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【特集】実力・評判ともに拮抗。amazonの激安セールで手に入れたJVC HA-FX1100 と Westone W40を課題曲で聞き比べた!

JVC HA-FX1100Westone W40

 

  amazonのカスタマーにとって年2回の大規模セールの1つ、年末恒例のサイバーマンデーが近づいています。今年は12/7 18:00から。欲しかったオーディオ製品を格安で手に入れるチャンスです。

 もちろん私も牙を研いでその日を待っていたわけです……。

 

 そこで休日だった昨日、来たるべきサイバーマンデーに向けて、ほしいものリストをチェック・整理していたのですが、そんな私に驚きの事態が!!!

 

 「Westone W30」がタイムセール中!?

 キレが良いバランスドアーマチュアモデルながら、ウォームな音色で聞き疲れせずに聴けるのが魅力なWestoneのWシリーズ。とくに私が狙っていたW30がサイバーマンデーを待たずしてタイムセールしているではないですか!?

 

 たしかにWシリーズはここ2ヶ月くらい頻繁にタイムセールを繰り返していました。これまでのタイムセールでは通常販売価格のだいたい1.5割引くらいで手に入れることが出来ました。

 しかし、私の目を釘付けにしたのはいつもより値段が安く、2割引になっているところ。

 「サイバーマンデー前に?早めに軍資金を枯渇させようという孔明の罠か?」

 と疑りながら商品ページに行くと、そこにはダメ押しのように「20%OFFクーポン」が待ち構えていました。

 

 「ちょっとまて!タイムセールで20%OFFでさらに20%OFFってことは36%OFF!?ヤバすぎ!」(※実際には元の値段の40%引きだった)

 何かの間違いかと思って、とりあえずカートに入れて購入画面まで行くとたしかに3.6割引くらいの値段……。

 商品ページに戻って手を震わせながらどうしようか考えていると、すぐ横にあるW40もタイムセール中なことを発見してしまいました!

 

「うお!まじか!」

 たしかにW40はもう5年前に発売された機種です。そろそろ代替わりですし、在庫整理っぽい値引きもあるでしょう。しかしこのタイミングで……。

 サイバーマンデーでもう一度もっと安売りされる可能性もありますが、この価格は十分に魅力的すぎました。

 ということで、W40をポチっと。27690円。決して安くはありませんが、普段の4万円の値を見慣れていた私には安く見えます。

 これが「行動経済学で言うアンカリング効果か!」と実感しながら購入、W40を手に入れてしまいました。

 

 しかし、アンカリング効果の助けがあったとはいえ、Westone W40の実力・評判は数々のレビューや店頭での実機試聴で確認済み。音もバランスドアーマチュアらしからぬウォームで耳当たりの良い音です。瞬発力があるバランスドアーマチュアモデルの中では、私の大好きなJVC WOODシリーズに音味が似ている感じなので、私の愛用している2機種、Klipsch Image X11i の瞬発力と JVC HA-FX1100 の豊穣さを兼ね備えている機種といえましょう。まあ裏を返せば、性懲りも無く、おんなじような音のイヤホン買っちゃったとも言えますが。

 

 ということで、この記事は個別レビューのためにエイジング中のWestone W40をJVC HA-FX1100(こちらもタイムセールの激安価格のおかげで物欲に勝てず入手……)と聞き比べようという表題通りの記事でございます。

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【課題曲その1】山下康介「烈風いざないて」

 この曲はPCゲーム「信長の野望・烈風伝」のOPムービー曲です。信長の野望のOP曲はどれも秀逸ですが、個人的にとくに気に入っている曲の一つです。公式の音源動画はないので、とりあえずリメイク版ゲームのPV動画を埋め込みました。背景で流れているのがこの曲です。

 この曲のポイントとしては大きく3つあると思います。

  1. 低域表現
  2. 弦楽
  3. 管楽

 まずは低域弦楽の重厚感とドラムキックの地熱感の出し方が曲の迫力を左右します。次に、とくに中盤からラストにかけて大きく情感に関わってくるのが弦楽で、自然なしなやかさと、浮つきすぎないほどよい色味が求められます。最後は曲の味付けとして大きく関わってくる木管と金管で、入れ替わり旋律を盛り上げます。細かいところではシンバルのシャリ感も一定の粒感と厚みがないと臭みが出やすいですね。

 JVC HA-FX1100とWestone W40はともに重厚感のある低域に定評があり、また一定の広さを感じさせる優れた空間表現と、調和性のあるウォームな音質でこういうオーケストラ風の劇伴曲に向いていますので、両者とも得意分野と言えます。

 インピーダンスが異なるので、同じ音量だとJVC HA-FX1100のほうが量感が感じられますが、W40は多少繊細さで勝っているということは真っ先に言えると思います。

【低域の違い】

 1.の低域表現については低域弦楽の重厚感については両者迫力を感じさせるに充分ですが、厚みと低域方向への地熱感ではHA-FX1100のほうが強いです。W40がドドンだとすれば、HA-FX1100がズドドンだというくらいの違いで、両者とも太さは申し分ないですが、HA-FX1100のほうが空間への広がりで勝っています。それが曲全体に鳴動する揺らぎを与えていて、躍動感につながっており、迫力に大きく貢献しています。一方でドラムキックに関しては、HA-FX1100が若干潜るような、下から響いてくる膨張感があるのに対し、W40のキックは膜を張る柔らかさがありながらもよりまとまりを感じ、はっきりした輪郭があります。

【弦楽の違い】

 2.の弦楽ですが、こちらも輪郭感には差があります。HA-FX1100の弦楽は芯がはっきりしていますが、輪郭は空間に溶け込み、調和的です。芯で情感をしっかり出しながら、弦楽だけが浮き上がりすぎず、空間全体に波紋のように揺らぎを広げる鳴り方をします。一方で、W40はより弦楽が孤立しているというか、まとまりがよい形で聞こえます。より尖りがあり、抜けが良く聞こえるのはW40でしょう。HA-FX1100が余韻を空間に色づけする音だとすれば、W40は色味をさっと消して、その静寂に余韻を感じさせる鳴らし方です。炎にたとえれば、HA-FX1100の弦楽の音はキャンプファイヤーのようにゆらいで明るさと熱気を四方に伝える性質の炎。W40の弦楽はガスコンロのようにまとまりがよく周囲に熱をあまり逃がさず、ピンポイントで熱する性質のものという感じです。

【管楽器の違い】

 3.管楽器についても同様のことが言えます。印象としてはW40の管楽器はHA-FX1100と比べると細いです。低域の圧倒的厚みに比べるとやや力負けしている印象は否めませんが、一方で輪郭ははっきりしており、厚みのある低域に包まれながら、それを切り開いて聞こえてくる突き抜け感があります。それに対し、HA-FX1100の管楽器はそれ自体太く厚みがあり、低域に負けない同質の重厚感を感じさせ、むしろ低域と調和的です。低域の熱量を受けて同等以上の熱気を放って聞こえてきます。W40が管楽器と低域音に方向性の違う引き合う対立軸を持ち込んで、そのコントラストで曲に一定の緊張感をもたらすことで説得力を出しているとすれば、HA-FX1100は完全な一体感で空間全体を躍動させて迫真感で説得力を出します。

【結論】

 結論から言えば、この曲に関してはHA-FX1100のほうが私の好みなのですが、HA-FX1100にそれほど劣らない量感の迫力を出しつつ、より個々の音の個性を感じさせるW40の音も素晴らしいとしか言いようがないです。

 

【課題曲その2】Owl City & Carly Rae Jepsen「Good Time」

 ここ3年くらいよく聞いている Carly Rae Jepsen の曲です。

 この曲のポイントとしては大きく3つあると思います。

  1. 低域表現
  2. スピード感
  3. 分離感

 この曲も低域に一定の重厚感が出ないと物足りなく感じそうです。ただこの曲の場合は低域を厚くすればいいというものでもなくて、中高域に覆い被さって見通しが悪くなると、せっかくの爽快感が台無しになりそうです。またこの曲は音のキレの軽妙さでも印象はだいぶ違うのでスピード感は重要です。そして個々の輪郭感がないと、緻密な味も減じます。

【低域の違い】

 1.の低域に関しては量感と厚みではHA-FX1100のほうが優れているので、ビートの重みが迫力を感じさせてくれます。ただ見通しという面では、W40のほうがすっきりしていています。低域と中域の間に適度な距離感があって、中高域に広い空間を感じます。両者の表現には位置関係的な差を感じ、HA-FX1100の低域が前面に出てきて近く聞こえるのに対し、W40の低域は床面を作るように少し離れています。デジタルドラムの音味も若干異なっていて、HA-FX1100がズドンという膨張感のある圧を感じさせるのに対し、W40はウェットな粘りが少し強めにズチャッとした音に聞こえます。これは地熱感の差に明瞭に出ていて、HA-FX1100のほうが、W40より熱気を感じさせます。

【スピード感の違い】

 2.に関しては、W40のほうが明らかに瞬発力が良く思えます。HA-FX1100に比べて、よりはっきりした輪郭感と抜けの良さを持っているW40は軽妙さでは勝っています。

【分離感の違い】

 3.については背景が見えるかどうかで明らかに差があります。W40の音にはまとまりがあり、背景すべてに広がらずにいくつか余白を感じさせています。これはクラブサウンドでは大事な点で、音に広がる余裕を与えていて、個々の音がより個性を発揮しやすいパーソナルスペーズを維持できています。そのため曲を俯瞰して楽しめるところがあります。HA-FX1100の迫力は魅力ですが、この曲では個々の音がぎっしり詰まりすぎてしまって、窮屈そうに見えるところがあります。

【結論】

 結論から言えば、この曲ではW40のほうが見通しよい分だけきれいに聞かせてくれる気がするので、私はW40に分があると思います。HA-FX1100はたとえるならお祭みたいな表現の仕方で、熱気と迫力は出ますが、みんなでまとまって神輿を担いでいるようなところがあるので、個々の音の動きが制約されてしまって窮屈そうに聞こえます。それに比べると、W40は一体感がありながら盆踊りくらいのスペース感があって、個々の音がスムーズに踊れるだけの隙間が感じられて音に渋滞する感じがありません。

 

【課題曲その3】Jess Glynne「Thursday」

 ここからは結論だけ書いていきます。

 Jess Glynneは「Home」を聞いて衝撃を受けました。それ以来ずっと聞き続けていますが、今年10月に2枚目のアルバムが発売されて、これがまた収録曲がどれも素晴らしいです。そのセカンドアルバムの中からこの曲を聞き比べてみます。

 この曲では甲乙付けがたいところがありますが、空間を震わせる低域の地熱感がよく出るのはHA-FX1100のほうです。そのせいで空気感の濃密さではHA-FX1100が圧倒的に勝ります。一方でW40では高域に残響感があり、より透明感が感じられます。この曲に求められる低域やボーカルの厚み、楽器音の一体感に関しては両者充分満足できるので、評価の分かれ目は後味程度の細かな好みの違いになってきます。HA-FX1100が濃厚なシチューかポタージュ、W40は味は濃いがさっぱりしたコンソメスープといった感じです。

 

【課題曲その4】ヨルシカ「負け犬にアンコールはいらない」

 Youtubeがある日しきりにおすすめしてきて、見事に嵌められてしまったのがヨルシカです。moraにハイレゾ音源あります。アルバムは2つとも粒ぞろいで飽きさせません。

 この曲に関してはW40のほうがまじめに見通しよく音を表現してくれて、本来こういう聞かせ方が丁寧でいいんだと思うんですが、HA-FX1100の聴かせ方のほうが、断然ハートに歌詞を響かせてきます。ボーカルの歌う嘆きの感情の篭もり具合では、圧倒的な差があり、個人的には文句なくHA-FX1100一択です。これは厚みと熱気の差ですね。

 

【課題曲その5】Uru「remember」

 夏目友人帳の劇場版の主題歌です。いわゆる「お涙ちょうだい」系の刺さる歌ですね。このシングルはカップリング曲もよくて、「ごめんね。」はやや軽妙なR&Bで、気持ちのスイッチを切り替えてくれる曲。ほかに山崎まさよしの名曲「One more time, One more chance」のカヴァーと、名曲「フリージア」の弾き語りに近いセルフカヴァーが収録されています。ちょっとしたミニアルバムくらいの収録数でコスパが良いです。どの曲もしっとり心に響くのでリラックスタイムに最適です。

 迫力と情感という面でやはりHA-FX1100に軍配を上げます。高域での透明感はW40のほうが優れていて、音の繊細さもより強く感じられるのですが、HA-FX1100のほうが躍動感があり、情感の盛り上げ方がうまいです。中域付近で厚めのボーカルでしっかりためを作っておいて、サビでそれを力強く一気に持ち上げるパワフルさがカタルシスを生んでいます。

 

【総評】

 どちらも調和的な音場表現で低域にかなりの存在感があり、音に厚みがあるという点で共通性があって、しっかり情感をのせて聞かせてくれるタイプのイヤホンなのですが、より突っ込んで迫力と叙情を強調してくるHA-FX1100のほうが徹底している観があります。W40にはHA-FX1100にない見通しの良さとスピード感があって、キレのあるオシャレな曲ではその強みが出ます。ファーストインプレッションではWestone W40は Klipsch Image X11i と JVC HA-FX1100のいいとこどりみたいな紹介をしましたが、いくつかここで課題曲を聴いた印象では、Klipsch Image X11i の代わりは出来ても、JVC HA-FX1100ほどの豊穣な表現力はないので、後者の代わりは出来なさそうだなというのが感想です。

 

JVC HA-FX1100Westone W40

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【コラム】完全ワイヤレスイヤホン製品を放浪した末に、改めてJVC HA-ET900BTに再び向き合う。その音質のコスパの良さを実感させられた[完全ワイヤレス深掘り]

JVC HA-ET900BT

JVC HA-ET900BT 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth/防水(IPX5対応)/最大9時間再生 ブラック HA-ET900BT-B

 

 最近完全ワイヤレスイヤホンでは、audio-technica ATH-CKR7TWRHA TrueConnectに、ワイヤレスではThe House of Marley SMILE JAMAICA WIRELESS、有線ではJVC HA-FX1100に夢中だったが、ふとしばらく聴いていなかったJVC HA-ET900BTを聴く気になった。おそらくまともに聴くのは9月の特集記事以来で2ヶ月ぶりくらいのような気がするが、SONY NW-ZX300に繋いでプレイリストをランダム再生している内に、音質の良さに改めて気づかされた。もちろん好きなJVCのイヤホンで耳と相性が良い可能性もあるが、誤解を恐れず言えば、audio-technica ATH-CKR7TWとRHA TrueConnectという上位機種のいいとこ取りをしているところがあり、TrueConnectほどではないが良好な粒感、ATH-CKR7TWほどではないが抜けが良くスッキリしたエッジ感と音場表現で、改めてコスパの良さを再認識させられた。……装着感だけは相変わらずだが。

 

 なお、JVCがイメージ紹介動画を作っているので、一応挙げておく。正直これを見てもこの製品のイメージ湧かないけど。実際これつけてこんな走ったら耳痛くなるし。

 

【1】参考記事

 参考のため、以前のレビューを掲載しておく。当初のレビューは掲載は2月で、すでに9ヶ月経過しており、その間にいろいろな完全ワイヤレスイヤホンを味わい、レビューしてきたので、少し見方も変わったかもしれない。

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【2】HA-BT900BTの美点

価格がこなれている

 発売から半年以上経ち、ライバル機種も多くなってこの機種の存在感は埋もれ始めたところがあるが、そのおかげか価格的にもこなれている。一時は9000円を割り、激安に近くなっていたが、9月に入ってからは年末商戦に向けてリバウンドしており、現在は最安でも11000円くらい。セールでもう少し安く手に入るかも知れないが、国産メーカーの製品では最安クラスで手を出しやすい。

 

通信品質が安定している

 これはJVC HA-XC70BTも同様だが、手に入れた個体の範囲ではJVCの完全ワイヤレスイヤホンモデルは通信品質の安定性が相対的に高い。遅延や途絶を感じることがほぼなく、人口密集地では途切れることはあるが、BOSEやSONYなどの他社製品に比べて安定性が高い印象だ。

 

音質がよい

 私の大好きな秦基博の曲を聴くと、どうしてもボーカルが若干ドライでハスキー感を強調するところがあり、かすれて聞こえることがあるのだけはもうちょっと瑞々しさがほしいと思うが、それ以外は概ね素晴らしい。楽器音の輪郭感がかなり明瞭で緻密な音像表現を感じ、個々の音がソリッドな粒感を持っているが、ザラザラした砂粒感はあまり感じさせず、表面の色彩感はほどよく乗っている。この色彩感の「ほどよさ」というのもなかなか絶妙で、煌めき感は結構感じられるが、しつこく後味までキラ味を強調せずに、キラッと光るとすぐに気持ちよく抜ける。細かな音で細密感があるのに、個々の音が粘らずにサラッと抜けるので圧迫感がなく、爽快味が強い。おかげでJAZZやロック、クラブサウンドが非常に気持ちよく聞けるのだ。

 

【3】官能性

 以前のレビューでもいくつかの曲を聴いて官能性をレビューしているが、今回改めて最新のプレイリストから、このイヤホンが魅力を引き出してくれる数曲を改めて紹介したい。

 

 最初に紹介したいのはRasmus Faber「RISE (Vocal Version)」。アニメ「はるかなレシーブ」のオリジナルサウンドトラックに収録されている曲だ。

 Rasmus Faberは最初はラジオNIKKEIの「ミュージックアプリ」でアルバム「We Laugh We Dance We Cry」の曲が流されていて、それを聴いて惚れ込んだ。アニメ主題歌のJAZZアレンジ盤みたいなのも熱心に出していて、それがまたどれも秀逸。Youtube上でも検索すれば楽曲を聴けると思うが、公式アップロードではないものが多いようなので、ここでは公式動画を埋め込んで紹介したい。とにかく語彙力が足りない私にはどれも「クール」としか言いようがない。

 で、そんなRasmus Faberが作曲した「はるかなレシーブ」のサントラ盤だけど、どの曲も秀逸。明るいラテンテクノ/ラテンハウス系のサウンドっぽい表現に、JAZZテイストな遊び心のある曲ばっかりで、お茶目かっこいいというか、肩の力を抜いて微笑みながら聴けるスタイリッシュなテイストがすごくいい。下が公式の試聴動画。

 さて、そこで今回のJVC HA-ET900BTで聴く「RISE (Vocal Version)」だが、まずエッジ感が良いので個々の音がしっかり聞こえるのと、やや明るめの清潔感のある表現が爽快感が出るので、解像度良く圧迫感無く楽しめるのが、この曲というか、このサントラ曲全般に向いている。そのうえで煌めき感は結構しっかり出るのだが、キラ味の後味がくどくなくすっきり抜けるので、シャープ感と清涼感が感じられる。低域は存在感はそこそこあるが自己主張が強くなく、中高域と距離感を取ってサポートする感じの位置関係なのもいい。パーカッションはかなり粒感良く疾走感を乗せてリズムを出す。全体的に緻密さと鮮明さを両立させて、しかも明るくすっきりと聴かせてくれる。

 

 一方でpetit milady「360°星のオーケストラ」ではやや弱点を見せてしまうところがある。シャープなエッジ感で緻密に聴かせる表現になっているが、ハイハットの音の端はやや鋭すぎ、耳に刺さりやすい。ボーカルもシャープネスが強めで息感が強くなるので、若干ギスギスして感じられる。そうしたピーキーなところを除けば、明るめの色彩感で爽快感重視で聴かせてくれる。残念ながらこの曲に関しては100点満点では個人的に70点くらい。

 

 NOW ON AIR「この声が届きますように」。ボーカルの重なりやピアノの少し厚みの感じられる表現など、それなりによい感じ。ドラムとハイハットがかなりシャリ感強めに出てしまうところが、疾走感を綺麗に出すが、一方で人によってはシャリシャリしすぎて軽薄な印象を感じさせるところもあり、好みは分かれそう。個人的には不快感を感じる結構ぎりぎりなライン。

 

 以前のレビューではClariSの曲について書いていなかったので、今回しっかりレビューしたい。全体の表現の方向性としてはクールで硬質、シャープネス強めだ。「ルミナス」みたいな曲は煌めき感が強調され、細めの輪郭の音で透明感と細密感があるが、ボーカルの息感や衝撃音はやや鋭く、弦楽やピアノは固めで温かみには欠ける。カリカリシャキシャキした味わい。こういう音質傾向だと、たとえば「君の夢を見よう」は少し冷たく鋭利で硬く、歯ごたえが出過ぎる。「ヒトリゴト」も色味が強く出過ぎて、金管はかなり硬く、全体的に音の自己主張が強すぎて調和性に欠けるように聞こえる。

 一方で「カラフル」のような曲だとややシャープなエッジの鋭さが気になるが、色彩感は良く出て個々の音の輪郭もよく、かなりメリハリ良く緻密に聴かせてくる。鮮明な音の分離感から来る解像度はかなり感じられるだろう。「ひらひら ひらら」も個人的には比較的よい。やはりキラ味とシャープネスが大音量時には耳に刺さりやすいところはあり、音量には配慮が必要だが、透き通る光沢感のある音楽空間と、クールな透明感で少しだけ生気感に乏しくはあるが、しなやかに伸びるボーカルが味わい深い。

 緻密感が強く出るので、「Gravity」も良い。この曲は刺さりやすい音が少ないので、シャープなエッジ感のよいところだけを味わえる。音量を大きくしすぎるとシャープネスが強く出過ぎて胸焼けしやすいといったピーキーさはある。

 

 DAOKOの曲も最近好きでよく聴いている。たとえば配信されたばかりの曲だが「ぼくらのネットワーク」みたいな緻密感重視の曲はよく表現する。硬質でシャープ、キレの良い感じは気持ちよい。ボーカル的にも軽い息感なので、あまり刺さる感じがなく、シャープ感が強調されることからくる不快感は少なく、恩恵の方が大きく思える。鮮烈といってよい感じに仕上がっている。

 同様に「終わらない世界で」も緻密感が味わえる。全体的にエッジが利いてシャープ感があるが、楽器音の傾向が刺さる感じに出ずに抜けが良いので、メリハリ感だけ素直に強調されて聞こえる。繊細に煌めく楽器音と、相対的に温もり感を感じさせるボーカルの関係性が良好で、お互いの色味を出す空間を維持しながら、サビなどところどころで濃く交差する。

 

 アニメ「宇宙よりも遠い場所」のED「ここから、ここから」も大好きな曲だが、このイヤホンはかなりうまく表現してくれる。清潔感のあるボーカル表現と、エッジを利かせてドライな味を加えるギター、煌めき感のあるピアノ、シャープなハイハットとタイトな硬めの反発力があるドラムの組み合わせが、この曲の色彩感と疾走感、爽快感をバランス良く聴かせてくれる。

 

【4】改めて、総評

 緻密で繊細な音楽空間を作りつつ、疾走感と爽快感を出してスパイシーさも加えてくる音場は明るく快活で、ロックやクラブサウンド、JAZZをサッパリと楽しむのに向く。曲によってエッジの尖りが強く出過ぎて刺さるところはあり、音量には注意が必要ではある。音の傾向から分離感と鮮明度は高く感じられるので、解像度は高く感じられやすいところは美点。有名メーカー品では最も安い部類に入るものの、音質だけ見ればかなりのパフォーマンスを持っている。

 使用感の面では、装着感が少し硬いところが気になる。長時間使用すると耳が痛くなるところもあって、欠点もある。それでも、長く付き合ってきて改めて良さを感じさせるところのあるイヤホンだ。これだからJVC製品は、手放せなくて困る。

 

JVC HA-ET900BT 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth/防水(IPX5対応)/最大9時間再生 ブラック HA-ET900BT-B

 

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【特集】新宿&秋葉原で路上テスト敢行!都心部での完全ワイヤレス&ワイヤレスイヤホン&Bluetoothオーディオレシーバー通信安定性テスト

秋葉原

 去る11月2日、3日、4日の3日間に秋葉原&新宿に連泊して、いろいろ買い物してきました。しかしただ買い物するだけではつまらない、せっかく人口密集地に行くのでワイヤレスオーディオの通信性能を試そうではないかと選り抜きの製品をかき集めて持って行き、路上でテストを敢行してきました。この記事ではその結果をレポートします。

 

【今回持っていった製品】

音源機器(発信元)
1. 完全ワイヤレスイヤホン
  1. JVC HA-XC70BT
  2. BOSE SoundSport Free
  3. Lesoom S1
  4. HAVIT G1
  5. CANAVIS J29
  6. Qitian Touch Two V5.0
2. ワイヤレスイヤホン
  1. The House of Marley SMILE JAMAICA WIRELESS
  2. KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)
3. Bluetoothオーディオレシーバー
  1. RADSONE EarStudio ES100
  2. audio-technica AT-PHA55BT

 

 ワイヤレスイヤホンに「KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)」とありますが、これはKSCAT BC05の着脱可能なワイヤレスレシーバーをJVC HA-FX1100のハウジングに接続したもの。つまり実質的にKSCAT BC05の通信性能テスト。

KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)

 BC05のレシーバーはシュア掛けタイプ。おかげでコードが邪魔にならず、装着感はかなりいいです。通信性能は日常使用なら問題なく、音質的にはドライバーはHA-FX1100なので、悪くありませんが、EarStudio ES100など高品質レシーバー使用時の音質には劣りますね。

 

【完全ワイヤレスイヤホンの通信性能】

 率直に言って、今回テストした機種はどれも、完全に安定した通信品質を確保できませんでした。秋葉原や新宿の街中を徒歩移動時にはどれも多かれ少なかれブツブツ通信は途切れましたし、駅構内などのより密集性の高いところでは使い物になりませんでした。ただ通勤ラッシュ時ではない80%くらいの乗車率の電車内では駅での出入りの時を除いて安定動作しましたし、飲食店内などでの利用も安定していました。一方で人通りが少なくても、移動しながらの利用は不安定なところが見られました。

 後述するワイヤレスイヤホンやワイヤレスレシーバーに比べても通信安定性は低いので、まだまだ完全ワイヤレスイヤホンは都心部で快適に使えるほど成熟していないというのが実情なのでしょう。

 

JVC HA-XC70BT

 JVC HA-XC70BTは、今回の機種の中では比較的通信が安定していたように思います。それでも街中の移動時にブツブツ切れることはありましたが、電車内や店舗での使用は安定。

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BOSE SoundSport Free

 今回のテスト製品の中ではスポーツ向けを謳っていることもあり、期待は高かったのですが、結果から言うと少し微妙。歩行時は片耳だけ途切れることも多く、数回完全に通信が途切れてプレーヤーと切断されました。切断されると、自動接続で復帰できる場合もありますが、プレーヤー側で再接続してやらないといけなくなる場合もあるので面倒です。音質は最高レベルの満足度で人気が高い機種ですが、通信品質はそれほど実力が高いわけではないようです。

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Lesoom S1

 音質と装着感が好みで日常生活で使用頻度が高く、通信品質の安定性はそこそこ確認していたので期待していましたが、街中はだめですね。電車内などでは稀に途切れる程度で不便は感じませんでしたが、新宿駅構内に入るとブツブツ。街中歩行時も途切れ途切れで全くいいところなしでした。人口密集地で使用できるほどの通信品質はありません。

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HAVIT G1

 こちらはネット上で評判の良い機種です。音質は良いのですが、ハウジングの形状が私の耳には合わないのか、装着性はあまりよくないので、それほど使ってません。通信品質的にはS1とあまり変わらないですね。電車内や飲食店内のようにあまり動かない場面では稀に途切れる程度で安定してますけど、新宿駅構内、秋葉原の街路歩行時などの人の移動が多い場所ではほぼ使い物になりません。

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CANAVIS J29

 音質が気に入っており、装着感も良いので最近よく使っている機種です。こちらも近所のスーパーに買い物に行く程度の日常使用では安定した通信品質なので期待していましたが、やはり都心部では使い物になりません。新宿駅構内、秋葉原の往来などではブツブツ。

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Qitian Touch Two V5.0

 人気機種のバージョンアップ版です。こちらも日常使用ではほぼ通信が途切れることのない優秀な機種ですが、やはり都心部の往来では厳しいですね。繰り返しになりますが、飲食店など建物内に入ったり、電車内のような移動の少ない箇所では問題ありません。しかし、街中を歩くと途端にブツブツ。人通りの量からいえば、決して負けているとは思えない町田や八王子駅前付近を歩いていても、ここまではブツブツしないので、やはり都心部は電波状況が混雑しているのでしょう。

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 【ワイヤレスイヤホンの通信性能】

 正直今回のテストでは完全ワイヤレスイヤホンとレシーバーのテストが主目的でしたので、左右分離型ではないワイヤレスモデルのイヤホンは比較対象として参考にするつもりでした。しかし結果的には今回持参した完全ワイヤレスイヤホンはおしなべて通信品質で満足できるものはなかったので、都心部では最低限ワイヤレスイヤホンを使用することを推奨します。

 

The House of Marley SMILE JAMAICA WIRELESS

 音質が気に入っていて、寝ホンにも使っているネックバンド型のワイヤレスイヤホンです。完全ワイヤレスイヤホンに比べるとかなり通信安定性は高く、完全ワイヤレスで一番健闘していたJVC HA-XC70BT以上に安定しています。往来の移動時にはブツブツ切れますが、完全に切断されることはほぼありません。最低限これくらいの使い勝手でないと快適に音楽は聴けませんね。

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KSCAT BC05(JVC HA-FX1100 カスタム)

 標準付属のイヤホン部分ではなく、JVC HA-FX1100を接続してテストしました。シュア掛けタイプで固定感もよく、通信品質も結構安定しています。やはり街中では途切れることも多いですが、完全ワイヤレスイヤホンよりは断然安定しています。

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【Bluetoothオーディオレシーバーの通信性能】

 まだ個別レビュー記事は書いてないのですが、今回のテストの主目的の1つは、人気の高いオーディオレシーバーのレビュー記事を書くため、その通信品質を確認することにありました。レシーバーとプレーヤーの位置関係をいろいろ変えてテストした結果、レシーバーの位置関係については以下のことがわかりましたので紹介します。

  1. Tシャツの首回りや襟にクリップ止めしたり、胸ポケットにレシーバーを入れるのはあまりよくない。通信があまり安定しない。
  2. ズボンのポケットか上着の腹ポケットが比較的安定する。
  3. プレーヤーもポケットに入れた方が基本的には安定するが、手持ち鞄やバックパックの内側ポケットなどに入れてもよい。プレーヤーがズボンや上着の腹ポケットにあるときは、それでかなり安定した。

 少なくとも今回のテストでは、オーディオレシーバーの通信性能が一番安定していました。顔に近い胸ポケットよりズボンポケットなど低い位置のほうが通信が安定するので、おそらく都心部では地面に近いほうが通信の混雑が少ないのではないかと思います。なのでレシーバーが一番安定するのでしょう。

 レシーバーには上のKSCAT BC05のように、リケーブル対応イヤホンをワイヤレスイヤホン化するタイプがありますが、通信品質の安定性を考えると、個人的には低い位置に持ってこれるポータブルボックスタイプの機種をオススメします。

 

RADSONE EarStudio ES100

RADSONE EarStudio ES100

 EarStudio ES100は、AAC/aptX/aptX HD/LDACという高品質ワイヤレスオーディオコーデック対応を謳い、さらにDACを2つ搭載してバランス出力可能という高い使い勝手と音質を誇る人気機種です。テストした結果からは実際はLDAC対応ではない()ようですが、aptX HDにはしっかり対応しており、充電しながらも使用可能と、ほぼあらゆる点で次に紹介するaudio-technica  AT-PHA55BTに勝っています。音質的にも AT-PHA55BTよりも解像度が明らかに高く、なめらかな音質です。

 通信安定性は高く、今回のテストでは人の密集する都心部の歩行時や駅構内でも、時々ブツ切れするものの、かなり安定していました。

 

※その後11/8にリリースされたファームウェア ver. 2.0.1に更新したところ、正常にLDAC接続された。

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audio-technica AT-PHA55BT

audio-technica AT-PHA55BT

 audio-technica AT-PHA55BTも人気が高い機種です。こちらはAAC/aptX/LDACに対応しています。ES100と違い、LDAC対応はしっかり確認できましたので、こだわる人ならLDAC対応プレーヤーにはAT-PHA55BTを使うと良いかもしれません。個人的には、DACはES100と比べて少し表現が無味乾燥でやや見劣りし、またLDAC対応プレーヤーはSONY製ばかりですが、現行のNW-A55もNW-ZX300もaptX HDに対応しているので、ワイヤレス通信音質的にもLDACが使えないという理由だけでは、ES100でもほとんど遜色はありません。充電時には音楽再生が出来ないところも残念です。

 美点としては、音質をダイナミック向け(MODE A)とバランスドアーマチュア向け(MODE B)の2種類の出力抵抗(インピーダンス)切り替えが出来、調整できます。ただJVC HA-FX1100やKlipsch X11iなど手持ちの主要イヤホンで使ってみた感じ、ダイナミック向け(MODE A)は低音ブーストした感じでややウォームに、バランスドアーマチュア向け(MODE B)は音が少し輪郭良く感じられるので、個人的にはドライバーの種類に関係なく、音が好みなMODE Bを常用してます。

 通信安定性はやはり相対的に高いです。ズボンのポケットに入れれば、都心部の街中でもあまり途切れる場面がなく、比較的安定して使えました。

 

【結論】

 人口密集地では完全ワイヤレスイヤホンはほとんど使い物になりません。ワイヤレスイヤホンでも途切れる場面は多く、オーディオレシーバーを使用するのが一番良いようです。ただしオーディオレシーバーでも胸ポケットや首回りなど上の方に持ってくると、通信安定性は落ちます。使用するならズボンポケットが良いようです。

 

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【特集】注目の「完全ワイヤレスイヤホン」おすすめ6機種を課題曲で聞き比べてみた。[完全ワイヤレス深掘り]

 恒例の完全ワイヤレス特集です。最近、いろいろと情報もそれなりに仕入れ、いくつかの機種を手に入れて携行し、いろいろ聴き歩いた結果、なんとなくトレンドというものがわかってきました。これからも少しずつゆっくりではありますが、いろいろ完全ワイヤレスについて書いていきたいと思います。なぜなら彼らはいろいろ欠点があるのは事実ですが、それに劣らぬ魅力もたくさんありますし、何より今、伸び盛りでますます個性的な機種が出てきているので素直に面白いからです。

 

【参考情報】海外でのトレンドについて

 参考までにいくつか紹介しましたが、海外のレビューサイトを暇なときにだいぶ回りました。評論家の観点を知るのも楽しかったですし、国ごとの着眼点の違いや専門家の論点などを自分なりに整理することが出来ました。

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 内容の詳細は各記事に譲りますが、個人的使用感も含めて、完全ワイヤレスモデルにとってまず重要なのは連続再生時間です。これはどの記事も一様にバッテリーを気にしていることからもわかります。私の実感としてもバッテリーはかなり完全ワイヤレスの使用感を左右します。

 一般にスポーツモデルと言われている機種はイヤホンで再生出来る連続再生時間が長く、4~6時間程度連続再生出来ます。一方で標準的で廉価な完全ワイヤレスイヤホンは大抵3時間ほどしか連続再生出来ません。

 通勤通学用途であれば、イヤホンの連続再生時間は3時間もあれば普通は十分です。完全ワイヤレスイヤホンは収納ドックとなるバッテリーケースを備えていて、バッテリーケースに充電機能があり、大抵は短時間でイヤホンが再充電されます。多くの機種で2~3回バッテリーで再充電可能なので、移動時間に少しずつ音楽を聴くような使い方だと総合で十分実用的な時間が確保されています。私の日常使用における実感でも、一般的な移動時に音楽を楽しむ目的であれば、どの完全ワイヤレスモデルを選んでも不満を感じません。

 一方でスポーツに限らず、長時間音楽を楽しむにはスポーツモデルと言われる連続再生時間の長いものを選んだ方が良いです。スポーツモデルの機種は大抵防水性能や耐久性も高いので、長時間使用でのアクシデントに対応力があるのも利点です。サイクリングやツーリング、長距離ドライブ、レジャーでの使用などにはスポーツモデルが向きます。

 

【「完全ワイヤレス」モデル共通の特徴】

  完全ワイヤレスモデルには固有の特徴があります。まず普通のイヤホンよりも小型な筐体にバッテリーなどを詰め込んでいる分、ドライバーは小さめでケーブルつきのイヤホンに比べて音質面での不利は隠せません。

 同価格の有線イヤホンや無線イヤホンと比べると、音楽の輪郭感の表現にそれほど劣っているようには思われません。目立って音質が粗悪というものはメーカー品では珍しく、シャリシャリとした形になることが多いものの、それなりに明瞭感のある形で音楽を楽しめます。音響機器としての実用性は十分にあるということです。

 ただ低域は一般的なイヤホン以上に出ません。後ほどそれでも低域の表現力に頑張りが見られる機種をいくつか紹介するでしょうが、全般的に薄味に思うか、量感に乏しく思うか、深さを感じないといった物足りなさがあるのは事実でしょう。何よりウーファーが奏でるようなブーム感は味わいづらいですから、それを低域の唯一の魅力と感じている人にはどれもつまらない製品に思えるかも知れません。

 それと立体感は全般的に乏しく、音が近いモデルが多いです。小型ドライバーで音に鮮明さを出そうとすると、どうしても近くなってしまいますね。

 

完全ワイヤレスイヤホンの特徴
  1. コードノイズがない
  2. 軽くて小型。持ち運びに便利
  3. 稼働時間が短め(電池容量に限界があり、高級機種でも2~3時間が標準)
  4. 低域は薄味
  5. 音はどうしてもシャリつく傾向にあり、機械的に感じられるかもしれない
  6. 音の立体感が希薄で、平面的

 

【今回の課題曲】

 さて、漫然と紹介していくのもつまらないので、今回は課題曲を選定して、それを聞き比べる形で紹介したいと思います。

 今回は鹿乃さんの歌う「君がいる世界へ」です。この課題曲を選んだ一番の理由は個人的な好みであり、次に公式動画として正規に公開されているものなので消されることはないでしょうから、この記事にアクセスできる人はみんな聴くことができると思ったからです。

 曲調としては軽妙でほどよく変化に富み、衝撃音もいくつかあって音のエッジ感と味を比較しやすく、パーカッションが比較的音味の乗りがよくてわかりやすいデジタルドラムで、ほどほどの重厚感もある曲であること、そして鹿乃さんのボーカルが比較的声優系に近い声質でボカロに近いような、良い意味で技巧味がそれほど感じられない素直な透明感があり、甘味の色合いを感じやすいと考えたからです。長い一文ですので、整理しますと、以下のような感じです。

  1. ボーカルが素直で色づきが分かりやすい
  2. パーカッションの色味が把握しやすい
  3. 衝撃音が適度に使われていて、音のエッジ感の傾向が分かりやすい
  4. 曲の変化に富み、8bit的な電子音からアコースティックに近い音まで多様

 そして最後には何より、構成と音質的に完全ワイヤレスで楽しみやすい曲だと思ったからこそ選びました。

 

 ちなみに、本来ならここで鹿乃さんの紹介をするべきでしょうが、率直なところ私はよく知りません。「放課後のプレアデス」というガイナックス製作のアニメがあって、それのOP曲「Stella-rium」を聞いたのがきっかけだったような気がします。

 個人的に「放課後のプレアデス」はヴィジュアルで興味を持ったものの、作品自体はあまり肌に合わなかったのか、あまり思い入れがありません。そのため、どういうアニメか忘れました。なんか「きららタイム」系のゆるい百合バナを期待してたら、違ってましたというような感覚を今でもうっすら覚えています。いや、もしかすると、本当に良く覚えてないので適当なこと言ってしまっているかも。ファンの人たち、ごめんなさい。どちらにせよ妄人の戯言です、読み流して下さい。

 で、鹿乃さんですが、そのあと「ヘヴィーオブジェクト」というアニメのEDで「ディアブレイブ」って曲も歌っていました。ちなみに個人的に「ヘヴィーオブジェクト」はよかったです。ストーリーは少し強引な展開だった気がしますけど、重機動兵器に少女って世界観で、ボーイミーツガール物ってだけで「天空の城ラピュタ」の系譜を感じてころりと引き込まれました。原作はラノベだそうです。

 ということで、話は戻りますが、鹿乃さんのCDは買っていますし日常的に好んで聴いているのですが、鹿乃さん自身のことはよく知らない俄か勢で申し訳ありません。ということでペタッ↓

 ↑この課題曲を聴きながら、手持ちの中からいくつかの完全ワイヤレスイヤホンを味わい、その素直な感慨を道標に、徒然なるままに紹介したいと思います。

 

【完全ワイヤレスモデルの紹介】

1. JVC HA-ET900BT

JVC HA-ET900BT

 まず最初に紹介したいのはJVC HA-ET900BTです。JVCとしてはスポーツモデルとして出しており、IPX5の防水性能を持っています。しかしイヤホンの連続再生時間が3時間と標準的でスポーツ向けにしては短く、完全ワイヤレスとしてはでかいハウジングなので、装着感に癖があってスポーツで使うと揺れを感じるので結構耳が痛くなります。というか自分は買い物なんかのちょっとした移動に付けても痛む感じがあるので、お世辞にもコンセプトの面で成功しているとは言えないイヤホンです。

 しかし、音質を考えるとコスパが良く思われ、たぶん一番か二番に愛用しています。音にシャープなエッジ感があり、音楽に瞬発力を感じます。ロックを少しドライなのどごしで聴かせてくれ、意外と弦楽の表現ものびやかさと色づきを感じます。

 課題曲を聴くと、まずデジタルドラムは若干ウェットです。ズシャッという輪郭と衝撃でリズムを表現しようとします。こういう音は粘着力があって好きな人には味わい深いですが、嫌いな人も多いでしょう。ただHA-ET900BTの場合、音に全般的にシャキシャキした感じがあるので、ドラムの粘りは後を引きません。音のエッジ感は尖り気味なので、シャリ感を特に不快に思う人には合わないでしょうが、透明感は出るのでボーカルとの相性は悪くありません。終盤付近のアコースティック味のあるピアノや弦楽から一気にデジタルサウンドに変化していく場面では、妙味を感じます。透明感のあるピアノとのびやかな弦楽の音がなめらかに電子音に変わっていき、やがてシャギーなスプラッシュ感のある音に飲まれていくあたりの表現は、個人的にはなかなかよいです。

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2. Lesoom S1

Lesoom S1

 次に紹介するのはLesoom S1です。比較的装着感が良いモデルです。何より廉価です。しかし、いろいろと使い勝手が悪いです。この点は個別レビューを参考にして下さい。比較的最近使い始めましたが、音が好みなので持ち歩く頻度は高めです。

 このモデルの特徴は価格の安い完全ワイヤレスモデルにしては比較的低音が出ることです。3000円台の製品なのですが、この価格の完全ワイヤレスはシャリシャリした中高域で音を出している機種がほとんどです。元々小型ドライバーゆえに低音の能力の低い小型ワイヤレスですが、低価格ではさらに中高域の尖った音に埋もれてほとんど存在感を発揮できません。しかし、この完全ワイヤレスイヤホンは比較的フラットな音質を実現しており、低域から高域までよく表現します。これは完全ワイヤレスの低価格モデルでは稀です。音源を用いた音質のテストでも50hzまでの振動は確かなものでした。そこからの減衰は極端で40hz以下は振動はおとなしく、20hzはほぼ無音なので、本当の重低音の表現が出来るほどではありませんが、多くの同価格帯の完全ワイヤレスイヤホンの低音が薄っぺらいのに対し、このイヤホンには確かな低域の厚みを感じます。

 音も全体的に同価格帯の中では丸いほうで耳当たりが良く、とくに弦楽の伸びやかさは根元太めに力強く出ます。課題曲でもデジタルドラムには粘りと厚みがなかなかにあり、振動感も感じさせます。ボーカルは少しふっくらして甘味が少し強く、個人的にはこのバランスも好みなほうです。やや暖色で少しもっさり感はあるので、シャリのあるシャープエッジを好む傾向の人は、キレの悪さに辟易する場合があるかも知れません。

 

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3. Tamoo T900

Tomco T900

 次はTamoo T900です。この機種は廉価版の完全ワイヤレスイヤホンの中では使い勝手は悪くありません。まずこの価格帯では音質が妙にシャリシャリしていたり、操作性がピーキーだったり、通信が不安定だったりするものが多いですが、この製品は比較的品質が安定している印象を受けます。少なくとも私の持っている個体は今のところ調子良いです。

 音質的な特徴は価格なりのところも多く、音が近かったり、高域が少しキンキンしやすかったりと弱点らしきところもあります。しかし、若干透明感と煌めき感が誇張され、衝撃音もキレよく出るので、案外印象のよい音を出します。そしてボーカルがけっこうつるんとしたつややかさが出て、耳当たり良く思えます。

 このイヤホンのボーカルの表現は課題曲向きと言えます。透明感も出やすく、キラキラした光沢感も中高域で感じられるので、全体的に明るく聞こえます。一方で音の衝撃力もなかなか強く、パンチ力を感じさせ、曲にメリハリも出ます。若干クラブサウンド色が強く、スカッとして感じられます。

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4. BOSE SoundSport Free

BOSE SoundSport Free

  次はBOSE SoundSport Freeです。この機種は最初に紹介したJVC HA-ET900BTの2倍以上の価格の高級機種です。値段なりの実力はあり、音質は多くの評論家を唸らせ、完全ワイヤレスモデルのランキングでは上位常連です。JVC HA-ET900BTがいまいちスポーツモデルとして完成されていなかったのに対し、こちらはイヤホンの連続再生時間も長く、バッテリー計測に熱心だったフランスのランキングの情報によると、実測5時間20分。個体差があるにしても5時間は大丈夫そうです。実際、私はこの機種を電源切れするまで使ったことがないくらいです。

 ただ私が電源切れするまでこの機種を使っていない理由は、電池容量の長さのおかげだけではありません。個別レビューでも書きましたが、この機種、妙に重いのです。イヤーウィングもよく選んだのですが、いまいち収まりが悪く、重心が外側にあって耳から外れそうで安定感に欠けます。付け心地が少し不安なのです。そのため値段が高いこともあって、家の外では長時間耳に付ける気になれません。最初はしっかり嵌めても、時間とともに重みで耳から浮くので環境音もだんだん聞こえてきます。音漏れもなんだか目立つ気がします。ただここらへんの問題は耳の形によるものでしょうから、個人差はありそうです。

 音質的には低域の存在感が今のところ完全ワイヤレス随一です。低音にまともな重厚感と量感を感じさせる完全ワイヤレスイヤホンは今のところ、これを含めて数機種しかないように思われますが、その中でもダントツだと私は思っています。課題曲でもしっかりと重厚感が感じられ、全体的に太めの力強い音でぎっしりした音の密度を感じさせてくれます。課題曲は比較的軽妙な曲で、大抵の完全ワイヤレスイヤホンで聞いても、すっきりした爽快味の強い曲ですが、こいつだけは肉付きのある形で重みを持って聴かせてきます。

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5. Jabra Elite 65t

Jabra Elite 65t

 課題曲本来の軽妙さを追究していくと、たどり着くのはJabra Elite 65tかもしれません。清澄な透明感のある中高域の表現は、この課題曲にはいかにもふさわしいです。ただ、この機種のコスパは高くありません。決して使い勝手が悪いわけではなく、連続再生時間はスペック以上の6時間超えを記録してフランス人評論家を唸らせました。しかし同じ評論家が過剰な音質表現と釘を刺したように、私も高級機種の割に妙に落ち着きのない尖った音の鳴らし方をする部分は気になります。もちろん多くのランキングでTOP10入りする製品ですから、パフォーマンスが高いことは確かです。ただ純粋な音響機器としての魅力には何か物足りなさを私に感じさせる音質です。

 それは何なのか、使いながら考えていましたが、たぶんほかの完全ワイヤレスモデルと音の傾向に共通点が多すぎて、目新しさが少ないのが原因のように最近思えてきました。音質のレベルは低価格機種以上の表現力を持っていることは事実です。でも音から受ける印象が低価格機種とあまり変わりません。同じように低域が薄く、腰高で、少しシャリ味があって音が鋭く、透明感も強い。傾向として明るく快活。よく考えると、大抵の完全ワイヤレスイヤホンはその特性上こんな音です。これ1台を愛好している人は満足感を持って使うでしょうけれども、すでに完全ワイヤレスモデルを持っている人にはあまり目新しさが感じられないと思われます。

 とはいえ、私はこの音質は嫌いではありません。課題曲の清涼感をよく表現してくれるのはこの機種です。衝撃力を伴って弾けるフレッシュな躍動感と透明に澄み切る突き抜け感を共存させ、シャープで明るく快活な色合いをとことん味わわせてくれます。

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6. JVC HA-XC70BT

HA-XC70BT

 課題曲を聴きながら、心の赴くままに綴ってきたこの記事ですが、しかし私にとって、このちょっとした散歩の終着点に立つべきは、目下のお気に入り機種であるJVC HA-XC70BTです。私はこの機種の使い勝手の良さと音質を愛しています。

 イヤホン本体の連続再生時間は3時間ですが、バッテリーケースと合わせると半日は十分に使えます。錯覚を利用したものなのかもしれませんが、バスブーストモードの低音の出は私にはよく思えますし、鳴り方もほどよいタイト感があってブヨブヨしない、好みの音です。比較的粘りなく、張りと衝撃力をスカッと感じさせるドラム表現も好きで、私が日常的に聴く快活なクラブサウンド風の曲にはよく合います。

 この課題曲においても、私はこのイヤホンの音質に妙味を感じます。ボーカルには甘味が感じられ、全体的にエッジ感の良い音はメリハリに富んでいます。完全ワイヤレスにしては珍しく、低域の存在感もあり、しかもBOSE SoundSport Freeほど重くぶっとくぎっしり聞こえてこない、ほどよい締まりのある音で、音と音の間に隙間をしっかりと感じさせて見通しよく思えます。

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【特集】池田綾子の名曲とともに味わう完全ワイヤレスイヤホン―第1回「旅人」

 今ここで正直に告白しますが、筆者は池田綾子さんの大ファンです。最初に池田綾子さんの曲を聴いたのは、「電脳コイル」というアニメのOP主題歌「プリズム」です。EDも池田綾子さんで「空の欠片」ED曲でした。電脳コイルのアニメ自体もなかなかに名作なのですが、その話は置いておきましょう。ここでは池田綾子さんです。

 大ファンといってもCDを買い集めているだけでコンサートに行ったりはしていないのですが、その自称大ファンから見ると、池田綾子さんの魅力はやはり声楽的なつややかで力強い歌声です。高域への伸びも良く、「三日月」などの曲では非常に透明感のある高域を味わえます。筆者は声質的に辛島美登里さんに似ていると思っています。辛島美登里さんについては、筆者はCDを買うだけでなくコンサートも数回行ってるので、大ファンをたぶん臆面無く名乗ることが出来るでしょう。その辛島美登里さんのデビュー曲「雨の日」も非常にのびやかで透明な高域を味わえるのですが、まさにあの味に似ています。

 辛島美登里さんは歌声だけでなく、洗練された佇まいと歌詞でも一部では非常に評価が高いのですが、池田綾子さんも歌詞は非常に魅力です。どこか幻想的で儚げ、幽玄な世界観を持っている池田綾子さんの楽曲は、筆者には見事に辛島美登里さんの世界観とのシンクロニシティを感じます。おそらく筆者の知る限り、この2人に音楽的な接点はないはずですけれども、筆者にとって池田綾子さんは辛島美登里さんの歌声を思い起こさせるインパクトを持っていました。

 ということで、今日はそんな池田綾子さんの魅力的な楽曲の中から私の好きなレパートリーを厳選し、Youtubeで拾える限りで紹介したいと思います。ここで池田綾子さんの曲を聴いて良いと思った人は、もっとたくさん楽曲がありますから、是非CDを買いましょう。CDはどれも佳作ばかりで絶対に後悔はしません。ついでに申し訳程度に完全ワイヤレスイヤホンも紹介しています。第1回。

 

「旅人」

 この曲はアルバム「オトムスビ」に収録されている曲です。池田綾子さん、結構旅好きなのでしょうか。旅や道を題材にした曲はそれなりに多い気がします。

 さて曲を聴いてみて下さい。勢いがあって力強いこの曲の曲調は、素直に胸に浸透してきます。歌詞には物憂げな日常とその先に確かなものを見つけようとする、まっすぐな道筋を探す人生観が歌われています。活力を与えてくれる名曲ですね。落ち込んでいるときなんかに聴くと、腹の底から「やろう!」っていう気力が湧き上がってきます

 このMADは細田監督の「時をかける少女」の映像が使われていますが、制作者の方、なかなかわかってらっしゃる!個人的には良質な池田綾子さんの曲が音質のよろしくないYoutubeで垂れ流しされるのはひっかかりを感じます。が、こうして紹介できるのもYoutubeのおかげ。いろいろ複雑な気持ちはありますが、ここでは一応、この素晴らしい曲がYoutubeから削除されないことを祈ります。(※MAD動画とのリンクは解除しました)

 

収録アルバム

 

この名曲を一緒に味わう完全ワイヤレスイヤホンたち

Jabra Elite 65t

Jabra Elite 65t

 さて、この曲におすすめのワイヤレスイヤホンとしてはまずJabra Elite 65tをおすすめしたいと思います。フランス人評論家は音質の表現が過剰と、やや苦言を呈しているこのイヤホンですが、爆発力のある中低域表現と透明感の強い高域はこの曲と相性抜群です。

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SOUL ST-XS

SOUL ST-XS

 Jabra Elite 65tはちょっと高すぎる、という人にはSOUL ST-XSがおすすめです。音はよりスプラッシュ感が強く、少しフレッシュで明るさが増した感じになります。Jabra Elite 65tはマイク性能も高く、付属アプリも優秀なのでお値段高めです。しかし、こちらはシンプルな構成で素直に完全ワイヤレスイヤホンとしての機能に特化している分、音質に対するコスパは高く感じられます。

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RUOBAI BS01

RUOBAI BS01

 SOUL ST-XSと競合する価格帯では、RUOBAI BS01もおすすめです。Jabra Elite 65tの澄み切った高域の透明感に比べると、少しシャリシャリして臭みが出てしまっているものの、爆発力の表現がより鋭く、シャープに感じられます。コスパで攻めていくならこの機種はよいです。

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JVC HA-XC70BT

HA-XC70BT

 曲調としては重厚感よりは軽快な味に合う曲ですが、やはり低域の利きがあると満腹感が違います。曲にどうしても一定の重みと量感を求めたい人にはJVC HA-XC70BTがおすすめです。バスブーストモードを搭載しており、低域の存在感がぐっと引き立ちます。ただこの曲は疾走感があるので、過剰な低域は足かせと感じる人もいるでしょう。そういうときはバスブーストモードをOFFにすればほどよい感じになります。

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【完全ワイヤレスイヤホン JVC HA-XC70BT レビュー】中低域付近に圧があり、低音の存在感を高めている。その低音はほどよい締まりのある音。JVCらしいエッジ感も味わえ、全体として熱気のある音楽空間を演出する良機種

HA-XC70BT

JVC HA-XC70BT-R 完全ワイヤレスイヤホン XXシリーズ/Bluetooth対応/重低音/最大12時間再生 レッド

 

おすすめ度*1

HA-XC70BT

ASIN

B07F6DL3P5

 耳への収まりの良い小型ハウジング。出っ張りがあるが耳に干渉しづらいデザインになっている。密着度も高め。遮音性はそこそこ高い。音漏れは少し。

 AAC対応。aptX対応ではないが、通信性能面では、遅延・途絶はなく、安定している。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、説明書。

HA-XC70BTHA-XC70BT

 

【2】音質

 本機種にはバスブーストモードが搭載されており、それをONにすることにより完全ワイヤレスの常識を越えるような重低音の感覚を実現している。後述するように実際の低音はあまり出ているとは必ずしも言えないが、中低域付近に圧を感じさせることで低音の存在感を感じる一種の錯覚を利用しているとのこと(ヨドバシカメラの担当者に説明を伺った)。音質的には重厚感がしっかり感じられる足場の上に、空間表現に秀でた中高域が乗っかっている。完全ワイヤレスではありがちなシャリ感はほとんど感じられず、自然に近い音色。価格を考えてもほぼほぼ文句のない音質だ。

 

[高音]:突き抜け感もそこそこ感じられる。きらきすぎずシャリ感の少ない、自然な温もり感のある伸びやかさ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:弦楽の存在感があり、空間表現と情感は出やすい。

[低音]:意外にも40hz以下はほぼ無音で重低音がそれほど出ているわけではない。だが低域の厚みはしっかり感じられ、しかもブーミーになりすぎない締まりを感じる音。素直に良質に思える(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:広く、奥行き感が感じられる。圧迫感のない広い球状空間(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムはやや衝撃力強めでシャープに出る。粘りはそこそこ。シンバルも尖りのある音でアタック感は出やすいが、耳に刺さらない(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ナチュラルで中盤ふっくら。やわらかく空間に伸びていく。

 

【3】官能性

 SPYAIR「0 GAME」はドラムの衝撃力と反発力がある。パーカッションが強い曲なので、ややシャリつく傾向は出てしまうが、気になるほどではない。ボーカルは輪郭感良好で楽器に埋もれない。

 下地紫野「プ・レ・ゼ・ン・ト」は重厚感と深掘り感が良好な低域弦楽の表現力に妙味あり。サビの突き抜け感とのびやかさのあるボーカルの甘味も自然。ピアノの色づきも良く、全体的に充実している。

 高橋李依「小さな恋の歌」は重厚で色彩感があるが、目立ちすぎないパーカッションがバランス良い。自然な甘味と息遣いのボーカルの色彩感覚も絶妙なラインだ。

 山崎あおい「君のいない夏なんて嫌いだ」はエッジ感良好な弦楽が煌めきすぎず、色彩豊かだが、自然な材質感が感じられる。ボーカルもナチュラルでシャリつかない息遣いと膨らみがあり、耳に温もり感を与える声色。全体としてややスウィート味に振れた甘苦い感じになっている。

 

【4】総評

 夏のボーナスを握りしめて完全ワイヤレスモデルを物色していた時にPioneer SE-C8TWとともにその音質に感動した製品。2018年9月上旬現在15,000円程度とまだ割高な印象だが、年末にかけて1万円近くまで徐々に値が落ち着くだろうと思われる。音質は完全ワイヤレスでは抜きんでているので、現状でも十分にコスパは良いが、ライヴァルとなるSE-C8TWとの価格差を考えるともう少しこなれるまで待ちたい気持ちもあるかも知れない。

 バッテリー駆動時間は連続再生3時間と標準的だが、バッテリーケースの蓄積量が多く、実際の使い勝手はかなりよい。HA-ET900BTでは若干懸案であった付け心地の問題も見事にクリアされており、総合的な使い心地は大幅に向上している。完全ワイヤレスモデルの購入を検討するなら、ぜひ選択肢に入れておくべきオススメ機種である。

HA-XC70BT

 

【5】このイヤホン向きの曲

 緻密な背景音と深みを感じさせる低域表現が広大な宇宙のような空間を感じさせ、散りばめられた音の輝きに引き込んでくる。音の輝きには煌めきすぎない、重みを感じさせる生命的な濃密さがある。

 

 のびやかに空に抜けるような弦楽と勢いのあるパーカッションが明るめで躍動的な空間を作る。ボーカルものびやかだが、息遣いに温もりがあり、甘味も感じられる。自然な温度感と開放感がなかなかよい。

 

 ブーム感を感じさせながら、ボワボワッとくずれずまとまりのよいベース音。精彩のあるシンバル。パーカッションの作り出す熱気が心地よい。マグマのような熱量感のあるリズム音の中でしかし、ボーカルも埋もれない。

 

 ピアノの音色に煌めきだけでなく重みもあって色彩感は良好。トリオボーカルの左右の方向感も比較的しっかり出ており、定位感の遊び心も十分味わえる。

 

JVC HA-XC70BT-R 完全ワイヤレスイヤホン XXシリーズ/Bluetooth対応/重低音/最大12時間再生 レッド

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【特集】日本ファルコム名曲とともに紹介するおすすめイヤホン3選

 家庭用ゲーム機やホビーパソコンが一般的となった1980年代初頭。日本のコンピュータゲーム黎明期であるこの時代から続く老舗のコンピュータゲーム会社が日本ファルコムだ。今ではメジャーなゲームメーカーの一つである。

 さてそんなファルコムだが、音楽にやたらと力を入れていることは夙に有名。レベルの高いサウンドがファルコムゲームの魅力と言ってよい。何よりファルコムのゲームミュージックにはなぜか不思議な魅力があって一部のファンを離さない。

ファルコムミュージックの特徴(自己流評価)
  1. 外連味があって妙に厨二病的
  2. デジタルな効果音好き
  3. オーケストラやったりJAZZにしたりとアレンジ好き
  4. 作品毎に傾向を変え、世界観を感じさせる音楽

 最近はファルコム音楽フリー宣言なるものを公示し、youtubeやamazon musicなどで無料でその秀逸な楽曲が楽しめる。そんなファルコムの楽曲の中からオススメの名曲をピックアップし、ついでに相性の良いイヤホンもセットで紹介しようという一石二鳥な記事を考えてみた。第一弾(第二弾があるかはわからない)。

 

 Sophisticated Fight(英雄伝説Ⅵ 空の軌跡)

 まず一曲目は厨二病サウンド全開のこの曲から。出だしからガリガリパワープレイでえぐってくる。スタイリッシュなメイン旋律の背景からゾワゾワ響いてくる背景音が妙に心を揺さぶってくる。これはファルコム版「ルパン三世のテーマ」と呼べるような代物だ。

  この曲には個人的にDENON AH-C820を推したい。スパイシーな表現と量感がこの曲の世界観をより尖った感じで表現し、厨二病性を引き立ててくれる。

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Quatera Woods(YsⅥ ナピシュテムの匣)

 煌めき感と疾走感のある曲。中盤から奥行き感が増していき、音の拡がりとともに視界は遠く、森にあふれる木漏れ日と動物たちの息吹に吸い込まれていく。そして感じられるのは森の静寂。疾走感のある盛り上がりとその先にある静寂の繰り返しが実に小気味よい。作業BGM向きな名曲。

 この曲の緻密な中高域表現と空間表現の拡がりを味わうにはSONY XBA-300を推したい。なかなかの清涼感を味わえる。

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White Witch Gueld(英雄伝説Ⅲ 白き魔女)

 白き魔女ゲルドの孤独な旅を思わせる独特の寂寥感と叙情的な盛り上がり、重厚感のある曲調が正統派ファンタジーを感じさせる。この曲はドラクエでいえばドラゴンクエストマーチに当たるような主題曲であるが、よりハイファンタジーな色合いを感じさせる。白き魔女の本編内容はドラクエ以上に遊び心があるコミカルファンタジーではあるが、重厚な世界観が展開されてこそなのである。

 デジタルとアナログの複合的な妙味のあるこの曲では、JVC HA-FW01が個人的におすすめ。デジタル音の馴染みがよくなり、全体的にファンタジーの薫りと重厚味が増した味わいになる。

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【ワイヤレスイヤホン JVC HA-FX27BT レビュー】厚ぼったい低域がエネルギッシュな足場を作る。JAZZ向きか

SONY WI-C300

JVC HA-FX27BT ワイヤレスイヤホン Bluetooth対応/リモコン付き/防滴仕様/高音質/小型・軽量設計 ブラック HA-FX27BT-B

 

おすすめ度*1

f:id:kanbun:20180830235734p:plain

ASIN

B077D5K7P2

 装着感は悪くない。遮音性もそこそこ高く周囲の音はだいぶ低減される。音漏れも少なめな印象。

 aptXには対応しない。通信性能は安定しており、音飛び・遅延はない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、日本語マニュアル。ケーブルのタッチノイズはやや目立つ。首を曲げるだけで雑音が入るので、スポーツ用途には使いづらいかも知れない。

 

JVC HA-FX27BTJVC HA-FX27BT

 

【2】音質

 ブーミーで厚ぼったい低域が主役に思える。低域は沈み込む感じで下方向にエネルギーを溜めるような音。中域は骨太で地鳴りのような低域の上にかっちりと音楽を並べる。音は濃厚味を感じやすく、ややもすると大味に思える。高域の突き抜け感は出づらいので、中低域付近の密度感が官能性に影響しそうだ。

 

[高音]:突き抜け感は出づらく、中域に近く思える(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:全体的に骨太。ピアノは特に濃厚味が感じられる。

[低音]:30hz以降はおとなしい。ベースやドラムは地熱を加える下方向に熱いボツボツとした感じの音。(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:中域の充実度に意識が行き、地平線付近に密度を感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラムに熱量感がある(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは骨太。高域ボーカルはのびやかさに欠ける。

 

【3】官能性

 UVERWorld「CORE PRIDE」はドラムの音の傾向が出やすい曲。このイヤホンでは粘りが少なく、下に向けての地熱の表現はあるが上方向へはスッキリしている。ドラムとボーカルの引き合いになりやすい曲なので、ドラムが粘らないとボーカルの味わいが中心になる。粘りと弾けのないドラムは場合によって迫力不足に思うかところもあるが、聞き疲れしにくい調整とも言え、外出時の音漏れなども考慮した使用用途に即した音響なのかもしれない。ボーカルを味わいやすいという意味では嫌いではない。

 秦基博「Rain」は厚ぼったいドラム表現が全体的にビターで大人びた雰囲気に聞かせる。落ち着いて感じられる低域表現に抑制を感じ、濃い目に響く中域の味を引き立てる仕事をしている。JAZZ味のある曲調に聞こえる。

 TrySail「オリジナル。」も全体的に濃厚。骨太な鳴り方でボリューム感がある。ボーカルはやや暗く感じられやすく、煌めき感も抑えめに思うが、一方でふっくらとしたコクがあり、クリーミーといった感じか。

 高田梢枝「メダカが見た虹」は弦楽のつま弾きさえも濃厚な色づきで渋みがある。中低域中心に安定感のある鳴らし方で、これはこれでこの曲のほろ苦さというものがうまく表現されるように思う。

 

【4】総評

 骨太で中低域付近に熱量を感じるので、比較的どんな曲も多少なりともJAZZっぽく聞かせてくれるイヤホンという感じ。もっさり感は出てしまうので、好みを分けそうだが、価格的には手を出しやすく、落ち着いた雰囲気で音楽を楽しみたい人には悪くない選択肢。使い勝手は標準的。音の傾向に好き嫌いが出やすいので、人によってコスパ感は大きく変わりそう。

SONY WI-C300

 

【5】このイヤホン向きの曲

 煌めき感が抑えめで大人びた品格がある。骨太な弦楽がノスタルジックな世界観をしっかりと表現してくれる。(新居昭乃「空の青さ」)

 

 中低域の密度感がこの曲をなかなかによく表現してくれる。

 

  重厚味と濃厚感が出ており、とくに弦楽のえぐってくる骨太の音は曲に説得力を加えている。

 

 

  ボーカルの透明感やキラキラ感はやや乏しく、暗く感じられるかも知れない。その一方でパーカッションを中心に足場の音は骨太で肉厚。やや大人びた落ち着いた曲調で楽しめる。(RYTHEM「ほうき雲」)

 

JVC HA-FX27BT ワイヤレスイヤホン Bluetooth対応/リモコン付き/防滴仕様/高音質/小型・軽量設計 ブラック HA-FX27BT-B

 

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【ワイヤレスイヤホン JVC HA-FX36BKS レビュー】黒光りするいぶし銀的な音を鳴らす

JVC HA-FX36BKS

JVC canal type Bluetoothワイヤレスイヤホンha-fx36bks-b (ブラック)

 

おすすめ度*1

JVC HA-FX36BKS

ASIN

B07D68BFJ4

 ビックカメラ限定モデルらしい。最近ビックカメラはイヤホンで限定販売品をいくつかリリースしており、差別化を図っているようだ。以前限定モデルのamadana PE-817HRも手に入れたが、コスパはなかなかに良好で、かなり魅力的な製品だった。限定モデルながら、カジュアルな利用を考えてか、色のバリエーションが比較的多い。

 コンプライイヤーピース付属。耳当たりがよく、密閉性も高まるため、遮音性はよく、音漏れも大きく抑えられる。

 aptXやAACには対応しない。通信性能的には遅延や途絶はなく、安定している。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、日本語マニュアル。

 

JVC HA-FX36BKSJVC HA-FX36BKSJVC HA-FX36BKS

【2】音質

 独特な渋さというか大人びた印象を受ける音質で、音にエッジ感がギラつく感じはあるのだが、尖るようなシャープさは抑えられている。低域は浅い感じがするが、重低域がかなり深掘りされており、落差のある深淵を感じさせるような黒みがある。全体として黒光りするようないぶし銀的な音を感じさせ、曲によってはぐっと重厚感と情緒感が引き立つ。

 

[高音]:エッジ感がありながら、かなり抑揚というか尖りが抑えられていて、キンキンしない(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:弦楽が重厚で渋みのある音を出し、かなり印象的。

[低音]:中低域は比較的浅く厚みも薄めでガラスのように足元が透けている印象だが、その下にかなり深掘りされて重低域が響く。曲によってこの落差が作る「深み」がコクとなって重厚感を醸す。ただ増し増しした低域ではない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:奥行きはかなり強調される印象で背景音はかなり遠く感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:輪郭感はしっかりしているが、残響感は抑えられている印象で、ドラムも落ち着いている(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ボーカルは芯がぼけているというか太いという印象で、細く伸びていく感じではない。落ち着きがある。背景音が落ち着いているのでボーカルに集中しやすい。

 

【3】官能性

 スキマスイッチ「全力少年」は奥行き感もあり、リズムの骨格がしっかり。ボーカルはかなり安定感があって骨太に聞かせてくれる印象だ。

 植田真梨恵「灯」もボーカルの落ち着いた声色とこのイヤホンの相性の良さを感じ、安定感があってメッセージ力が強い。弦楽も渋めに大人びた光沢感があり、冒頭では相応の寂寥感を出し、サビ付近では上滑りせずに力強い鉄路を進む推進力となっている。

 UVERWorld「CORE PRIDE」はドラムの粘りがしっかり出ながらも、弾けが強すぎず大人びた落ち着いた雰囲気の出方で、耳にうるさい感じがない。輪郭感はしっかりしていて、ビターなテイストも引き立てられ、ドラム中心のこの曲を楽しむにはなかなかにいい。

 

【4】総評

 低域は深掘り方向で出るので、ブーミーな感じではなく上品で落ち着いて感じられる。全体的に黒い背景を丁寧に作って、その上に渋光りする音をまぶしていく鳴らし方で個人的には好み。ただ音に派手さはないため、一聴した印象は地味に思えるかも知れない。

 価格帯的には性能などを考えると若干強気の値段設定に思えるが、独特の品格のようなものを感じる大人びた音質はなかなかに味わい深い。総合的な使い勝手自体は悪くないが、バッテリースペックがカタログ上だいぶ控えめなのが気になる。連続再生時間4.5時間は同価格帯で目立って劣っているわけでは必ずしもないが、SONY WI-C300などはほぼ同価格で8時間再生を謳っているところを考えると、やや分が悪く思える。

JVC HA-FX36BKS

 

【5】このイヤホン向きの曲

 残響感がセーブされている印象で、かなり落ち着いている。楽器音の落ち着きが出ている分、ボーカルの味わいが目立って、しっとり感が増している。楽器は落ち着いているとは言っても、エッジ感はしっかりしているので色彩感は失われていない。(MINMI「四季ノ唄」)

 

 低域弦楽の深みが感じられ、重厚感が出るとともにコクが出ている印象。サビでは弦楽とピアノの抑えめながら輪郭感のある表現で淡い情緒感を醸し出してくる。

 

  やや黒光りするようなビターなテイストがこの曲に合う。(有坂美香「dis-(CLUB MIX Version)」)

 

JVC canal type Bluetoothワイヤレスイヤホンha-fx36bks-b (ブラック)

 

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【DJヘッドホン JVC HA-XM30X レビュー】深みと重みはあるが、重量感は強すぎず中高域を邪魔しづらい低域。若干密度が高く、情報量が多い曲ではガチャガチャしやすいところもある

JVC HA-XM30X

JVC HA-XM30X XXシリーズ 密閉型ヘッドホン DJユースモデル ブラック&レッド

 

おすすめ度*1

JVC HA-XM30X

ASIN

B00DRVB0UI

 大きめで耳当たりの良い厚ぼったいイヤーマフの装着感は良いが、やや蒸れやすいかも知れない。バンドはやや締め付けが硬いので、頭の形によってはきつく感じるかも知れない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は説明書。ケーブルのタッチノイズはない。

 

JVC HA-XM30X

 

【2】音質

 重低音モデルと銘打ってはいるだけあって、低域にはかなりの深みや重みがある。ただし前面に出る感じの音ではなく、タイトで被さる感じもないため中高域を意外と阻害しない。一方でそれゆえに支配的な低域音を好む人からすると重量感の面では物足りなく思うかも知れない。全体的に音に密度感が感じられ、中高域の精彩もよく、バランス感覚に優れる印象だが、情報量が多めの曲の一部では中低域の密度が強すぎて、高域が圧迫される感じが出てしまうこともある。

 

[高音]:楽器が多い情報量高めの曲では奥まり篭もって感じられることもある。逆にボーカル中心の曲やクラシックなどのバランス感覚の良い曲では、充実した高域が感じられる(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:全体的に密度高め。場合によってガチャガチャしやすい。色づきはそこそこよく、煌めき感もある。ピアノの精彩や弦楽の色づきも悪くない。

[低音]:比較的タイトで深みと重みが感じられる音。前面に出てくる支配的な感じでなく、ほどよい分離感がある。重量感はあまりない(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:エッジ感はそこそこある。音は全体的に近く、密度高めでやや混ざりやすい。頭を囲むやや狭めの半円形を感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:シンバルの音は細かく、精彩もある。重みと深みもあるドラムはよく弾み、重たくしすぎず快活な感じも出る(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:透明感はそれなりによく出る。のびやかさも悪くないが、中域の密度を強く感じるせいか上方向の開放感はそれほどでもない。

 

【3】官能性

 May'n & 中島愛 & 坂本真綾「娘々サービスメドレー」はかなり密度高めで全体的に近く、若干ガチャガチャする。曲の転換の切り替えは良く、エッジ感があってキレていて多彩な味わいはうまく出る印象。ただ高域音は圧迫されている感じがある。

 水瀬いのり & 久保ユリカ「動く、動く」は低域ビートがやや耳に近く、若干重たげな印象に聞こえる。ボーカルは埋もれず、一貫性がある。奥行き感はやや弱く、全体的に近く大味に聞こえる。

 UVERWorld「CORE PRIDE」はビートの刻みが近く、重く圧倒的。パンチも利いていて気持ちよい。ボーカルも近く、楽器に埋もれない。

 山崎あおい「夏海」はドラムが重くタイトな足音を刻む。ギターも側面から彩りを演出し、鮮やかな夏の空気を感じさせる。ボーカルが楽器に埋もれる感じもなく、迫力はなかなかにある。ただ若干背景の音がぼやけて感じられるかもしれない。

 

【4】総評

 タイトで良質な低域はなかなかに魅力的で、中高域の精彩もなかなかで充実した密度の高い音楽空間は楽しい。ただし前面に出てくるような支配的な低域好きからすると量感的に乏しく感じられるかも知れない。装着感は悪くなく、使い勝手の面でも価格標準以上の魅力はある。低域モデルと銘打っているものの、意外と万能な器用さを感じる。

JVC HA-XM30X

 

【5】このヘッドホン向きの曲

 ピアノの煌めき感は良好。弦楽の情感もあり、ボーカルの透明感もよく出ている。これくらいの曲だと密度感の高さが逆に曲の味わいを引き立たせ、充実感がある。全体的に近めで抱擁してくる音楽空間が展開される。

 

 低域リズムが足場をしっかり形成する。その上にボーカルと高域音がキラキラと星空のように浮かび上がる。なかなかに聴き応えがある。(今井麻美「朝焼けのスターマイン」)

 

 やや深めの低域がタイトな足場を作る。ボーカルの伸びやかさも良く、突き抜けも良い。側面の弦楽が若干近すぎる気もするが、色気のある音でうるさい感じはあまりない。

 

JVC HA-XM30X XXシリーズ 密閉型ヘッドホン DJユースモデル ブラック&レッド

 

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【ワイヤレスイヤホン JVC HA-ET900BT レビュー】広い空間表現、クリアでスパイシーな味付け。JVCらしいエッジ感は健在。遮音性良好。何より安定した通信性能。他社製価格上位機種と比べても遜色ない使い勝手

JVC HA-ET900BT

JVC HA-ET900BT 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth/防水(IPX5対応)/最大9時間再生 ブラック HA-ET900BT-B

 

おすすめ度*1

JVC HA-ET900BT

ASIN

B078ZSMFSM

 完全ワイヤレスタイプではやや大きめのハウジングながら、イヤーフック付きで耳への収まりは悪くない。やや重みと硬さを感じる装着感なため、耳の形によっては気になる人がいるかも知れないが、個人的に外出時に利用した感じではイヤーフックをしっかり働かせれば、耳当たりは優しく、疲れたり痛む感じはない。ただし、本体の大きさで耳から出っ張る形となり、満員電車などでは外れやすい場面もあるかもしれない。

 遮音性はそれなりに高く、完全ワイヤレスモデルの中では環境音低減を感じるほう。音漏れも少なめな印象でスポーツモデルの需要をよく踏まえている。

 aptXには対応しないが、通信性能の安定性は高い。音響機器から5m以上移動しても途切れや遅延は感じられず、シームレス。動画鑑賞でも不自然な音ずれは感じないだろう。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替え、充電用USBケーブル、専用充電ケース、日本語マニュアル。

JVC HA-ET900BTJVC HA-ET900BT

 

【2】音質

 まず完全ワイヤレスモデルとしては広めの空間表現で圧迫感がない。JVCらしい音のエッジ感をきれいに出すモデルで低音量時にも音の輪郭感が失われない。ただし曲によってはシャリ傾向が出る場合があり、また低域近くの音には毛羽立つ感じが出る。完全ワイヤレスモデル全般の傾向として低域がやや簡素な印象があるが、このイヤホンもその点は大枠変わらず、重みと量感はどうしても感じづらい。しかし、締まりは良く弾けも感じられる音。高域もそれなりに高さを感じる。弦楽の伸びやかさ、色づきのバランスは良く、情感もきれいに出るので弦楽の味付けはよく生きる。ボーカルはエッジ感がしっかりしており、息遣いや輪郭が強い。キラキラした感じはあまりなく、自然に近い感じでほどよい温度感もある。

 

[高音]:高さが感じられやすく、広さに貢献している。弦楽の伸び上がる感じもうまく出る。音味はキラキラしすぎず、エッジ感があってのびやかさを感じやすい(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:完全ワイヤレスモデルにしては左右かなり広く、定位感がある。弦楽の奥行き感・情感はきれい。ピアノは比較的自然に近く、落ち着いている印象。一方でエレキ音などはエッジ感が毛羽立つ感じで強調されやすく、好みを分けそうなところはある。

[低音]:低域は重みがなく、量感的には物足りない。比較的タイトで音の輪郭ははっきりしているので、深みはかなり感じられる。聞き疲れはしにくい音。(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:高域高く、中域広く、低域深く。ボーカルを中心にかなり広めに空間を確保する球状構造を感じる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:輪郭感ははっきり出る。低域ドラムは重みがなく、支配的ではない。シンバルの輪郭感も出やすく、瞬発力もあって比較的軽快な色合いで明るく感じやすい(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:息遣いなどは感じられやすい輪郭のはっきりした声。若干シャリ傾向と思えるが、耳に刺さる感じはない。男性ボーカルの曲は厚みがやや足りなく思えるかも知れない。

 

【3】官能性

 Uru「フリージア」はピアノのほどよい色づきと透明感が曲の色合いを落ち着いたものにし、精彩のある弦楽が情感と高さを表現する。ドラムはやや軽く湿っぽく、若干ズチャズチャした粘り気が出た味わい。個人的にはどちらかというと硬い反響感が好みなのでその点やや残念に思うが、中高域の充実感は頑張っている。

 山崎あおい「夏海」はシンバルのほどよい精彩、明るい色合いのギター、輪郭感があるのでそれなりに重みを出しているドラム、ボーカルの息遣いも丁寧で高く伸びていく声色、広い空間表現となかなかに秀逸。

 fhána「星屑のインターリュード」も悪くない印象。この曲は若干ガチャガチャしやすい曲だが、丁寧な空間表現と輪郭感のよさでうまく仕上げている。ピアノがキンキンせず、精彩に満ちた弦楽の表現もアクセントになっている。低域も響きすぎずタイトに丁寧に音を加える表現がうまく利いている印象。

 Choucho「telescope」は全体的に瞬発力があって小気味よく、上方向へも高さを感じられるので、サビでののびやかさもよく出る。全体的に軽快で快活な味がよく出る上、緻密に音を描き分け、効果音のスパイスもかなり丁寧に出る。

 

【4】総評

 価格的に完全ワイヤレスモデルではミドルレンジに当たり、低位機種で飽き足らない人をターゲットにしたと思われる商品。しかし音質的には上位機種に劣らぬ空間表現と解像度で、緻密かつ伸びやかな音楽空間を丁寧に作っていて、かなり完成度は高く思える。とくに高域方向の高さの感じられ方、弦楽の色づきのよさはかなりのもので、爆発力のあるパーカッションはスパイシー。曲によってシャリつく傾向が出たり、低域は全体的に物足りなく感じられてしまうという欠点はあるものの、魅力は十分。

 装着感や装着性の安定感の面ではこなれていないところも感じられるが、通信品質は高く、上位機種でも通信性能が不安定だったりすることもある時期に、バランス良く使い勝手の良い機種をうまく投入してきた印象だ。20000円以下クラスの完全ワイヤレスモデルではかなりおすすめで、完全ではないワイヤレスモデルとの比較でも中高域と空間表現に関しては同価格帯の機種と渡り合える十分な音質といえる。

JVC HA-ET900BT

 

【5】このイヤホン向きの曲

 緻密で瞬発力があり、爽快感のある傾向。若干シャリっとしやすいものの、効果音の輪郭感も爆発力も良好で充実した表現が思う存分楽しめる印象。ボーカルの声色も明るくのびやかに聞こえる。(歌組雪月花「夢見サンライズ」)

 

 情感のある弦楽と上方向へのびやかなボーカルが曲全体の雰囲気作りに貢献している。ピアノはやや控えめで落ち着いているが、空間への溶け込みはよく感じられる。表現は全体的に緻密。(水瀬いのり「Wishing」)

 

 この曲はボーカルの厚みがやや足りない気もするが、一方で広く吸い込んでいく空間はよく表現されており、個々の音の輪郭も良く、緻密さも感じられる。ミニチュア的ではあるものの、比較的うまく表現されている。

 

 エッジ感が利いて、音の空間的な拡がりもよい。瞬発力もあって曲の展開もくっきりしており、ボーカルの透明感と伸びやかさも鮮明というより鮮烈といってよい。

 

 弦楽の色づきもよく、開放的で、力強いボーカルも上方向に高く伸びていく。低域は量感はやや足りなく思うかも知れないが、輪郭はしっかりしているので確かな鼓動を感じさせ、シンバルの粒も細かく、ドラムス表面の爆発力もあるので弾けるビートが感じられる。

 

JVC HA-ET900BT 完全ワイヤレスイヤホン Bluetooth/防水(IPX5対応)/最大9時間再生 ブラック HA-ET900BT-B

 

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【ポータブルヘッドホン JVC HA-SR77BKS レビュー】ブーミーな低域と清涼感のある中高域。比較的万能

JVC HA-SR77BKS

JVC マイク/コントロール付 ヘッドホン(ブラック) HA-SR77BKS-B

 

おすすめ度*1

 

JVC HA-SR77BKS

ASIN

B017YHU4CU

 装着感は悪くない。イヤーマフも柔らかいが、若干蒸れやすい。遮音性はそこそこ高いが、音漏れは少しある。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はない。

 

JVC HA-SR77BKS

 

【2】音質

 ややブーミーな低域と清涼感のある中高域が魅力のヘッドホン。低域は少し前面に出てくるので被るところはある。ボーカルには透明感もあり、のびやかさはきれいに出る印象。

 

[高音]:突き抜け感はそこそこあり、清涼感も強い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:場合によって低域に埋もれることはあるが、精彩は悪くない。

[低音]:ややブーミーな傾向があり、中高域に若干かかる(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:広さはそこそこ。ブーミーで前面に押し出てくる低域が目立つ傾向がある(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ハイハットに粒感があり、きめ細かいが、ドラムはブーミーで大味(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:ほどよい清涼感とのびやかさがある。

 

【3】官能性

 Trysail「オリジナル。」はややブーミーでかぶりやすい低域が少し気になるが、楽器音の色彩感・パーカッションの粒感・効果音のメリハリは概ね良好。ボーカルには清涼感があって、明るい。

 ねごと「アシンメトリ」はややブーミーな低域ドラムが存在感満点にリズムを刻む。ハイハットの粒感も良い。ボーカルに透明感があり、のびやかさもあって、音場の広さも感じられる。

 Rie fu「For You」はボーカルに透明感があり、パーカッションは粒が細かい。ややブーミーな低域は優しく、暖かい。キーボードの色づきも良く、サビでの盛り上がりが楽しい。

 fhána「Appl(E)ication」は低域がブーミーに出過ぎてボーカルに被り、そのせいかやや色彩感に欠くように思われるところが気になるが、清涼感は悪くない。ただ楽器音は背景に回ってしまいがちなところはある。

 

【4】総評

 ブーミーで少し自己主張の強い低域と清涼感のある中高域の対比は比較的万能に曲を楽しませてくれるだろう。ブーミーな低域の被さる感じだけは好みを分けそうだが、この価格帯のヘッドホンとしては標準以上の表現力を感じる。

JVC HA-SR77BKS

 

【5】このヘッドホン向きの曲 

 膜を張るブーミーな低域が暖色的な音場を作る。季節の色彩感を感じさせるかのような鮮やかでメリハリのある楽器音は素直にきれい。ボーカルは澄んでいるが、冷たくはなくうららかな温もりを感じる。(KAZAMI「You」)

 

JVC マイク/コントロール付 ヘッドホン(ブラック) HA-SR77BKS-B

 

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【スポーツイヤホン JVC HA-ETR40 レビュー】ややシャリ感の強いシャープネスサウンド

JVC HA-ETR40

JVC HA-ETR40-B カナル型イヤホン 防水仕様 スポーツ用 リモコン付 ブラック

 

おすすめ度*1

JVC HA-ETR40

ASIN

B00NED2P6C

 スポーツタイプのイヤホン。イヤーウィングタイプで耳への収まりは良く、固定も悪くなく、しっかりした装着感がある。遮音性はそこそこ。音漏れはそれほど目立たない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はイヤーピースの替えと延長コード。

 

【2】音質

 全体的にシャープでキレの良い音質。低域やパーカッションに爆発力があり、音の明度も高めで大抵どんな曲も元気で明るい感じになる。ただ元々明るめの曲はなおさらシャリシャリキンキンするところがある。

 

[高音]:明度が高く、煌めき感も強い。場合によってキンキンシャリシャリ(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:音の明度が高めで明るい。

[低音]:シャープで爆発力がある音。深掘り感よりは上方向への反発力を感じる音(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:奥行き感があり、広さを感じる。ボーカルが楽器の中心から聞こえる(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:シャープでキレがあり、爆発力もあるタンタンシャリシャリとしたメリハリのある軽快な表現。元気で軽い(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:透明感が強く、のびやかさも良好。

 

【3】官能性

 大塚利恵「あいたくて」はパーカッションの爆発力が強く、明るく疾走感がある。ボーカルはやや尖りがちでサ行は若干刺さりそうだが、耳に痛いところまではいかず、なめらかに抜ける。音の明度が全体的に高く、明るい。

 petit milady「azurite」はボーカルの透明感とシャープネスは良好。元気でメリハリがある。パーカッションは爆発力があり、曲に推進力を加える。音場は広く、奥行き感が空の高さを感じさせる。

 ねごと「アシンメトリ」はボーカルと楽器との距離感は良好。ハイハットがかなり鮮やかで存在感があり、曲の色彩とキレをよくしているが、若干明度と彩度が強すぎる感もあり、シャリシャリした印象を受けるかも知れない。

 ダイスケ「いつだって。」は全体的に明度が高くキラキラしている。ややキンキンシャリシャリするところはあって臭みは若干感じるが、煌めき感があって明るい。

 

【4】総評

 低価格なスポーツイヤホンとしては標準レベル以上の実力を感じる。装着感も含めた使い勝手も悪くなく、バランスは悪くない印象。パンチのある爆発力がある表現もスポーツを盛り上げ楽しくしてくれる。3000円以下では悪くない選択肢のように思う。

JVC

 

【5】このイヤホン向きの曲

  キレの良いシャープな味わいで疾走感が強く、元気で力強い。ベースやギターの音がやや軽い感じがし、エッジも少し物足りない気がしないでもないが、総体としてみれば説得力のある表現力を感じる。

 

 全体的にメリハリと爆春江良くのあるパーカッションと色気のある弦楽がきれい。個のイヤホンの魅力を楽しめる。

 

JVC HA-ETR40-B カナル型イヤホン 防水仕様 スポーツ用 リモコン付 ブラック

 

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*1:おすすめ度とは、あくまで主観的に「ここが面白い!ここが味わい深い!」と思ったポイントです。たとえば低域が「5」だからといって低音が支配的で低域重視で鳴りますというわけではなく、「低域の表現が丁寧でうまいなぁ」とか「これはちょっと他では味わえないかも」といった特徴的な音、魅力的な音がポイント高めになります。そのイヤホンの販売価格帯も考慮した主観的な評価です。

【ポータブルヘッドホン JVC HA-S200 レビュー】尖りはなく、耳当たりの良い音。全体的にもっさりとした重厚感が出やすいが、ほどよいタイトさのある低域が特徴

JVC HA-S200

JVC HA-S200-BR 密閉型ヘッドホン 折りたたみ式 DJユースモデル ブラック&レッド

 

おすすめ度*1

 

JVC HA-S200

ASIN

B00898L4SW

 イヤーマフの厚みは十分だが、蒸れやすいところあり。ヘッドバンドの装着感はやや硬い。ヘッドバンドは折り畳み可能。遮音性はそこそこ。音漏れはそれほど目立たない。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品はない。

 

 

JVC HA-S200

 

【2】音質

 のびやかさや突き抜け感はそこそこあるが、中高域の発色はそれほど良くなく、暗めの印象を受ける。低域は薄味だがタイトで空間を引き締める心地の良い音。トータルなバランス感覚の良さはあるが、JVC製品のイメージでありがちなパワフルでソリッドなサウンドを期待すると、全体的に力不足を感じやすい。

 

[高音]:高域の発色はやや暗い(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:奥行き感は出やすい。弦楽の伸びやかさと色気はそこそこあり。

[低音]:低域は薄味。空間への浸透の良いポンポンという軽いがタイトな引き締め感のある音。重さと深みはそこそこ。ただし中高域が精彩に欠けるところがあるので、曲調への影響は大きめでやや重厚感が勝ちやすい(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:奥行き感は出るので、広さはそこそこ。圧迫感はない(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ドラム優位。ハイハットは力不足を感じる(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:若干暗め。のびやかさと突き抜け感は悪くない。

 

【3】官能性

 喜多修平「一斉の声」は高域の突き抜け感はそこそこあり、悪くない。低域ドラムが優しくタイトで、中高域を邪魔しない。弦楽の色気はそこそこ維持されており、ほどよい彩度はある。

 ClariS「Orange」はボーカルが少し暗めに出ていて元気が足りない気がするが、のびやかさは良好。楽器音の発色はそこそこよく、尖る感じもなく滑らか。

 秦基博「Rain」は奥行き感もそこそこあるが、濃厚な空気感には欠け、表現も全般的にもっさりしていて重い。明るさに若干物足りなさがある。

 TrySail「Sail Out」がメリハリとキレに欠けるところがあり、もっさりしている印象。音に滑らかさはあり、尖りなく耳当たりは良いが、全体的に迫力に欠ける印象。

 

【4】総評

 味付け的には重厚に傾いているが、低域がタイトでぼやけたり支配的になったりしないので、中高域を阻害する場面は少ない。耳当たりも良く、尖った音になりづらいのも使い勝手の良さにつながっている。軽量で持ち運びには便利。廉価で気軽に持ち運べるのもよいところだ。

JVC HA-S200

 

【5】このヘッドホン向きの曲 

 このような重厚な曲は説得力のある形で聞くことが出来る。

 

JVC HA-S200-BR 密閉型ヘッドホン 折りたたみ式 DJユースモデル ブラック&レッド

 

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【スタジオモニターヘッドホン JVC HA-MX-10 レビュー】明度の高い、くっきりした濃淡のある音の表現が取り囲んでくる

JVC HA-MX10-B 密閉型ヘッドホン スタジオモニター ブラック

 

おすすめ度*1

f:id:kanbun:20170615221531j:plain

ASIN

B004MLWVKU

 イヤーマフの厚みは決して厚いほうではないが、柔らかく圧迫感は少ないので装着感は良い。若干蒸れやすい。遮音性はそこそこ良好で、音漏れは少し気になる程度。

 

【1】外観・インターフェース・付属品

 付属品は6.35mm変換アダプタ。

 

SHURE SRH1440

 

【2】音質

 スタジオモニターというだけあって、かなり音は素直に特徴が増幅されたような印象がある。全体的に音の鮮明度は高く、明度も高めで色彩感が濃い形で出る。演出感は少なく、音の個性がはっきり感じられるので、統一感に若干欠け、曲によっては一部の音が浮き上がって聞こえるところがある。

 

[高音]:鮮明度が強く、クリアな印象(秦基博「水彩の月」、井口裕香「Hey World」、多田葵「灼け落ちない翼」でテスト)

[中音]:中域も鮮明度が高く、さらに楽器音の音に濃厚さがあるため存在感が強く、密度が高く感じられやすい。

[低音]:音源の特徴が出やすく、ドライな音はよりドライに、ウェットな音はよりウェットにといった感じだ(分島花音「killy killy JOKER」、UVERWorld「CORE PRIDE」、重低音音源動画でテスト)

[解像度・立体感]:奥の音まではっきりしており、立体感はしっかり。一方で音の密度は高く、開放感には乏しい印象(petit milady「azurite」、分島花音「world's end, girl's londo」でテスト)

[パーカッション・リズム]:ハイハットが材質感や空間への広がりを立体的に感じさせるピシピシというよく響く音になっているのがとくに印象的だった(東京カランコロン「スパイス」、nano.RIPE「ツマビクヒトリ」、JOY「アイオライト」でテスト)

[ボーカル傾向]:息遣いははっきり。のびやかさも良好。

 

【3】官能性

 中孝介「夏夕空」は弦楽の色彩が強め。ボーカルの伸びやかさは綺麗に出ている。全体的に若干明度が高めで、音の精彩はかなりはっきり出るので、やや浮かび上がって感じられるところもある。

 ClariS「STEP」も鮮明度高め。ボーカルと楽器音の距離感が近く感じられ、混じり合うような一体性がある。ボーカルは若干楽器に埋もれがちにも思うところはある。全体的に明度が高くキラキラ感もあって明るい。

 Aimer「スピカ」は鮮明でクリアな印象。密度が高く、リズム感も良好でメリハリがある。音の輪郭もはっきり。

 つじあやの「マーメイド」はピアノの明度が高く、気になるかも知れない。ボーカルは鮮明で伸びやか。

 

【4】総評

 鮮明度が高く、個々の音が透徹してはっきり輪郭を伴って聞こえてくる。透明感があるとはいえ、その鳴り方は薄っぺらくなく、若干眩しい濃淡の強い鳴り方だ。そのせいか密度が高く感じられるので開放的には感じづらい気がする。

 密度重視で音の存在感を楽しむには比較的おすすめできるヘッドホンだ。

SHURE SRH1440

 

【5】このヘッドホン向きの曲

 鮮明度が高く、密度がある音場を楽しむならこの曲。細かな楽器の存在感が明瞭に感じられる。ボーカルは若干明度が高く、ギラギラしたところはあるかもしれない。

 

 鮮明で色気のある金管と木管に包まれるこの曲の味わいは最高。楽器音の震えの襞さえ感じる。丁寧な空気感の表現された豊かな空間に身を委ねることが出来る。(菅野よう子「軍靴の記憶」)

 

 ドラムはやや濡れっぽくズチャズチャしている。サビ付近では楽器の密度が高くなりすぎてガチャガチャしやすいところもあるが、充実した表現力を感じる。

  

JVC HA-MX10-B 密閉型ヘッドホン スタジオモニター ブラック

 

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