郭感と立ち上がりが良く、展開はきれいに再現される。ただこの曲の面白みの一つである、高低の立体的な味わいには若干欠ける気もする。

 Avril Lavigne「Anything But Ordinary」は個々の音が輪郭感良く聞こえてくる。全体としては優等生過ぎるというか、うまくまとめすぎてしまっている印象もあって、奥行き感や開放感は乏しく感じられる気もするが、一方でこの曲のギターエッジなどの細かな表現からにじみ出てくる熱量感はよく再現され、エネルギッシュに聞こえる。

 

【4】総評

 全体的に個々の音の鳴りを丁寧に聞かせてくれる印象。聞き取りやすさを重視している感じで個々の音の色はそれほど強くなく、全体的にスッキリ味に感じられる。外連味などが少なく淡泊な印象を受けるかも知れないが、生演奏に近い自然な味わいを好む人には低価格で有力な選択肢になる。

audio-technica ATH-M20x

 

【5】このヘッドホン向きの曲 

 個々の音がまとまりよく、そのおかげで音の重なりでムードを出すこの曲にぴったり。ボーカルも近くしっかり聞かせてくれ、個々の音がほどよい密度で頭に直接向かってくる。(Steely Dan「Bad Sneakers」)

 

audio-technica プロフェッショナルモニターヘッドホン ATH-M20x

 

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【カナル型イヤホン audio-technica ATH-CKB70 レビュー】シームレスで明瞭感のある精緻な中高域と輪郭感できれいに見せる品の良い低域。オーテクのバランス感覚極まれり

audio-technica ATH-CKB70

audio-technica カナル型イヤホン バランスド・アーマチュア型 ブラック ATH-CKB70 BK

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-CKB70

ASIN

B00OTADU36HMX

 独特の横長ハウジングは大抵の人の耳への収まりは良いと思うが、耳の形によっては干渉するかも知れない。遮音性はそこそこ高く、環境音は大分低減される。反面音漏れはカナル型にしてはだいぶ目立つほうかも知れない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え。細身のコードのタッチノイズは目立たない。

 

 

【2】音質

 まず、この機種の謳い文句は「低域の量感」とのことだが、率直に言って量感を感じる低域ではない。この機種が音質の割にあまり評判を耳にしない最大の理由はおそらくこの売り出し文句が見当外れなせいであろう。この機種の低域は量感より輪郭感で存在感を感じさせる音で、タイトでまとまりのよい、聞き心地が良く、中高域を阻害しない上品な音だ。量感低域モデルと聞いて想像される、ズンドコズンドコした音ではない。その点がこのモデルをドンシャリモデルと勘違いさせ、量感低域という言葉に惹かれる人はその素っ気なさに不満を感じさせるし、逆に本来このイヤホンを気に入ってくれそうなタイトな低域ファンは量感低域という言葉を聞いて直感的に避けてしまうのだろう。

 このイヤホンの音質は尖ったり刺さったりしやすいバランスドアーマチュアの高域を中域との連携良く、素直につながってしかも伸びが地平まで続くような伸縮力のある形で、精緻で明瞭感のある良い部分だけをうまく取り出して、耳当たりよく仕上げているところから語られるべきだ。曲によってはそれでも刺さるところは若干出てくるが、価格帯での表現力としてはかなり完成度は高い。そのうえで輪郭がはっきりしていて衝撃力がありながら、中高域を散らかさない分離感のある低域が丁寧に音場の底を支えている。この低域は中高域が鳴っているのをかき分けて出てきたり、そもそも前に出てきて自己主張してくる、そういう音ではない。中高域とほどよい距離感を保ちながら、空間に丁寧に深みを加え、タイトで衝撃力もあるドラムで引き締め引き上げ、引き立てる。このイヤホンは精緻で整った中高域がまずあって、そこに良質な低域が乗っている印象で、低域が先という感じのイヤホンには思えない。むしろ中高域の色気や透明感を求める人に対して、より訴求力の感じられる音だろう。

 

[高音]:キンキンしないほどよい透明感。シームレスな高低と糸のようにつながる伸縮力。冷たくなりすぎず、ほのかに色気を感じさせる音。尖りづらく刺さりにくい良音(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:高域に対して特にスムースに連携し、中高で途切れる感じはない。低域との関係もよく、連携して緻密さと広さを兼ね備えたプラネタリウム的空間表現をする。音の明瞭感は価格帯最高クラス。色気もそれなりに出る。

[低音]:タイトで締まりが良く、まとまりがよい。中高域を邪魔しないが、丁寧に存在感を出して曲の精彩を引き立たせる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:個々の音の描き分けは緻密で、空間表現的にも広さと密度をうまく両立させている印象。曲によって広さも出るし、密度感が前面に出てくるところもあってその意味でも器用さの感じられる表現力(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:芸が細かい技巧は。衝撃力や材質的な硬さ、深みはしっかり出る。重量感はあまりない。うるさくない上品で丁寧な良質の低域(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:スムース。尖るところなく、息も強調されすぎず、ほどよいシャープ感のある輪郭の中に少し厚みを感じる、若干透明に傾いた自然な声色。女性ボーカル・男性ボーカルに限らず、のびやかさをウリにしている曲にはめっぽう強い。

 

【3】官能性

 UVERworld「CORE PRIDE」はドラムの衝撃力と粘りのバランスが良く、迫力がありながら臭みを耳に残さないスムース感があり、耳当たりよく楽しめる。中高域は明瞭で瞬発力も良好。全体としてクリアでスムース、かつスパイシーという比較的理想的に近い形で量感だけやや弱いか。しかし量感の不足はドラムの粘りのよさでほとんど相殺されており、曲の骨格を表現する説得力は失われていない。ボーカルも不自然な尖りなどなく、中空に消えない線の通ったのびやかさで聴き応えがある。

 fhána「Appl(E)ication」はシャープでエッジ感を聞かせ、またこの曲の持ち味が引き立つ透明感を出すのがうまい。低域はタイトで深みを備えており、量感的な感じではないが、重みを感じられる。低域の存在感は中高域を邪魔せずに曲を引き立てる良質なもの。後半多用されるゆがむような効果音も輪郭がしっかりしており、効果はちゃんと出て、スパイシーさが感じられる。

 Aimer「茜さす」ではまず中高域の明瞭感がはっきり出るので、この曲のはっきりした色彩感は強めに出て情景への引き込みが感じられる。こうした輪郭の強い音の傾向のイヤホンではシンバルが尖って出過ぎてシャリシャリすることがあるものだが、このイヤホンのシンバルは輪郭感にブレがなく、一定の色気も備えていてまとまりがよいので、シャリッと軽くは鳴らない。低音から高音まで密度感と精緻さに余念がなく、明度の高い形で曲の世界観を伝えようとする意志を感じる。

 ねごと「アシンメトリ」では耳に粘りすぎないが、重みも感じさせる低域が出鼻からぐいっと引き込んでくる。躍動はタイトで曲に推進力をしっかり与えてくれる。個々の音がはっきり出るが、ボーカルは埋没しない。エッジ感強め、スパイシーな傾向で曲調はやや明るく元気、若干重厚さ弱めといった感じの表現。

 

【4】総評

 価格もこなれていて、現状5000円台から7000円台くらいまでで買える機種。量感のある低域という看板には若干違和感を覚えるが、表現力としては価格帯標準以上で、1万円クラスに匹敵する。精緻な中高域が魅力のバランスドアーマチュア音好きな人には、それを引き立てる低域表現力も備えた廉価な日常使用イヤホンとして有力な選択肢になる。低価格でも絶妙なバランス感覚でハートを貫いてくるオーディオテクニカのバランス感覚の良さを感じさせ、個人的にはおすすめである。

 

【5】このイヤホン向きの曲

 若干ボーカルの出足がゾワゾワと雑草味が出やすく、気難しいところのあるこの曲だが、このイヤホンは息の振動の輪郭をうまく表現し、潰れる感じが出ずになかなかのクリーンスタートをしてくれる。ボーカルは透明度のあるきれいなのびを見せるが、透かした先の暖かみが感じられるほどにはふっくら感も残している。ピアノの透明感は言わずもがな、色味としても冷たくなりすぎず尖りも出にくいので、サビでも曲調が厳しい感じにならず、色気を残した叙情感のあるものになっている。(karuta「一番の宝物 Original Version」)

 

 スムースでメリハリあるドラム。同じようにシームレスでほどよい色づきと強い明瞭感のある中高域。描き分けが緻密な空間にパスパスとキレのよいドラムが駆け足を刻み、ボーカルに推進力を加えている。思春期の純粋で輝きに満ちた世界観が明るく快活に展開される。(鈴木このみ「DAYS Of DASH」)

 

 シンバルの粒の細かさが曲の精彩を引き立てる。ドラムもタイトで心地よい。何より魅力的なのはサビで、水面との距離感を表現するボーカルの上昇感。水面がすーっと遠ざかるように、ボーカルも深みから丁寧に浮かび上がっていく。この上昇に途切れる感じはなく、シームレスに高低の連携が利いている。同様に弦楽も高低が綺麗に出て、空間を躍動的に、ゆらゆらとした水中の感覚を味わわせてくれる。

 

 弾みと深みがありながら重くなりすぎず、ほどよい軽快さと解放感のあるドラム。からかうように遊ぶ多彩な表現を見せるボーカルにもよく追随し、高低の切り替えと連携が良くてうまい。尖りや刺さりも出やすい曲だが、うまく空間に溶かして耳当たりよく、しかも緻密に聞かせるバランス感覚の良さ。緻密でしっかり聞かせてくれるのに聞き疲れしにくい。(高橋李依「AM 11:00」)

 

 ホーミーの倍音的表現もブレなく尖り無く綺麗に聞かせてくれる。高低がスムースでつっかかりや分断がなく、倍音の重層性やサビでの高声の天へとまっすぐ伸びていく感じが明瞭。音にギラつく感じもなく、気持ちよく聞ける。

 

 金管の色気、弦楽のスタイリッシュさ。タイトな低域が統率力を発揮して自由で個性的に踊る楽器たちをまとめあげていく。とくに弦楽の奥行き感の緻密さはハンパなく、細い奥まった音も途切れずきれいに続き、しかも透明感を維持して聞こえてくるのは素晴らしい。

 

 これも価格を考えると絶品クラス。のびやかなボーカル、混濁併せ持つ独特のハスキーボイスが空間に沁み入る感覚の表現力。星空のように煌めき感のある広い空間の中をボーカルが自由にたゆたう。(安全地帯「恋の予感」)

 

 意外と気持ちよく聞くのは難しいかも知れないこの曲。リズムの輪郭がしっかりでないとなんか間延びした感じに聞こえやすい。だがこのイヤホンの緻密な表現力は薄味になって溶け込みやすいリズムとボーカルの輪郭をしっかり組み立ててくれる。途中やや刺さりやすいところがあったのだけは限界を感じたが、よく頑張っている。(倉木麻衣「key to my heart」)

 

 名曲「dis-」の早見沙織カヴァー版。有坂美香のオリジナル版より艶やかさとのびやかさが増しており、爽快でシームレスな表現力のうまいこのイヤホンにはこっちのバージョンのほうが合う。金管の色気も良く、やや盛られたパーカッションもうるさくならず緻密に描き分ける。かなり満足できる。このほかに個人的な神曲「ブルーアワーに祈りを」も実に中毒的に聞けるので、是非おすすめしたい。(早見沙織「dis-」)

 

audio-technica カナル型イヤホン バランスド・アーマチュア型 ブラック ATH-CKB70 BK

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【ポータブルヘッドホン audio-technica ATH-AR3 レビュー】タイトで引き締まった低域の上に清潔感のある中高域が澄み切ったサウンドを奏でる

audio-technica ATH-AR3

オーディオテクニカ ポータブルヘッドホン ブラック ATH-AR3 BK

 

おすすめ度*1

 audio-technica ATH-AR3

ASIN

B01MCWOEVF

 装着感はややきつめでイヤーマフはやや固め。遮音性はそこそこ高いが、音漏れは少しある。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はない。

 

audio-technica ATH-AR3audio-technica ATH-AR3

 

【2】音質

 清潔感を感じる中高域とタイトでぼけない、深みと重みのある低域が全体的にメリハリとクリア感のある音楽を奏でる。奥行き感もかなり出るので音場の広さも感じられる。バランス感覚のある引き締まった表現力で低価格モデルの中では洗練されたものを感じる。

 

[高音]:透明感と突き抜け感のある音(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:奥行き感もあり、精彩もかなり明瞭。

[低音]:深掘り感と重みもあって、ぼけないタイトな音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:奥行き感はそこそこ出る(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:アタック感とメリハリのあるキレの良いパーカッション(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:全体的に澄み切ったという表現の合う清潔な音。

 

【3】官能性

 ClariS「CLICK」は低域に厚みがあるが、タイトで引き締まって凝縮感があり支配的にならず、中高域を邪魔しない。躍動感があるので暗くはないが、重厚感は少し強め。ボーカルの伸びやかさと透明感はかなりうまい。奥行き感も感じられる。

 今井麻美「朝焼けのスターマイン」はパーカッションの重みが良好。キーボードの煌めきもよく、ボーカルにも透明感があり、全体的に清涼感がある。重厚な低域の上に表現される速やかな中高域はきれいだ。

 Choucho「優しさの理由」は弦楽をはじめ楽器の色彩感が良好。ボーカルは澄んでいる。その両方にメリハリを加えてまとまりを演出するのがアタック感のあるパーカッション。ドラムがタイトでリズムをしっかり刻んでくれる。

 Trysail「オリジナル。」はメリハリのある音が効果音の多い曲をしっかり盛り上げ、中毒性も良く出る。リズム感を大味に、しかしばらけさせずタイトにまとめあげるドラムが活き活きと楽しい。それに合わせて元気に弾む清涼なボーカルの突き抜け感に気持ちよいほどの明るさがある。

 

【4】総評

 価格の割に非常にレベルの高い表現力を感じる、オーテクの低価格モデルの中ではオススメ度の高い機種。タイトな低域と清涼な中高域が一体的にまとまっており、とくにアニメ系の楽曲に強みを感じる。元気で明るい曲からちょっとしっとりした曲までその表現力は丁寧に再現してくれる。

audio-technica ATH-AR3

 

【5】このヘッドホン向きの曲 

 重厚な低域と、のびやかで鮮明さが有り、情感を演出する弦楽がきれいだが、どこか葛藤を抱える不安定さも丁寧に表現している。サビでは深掘りされ、重みもある低域が沈みこみながら、それに抗うように澄んだボーカルが対比される。それはクライマックスを盛り上げながら同時にボーカルの孤高な味わいをいや増している。しかしその孤高なボーカルはやがて鮮やかになる楽器たちの中に居場所を見つけ、調和的な中に収まっていく。(宮島依里「わたしぼっち」)

 

オーディオテクニカ ポータブルヘッドホン ブラック ATH-AR3 BK

 

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【ポータブルヘッドホン audio-technica ATH-WS550 レビュー】表現として暗めでもっさりしているところは気になる。ドラムのリズム感はタイトで気持ちよいが。

audio-technica ATH-WS550

オーディオテクニカ SOLID BASS ポータブルヘッドホン ブラックレッド ATH-WS550 BRD

 

おすすめ度*1

 audio-technica ATH-WS550

ASIN

B016D9UE7A

 イヤーマフは柔らかく、装着感は悪くない印象。蒸れやすいところはある。遮音性はそこそこで、音漏れは若干目立つ。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はない。

 

 

【2】音質

 全体的にやや安定感重視でもっさりしたところはあるが、支配的になる低域の傾向はタイト。高域音にはソリッドでザラザラした感触があり、ドライ傾向になりやすいところがある。クラブサウンド向き。

 

[高音]:もっさりソリッド、ザラザラ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域はそこそこ広いが、低域に引っ張られやすい印象。

[低音]:意外と存在感は強くなく、タイトで締まっていて、中高域を邪魔しづらい。ただドライで乾燥した感じが強く固い(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:圧迫感のない広さ、音の個々の定位感は悪くない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ハイハットの粒感はしっかりしているが、重たげで安定感重視。ドラムは下方向にタイトでやはり安定的(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:やや暗い。突き抜け感は低域が厚めなせいかうまく出づらい印象。

 

【3】官能性

 雨宮天「Velvet Rays」はややボーカルがドライでザラザラした感じがある。弦楽ののびやかさとピアノの色づきも悪くないが、全体として辛口。

 SPYAIR「JUST ONE LIFE」もドライな辛口。粒が細かく、きめ細かさのある音場ではあるが、一方でキレやメリハリはそれほどでもなく、突き抜け感にもやや乏しい。

 Aimer「broKen NIGHT」はピアノの発色が良く、ドライな中に清涼感のある形で響く。ボーカルはドライ。メリハリはそこそこ。若干ボソボソしている感じはある。

 Choucho「looping star」は全体的にやや重たげだが、ボーカルはそこそこ突き抜け感がある。ただ低域のせいか中高域が細切れにされるようなところがあり、低域がうるさく感じられるところはある。

 

【4】総評

 ドライでやや暗めのサウンド表現は好みを分けそうだが、クラブ向けにタイトでそこそこ良質なリズムを味わうことが出来る。とはいえ、圧倒的重低音というほどではなく、看板ほど迫力を感じさせない。

audio-technica ATH-WS550

 

【5】このヘッドホン向きの曲 

 タイトな低域がリズムをしっかり刻む。全体的に重厚で爽快感には若干欠けるが、ボーカルののびやかさはしっかりしており、暗くはない。

 

オーディオテクニカ SOLID BASS ポータブルヘッドホン ブラックレッド ATH-WS550 BRD

 

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【スポーツイヤホン audio-technica ATH-SPORT1 レビュー】各所でかなり酷評されている機種ではあるが、音質は意外に悪くない

audio-technica ATH-SPORT1

audio-technica SONICSPORT カナル型イヤホン 防水仕様 スポーツ向け ブラック ATH-SPORT1 BK

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-SPORT1

ASIN

B00LZRG7EU

 スポーツタイプのイヤホン。イヤーフックが根元部分からかなり可動する。この可動イヤーフックがかなり酷評されているが、意外にも手に入れた個体は装着性は悪くなく、固定はしっかりしている。長時間使用で耳に痛くなるという指摘もあったが、筆者はそのようなことはなかった。耳当たりも良く、イヤーフック型にありがちなギスギスした感じがなくて柔らかな付け心地だ。おそらく耳の形状や大きさによって装着感はだいぶ変わると思われ、店舗でテストしてから購入するのが良いだろう。

 装着がしっかりするおかげか遮音性は高く、音漏れも少ない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え。ケーブルのタッチノイズはほとんどなく、スポーツ用途としては良好。なおイヤーピースはアクティブフィットだとだいぶ音質が落ちるという指摘があり、筆者もアクティブフィットはかなり癖が強く、音が軽くなる印象を受けたのでおすすめしない。

 

【2】音質

 テストはファインフィットイヤーピース、つまり標準タイプのカナルイヤーピースを用いた。音質的にもシャカシャカ軽いと酷評されるこのイヤホンであるが、付属イヤーピースからサイズを丁寧に選び、耳にはまるものを選べば音質面は低価格の割に良い印象で、少なくとも酷評されるほど低水準ではない。やや音の側面には細かな雑然さはあるものの、高域にはなめらかさがあり、色気もそこそこ感じられ、中域は音の輪郭感がしっかりとしていてシャープでキレが良い。低域だけはザラザラしたりズチャッとしたややウェットな音になりやすく、はっきり言うと好みではないが、存在感が薄いことはない。音場は密集感があってミニチュア的なところがあり、広くはなく、ほどほどの空間に細かく盛り込んだような感じだ。

 

[高音]:高域にはなめらかさがあり、のびやかさもある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:曲によってはガチャガチャしやすいところもあるが、低価格ではかなり音の輪郭ははっきりしており、シャープでキレの良い音質。

[低音]:やや音が潰れた感じや粗い感じがあり、ズチャッとウェットになったり、ザラザラした感じが強い形で出やすい。ブーミーではないが、タイトとは真逆に感じられる音。ソリッドでもなく、ゼラチン質というほどプルプルしていないので、イメージとしては納豆といった感じか(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:音場には若干密集感があるのと、音像の多彩さにはやや×感じがあり、ノイズ感も少しあるのでミニチュア的な鳴り方という感じ(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ハイハットの粒感が良く、鮮明で疾走感は出やすい。ドラムも表面はシャープ。やや軽快な音(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:透明感もあり、のびやかさも悪くない。

 

【3】官能性

 秦基博「Rain」は低域が若干粗く、ザラザラしているが、中高域とボーカルはかなりなめらかで良質。ボーカルに清涼感もある。

 fhána「ムーンリバー」はボーカルの突き抜け感はなかなかでみずみずしさもある。情報量が多いせいか、側面の楽器音にはやや雑然とした感じがあるが、全体としてはソリッドな感じがあり、きめ細かく感じやすい。

 石川智晶「スイッチが入ったら」は繊細で緻密な感じの音場は比較的よく表現されている印象。音の輪郭ははっきり明瞭でシャープ。ボーカルはのびやかさとみずみずしさがあり、尖らずにきれいに抜ける。キレとメリハリは結構しっかりしている。

 分島花音「ノットフォーセール・フォッシル」はドラムが軽快で元気がある。ボーカルの定位感も良好。メリハリが良く、ハイハットの疾走感もきれいに出るので比較的楽しめる。

 

【4】総評

 それほど悪くない評価と酷評が合い乱れる機種で興味を持ったので手に入れてみたが、その印象は意外と悪くない。価格がこなれていて、低価格で安定的に手に入る割に音質面では(多少気になるところはあるが、)スポーツに向く軽快な音楽を楽しく聴かせようというコンセプトは感じられ、audio-technicaらしい配慮を感じるところがある。ただし、このうえの3000円以上5000円未満の価格帯が充実していてハイレゾ対応機種まで存在する現状で、このレベルの機種を安いからといってあえて選ぶ理由はあまりない。装着感に賛否両論があるところを見ても、この機種を買う場合はまず装着感が合うかをしっかり確認する必要もありそうだし、やや面倒なところはあるかもしれない。

audio-technica ATH-SPORT1

 

【5】このイヤホン向きの曲

  メリハリと定位感が良く、意外とおいしく聴ける。ボーカルの透明感とパーカッションのシャープな輪郭感がなかなかに味わい深く、悪くない印象。

 

 かなりシャープで輪郭のしっかりしたハイハットが疾走感をきれいに出してなかなかに中毒的。ボーカルものびやかでみずみずしさと透明感がある。(及川リン「Going to the sea」)

 

audio-technica SONICSPORT カナル型イヤホン 防水仕様 スポーツ向け ブラック ATH-SPORT1 BK

 

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【ハイレゾ対応ヘッドホン audio-technica ATH-MSR7 レビュー】豊かで色気に満ちた中高域を軽快で爆発力のある低域が支える

audio-technica ATH-MSR7

audio-technica 密閉型ポータブルヘッドホン ハイレゾ音源対応 ブラック ATH-MSR7 BK

 

おすすめ度*1

 audio-technica ATH-MSR7

ASIN

B00OTAE2B0

 そこそこ厚みがあり柔らかいふかふかのイヤーマフの耳当たりは悪くない。やや蒸れやすいが、遮音性は良好。音漏れは少しある。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は着脱式ケーブルとキャリイングポーチ。

 

 

audio-technica ATH-MSR7

 

【2】音質

 つややかで色気のある音を鳴らすヘッドホン。高域は鮮明度も高く、シャープでキレが良いうえに中盤にはふっくらしたつややかさもあって色気満点。弦楽などはとくにきれい。中域ではシャープネスが少し強すぎて、曲によってガチャガチャしやすいところもあるようには思うが、キラキラと華麗な色合いがある。低域はそんな中高域を支える比較的自己主張が少ない音という印象だ。全体的に明るく軽快といえる。

 

[高音]:のびやかで突き抜け感もある。音は滑らかで弦楽はとくに色気を感じ、格別(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:シャープネスが若干強く、音の密度の高い曲はガチャガチャしやすいところはあるものの、鮮明度は高く煌めく色彩もある。

[低音]:表面張力を感じる音。厚みはそこそこで重厚感はそれほど出ない印象だ。上方向へエネルギーを送る、反発する足場を感じる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:のびやかさと色彩感は良好できらびやか。音の密度が高い一方、上方向への抜けは良く感じるので、円柱形に感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ハイハットの粒は細かく、キラキラ感が強くてシャリシャリ。ドラムは表面張力高めで軽快。踏み込みはやや浅いような軽めの音(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは楽器と近く、一体感があるが、場合によってガチャガチャしやすい。声色は透明感と清潔感があり、明るい。

 

【3】官能性

 Choucho「ハルモニア」は細かな音まで鮮明で色彩感良好。ボーカルは透明感のある澄み切った味わい。弦楽の突き抜けも中毒的。明るくキラキラ光輝に満ちている。

 ClariS「カラフル 2017」は弦楽の伸びやかな音色と清涼感のあるボーカルが透き通ったきらめきに満ちた空間を作る。高さがしっかり出て、ピアノの色彩感も鮮やか。サビは天上に舞い上がっていくように高く、そして眩しい。

 中島愛「愛・おぼえていますか 〜bless the little queen~」は透明感があって澄み切った楽器音が煌めく音場を作る。ボーカルは若干シャープネスが強めで息遣いしっかり。空間への溶込みも透明感に満ちていて、宝石箱のようにキラキラ。

 fhána「Appl(E)ication」は透明で抜けも良く、すっきりと視界良好な色合い。表面の弾けのよいドラムは爆発力があって軽快。キンキンしやすいボーカルだが刺さらず、高く透明に伸び、余韻の残響感も楽しめる。

 

【4】総評

 艶があって明度も高い、軽快でキラキラした明るめの音色が元気をくれる。中高域はとくに豊かで色気もあり、華麗というような表現が似合うような、煌めき感のある音質が楽しめる。密度は高めに出るので空間的な広さはそれほど感じづらいかも知れない。

 コスパは悪くない。2万円ちょうどくらいという絶妙の価格設定でこなれた感じであり、安くはないが音質を考えると高くはない。ライバルとしてはSONYのMDR-1Aあたりになるが、個人的には遜色ないように思う。こちらのほうがやや鮮やかかもしれない。

audio-technica ATH-MSR7

 

【5】このヘッドホン向きの曲

 全体的に密度が高く、若干音に当てられてボーッとするところはあるが、個々の音はクリアで弾みのある低域も元気。金管はややすっきり味で厚みが薄い気もし、そこは物足りないかも知れないが、軽快で楽しい。

 

 ボーカルの多層的な重なりが綺麗に出るので中毒的。ドラムには爆発力があり、元気。抜けも良く、消失感もしっかりしていてメリハリ、静寂も良好。

 

audio-technica 密閉型ポータブルヘッドホン ハイレゾ音源対応 ブラック ATH-MSR7 BK

 

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【ヘッドホン audio-technica ATH-AD1000X レビュー】開放感のあるすっきりした音場が魅力。音場の広さをとことん体感できる

audio-technica エアーダイナミックシリーズ オープン型ヘッドホン ハイレゾ音源対応 ATH-AD1000X

 

おすすめ度*1

f:id:kanbun:20170607074055j:plain

ASIN

B009S330O8

 装着感は非常に軽い。ふわっとした柔らかい付け心地。遮音性は低い。音漏れも普通に目立つ。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は6.35mm変換アダプタ。

 

【2】音質

 非常に開放的ですっきりのびやかな音質。高域の突き抜け感とのびやかさは言うまでもなく、広めの中域の精彩も細かく丁寧で、低域は弾力的で温かみがある。

 

[高音]:突き抜け感は良く、のびやかさも良好(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:広めで精彩もそこそこあるが、アタック感は若干弱い。抜けは良好。

[低音]:弾力感があって柔らかみのある音。弾ける音は爆発力もある。重みは出にくいので、全体的に軽快な音場に感じる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:広さはしっかりしており、奥行き感もあってとにかく広大。同価格帯の一般的なヘッドホンに比べるとスカスカ感はある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムの弾けは強く、ハイハットも鮮明で軽快(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルはのびやかで突き抜け感良好。

 

【3】官能性

 (K)NoW_NAME「Harvest」はややしっとりとした味わいが出ている。パーカッションに粒感があり、キラキラ感も感じられる。抜けが良すぎて密度が若干淡泊に出るところはあるものの、ボーカルは伸びやかで突き抜け感もあり、温度感も感じられる。ただ声質の味わいはかすかに暗いか。

 Yellowcard「Believe」は全体的に軽快かつやわらか。抜けが良く圧迫感が全くないので、音の輪郭を楽しめるが、少しスカスカした感じはある。全体的に淡泊で個々の音のなめらかな表面感を味わえる。

 藍井エイル「INNOCENCE」はのびやかで抜けが良く、音に滑らかさもあるのでガチャガチャする感じはない。低域は弾力と厚みが見事に両立した音で元気で力強く、爆発力があるので曲全体に推進力を加えている。

 nano.RIPE「雪の精」は楽器音の精彩をかなり味わえ、密度感も比較的しっかり。抜けが良い音で開放感があるが、ややガチャガチャした印象を受けた。ただ低域はタイトな味で音場をしっかりまとめあげているので統一感は失われない。

 

【4】総評

 非常に開放的で広い音場と柔らかくまろやかさもそこそこある音質。全体的に耳当たりが良く、軽い装着感とも相まって家でリラックスして音楽を聴くのには最適。曲によってはややスカスカしがちなところもあるものの、どこまでも抜けていくようなシームレスな音場は他のヘッドホンではなかなか味わえない。

audio-technica ATH-PRO05MK3

 

【5】このヘッドホン向きの曲

 突き抜け感を味わうならこの曲。のびやかで起伏と色彩に富んだボーカルの味わいももちろんだが、ピアノの色合いは優しいながらも精彩があって非常にきれい。

 

 空間への溶け込みが良好なボーカルと楽器音を聞いて欲しい。広い空間表現と相まってどこまでも透き通っていく音場を味わえる。これは中毒的と言って良い。まさにエアーダイナミック!

 

audio-technica エアーダイナミックシリーズ オープン型ヘッドホン ハイレゾ音源対応 ATH-AD1000X

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【DJヘッドホン audio-technica ATH-PRO05MK3 レビュー】自然な色合いでのびやかかつ突き抜け感のあるさっぱりスッキリな中高域が心地よい

audio-technica ATH-PRO05MK3

audio-technica 密閉型DJヘッドホン ブラック ATH-PRO5MK3 BK

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-PRO05MK3

ASIN

B00O3QGOJ8

 全体的にしっかりとクッションが施されたDJヘッドホン。装着感は軽いが側圧にやや強めなところはあるが、イヤーマフは柔らかく、耳当たりはよく長時間使用しても痛くなりにくい。ただ密閉型のせいか温度も篭もりやすく、蒸れやすいところがある。

 遮音性はそこそこだが、音は少し漏れる。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は6.35mm変換アダプタ、着脱可能な3.5mmオーディオケーブル。2種類の付属ケーブルいずれもタッチノイズはない。

audio-technica ATH-PRO05MK3

 

【2】音質

 音質的には高域も低域もバランス良く、全体としてはフラットに感じられる。中高域の抜けはよく、すっきりした味わいが非常にうまく出ていて、篭もった感じがない。低域はややブーミーで比較的落ち着いた鳴り方で重みはそれほどでないが、存在感はそれなりに感じられる。味付け的な妙味は中高域よりであり、低域は中高域を引き立てる形で全体的に調和的な音場を作っている印象だ。

 

[高音]:突き抜け感はそこそこあり、高さも出やすい(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:広さを感じやすい。また楽器音の色づきが自然な感じで殺風景な音でもないが、色づけしすぎないあたりをうまく狙っている印象。これは好印象。

[低音]:ぼーっとした振動。減衰は素直(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:音場の広さは感じやすい。奥の方まで音が鮮明。ただ場合によってややスカスカしている感じがある。圧迫感はない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ハイハットの粒感が良好で疾走感がうまく出る。ドラムはパシパシパンパンといった弾けの強い音で輪郭感がはっきりし、爆発力が感じられやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:奥まりやすい楽器に近い位置関係で、イヤホンに耳慣れしていると奥まっているように感じやすい。声質は自然な色合いで、のびやかさと突き抜け感はなかなか。

 

【3】官能性

 さユり「Birthday」はなめらかで粒感もあり、分離感強めの味わい。ややスカスカしている感じがあるが、個々の音がはっきり聞こえ、定位感が明確で、音が混じり合って潰れたり、ガチャガチャするところがない。

 Rie fu「One-Bite」はスッキリ味でなめらかのびやか。音の艶もほどよくあるが、キラキラしすぎず洗練された上品さのある音。ボーカルは抜けも良くスッキリ。

 池田綾子「三日月」はピアノの音がキラキラしすぎない自然な色合いで、かつ鮮明。パーカッションの粒感は良好で、ボーカルはやや音像がぶれる気がするが、のびやかさと突き抜け感は良好。

 ClariS「Orange」はタイトでしかも温もりの感じられる低域とのびやかで明るいボーカルが暖色の音場を作る。

 

【4】総評

 1万円以下のヘッドホンとしてはコスパは良好。臭みが少なく自然でしかも個々の音像がはっきりした広めの空間表現はどんな曲でも荒れることなくきれいに聞かせてくれる。一方で若干スカスカしたところと、低域が基本的に中高域をサポートする鳴り方をするところで引っかかる人がいるかもしれない。

audio-technica ATH-PRO05MK3

 

【5】このヘッドホン向きの曲

 この曲はピアノの色彩が強すぎたり、楽器音の密度が強く出過ぎてしまうとガチャガチャしやすい曲だが、このヘッドホンなら心配ご無用。細かな音までクリアに、しかも自然な色合いで、若干淡泊気味に聞かせ、ボーカルとの距離感もほどよく、スッキリサッパリした味わいで気持ちよく聞かせてくれる。(ZAQ「Sparkling Daydream」)

 

audio-technica 密閉型DJヘッドホン ブラック ATH-PRO5MK3 BK

 

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【カナル型イヤホン audio-technica ATH-CKS770 レビュー】深みのあるタイトな低域が中高域以上をまとめあげる独特の音質が秀逸

オーディオテクニカ SOLID BASS インナーイヤーヘッドホン レッド ATH-CKS770 RD

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-CKS770

ASIN

B016D3AEZI

 独特のハウジングが特徴のソリッドバスシリーズのイヤホン。耳への装着感は良く、安定している。遮音性はそこそこ高く、音漏れも少なめ。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。ケーブルのタッチノイズは少しある。

 

audio-technica ATH-CKS770audio-technica ATH-CKS770

 

【2】音質

 ソリッドバスシリーズは独特の深掘りされるタイトな低音に味わいがある。このタイトな低域は存在感がありながらも中高域に被さらずに深い位置を保って、音場を下から丁寧に支え、中高域に弾みを加えてくれる。良質な低域が作り出す音場の躍動感と一体感がこのシリーズの特徴だ。

 

[高音]:突き抜け感もそこそこあり、高さもしっかり感じられる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:ほどよく色づきもあって豊か。

[低音]:100hz~30hzまで厚みがありながらはっきりした振動を感じる。ドラムは重く弾みもそこそこにある、ズバンズバンという爆発力のある音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:深めの低域が下方向に広い足場を作り、高さも感じられる、広めの球状(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラム優位だが、ハイハットに粒感もあって、疾走感もかなり出る(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:のびやかさがあり高域でもかすれたりしない。

 

【3】官能性

 沢井美空「なきむし。」ではタイトに音場を引き締める低域がまず魅力的。また弦楽やピアノにははっきり鮮明というほどではないものの、クリアでほどほどの色合いがある。ボーカルは低域に支配されず、清涼感と伸びやかさもある。

 奥華子「小さな星」は弦楽に伸びやかさと色づきがあり、情感は高め。低域がしっかりと足場を作るが、自己主張は強くなく、中高域を引き立てる方向でうまく利いている。

 FLOW「COLORS」はタイトな低域と緻密な中域、元気があって突抜の良いボーカルの三拍子が揃う。推進力も感じられる味わいでぐいぐいと引き込まれるが、爆発力には若干物足りなさを感じるところもある。

 さユり「birthday song」はタイトな低域とほどよく色づきのある中域、力強くのびやかなボーカルが味わえる。ガチャガチャしやすい曲だが、低域がタイトにうまくまとめるので個々の音が潰される感じはなく、むしろ音場全体の統一感が感じられる。

 

【4】総評

 独特のタイトな低域、個々の音を潰さない解像度と価格帯ではかなり上質でコスパを感じさせるイヤホン。ソリッドバスシリーズはこれ以上の上位製品は若干中高域で価格ほどのパフォーマンスを感じづらくなり、物足りなさが目立ってくるので優れたコスパが感じられるのはこのATH-CKS770くらいまでのように思う。

 

 audio-technica ATH-CKS770

 

【5】このイヤホン向きの曲

 低域の重みがしっかり感じられる重厚感のある音場の上に、ややドライながら絵ものびやかなボーカルと楽器音が広く展開される。音色に艶やかさもほどほどにあり、色彩感もうまく出ている。

 

 立ち上がりよく、キレの良い音が楽しめる。広さもあり、ボーカルの突き抜け感も出るので高さも感じられる。低音にはタイトさと深みがあり、中高域を邪魔しない。

 

オーディオテクニカ SOLID BASS インナーイヤーヘッドホン レッド ATH-CKS770 RD

 

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【モニターヘッドホン audio-technica ATH-A500Z レビュー】すっきりさっぱりした独特の聞き疲れしにくい音。パンチは足りないが、クリアで素直

audio-technica ATH-A500Z

オーディオテクニカ ART MONITOR ATH-A500Z

 

おすすめ度*1

audio-technica ATH-A500Z

ASIN

B016DCDZRI

 付け心地はすごく柔らかく、それでいてかちっと嵌まる感覚がある。側面の締め付け具合という意味では硬めにしっかり押さえている感覚があるが、一方でイヤーマフはクッションが柔らかく痛くない。頭の形によってはきつく感じることもあるかも知れないが、個人的には長時間使用でも痛くなったりせず、やや蒸れが気になる程度。

 遮音性は普通で、音漏れはほとんど無い。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は3.5mmと標準オーディオプラグを変換するアダプタ。ケーブルにタッチノイズはない。

audio-technica ATH-A500Z

 

【2】音質

 音質的には聞きやすい、聞き疲れしにくい音。まず高域は自然で抜けが良い印象だが、のびやかさという面では突き抜けてくる感じはない。中域は奥まる音はかなりおとなしく篭もった感じがする一方で、近めの音は色彩感があって鮮やかに感じ、密度もある。低域はかなり淡泊で弱く、足場は明確でない。なんとなく中空で音楽を聴いているような不思議な感じだが、たしかに個々の音は捉えやすく、定位感もしっかりしている。ただそういう性質ゆえか、情報量の多い曲はまとまりなく、個々の情報の個別量が素直に出てしまうところがあって、曲の統一感を阻害しているようなものも見られていて、聞き疲れはしにくいものの、表現として集中力を乱すようなところはあった。

 

[高音]:自然な味わいで抜けも良いが、きらびやかさには欠ける(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域は奥まる音が弱く、奥行き感は篭もった感じで出やすい。逆にのびやかに広がる管弦楽には色彩感があり、充実している。妙味を感じるところ。

[低音]:充実感のある中域に比べるとスカスカしたところがあり、床が抜けているような感じがある。振動はやわらかブーミーといった感じで歯ごたえに欠ける。減衰は素直(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:空間的には球状に包み込む印象。音にギラギラしたところがなく、すっきり聞き疲れしにくい音(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:味付けに終始しており、主導的になる場面は少ない。さっぱり味(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルはのびやかだが味付け少なくすっきりしたところがある。楽器と良く分離されている。

 

【3】官能性

 井口裕香「Hey World」は彩り豊かだが、圧迫感なくすっきりとした抜けの良い味わい。低域は淡泊で重厚さはないが、輪郭はしっかりしている。ボーカルには自然な伸びやかさがあって高さは出ている。空間的には弦楽ののびやかさと立ち上がりがよいので、ほどよく包み込む、そこそこ広い、密度のある音場が楽しめる。床面はスカスカしていて、すこし足元が心許ないところはある。

 Jess Glynne「Ain't Got Far to Go」は立ち上がりのよい楽器音に密度感もあって充実した空間はなかなか。ボーカルとバックコーラスの掛け合いもうまく重なっていて壮麗。メリハリは利いており、この曲の変化の中毒性がうまく出ており、弦楽の空間表現も味わいを加えていて楽しめる。

 petiit milady「azurite」は奥行き感はやや弱く、飛翔感はいまいち。爆発力も抑えめでエンジンの火力を感じられないが、反面ボーカルの色合いは素直でつややかさとのびやかさもあり、楽しめる。全体としてスッキリ味でボーカル中心に聞き疲れせずに、要点だけはしっかり楽しめるといった感じだ。

 やなぎなぎ「音のない夢」ではピアノの色彩は抑えめ。この曲本来の持ち味と思われる濃密な空気感は抑えられていて、個々の楽器音をクリアに楽しめる印象。ただ一体感という面ではやや個々の楽器が分離しすぎて、個別に好き勝手に鳴っているように感じられるところがあり、ボーカルに集中しきれないところはある。

 

【4】総評

 付け心地はよく音楽に集中できる。音質は独特ですっきりしていて淡泊。低域はスカスカした感じが強く、この点が大きく好みを分けそう。またパンチ力にも全体的に欠け、勢いというかガッツに乏しい曲調になりがちでアタック感が味わえない。楽器も管弦の精彩に寄っている感じで、全体としてすっきりした中に管弦の色彩が強く印象づけられるところもある。たしかに独特の味わいがあって、色彩感覚に新しさがあるという意味でもアーティスティックであり、管弦が加わった途端に曲が色づく様子がわかりやすく、敏感に感じられる点は素直に面白い。ハマると抜け出せなくなる人もいるかもしれないが、低域のスカスカした感じはあまり万人受けするようには思われない。

audio-technica ATH-A500Z

 

【5】このヘッドホン向きの曲

 スッキリした楽器音がボーカルを邪魔せず引き立たせる。聞き疲れしにくく、粘っこさがなくて、素直にボーカルの高低と伸びやかさを楽しめる。結構ボーカルが埋もれやすい曲だと思うが、このヘッドホンだとすっきり分離される。

 

 低域が柔らかく、弦楽もほどよく情感を加え、パーカッションもうるさくなく、ボーカルに集中させてくれる。ボーカルはつややかさとのびやかさが良好。(Choucho「木漏れ日色の記憶」)

 

 うるさくなりがちの曲だが、個々の音、とくにピアノとパーカッションが不必要に被さってこず、すっきりしているので聞きやすく、聞き疲れしにくい。密度もしっかり出ている。(SUEMITSU & THE SUEMITH「Sunday'z Sun」)

 

オーディオテクニカ ダイナミック密閉型ヘッドホンaudio-technica ART MONITOR アートモニター ATH-A500Z

 

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【aptX対応ワイヤレスイヤホン audio-technica ATH-CKS990BT レビュー】ドライでスパイシーな低域支配力の強い独特の中毒的な世界観が魅力

オーディオテクニカ SOLID BASS ATH-CKS990BT

 

おすすめ度*1

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ASIN

B01IBIMGZO

 オーテクのSOLID BASSシリーズの有線モデルをそのままワイヤレス対応にしたようなデザインのモデル。ハウジング部分はほぼ同一なので装着感はそのまま。遮音性はそれほどでもなく、音漏れも少しある。

 aptXに対応する。通信は安定しており、音飛びや遅延はなかった。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、キャリングポーチ。ケーブル部分のタッチノイズは目立たない。

 コントロール類は首下のウィング状の出っ張りにあり、慣れるまではやや苦労する。

 

【2】音質

 音質的にはSOLID BASSシリーズ独特の、熱気があってやや乾燥気味の、バチバチと火花散るようなアタック感強めの低域が魅力。全体的に表現はドライでやや硬質な印象があり、中高域は曲によって低域に引っ張られやすいところもある。中高域も精彩において劣るわけではないが、低域の量感が強めなので、そこを魅力と感じるかどうかで大きく評価が分かれる。

 

[高音]:精彩はあるが、低域に支配されがち(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域も低域に押されやすい。音自体には精彩があり、広さもそこそこ。

[低音]:振動は太く厚めだが、輪郭はしっかりしており、20hzまで素直に減衰、深掘りもされる。ドラムやベースはドライでバチバチした粘りもあり、熱気があるが、とくにドラムは表面の張力が強めに思う(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:低域の厚みと深さが強く意識されるため、安定感が強い。上方向もほどよく広いが、低域にどうしても意識が向くので、床面が印象に残りがち(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラム優位。ハイハットは硬質でカチカチした鳴り方(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは息遣いや伸びやかさも結構綺麗に出るが、低域に引っ張られて暗くドライに聞こえがちなところがある。

 

【3】官能性

 ClariS「CLICK」はドラム優位でリズムがズンズン重く主導する。ただ弾力はあるので元気さは維持されており、力強い鳴り方。空間表現の利きもそこそこあって、広さは感じられ、圧迫感はそれほどないが、キラキラ感に乏しく、ボーカルも暗めに聞こえる。

 東山奈央「Hello Alone -Yui Ballade-」は息遣いがそこそこ綺麗でボーカル表現は良い印象。音は全体的に抜けが良いが、ピアノの色彩感が抑えめなため、キラキラ感にやや乏しく、暗く感じられるところはある。ただ音場に密度があって、充実感はかなり満足できるレベル。

 山崎あおい「花火のあと」はドラムに重みと厚みがある。ボーカルの声色はやや暗く、息遣いは綺麗に出ているのでシャキシャキしたところはあるものの、弦楽もやや重たげにのびるので全体的に重厚さが勝っている。

 分島花音「RIGHT LIGHT RISE」も高域の開放感には乏しいが、全体的に重厚で肉厚。低域が支配的で、空高く気持ちを解放するような金管などはかなり弱く背景に隠れてしまうところがあるのは味気ない。

 

【4】総評

 スパイシーな低域が炭酸飲料のように利く。ライバルとしては価格帯的にも被るSONYのMDR-XB80BSだろうが、あちらがビターで大人びた苦味のある低域だったのに対し、こちらは辛味の利いた低域で全体的にはドライな味わいがより強い。そのため、女性ボーカルの曲はつややかさがだいぶ減じられてしまうところもあり、キラキラ感も抑えられてしまうが、一方で息遣いがより強く、パーカッションや低域の熱気がより鮮明に出る。ロック向きにチューンされている印象だ。

 

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【5】このイヤホン向きの曲

 キラキラ感はだいぶ抑えられてしまうが、息遣いが良好。中域がやや奥まっておとなしいところがあるが、ドラムが躍動的かつ熱気に溢れていてサビの熱量が高く、魅力的。

 

 ドラムが重く、しっかりと足場を作る。弦楽の鳴り方はやや重く、ボーカルも低域に引っ張られてしまうところがあって開放感には若干乏しいものの、一方でエネルギッシュな低域中心にパワフルさは増している。

 

 低域の利きが良く、圧倒的。独特のボーカルもドライな味わいが合っている。世界観にマッチしている印象。とくにドラムの弾けと深みは迫力満点で中毒的。

 

 低域の迫力を味わうならこの曲。ドライな味付けも曲調に合っており、圧倒的密度と迫力、そして心がカサカサする独特の空虚感がこちらも中毒的だ。

 

オーディオテクニカ Ver.4.1対応Bluetoothワイヤレスステレオヘッドセットaudio-technica SOLID BASS ATH-CKS990BT

 

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【モニターイヤホン audio-technica ATH-IM70 レビュー】緻密さとみずみずしい生々しさが味わえる正統派のモニターイヤホン

audio-technica IM Series カナル型モニターイヤホン デュアル・シンフォニックドライバー ATH-IM70

 

おすすめ度*1

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ASIN

B00FWGTZWQ

 シュア掛けスタイルのカナル型イヤホン。装着感はそこそこ。遮音性はそれほどなく、音漏れもそこそこ目立つ。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、携行ケース。リケーブル可能。標準添付のケーブルのタッチノイズはほとんどない。

 

【2】音質

 音質的にはモニターイヤホンということで生の音の鳴り方を重視している印象がある。フラットに近く、バランスが取れた印象で演出はほとんど感じられず、生臭いといった表現が合うほど生音剥き出しっぽい音がする。音には全体的につややかさがあるが、空間的には少し奥まるところがあり、個々の音はおとなしめに感じる。立ち上がりはよい感じだが、アタック感などの演出はほとんどなくややぬぺーっと抑揚のない感じがする。

 

[高音]:やや暗めに感じるが、つややかさがある(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:広めの空間表現に貢献する。やや奥まるところあり。

[低音]:ドラムはほどよく弾け、ほどよく深く、ほどよく沈むとバランスが良い印象で好感が持てる。振動は柔らかく太め。100hz~30hzくらいまで素直に減衰する印象(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:立ち上がりは良い。全体的になめらかで空間はやや広め(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムの表現は丁寧に感じる。全体的に細かいが演出感は抑えめ(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルはつやつやしてのびやか。息遣いもよく出ている。ただ生音っぽいところがあるせいか少し暗めに思う。

 

【3】官能性

 GARDNiDELiA「BLAZING」は緻密感は強いが、やや暗め。ボーカルは艶やかだが高域では若干暗くなる。息遣いは良く出ている。

 Rasmus Faber「海の見える街 JAZZ Ver.」はなめらかでつややかなピアノに妙味あり。低域は大人びたビターな味わいで、全体的に音の表現は細かく、緻密さを感じさせる。

 やなぎなぎ「ユキトキ」は立ち上がりが良い楽器音とボーカルの生々しい息遣い、自然な肉厚さに、ややすっきりとしながらもなかなかの味わいがある。

 今井麻美「朝焼けのスターマイン」はしっとりしていて音にみずみずしさがある。ボーカルはやや暗め。

 

【4】総評

 演出、味付けが少なく、音に自然なみずみずしさがある。上品で丁寧な表現に思うが、一方で迫力に欠け、やや暗めに感じるところもある。全体的にビターに味わえるので、どちらかといえばジャズ向きな印象だ。価格を考えるとバランス感覚よく、標準以上のレベルでまとめられている印象があるが、突き抜けた表現力は感じられない気がする。

 

 

【5】このイヤホン向きの曲

 細かな音の表現の緻密さを味わうことができ、立ち上がりの良さのおかげで展開の楽しさもなかなか秀逸に出ている。(nano.RIPE「サクゴエ」)

 

audio-technica IM Series カナル型モニターイヤホン デュアル・シンフォニックドライバー ATH-IM70

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

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